新たな「制御」の領域での挑戦──再エネ分野での戦略的アプローチ
当社は、プラントの制御機器やソフトウェアを扱っており、石油、ガス、電力など、様々な産業分野で当社の製品が活用されています。その中で、私が所属するエネルギー&サステナビリティ事業本部再エネ・電力ビジネス開発部では、再エネ・電力ビジネス拡大をミッションとして活動しています。私は営業技術として、グローバルの再エネ・電力分野におけるビジネス開発や営業プロジェクト支援を担当しています。
もともと当社は大規模プラントの制御・監視を強みとしてきました。たとえば石油化学プラントや火力発電所では、温度や圧力など、複雑に絡み合った多くのプロセスの制御が必要不可欠です。
一方、風力発電や太陽光発電、蓄電池といった再エネの設備は、全国各地や洋上といった形で広域に配置されることが一般的です。このような分散型の再エネ設備をいかに効率的に監視・制御し、最適に運用するかというアプローチは、従来のプロセス制御とは大きく異なります。また、これらの設備は保全員が常駐していないことも多く、維持管理の手法も変わってくるのです。
とくに重要なのが、再エネの系統連系における制御技術です。風力発電や太陽光発電は天候に左右され、出力が不安定になりがちです。これらが電力系統に大量に接続されると、電力システムの安定性が損なわれる恐れがあります。そのため、電気の流れを適切に制御する技術が不可欠なのですが、この“制御”は従来の技術とはまったく異なるものなのです。
このような新たな領域である再エネ分野ですが、正直なところ、現在の当社のシェアはそれほど大きくありません。そこで今注力しているのが積極的なM&Aで、2024年にはイタリアのBaxEnergy社を買収し、同社の技術と当社の技術をグローバルネットワークで組み合わせ、展開を進めています。業界での認知度が高くない今こそ、主体的なマーケティングと戦略的なアプローチが必要だと考えています。
そのほか、地域によっては増加する電力需要に対して火力発電への需要・投資も健在であり、従来の知見を活かして顧客への提案活動を継続しています。近年、火力発電に関してはプラントの新規建設よりも、既存のプラントの継続稼働が焦点になっており、当社の技術を活かした改修や維持管理、効率改善の提案を行っています。
さらに、成長が著しいインド市場における更なるビジネス拡大をめざし、エネルギー&サステナビリティ事業本部内に設立されたインドビジネス開発部の業務も兼任しながら、現地法人のYIL(Yokogawa India Limited)と連携しながら、ビジネス拡大施策の立案を行っています。
仕事をする上で心がけているのは、目的意識を持って戦略的に動くことです。当社はこれまで、お客さまの動向や引き合いとともに成長してきた面がありました。しかし再エネ分野では、主体的にマーケットを見極める必要があります。当社の提供価値を明確にした上で、アプローチすべき市場や方法を考え、売上拡大に向けて認知度の向上をめざしています。
グローバル環境で社会貢献したいと横河電機へ。電力分野の営業技術として成長
大学時代は、工学部 電気電子情報工学科で学びながら、1年間休学してカナダでのワーキングホリデーを経験しました。現地でアルバイトをしていたレストランは、従業員の約6割がカナダ人で、残りの4割はインドや中国、韓国、フィリピンなどのアジア系や中南米出身の人たちという多国籍な顔ぶれでした。そんな環境で様々な文化や慣習に触れられたことは、日本では得がたい貴重な体験となりました。
就職活動では、グローバルに展開している製造業で、社会インフラなど仕事を通して社会に貢献できることを軸に企業探しを行っていました。その中で、当社の製品は日本国内の工場に広く導入されていること、さらに海外でもエネルギー関係を中心に多様なステークホルダーとの関わりがあり、事業を通して大きな社会貢献を行っている点が決め手となり入社を決意しました。
2009年に入社後、約半年間の新人研修の一環として、甲府工場で製造現場を経験し、プロセスの圧力を計測する伝送器を製造するラインで、部品の基盤実装製造などの業務に携わりました。現在の営業技術とは異なる種類の仕事でしたが、メーカーの社員として実際のものづくりの現場での工夫や、そこで働く人たちの苦労を直接経験できたことは大きな財産となりました。
その後、理系の知識を活かしながらお客さまへ提案を行いたいと、海外の営業技術職を希望し、現在の部署の前身にあたる部署に配属されました。そこではグローバルの電力ビジネス拡大のミッションを掲げており、所属部署の変更を経ながらも、現在まで一貫して様々な電力関連のシステム提案やプロジェクト支援に携わってきました。
現在取り組んでいる活動の一つとして、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業として2021年に始まった、イギリスのグリーン水素実証プロジェクトに参加しています。新たに建設されるグリーン水素製造プラントに当社の技術を活用して、グリーン水素の製造コスト削減への有用性を検証しています。グリーン水素はまだ黎明期にありますが、将来の新たなエネルギー源として大きな可能性を秘めており、やりがいを感じながら取り組んでいます。
異文化の壁を超え、多国籍チームで挑んだモンゴルの火力発電所改修プロジェクト
これまでの仕事で大きな手応えを感じたのは、2016~2017年に行った、モンゴル最大の発電所であるウランバートル第4火力発電所のタービン制御装置改修プロジェクトです。
通常、海外案件は現地法人が受注するのですが、この案件はJICA(独立行政法人 国際協力機構)の円借款プロジェクトということで、横河電機本社が主契約者となりました。私たちの部署が主導し、海外拠点のリソースを活用しながらプロジェクトを遂行する中で、私もメンバーとして参加しました。これだけ大規模な案件に携われたことはもちろん、プロジェクトの始めから終わりまで一連の流れを経験できたことは、大きな財産になりました。
このプロジェクトは当社が元請けとなり、弊社の海外現地法人に加えてアメリカ、モンゴル、日本などのパートナー会社が参加することになりました。複数のパートナー会社と協働してプロジェクトを進める上では、様々な課題に直面する機会が多くなり、その都度お客さまやパートナー会社、当社のプロジェクトメンバーと話し合いながら調整することは大変でしたが、その分やりがいがありました。
とくに、モンゴル人のお客さまは母国語のモンゴル語によるコミュニケーションが中心となるため、さらに日本、アメリカ、東南アジア、インドなど、様々な国籍のメンバーが関わるインターナショナルな環境だったため、意思疎通には非常に苦労しました。基本的なことですが、相手の言うことをしっかり聞き、論理的に説明や質問をして議論を深めていかなければ、仕事はうまくいきません。
また、文化的な違いから、なかなかスケジュール通りに進まないこともあり、それらを適切にマネジメントする重要性を学びました。このプロジェクトに限らず、コミュニケーションは常に課題で、いかに相手に意思を伝えて理解してもらうかを意識しています。
また、2020~2023年にかけて参加した「未来共創イニシアチブ」活動も大きな学びになった出来事でした。この活動は、もともとシナリオプランニングプロジェクトという社内の選抜メンバーでの社員教育の一環として始まったもので、それまでの私は、目の前の課題に対処することが中心で、戦略的な視点や外部環境を俯瞰して見るという意識はほとんどありませんでした。
この活動を通じて、当社のビジネス全体を理解し、外部環境やトレンドを踏まえた上で将来どうあるべきかを考えなければならないと学びました。とくに印象的だったのは、普段あまり接することのない社内外のステークホルダーの方々と対話や議論を重ねられたことです。その過程で、自身の視野の狭さに気づかされ、多角的な視点の重要性を実感しました。
変革期の中で挑戦できる醍醐味。変化を恐れず、エネルギートランジションの最前線へ
現在、M&Aを通じて新たなビジネス展開を進めていますが、買収した会社の技術やソリューションを扱うには、今までのビジネスの延長線上におけるアプローチだけでは難しいこともあります。
そこで私が意識しているのは「これまでの経験に固執しない」ということ。先入観を捨て、新しい領域にチャレンジすることが必要だと実感しています。今まで扱ってきた自社製品とはビジネスモデルも技術も違い、大きな挑戦ですが、そのぶん刺激的でもあります。
刺激的といえば、当社はダイバーシティ&インクルージョンを大切にしていて、私たちの部署はまさにそれが体現された環境です。私の直属の上司はマレーシア人ですし、部署内のメンバーも、プロパー社員やキャリア入社の社員、他部署から異動してきた社員、さらに国籍も日本以外に東南アジアやヨーロッパなど、様々なバックグラウンドを持っています。三鷹のオフィスにいながら、世界各地に点在するメンバーとバーチャルにチームを組んで業務を進めることもあり、こういった環境は魅力的で刺激があります。
今後は、再エネビジネスを当社の主力事業の1つに成長させることが目標です。現在、エネルギー&サステナビリティ事業本部全体の受注実績における再エネビジネスの割合は約2%(2023年度の弊社受注実績に基づく)。この状況を打開するためには、ビジネスを拡大できる仕組みづくりが重要です。私1人でできることには限界があるため、部署内のチームや海外拠点、買収した会社のリソースを掛け合わせて、スケールアップできる体制やアプローチを考えたいです。
現在、世界的にエネルギートランジションという大きな変革期にあり、新しいエネルギーの活用方法を模索している段階です。その中で、グローバルな規模感やスピード感を持ちながら業務に取り組めることは非常におもしろく、チャレンジングな経験です。ぜひ新たな仲間に加わっていただき、当社の従来のビジネスを大切にしながらも、新しい視点や多様性を調和させて、次のビジネスを生み出す原動力となってほしいと思います。
新しい仲間として、とくに求めているのは、変化を恐れない人。多様なメンバーと協働する環境で、自分の意思をしっかりと言葉にして議論でき、周囲と協調しながら世の中の変化にもアンテナを張れる人財を歓迎します。そのような方と一緒に、再エネビジネスの成長を実現していきたいです。
※ 記載内容は2025年2月時点のものです
