「東北地域事業連携プロジェクト」を発足。技術と絆で育む地域貢献
アジア航測 東北支社と東北地方を拠点に事業展開する北光コンサル、タックエンジアリング、アドテックのグループ企業3社は、2023年11月、「東北地域事業連携プロジェクト」を発足。各社がそれぞれ独自の技術力を活かしながら、地域共創・地域貢献に取り組んでいきます。
同プロジェクトの中核を担うアジア航測 東北支社長の清水 孝は、同支社の強みについてこう説明します。
清水:アジア航測は川崎の本社と新宿の本店を中心に、東北、関東、中部、西日本、九州の5つの支社を置いています。中でも東北支社は、道路、橋梁、公園、まちづくり、砂防関連の設計に長く取り組み、建設コンサルタントを最大の強みとしてきました。
また、東北地方でのさらなる事業拡大をめざし、2023年10月に北光コンサルにグループの一員となってもらいました。東日本大震災後、「チーム東北」といったように、同社含め皆が共に夜遅くまで復興のために汗を流すなど、以前から固い絆で結ばれてきました。そうやって東北に拠点を置くグループ各社とのあいだに強固な団結力があることも、東北支社の特長です。
その北光コンサルの代表取締役を務めるのが石川 壽人です。2021年の就任以来、国、県、そして民間企業に向けた建設および補償コンサルサービスをリードしてきました。
石川:当社では、盛岡本社に加えて仙台、青森、秋田、東京に4支店を構え、岩手県内を中心に5営業所を展開しています。建設コンサルタントとしては森林関連業務・環境調査業務を、補償コンサルタントとしては土地の用地測量調査・建物調査等業務を得意とし、お客様から高い評価をいただいてきました。
森林関連業務では、林野庁を主なお客様とし、伐採や植樹、木材を運ぶための林道の測量・設計、国民の財産である国有林を守るための治山(渓間工・山腹)の測量・設計など、及び治山全体計画の仕事を請け負っています。
用地測量・建物等調査業務では、発注者に代わって測量設計後の土地物件調査・算定を行うほか、発注者と地権者のあいだに立って調整役も務めています。
ドローン空間情報技術と3次元レーザ航空測量解析。新時代の測量技術に強み
アドテックの前身である東北アジア航測からコンサル部門が分離するかたちで1976年に誕生したタックエンジアリング。アジア航測出身の松坂 裕之が、2023年12月から代表取締役を務めています。
松坂:当社が強みとするのは、ドローン(UAV)を活用した空間情報技術です。航空写真測量によるデータの取得と利活用を得意とし、親会社であるアジア航測の最先端技術を駆使することで、地元岩手の安心と安全、便利な暮らしを支えてきました。
たとえば、当社では赤青メガネをかけることで地形を立体視できるアナグリフ方式のCVESmapを開発しています。リアルな地形の認識を可能にする技術を活かしてハザードマップを作成するなど、防災に役立てられてきました。
また、建設コンサル業務を展開しているのも当社の特長です。インフラ整備・維持管理や国土強靭化のための調査設計について、計画から実施に至る総合的なコンサルサービスを提供しています。
私自身は地質調査に長く従事し、東日本大震災をはじめ、岩手・宮城内陸地震、宮城北部地震などの災害復旧に携わってきました。当社においても、防災関連事業の拡大を図っているところです。
一方、アジア航測の子会社となって60年近くになるアドテック。そのトップを務めるのは、松坂と同様にアジア航測出身の菅原 修です。
菅原:アドテックは、3次元レーザによる航空測量の解析を主に手がけてきました。アジア航測が撮影した航空写真と、撮影時の位置情報をもとに図化機を用いて地形や地物などの座標を取得し、高品質な数値地形図とデジタルオルソ画像を提供しています。
土地調査・土地評価業務も当社が得意としてきた分野です。社会インフラの維持管理においてもっとも基礎的な資料となる固定資産台帳や道路台帳、下水道台帳、上水道台帳、河川台帳、公園台帳など、各種台帳の整備と業務支援を行っており、宮城県から毎年表彰いただいています。
4社連携で生まれるシナジー。「1+1+1+1=4」を「1+1+1+1=10」に
北光コンサルがアジア航測グループに加わったことをきっかけに、東北地域事業連携プロジェクトが発足して数カ月。すでに共創によるシナジーが生まれつつあると4人は言います。
清水:2024年の1月からプロジェクトが始動していますが、震災復興を経験してきた各社だけあって、その動きの迅速さに驚かされています。少子高齢化による人手不足や過疎化、そして最近ではCO2削減を目的とした地域脱炭素の推進などが課題となっていますが、4社に共通して備わっているのが新しいことへの挑戦意欲です。
各社がそれぞれ独自の技術を持ち寄り融合させることで、防災を含む東北地域の課題に対し、「1+1+1+1=4」ではなく「1+1+1+1=10」として、より大きな付加価値を生み出せると考えています。
たとえば、砂防関連の分野において、タックエンジニアリングのセンシングやドローン技術と当社の技術を組み合わせることで、新しい成果が得られ始めています。原子力災害からの復興・再生においても、アドテックとの協業のもと、福島の帰還困難区域での空間線量モニタリングや地権者からの同意取得業務、廃棄物仮置場の管理業務などが進行中です。
松坂:清水さん同様、私も新たな事業展開の可能性を強く感じています。たとえば、今回アジア航測グループの一員となった北光コンサルは、当社と同じく盛岡市を中心に展開している企業ですが、同じ業界でありながら競合する事業領域がほとんどありません。
しかし、両社は長年にわたり測量・設計分野で経験を積んできました。私たちが30年以上アジア航測グループ企業として培ってきたデータの利活用技術を活かすことで、これまで手がけることができなかった分野に挑戦するなど、新しい方向性を見出せると確信しています。
一方、菅原さんが代表取締役になる前から、アドテックからは協業の打診を受けていました。今回の東北地域事業連携プロジェクトの発足を機に、たとえばジョイントベンチャーを組成して国土交通省などから案件を受注するなど、新しい取り組みができるのではないかと考えています。
プロジェクトが始動したばかりでまだ構想段階ですが、清水さんが話す通り、今後3年間で4社がそれぞれの価値をどう最大化できるか、大きな期待を寄せています。
異業種の融合が力に。東北再興に向け、4社が一体となり新たな一歩を
以前から協業を図ってきた各社。今回のプロジェクト発足以降、ますますポジティブな効果が生まれていると4人は口を揃えます。
石川:私が営業部長を務めていたころ、森林設計の案件を進める中で、航空レーザ測量技術が必要な場面がありました。当社にはそのノウハウがなかったため、すぐに同じ盛岡に拠点を置くタックエンジニアリングに連絡を取ったところ、その日のうちに面談が実現。さまざまな提案をいただいて、無事に成果物を納品することができました。結果として、お客様から高く評価いただき、表彰を受けて現在もモデル事業として広く知られています。
グループの一員となったことで、アジア航測、タックエンジニアリング、アドテックという強力な後ろ盾を得ることができました。これにより当社への信頼が高まり、当社に知見がないために以前はお断りせざるを得なかったような相談にも積極的に提案することができています。
得意とする分野を担う一方、未熟な技術に磨きをかけながら、より良い成果につなげていきたいと考えています。
松坂:つい最近も、グループ会社受注というかたちですが、北光コンサルを通じて仕事の依頼をいただきました。おかげさまで、当社への引き合いも増えています。
菅原:当社でも協業の準備を進めています。先ほど清水さんが話された通り、当社は現在、福島での空間線量モニタリングや除染活動、仮置場管理などの業務を進めていますが、2024年の4月以降は、これまでアドテックが不得意としてきた分野を北光コンサルにサポートをお願いする予定です。
震災当時、アジア航測の盛岡支店長として、北光コンサルと連携して岩手沿岸市町村での業務受注獲得に取り組んだこともありました。同社とは10年以上にわたるお付き合いがあり、非常に誠実な企業だという印象を持っています。今後、さらに良い相乗効果が生まれることを期待しています。
清水:松坂さんがおっしゃったように、今回のプロジェクトでは、それぞれ独自の技術を持ち、異なる市場で活躍してきた4社がチームを組んだことに大きな意義があると考えています。皆さんの話を聞いていて、その効果がかたちになりつつあるのを実感できました。
特定地域において3社のグループ企業が展開しているのは、当社では非常に珍しいケースです。4社がそれぞれ強みを発揮しながらうまく連携できれば、既存事業のバリューアップを図りつつ、新たな価値を創出し未知の領域にも進出できると考えています。東北地域において圧倒的な存在感を示すべく、高い志を持って互いに切磋琢磨しながら、市場競争力を高めていきたいですね。
※ 記載内容は2024年2月時点のものです
