社員のキャリアに寄り添い、人生の節目を支える
私は現在、人事部人財開発課で課長を務めています。人事部は経営を支援する「コーポレート機能」と社員をサポートする「サービスセンター機能」の両面を担っていますが、私たち人財開発課の主な業務は、採用、教育研修、働き方改革、ダイバーシティ推進など、社員のキャリアに寄り添う仕事です。
人事部では、10代から70代まで幅広い世代の社員と関わる機会があります。学生時代のインターンシップから始まり、採用面接、入社時教育、昇格時研修、そしてセカンドキャリアや定年退職など。人生の節目にかかわることが多い仕事です。時には恋愛や結婚、出産、子育ての相談を受けることもあれば、職場でのコミュニケーションの問題や健康に関する相談もあります。毎日のようにさまざまな問題が飛び込んできますが、人に関わることなら何でも相談に乗る、そんな存在でありたいと思っています。
当社は、求める人材像として「既成概念の枠にはまらず素直に物をみることができる人」「多様性を受け入れ、一緒に目標に向かって取り組める人」「チャレンジ精神と自らの信念を持って行動することができる人」という3つの要素を掲げています。若い頃は「そんなスーパーマンみたいな人がいるのだろうか」と疑問に思っていましたが、年々その言葉の意味がしっくりとくるようになりました。
人事の仕事は世の中のトレンドの変化が激しく、常に新しい視点が求められます。例えば2014年頃から推進してきたワークライフバランスの取り組みは、当初「そうは言っても、うちはムリだよ」「そんなに休んで大丈夫なの?」という声も多く聞かれました。しかし、働き方改革法や女性活躍法の後押しもあり、今では男性の育児休暇取得も当たり前になっています。守るべきものは守りながら、新しいことには貪欲にチャレンジする。そんな柔軟な姿勢を大切にしながら、日々の業務に取り組んでいます。
成長の礎となった秘書時代の経験
私はキャリア採用で2009年にアジア航測へ入社したのですが、前職の仕事は、製造メーカーでの秘書職でした。今でも鮮明に覚えているのは、尊敬する役員の方々や上司、そして心強い秘書仲間に囲まれ、日々成長することへの意欲と、その半面で何歳まで秘書でいられるんだろう、という不安な気持ちで悶々としていた日々です。
とくに、10年近くお仕えした役員との時間は、私にとってのターニングポイントとなりました。その方が取締役なってから退任されるまで、秘書として寄り添わせていただきましたが、その間、社会人としてのものの考え方から、大人としての立ち振る舞い方、さらには幅広い教養に至るまで、実に多くのことを教えていただきました。
経営の最前線に立つ方の姿を間近で拝見し、重要な意思決定の場面に立ち会う中で、トップの立場がいかに大変で、時として困難な判断を迫られるものであるかを感じることができました。そんな中で、秘書として少しでも支えになれたことは、私にとってかけがえのない経験となっています。今でも年に1回はお会いする機会があり、そのたびに「良い報告ができるように」という思いが、現在の仕事への原動力にもなっています。
アジア航測への入社も秘書として応募したことがきっかけで、当時社長になられたばかりの大槻社長との最終面接で「ぜひ教育担当として、当社の新しい経営理念を広めてもらいたい」と言われ、人事としてのキャリアをスタートさせました。
試行錯誤と周囲の支えで築き上げた教育体系
入社当時、不景気の影響で多くの研修プログラムを中止していた時期でした。過去には人財育成に力を入れていた会社だけに、この状況を何とかしたいという思いが強くありました。右も左もわからない中、研修担当として関わり、さまざまな部署の方にアドバイスをもらいながら、教育体系の再構築に取り組んだ経験は私の現在のキャリアに大きな影響を与えています。
研修が社内へ定着するまでの過程では、多忙な業務や社風などといった理由で批判的な声も多く聞かれました。しかしながら、研修初日の朝、こわばっていた参加者の表情が徐々に変わっていき、最後には笑顔で帰っていく姿を見て手応えを感じました。研修に参加した社員が課長になり部長になっていくと、次は部下を快く送り出してくれます。この取り組みを続けることで、少しずつ研修の必要性が理解されていったように思います。
これまで実施した中で一番印象深い研修は、2011年の東日本大震災の直後に行った「被災地視察ボランティア研修」です。東北支社では、自分たちも被災しているにもかかわらず、他地域の若い社員にもぜひ現地を見て肌で感じて欲しいと、津波の被害地域へ案内してくれ、全面協力のもとボランティアと研修を融合させた企画を成功させることができました。 東北支社の社員はもちろん、営業職も技術職も事務職も関係なく、全国の若手からベテランまで一丸となって立ち向かう姿勢を目の当たりにし、東北支社の会議室の壁に貼ってあった童謡「ふるさと」の歌詞を見ながら、アジア航測で働く意義とはこういうことだと身をもって経験しました。
もちろん、失敗することも多々ありました。とくにコミュニケーション不足による思い違いや言葉の行き違いには悩まされました。失敗するとウジウジと考え込んでしまい、その仕事から逃げ出したくなることもあります。でも、逃げても何も解決しないことに気づき、壁は自分で乗り越えていくしかないと学びました。今では100%仕上げる前に必ず途中段階で意見をもらい、早めに相談をするように心がけています。
また、プライベートでは、子供を持つかどうか葛藤した時期もあります。長期にわたる不妊治療で休まざるを得ない状況となり、周囲の支えなしには仕事を続けられなかった時期もあります。休んでいた間は業務を代わってもらったり、復帰後も遠方への出張をセーブしてもらったり、本当に多くの方々に支えていただきました。とくに印象に残っているのは、復帰後も何も変わらず接してくれた上司や同僚、家族の「大丈夫!なんとかなるよ!」という言葉です。この言葉に何度も救われ、仕事ができることのありがたみを実感しました。
このような経験を通じて、一人では何もできないということを痛感しています。心が折れそうになった時、助けてくれるのは一緒に働く仲間の存在です。いつも気にかけて声をかけてくれる上司、そっとお菓子とメッセージカードを置いておいてくれる同僚、「メシでも行きますか!」と誘ってくれる後輩、人の優しさに感謝しながら、日々の仕事に取り組んでいます。
私の役目は、仕事とプライベートの両立支援に取り組み、両立に悩み退職する人がひとりでも減るようにすることだと考えています。
当社の従業員に伝えたいのは、一人で悩みを抱え退職を決断する前に、人事部や信頼できる周りの人に相談してほしいということです。何かしらの解決方法を一緒に考えることができるのではと思います。
女性活躍と後継者育成を通じて、より良い未来へ
これからの目標として、私がとくに力を入れたいと考えているのが女性活躍の推進です。女性社員は確実に増えてきていますが、課題は多く残っています。例えば、男性だけの部署は当たり前にある一方で女性だけの部署はまだなく、男性が多数で女性が1名という会議は日常的にありますが、その逆のパターンはほとんど見られません。
キャリア形成において重要なことは、まず会議の席につき、発言することだと考えています。意見の違うさまざまな人とディスカッションを重ね、悔しい思いや達成感を経験すること、1つ上の目線で物事を見ることが成長につながります。私自身、20代の頃は会議に参加してもアシスタントの意識でしかありませんでしたが、今は会議の席で意見を交わす機会が増えています。このような機会をチャンスととらえ、上司のみなさんは女性社員に成長の後押しを、女性社員のみなさんは積極的にチャレンジしてもらいたいと思っています。
とはいえ、女性だけを特別視するのではなく、俯瞰的な視点と柔軟な発想力がないと多くの方から賛同を得られないと思っています。例えば、人事制度を設計するにしても、夫婦共働き、単身、親の介護で地元に戻りたいなど個人の事情はそれぞれ異なります。特定の誰かだけが使えるような制度ではなく、働く人全員が使える在宅勤務や時間単位の有給休暇など、柔軟な働き方を推進することで、誰もが納得するような制度を整えていきたいと考えています。
また、年齢的にも後継者を育成する時期に差し掛かっています。私自身、上司から「この仕事に責任を持つこと」を教わってきました。人事制度を設計するためには、社員の声や世の中のトレンドを反映させるだけでなく、過去の制度の在り方や考え方を整理する必要があります。長きに渡るキャリアをお預かりする部署の一員として、社員一人一人にしっかり向き合っていく責任があると感じています。その中では、女性の感性も生かせます。中には「女性だけでは何かあったときに心配」という古い価値観の方もまだいますが、これは男性側の偏見だけではありません。女性側からも聞く意見なのですが「私が最後まで責任持ちます」と胸を張って言える人が増えれば、性別は関係なく安心して仕事を任せることができるのではないでしょうか。
私の最初のロールモデルは、秘書検定に登場する秘書A子です。(現在は秘書Aと改められています。)当時のテキストには「秘書として大切な資質はウイットに富んだ対応」と書いてあったのが印象的で、ウイットを言い換えると、機転を利かせる、しなやかに対応する、場の空気を和やかにするといったところでしょうか。硬い枝は曲げるとポキっと折れますが、しなやかな枝はどんな形にも対応できます。ちょっとしたことでもアジア航測さんに相談して良かった、人事に話して良かった、 そう思える会社、組織でありたいと常々考えています。アジア航測の財産は人です。たくさんの人財と出会えるこの職種を選んで本当に良かったと思っています。
※記載内容は2026年1月時点のものです
