“仕方なく買う”から“選ばれる”デリカへ。お客さまの声を聞き、価値を引き上げる
2025年の組織改編により従来の商品部内の一部門から昇格し、発足したデリカ統括部。お惣菜やお寿司、ベーカリー、お弁当などの製造販売を担っています。
「従来の組織では商品部の中にデリカ部門があり、他の部署と同様にバイヤーという役割で商品調達に重きを置いていました。しかし、現在マーチャンダイザーという名称で、商品の仕入れだけでなく販促や販売計画、さらに商品をどう高めていくかまでトータルでの業務として受け持つ体制へと変わりました」
そう語るのは、デリカ統括部の部長を務める喜録。お客さまのライフスタイルの変化に対応するため、デリカ部門の強化が必要だと説明します。
「共働きや単身世帯が増えているご時世なので、食材を買って調理するだけでなく出来合いの商品も日々の食卓に取り入れていくというニーズが高まっています。お客さまのニーズは、年々深くなっています。見た目の美しさやカロリー、食感などさまざまな観点からご要望をいただきます。その声に応えられる商品を作っていくことが、私たちの使命だと考えています」
デリカ統括部にはマーチャンダイザーが9名、商品部の方針が現場で確実に実行されるようサポートするオペレーション推進室に5名、そしてアシスタント4名が在籍しています。
「私以外のメンバーは、ほとんどが入社してからずっと惣菜の製造や販売の現場を経験してきたデリカ出身者たちです。オペレーションを理解するには、やはり現場経験が不可欠だと思っています。
デリカ統括部がめざすのは、単なる商品提供にとどまりません。お客さまの限られた時間の中で、ゆとりを生み出すことができるのがデリカの特性です。そのゆとりの時間で、お客さまご自身の時間を確保していただき、食事以外の生活も豊かにしていただきたい。そのために、何度も食べたくなる味や、日々選べる商品の選択肢を意識して開発しています」
仕事をする上で、何よりも三現主義を大切にしている喜録。週に1回は現場に足を運ぼうと意識しており、お客さまと直接会話をしたり、一緒に作業をしたりしています。
「本社にいると現場から離れがちで、数字や会社の方針ばかりを気にしてしまいます。ですが、私たちは小売業。お客さまがどのように商品を手に取り、なぜ戻したのか。店舗で起きていることを直接見て、お客さまの声を聞くことが大切だと思っています」
変わらない“人に向き合う姿勢”。現場の声に向き合い、築いた信頼のかたち
KOHYOとの出会いがきっかけでスーパーマーケット業界に興味を抱き、新卒で光洋に入社して20年以上のキャリアを積んできた喜録。イオンへのグループ化に伴い、大きく2つの面で良い変化があったと振り返ります。
「1つは食品に対する厳格な基準があるイオングループに属することで、顧客に対する安全・安心への取り組みが強化されたこと。そして、もう1つが従業員教育の充実です。
これまでたくさんの研修の機会をいただいたことで知識や見識を広げられ、さらにはグループ企業間のネットワークが広がってイオングループの方々と情報交換ができるようになりました。さらに、グループ内でさまざまな職種への異動が可能になるなど、キャリアの可能性も広がりました」
自身のキャリアの中でとくに印象に残っている経験は、30代前半でマーケティング部の部長に抜擢された時のことだと言います。
「副店長経験が3カ月、店長経験が8カ月と現場経験が浅い中での抜擢でした。上司に相談しながら企画を立案したのですが、現場の店長たちからの反応は厳しく、企画案内のメールに対して『こんな企画は無理』といった否定的なコメントが多く書き込まれました。
上司は、『できないじゃなくて、どうすればできるかを考えるのが店長の仕事だ』と怒ってくれましたが、私は『一度話しをさせてください』とお願いしました」
そして、書き込みをした店長一人ひとりに電話をかけ、直接対話を重ねていきます。
「文面では厳しい意見でしたが、実際に話してみると皆さん良い方たちでした。『やりたくないわけではないけれど、ここが難しい』など、具体的な課題や改善案を教えてくれました。そうして修正を加えて、店長たちの意見を反映した企画を再提案し、最終的には実行に漕ぎつけることができました」
この経験から、喜録は現場の声を聞くことの大切さを学びました。
「それ以降は、現場主義の重要性を強く認識するようになり、企画を出す前に現場の意見を聞くようにしていきました。『こんな感じの企画でいこうと思っているのですが、ご意見をいただけませんか』と事前に相談すると、皆さん気持ち良く意見を出してくれます。
そうすることで企画もうまく回っていきますし、実施後も『ここが良かった』『ここはこうした方が良かった』といったフィードバックをもらえるようになり、とても良い関係を築けました」
「ポジションが変わると世界が変わる」。得意に頼らず、新たなフィールドに挑み続ける
これまで数々の成果を残してきた喜録ですが、その背景には失敗を恐れない挑戦する姿勢があります。
「ポジションが変わると、見える世界もどんどん変わってきます。『自分だったらもっとこういうことができるかもしれない』、『今はできないかもしれないけどチャレンジしてみたい』という気持ちが私の原動力。プレッシャーはその都度感じますが、チャレンジしたい気持ちの方が大きいですね」
その姿勢は、2024年に運営部長からデリカ部門の部長への異動の際にも発揮されました。通常、部長職は経験のある分野で任命されることが一般的ですが、喜録は経験のないデリカ部門へ抜擢されました。
「昨年は売上上位商品のリニューアルを進めました。味や見た目を見直し、おいしそうに見えるように改良を重ねることにより前年を超える実績を残すことができました。また、社内向けのブランディングにも力を入れています。
一方、業界の淘汰が進んでいることに強い危機感を覚えています。たとえば、商品の価格に対する消費者のニーズが変化し、価値と価格のバランスの見極めが重要になってきています。大衆的な層を取り込みたい想いや自分の理想はありますが、消費者が求める価格帯が下がっている現実との折り合いをどうつけていくのか模索しています」
そんな中、大きな転機となったのが「イオンDNA伝承大学」での経験でした。
「現経営陣やイオンの礎を築いた歴代の経営者などと直接セッションができる機会で、自ら志願して参加しました。イオングループ各社から集まったメンバーと共に議論を重ね切磋琢磨する日々でした。最も多くの本を読み、アンテナを張った時期でしたね。
研修はとてもハードでしたが、毎月自分の視野が広がっていく感覚がありました。イオンのDNAを学ぶとともに大きな成長を実感できる機会となり、今でも研修でつながった人々とネットワークを維持しています」
この経験を経てより広い視野で業界を見つめられるようになった喜録は、新しい価値の創造に挑戦し続けています。
変化を楽しむ力が、チームを前に進める──部長としての挑戦と手応え
デリカ統括部の部長として働く自身の姿が好きだと胸を張って言う喜録。そこには、お客さまの満足度を高める商品を作るということにモチベーションの源泉があります。
「私たちが販売しようと決めた商品しか世の中に出ていかないのです。お客さまから『おいしかった』という声をいただけることが私たちの大きなモチベーションになっています。
そのために店舗に足を運び、お客さまの声を直接聞くようにしています。もしも、『おいしくない』という声をいただいた場合でも、より良い商品を作るための原動力になります」
光洋では、喜録のような女性の活躍も目覚ましく、現在私以外にも3名の女性部長が在籍しています。イオングループではDE&Iの考え方が根付いており、働きやすい環境が整っていると言います。
「育児や介護などが理由での時間調整も、当社では当たり前のこととして受け入れられています。私もPTAの活動をしているのですが、たとえば会議の日にPTAの活動があれば、私はPTAに行きます。
子どもの行事で午前中の休暇を取得し、午後から出社するということも当たり前。部下が子どもの具合が悪くて休むと言ってきても、『そういうことは起こるものだから』と特別視することなく受け止めます。それが、当社の風土なのです」
現在の環境や仕事に対して、強い愛着を持っている喜録。とくに、日々の変化を実感できることにやりがいを感じています。
「変化を実感できることが何より嬉しいんです。自分の提案が実際の売場に反映され、多くのお客さまに見ていただける。お客さまにとって、いいよねと思っていただけることに変えることで、商品も売場も組織も実際に変化していく。
すべての商品が自分たちの目を通して世に出ていくため、失敗も含めて非常に大きな責任があります。しかし、それも含めて貴重な経験として蓄積されています。会社の変化を体感できる立場にいることはたいへん価値のあることだと感じているので、もっと経験を積んで変化を楽しみたいですね」
また、自身のポジションを活かし、組織をより良い方向に導くことを心がけています。
「人は他人を変えることはできませんが、自分自身を変えることができます。自分の行動や言動を変えることで、周囲を良い方向に導きたい。自発的に考えて前向きに進める人材を増やし、活発な議論ができる組織を作ることで、お客さまへより良い商品・サービスを提供していきたいです」
※ 記載内容は2025年6月時点のものです

