技術職から営業職へ転身。理想と現実のギャップを埋めたい
農学部で学んできたことを活かし、環境に携わる仕事がしたいという思いで、就職活動をしていた佐伯。1992年にアジア航測に入社し、環境部へと配属されました。
「最初は、環境アセスメントと呼ばれる調査・予測・評価の仕事をしたり、自治体向けの『環境基本計画』に携わったりしました。そこから営業に関わるようになったのは、当時短期間だけ別部署に異動して、経験を積むという仕組みがあったから。上司に声をかけられ、営業企画を担当してみないかと言われ、異動をすることになりました」
アジア航測の営業は、国の各省庁や地方自治体、また鉄道会社、エネルギー企業など、公共性の高い団体・企業に対して技術を提案します。佐伯はその中で、社内の営業メンバーに対して、計画作りや会議の運営を担うポジションに就きました。
「営業の幹部会議に出ることも多く、次第に、組織が掲げる理想と現実のギャップを感じるようになりました。一体どうすれば理想にたどり着けるのか。どうすれば隔たりを埋められるのか。気づけば、営業組織に対する使命感を覚えるようになったのです。
そんなとき、長野営業所で営業メンバーを求めているとの話があり、異動を決意しました」
営業の実務は初めての経験だったという佐伯。手探りで仕事を続ける中、印象深いお客様への提案がありました。
「国の砂防事業を担当する方から、砂防河川の渓流の地形を測って、断面をとりたいというお話をいただいたのです。そこで提案したのが『航空レーザ計測』。航空機からレーザを発射し、地形を測るという技術。
今では当たり前に使われていますが、20年前の当時はまだ珍しかった技術です。標準の仕様書なども用意がない中、先陣を切って進めていきました」
現在もお客様から求められ続ける「航空レーザ計測」の初提案を成し遂げた佐伯は、その後も経験を重ねながら、営業としての実力を伸ばしていきます。
「私のキャリアの中でも、とりわけ忙しかったのは京都支店です。当時はメンバーも少なく、地域の中でのアジア航測の認知度も低かったので、苦労の量も段違いでした。お客様から信頼を得るため、さまざまなオーダーやトラブルに対応する力が問われましたね。きつかったですが、苦労するだけ人間は成長できるなと実感できた期間でもあります」
技術職から営業職へ。大きく転身をした佐伯は、経験を活かして営業推進部の全体統括を行うことに。そして現在は、営業DX推進課の課長という立場で、組織改革にも挑んでいます。
組織の「当たり前」を見直すべく、3つの柱からアプローチ
佐伯が現在取り組む「営業DX」という発想にたどり着いた背景には、経営理念がありました。
「アジア航測では、6つの経営理念 を掲げています。2年半ほど前、営業組織の未来を考える上で6つの項目を、営業を主語に再解釈するという試みをしたのですが、その結果『DX』という言葉にたどり着きました」
DXとは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること(経済産業省 2018年)。
その定義は、経営理念にも当てはまり、営業組織に必要な考え方だと感じたのだと佐伯は言います。
「中でも私の心に残ったのは、『事業は人が創る新しい道である』という理念。人がいなければ、事業が生まれない。事業が生まれないということは、会社も存続しない。それくらい人というものが大事なのだ、と読み替えると、組織の内側に目が向きました。
仕組みや技術をデジタル化するだけがDXではない。意識改革を含め、営業組織を抜本的に変えていこうと考えました」
こうして、変化に重きを置いた営業DXが始まりました。
「アジア航測の営業部は、当時若手が少ないという状況でしたが、後進が育たないことには組織としての成長もありません。そのため、若手から中堅、ベテランとバランスのいい構成になるよう、制度や風土を変えるところから始めていきました。
新たな人財が定着していく組織にするためには、これまでの慣習的なやり方に沿っていてはいけません。時代に合わせて、私自身の考え方もアップデートしていきました」
営業DXを進める上で、佐伯は大きく「3つの柱」を掲げていったと言います。
「まずひとつめの柱は『チーム体制の強化』。これまで営業は個人目標をもとに活動をしていたのですが、チームの目標設定に切り替えていきました。あわせて、結果だけを重視する形ではなく、プロセスも評価するように制度も変えていきました。
ふたつめは『育成』。若手が成長するための営業研修に力を入れることにしました。従来の営業スキルは、実務の中で個人がそれぞれ身につけていく形でしたが、マニュアル化すればみんなが安心して業務にあたれると思ったのです。研修を受け、業務を覚えたら、現場ですぐ活躍できるようになる。若い世代に仕事のおもしろさをわかってもらうために、スキルの整理を行いました。
最後は『ペーパーレス化』。これはまさにDXといった部分になりますが、紙文化が浸透していた組織にシステムを導入し、ペーパーレス化を促進していきました。手間のかかる事務処理がデジタル化されれば、その分、お客様に向き合う時間を大切にすることができると考えたのです」
人と人との関係性の中で感じられるやりがいを、実感できる組織に
こうした営業DXの取り組みは、まだまだ始まったばかり。とはいえ、変化の兆しも見えはじめています。
「活動に対して、最初は周囲から疑問がありましたが、今は協力的な姿勢で聞いてくれるようになっています。1年ほどかけて根気強く説明を続けてきたことで、徐々に受け入れられつつあるのだと思います。
組織において新しい物事を進める上での一番の難敵は、やはり人の意識を変えること。時間をかけてじっくり取り組んできてよかったです」
精一杯、変化の土壌を整えてきた毎日。これから具体的な改革に向けてさらにアクセルを踏んでいきます。
そんな佐伯が仕事をしていてやりがいを感じるのは、お客様から「アジア航測と仕事ができて良かった」と言ってもらえる瞬間です。
「受注できた瞬間はもちろんうれしいのですが、一緒に仕事を進め、無事に完遂したときにお褒めの言葉をいただくときが、やはり一番うれしいですね。お客様に確実に満足してもらえる仕事ができるように、営業提案の段階からしっかりコミュニケーションをとるようにしています」
こうしたやりがいをメンバーにも感じてもらいたいと、佐伯は考えています。
「若いうちは、お客様とうまく接することができず、どうしていいかわからないという気持ちになることもあるでしょう。でも大事なのは、お客様を特別視しすぎないこと。人間同士なのだから恐れることもないし、人として好きになってもらって、気持ちよくお付き合いができることが大事です。
だからこそ、お客様との関係性づくりに集中することができるように、DXを通じて制度と環境を整えていきたいですね。業務を効率化し、チーム制にしてお互いを支え合う中で、お客様と接する時間を増やしていきたいです」
人と人との関わりは、対お客様だけでなく、社内でも大切にしたいと佐伯は続けます。
「営業の仕事は、さまざまな部署と関係を持ちながら進めるものです。歴が長ければ長いほど、いろんな場面に出会い、いろんな方に力を借りる機会があります。私もたくさん失敗をしてきましたが、そのたびに誰かに救われました。
『お客様のためにこれを実現したい』という思いがあれば、当社のメンバーはみんな共感し寄り添ってくれます。自分の熱量を伝えることが、スムーズに仕事を進める上で重要だと感じます」
「誰かのために」をモチベーションの源泉に。チーム一丸となって成長を続ける
新たな営業組織のカタチをめざして進み続ける佐伯。参画してもらいたいメンバーについては、以下のように語ります。
「私が人柄として求めているのは、正直な方です。面接の中では、準備してきた完璧な言葉を話すよりも、その場で本心で話してくださっている方に共感します。取り繕わず、自分をさらけ出してくれる方と一緒に働けたら嬉しいですね。
また、公共性の高い仕事だからこそ『誰かのために』というモチベーションを持てる方が向いていると思います。お客様やその先にいる方々のために一生懸命になれる方にこそ、長く働いていただけるのではないでしょうか」
熱い思いを胸に未来を描く佐伯。今後についてはこう展望します。
「めざしている究極のゴールは、こちらから行かなくても、お客様のほうから呼んでいただけるような会社になること。今はまだ、階段の1段目が終わったくらいです。一番初めに相談してもらえる会社になれるように変革を続けたいですね。
そのために組織としても、団結が必要です。個々人が活動するというよりも、人と人とが関わり合ってチームを組むようなスタイルのほうが、うまくいくと思います。つながりの中でみんなが一丸となって成長していく、そんな未来を作っていければと考えています」
過去を捨てることを恐れず、積極的に変化の道を選んでいく佐伯。その意志の強さで、アジア航測の新しい在り方を作っていきます。
※ 記載内容は2024年1月時点のものです
