安全を担うブレーキ製品開発で必要とされる技術者をめざして
学生時代は工学部に所属し、電子材料に関するゼミで研究に励んでいました。専門的な知識を深める一方で、塾のティーチングアシスタントとしてアルバイトもしていました。そこでは生徒が自ら解けるように導く指導を心がけてきました。考え方のポイントを押さえて伝える経験は、伝える力と聞く力を磨く貴重な機会となりました。
就職活動では、地元である東海地方の製造業を中心に企業を検討しました。その背景には、親が輸送機器のエンジニアをしていたこともあり、幼い頃からクルマや飛行機が身近な存在で、走る・止まるといった仕組みに関心を持っていたことがあります。そのため、それらに関わる仕事に就きたいという思いが自然と芽生えていました。
企業研究を進める中で、この会社と出会いました。クルマの安全に直結するブレーキを通じて社会に貢献している点に強く惹かれました。さらに、大学で同じゼミだった先輩が在籍していたこともあり、先輩から風通しの良い職場だと聞けたことが、働く環境に対する安心感につながりました。
最終的に入社を決めた理由は、ブレーキという製品を通じて社会に貢献できるという確信を持てたからです。クルマは日々の生活を支える存在であり、その安全を担うブレーキはきわめて重要な部品です。ここなら、学んできた知識を活かしながら社会に必要とされる仕事ができると感じ、先輩の言葉にも背中を押されて、入社を決意しました。
実車体験で知った責任の重さと、想像を超える品質への取り組み
入社後に受けた技術研修では、車両運動制御やブレーキ部品の役割など、基礎を体系的に学びました。とりわけ印象に残っているのは、実車に乗ってABSの効果や倍力装置(ブレーキブースタ)の重要性を体感できたことです。これから自分が携わる製品がいかにクルマの安全に直結しているかを肌で感じることができ、常にユーザー視点で考える大切さを学びました。この実車体験は、その後の仕事の原点として今も判断の拠り所になっています。
配属以降、現在に至るまで、私は制御ブレーキアクチュエータのハードウェアを設計・開発する部署で働いてきました。入社当初は電磁弁を担当し、ブレーキの油圧をコントロールするための重要な部品に携わってきました。その後、電磁弁のグループリーダーとして次期型回生協調ブレーキ用の電磁弁開発を牽引しました。この開発を主導した経験が大きな転機となり、近年は機電接続を担う筐体の要素開発のグループリーダーへと担当製品が変わり、担当領域を電磁弁から筐体へと広げています。
入社後に最も驚いたのは、品質に対する姿勢の徹底ぶりです。ブレーキ製品ゆえ品質が重要なのは承知していましたが、開発現場の要求水準は想像以上でした。安全を担保するため、高度な設計ツールを駆使して緻密な検討を重ねます。若手の頃からOJTの先輩に伴走いただき、ツールの使い方や安全設計の考え方を徹底的に学ぶことで、高い品質要求に応える力を養いました。こうしてギャップを乗り越える過程で、技術者としての確かな基礎が築かれました。
手の内化されていない技術への挑戦と、論理的思考への転換
現在、私は要素技術開発部で9名のメンバーがいるグループのリーダーを務めています。将来の制御ブレーキ用アクチュエータに不可欠となる要素技術、なかでも機電接続を担う筐体の接合・電気接続に関する技術開発に取り組んでいます。リーダーとしての役割は、将来必要となる要素技術を見極め、各要素技術を製品で使える水準へ引き上げることです。
この仕事で最もやりがいを感じるのは、まだ手の内化されていない技術をチームで学び、その技術を使いこなすための良品条件を自分たちで作り上げることができた時です。未知の領域に挑み、技術を“使いこなせるレベル”へ自分たちの手で昇華していく――そのプロセスこそ、技術者の醍醐味だと感じています。
もちろん、そのプロセスは簡単ではありません。初期には「とりあえずやってみる」場面もあり、狙い通りの結果にならないことが多々ありました。しかし、その失敗を糧に、現在は説明可能な仮説を整えてから検証に臨む、あるいは不明点を切り分けるために検証するというスタンスへと転換しています。その結果、根拠が明確なため、関係者との合意形成が早まり、レビューでも説明が通りやすくなりました。
学生時代の私は直感型でしたが、人や予算を動かす社会人の開発現場では、そのアプローチは通用しません。論理と根拠による説明が不可欠です。この数年間で、論理的に考え、説明する力が確実に鍛えられました。技術開発という仕事を通じて思考のプロセスそのものが変化してきていると実感しています。
次世代技術への挑戦と、未来の仲間への期待
短期的には、信頼性と競争力に優れた次世代のブレーキアクチュエータに使われる筐体の開発に取り組んでいきたいと考えています。ブレーキアクチュエータはクルマの安全を支える重要部品であり、その筐体には高度な技術と確かな信頼性が求められます。これまで培ってきた経験と知見を生かし、より高性能で競争力のある製品を生み出していきます。
中長期的には、ブレーキアクチュエータの要素技術開発全体をリードし、信頼性と競争力に優れた製品を戦略的に市場投入できる体制を築いていきたいです。技術開発の全体像を見渡しながら、チームを導くリーダーシップを発揮していくことが目標です。
未来の仲間へ――技術開発の現場は、すべてが思い通りに進むわけではありません。だからこそ、失敗を恐れずに挑戦し、その経験を成長へ変えていくことを大切にしてほしいと思います。また、固定観念にとらわれず、多様な意見や方法を受け入れる柔軟性も大切です。私たちの会社には、一人ひとりを尊重し、意見を聞く風土があります。新しいアイデアが歓迎される環境で、あなたの考えを積極的に発信してください。
現状に満足せず挑戦し、必要な時は支え合い、チームで目標を達成できる人――そんな仲間とともに、互いに刺激し合いながら成長していけることを楽しみにしています。
