機能安全、トレーサビリティ、設計改善──それぞれの専門性で挑む日々
──まず、皆さんの現在の所属部署と仕事内容について教えてください。
仙崎:製品の機構部の設計やメンテナンスを担当する伝送器2部メカ開発課に所属しています。仕様書を満たした製品を安定的に供給し、お客様が求めている製品を提供することが私たちのチームのミッションです。
主な業務内容は、製品の健全性の確認、製造工程内での不具合対応などの製品の保守・メンテナンスと、製品性能を向上するための設計変更、お客様の要求に合わせたラインナップの追加です。
城戸:プラントの運転に必要な圧力や流量を測定するフィールド機器の差圧・圧力伝送器。仙崎さんらチームはその機構部の設計を行っていますが、対して私の所属する伝送器1部は伝送器の電気回路・プログラム設計を行っており、私は電気回路の設計を担当しています。
具体的には伝送器の開発で、回路設計から試作品作成、実験での動作確認、法規制や世界の規格への対応、量産に向けた製造準備まで一貫して行っています。私はとくに機能安全設計が専門になります。第三者認証機関にてスキルの証明をできる資格を取得し、安全を考慮した製品の設計をめざして日々開発を続けています。
高橋:10人規模のメンバーからなる計測標準企画課に所属しており、計測標準業務を行っています。計測標準というのは、製品の開発において国の機関から値をつけてもらった機器を使って順々に値を管理し、ユーザーまでその値を届けていくイメージです。
私は物理量の圧力区分を担当し、物理量における標準の供給や計測トレーサビリティや(※)、製品の数値性能に関する客観的事実を提供する品質管理の初めの一歩(メーカー視点)と最終地点(ユーザー視点)を担っています。他に標準の供給範囲(校正範囲)や測定精度向上をめざしたシステム開発も行っています。
また、圧力区分のリーダーとして毎月行われるQA会議の開催や2年に一度の外部審査対応も行っています。
※ 文書化された切れ目のない校正の連鎖を通して、測定結果が国家基準まで遡れる状態にあること。YOKOGAWA製品の性能、グローバル品質を担保する
──仕事をする上で大切にしている価値観を教えてください。
仙崎:業務において「誤り」は誰にでも起こり得るものです。しかし、それを可能な限り減らす努力は、お客様へのトラブル防止につながり、私たちの製品やサービスが人々の生活を支える上で重要な役割を果たすと考えています。
私は自身の業務における誤りを減らすことはもちろん、チームメンバーの作業においても、互いに注意を促し合いながら精度向上に努めています。このような価値観は、入社当初に経験したケアレスミスや知識不足によるトラブルを通じて培われたものです。
日々の業務の中で、こうした意識を持ち続けることが、品質の向上と信頼の構築につながると信じています。
城戸:今できる最善の設計を心がけています。基本性能満たすのは当然ですが、法規制の制約の中でいかに製品を設計するか、会社に利益を出すために低価格で実現する製品設計に知恵を絞ることにやりがいを感じています。
10年ほど前に機能安全の規格対応を行った際、認証機関から「もっと良くなるのでは」という助言を受けました。現状維持にとどまらず、さらに一歩進んでより良い設計をやろうという考えになったのがきっかけです。
高橋:正直であること。その上で細かく報告、連絡、相談をすることを大切にしています。すべての品質に関わってくるため、基準を守らなければならないという業務の性質から、正直にやらないと後々自分の首が締まるという経験を通じてこの考えに至りました。正確性を最優先にした業務の進め方を徹底しています。
「知らなかった」から「ここで良かった」へ。想いが交差する甲府事業所という選択
──これまでのキャリアと横河電機との出会い、入社の決め手について教えてください。
仙崎: 私は中学まで成績が振るわず、10段階評価で「2」や「3」を取るような、いわゆる劣等生でした。しかし、中学2年生のときに「このままではいけない」と強い危機感を抱き、そこから学習に真剣に取り組むようになりました。その結果、成績は徐々に向上し、大学進学を果たすことができました。
大学では知能機械工学科に進み、修士課程まで学びました。研究テーマは「材料の性質」に関するもので、物質の特性を深く掘り下げることで、ものづくりの基盤を支える知見を得ることができました。
横河電機を知ったきっかけは、横河電機に入社していた大学の先輩方から会社説明を受けたことです。先輩方から、職場の雰囲気の良さや国際的な競争力の高さを聞き興味を持ちました。自身の技術、知識がどこまで通用するのか挑戦したくなったのが決め手でした。
城戸:もともと理系科目が得意でとくに物理が好きだったため、出身地である福岡県の大学の電気工学科に進学しました。大学では電気の物性や半導体の原理について学び、発光ダイオード関連の研究室に所属していました。
福岡出身ですが、東京や大阪の、より人が多く、競争がある環境で自分の力を試してみたいという気持ちがありました。大学の実験の計測器としてお世話になり、大学の先輩も入社していた横河電機の情報を得る中で、自分が活躍できる環境だと感じたことが決め手でした。また、好きなプロ野球チームのスタジアムが本社に近いのも魅力的でしたね(笑)。
高橋:最初は食品の分析を行う会社に入社しましたが、自分のやりたいことと違ったため環境計量士の資格を取得しました。資格が活かせる仕事に就きたい想いで前職の会社に入り、そこで出会った圧力計測という仕事に9年ほど従事しました。
印象深い思い出としては、物理が嫌いなのに圧力計測をやっていた上司に衝撃を受け、その方が大切にされていた正直にやる姿勢に私も感銘を受けました。
前職で培った圧力計測技術をそのまま将来の仕事に活かしたいと考えていたところ、横河電機での募集があり、より規模の大きい会社で人との出会いも期待できると考えました。横河電機の技術力や製品の性能の高さ、とくに校正の分野では力量を評価する試験の標準機器として採用されていることが決め手となり転職を決意しました。
──甲府事業所への配属ということでしたが、環境も変わる中で想いの変化などはありましたか。
城戸:正しく測ることをやりたいという想いで伝送器の開発部署を希望していたので、まさに甲府事業所は希望通りの配属でした。仕事の内容とプライベートでの活動とを天秤にかけた時、自分がやりたい仕事をやれる方が良いと考えたときに、勤務地が東京の本社である必要はありませんでした。
福岡出身者からしたら、東京も山梨も距離的にはそんなに変わりません。学生時代に電車通勤していた私にとって、電車で2時間程度の距離なら通勤圏内なので本社出張時の移動でも日帰りできる距離だと感じています。
仙崎:入社当初、私は「伝送器」という製品についてほとんど知識がありませんでした。調べていくうちに、伝送器事業は市場において高い競争力を持ち、横河電機の中でも主要な事業のひとつであることを知りました。
そうした背景を理解するにつれ、「この部署に配属されたのは、とても良い機会だった」と感じるようになりました。 配属後に業務内容を深く知るにつれ、自分の専門性が活かせる環境であることを実感しています。
入社当初、私は東京から甲府への赴任に少なからず不安を感じていました。土地勘もなく、職場の雰囲気もわからない中で、新しい環境に馴染めるかどうか心配だったのを覚えています。
しかし、甲府事業所での勤務が始まると、その不安はすぐに解消されました。甲府事業所はとてもアットホームな雰囲気で、たとえば旅行のお土産をみんなで分け合って楽しんだり、業務の合間にプライベートな話題で気軽に会話したりと、自然な交流が日常的にあります。
こうした温かい職場環境の中で、仕事に集中できるだけでなく、人とのつながりを感じながら充実した毎日を過ごすことができています。新しい環境に飛び込むことに不安を感じている方も、甲府事業所ならきっと安心して働けるはずです。
高橋:私はそれまで東京で暮らしていましたので、甲府事業所に決まった時は富士山がよく見られる自然豊かな環境に期待していました。自然を見るのが好きだったので、当初は単純に気持ちよさそうというイメージしか湧いていませんでしたが、実際に暮らしてみると期待通り快適に感じています。
甲府で暮らしていても、正直なところ東京での暮らしと変わりなく生活ができています。むしろ、ゴミゴミした環境よりは少し落ち着いた環境の方が自分には合っていると思っています。
品質に終わりはない──技術者としての可能性が広がっていく、成長と変化のリアル
──入社後から現在までで最も印象に残っている出来事と、それをきっかけとした心情の変化について教えてください。
仙崎:新製品の開発にあたり、私の所属する部署がチーム内だけでなく、他部署とも連携しながら全体のマネジメントを担う役割にあることを知ったときは、正直とても驚きました。入社5〜6年目というタイミングで、大きな裁量と同時に責任を負うことになり、「自分の判断でどこまで全体を見渡せるのか」と真剣に考えたのを覚えています。
実際に経験を重ねていく中で、がむしゃらに100%の力で走り続けるだけでは、自分ひとりの体では持たないという現実にも直面しました。そこで初めて、仕事の配分やペースを考えることの大切さに気づき、力のかけ方にバランスを持たせる意識が芽生えました。
このような心境の変化は、責任ある立場だからこそ得られた貴重な学びであり、今ではチーム全体の成果を意識しながら、持続可能な働き方を心がけています。
城戸:私の役割は開発して終わるのが普通ですが、10年前に開発した製品の時は営業メンバーと一緒にルーマニアまで海外拡販に参加できたことです。開発から設計、開発部署と同敷地内の工場での量産、販売まですべての工程に携われる貴重な体験でした。
開発して終わりではなく、どのように売るか、どのようなソリューションでお客さまにメリットを提供するかを見ることができたので、とても勉強になりました。また、ルーマニアというなかなか行く機会がない国を訪れられたのもすごく貴重な経験になりました。
高橋:横河電機には黙々タイムという制度があり、業務時間中に自分に必要な知識やキャリアアップにつながる勉強時間を2時間分取れることに驚きました。実際に、この制度を活用してISO17025の内部監査員や高圧ガス製造保安責任者の資格を取得することができました。
横河電機に入って、自分の可能性に挑戦できていると実感しています。自分が知らない知見を得られたり、認定範囲などの拡大という新たなことに挑戦できたりと、まだまだ技術者としての成長ができそうだと思えたことが大きいです。
──甲府事業所ならではの仕事の魅力や、職場の魅力について教えてください。
仙崎:伝送器は、東京電力をはじめとする電力会社やエネオスなどのエネルギー供給会社など、国内外を問わず幅広い分野で活用されており、社会インフラを支える重要な機器です。人々の生活に欠かせない「あたりまえ」を支える製品に携われることは、技術者として大きな誇りであり、私たちは「品質第一」の精神のもと、日々業務に取り組んでいます。
甲府事業所は、先にも述べたように非常にアットホームな職場です。同僚同士が自然にサポートし合い、互いに高め合える環境が整っています。
また、横河電機は長年にわたり安定した経営を続けており、腰を据えてキャリアを築いていける企業です。さらに、海外出張の機会も多く、グローバルな視点で仕事に取り組める点も、大きな魅力のひとつです。地域に根ざしながらも、世界を舞台に活躍できる──そんな環境が甲府事業所にはあります。
城戸:法規制という制約の中で、いかに低コストで利益を出せる製品を作るか、複数の規制を同時に満たすにはどうするかなど常に頭を使いながらものづくりができるところにやりがいを感じています。企画から製造まで開発評価を通して、様々なことを経験できる点も魅力です。
また、工場と開発が同じエリアにあるため、企画から製造まで一体感を持って取り組めることが最大の魅力です。文化祭の前日のような雰囲気で、本社では感じられないみんなで同じものを作り上げるという意識を強く持てます。
高橋:答えや終わりがない、品質の問題に現実的に妥当にどう向き合うかっていうのを考え続けることにやりがいを感じています。新たな測定方法の開発では、論文などを参考に深く思考しながら、煮詰まったら他社や国の研究所と情報交換をして、慎重に課題を解決していくことに自分の成長を感じられると思います。昨今はAIが主流ですけども、人が判断することの意味や価値、責任を強く意識して仕事に向き合っています。
甲府事業所は、計測のスペシャリストが集まっており、機器の取り扱いに詳しくなれるので興味のある方にとっては最高の環境だと思います。また、YOKOGAWA人として良き市民の模範となれるよう、地元の人とのつながりをすごく大切にしている会社だと感じています。
より良いものを一緒に──甲府事業所で描く、技術者としての自分らしい未来へ
──将来、横河電機や甲府事業所でどのような存在になっていきたいと考えていますか。
城戸:まずは一つの分野のスペシャリストとして「この分野なら城戸に聞け」と言われるような存在になりたいです。甲府事業所では企画から製造まですべてを経験できるメリットがあるので、核となるスキルを持ったうえで、甲府事業所の環境を活かして製品や事業全体を見渡せる人材をめざしています。先輩方を見て学んできたように、私も今後入ってくる人たちのロールモデルになりたいです。
仙崎:私は、特定分野に深い専門性を持ちながら、同時にオールラウンダーとしても活躍できる技術者をめざしています。ロールモデルとなっている先輩方は、自分の専門外の質問にも的確に答えており、私自身も、先輩方のように、専門外の分野についても「この人に聞けば大抵のことはわかる」と思ってもらえるような存在になりたいと考えています。
専門性を磨くだけでなく、周囲から頼られる幅広い知識と対応力を身につけることで、チーム全体の力を底上げできるような技術者をめざしています。
高橋:私は、将来の物理標準を担えるような人材になりたいと考えています。他社にロールモデルとなる方がいるのですが、非常にフランクで自分を下に置きながらも実は技術にたいへん詳しい方で、そのような存在を目標にしています。
──学生や転職を検討している方に、どのような価値観を持ってほしいですか。
仙崎:私たちの職場では、互いに切磋琢磨しながら成長し合える姿勢を大切にしています。新しい環境に飛び込むことに不安を感じる方もいるかもしれませんが、甲府事業所は意見を出しやすく、間違いを恐れずに挑戦できる柔らかな雰囲気があります。
新人が間違ったことを言ってしまっても、厳しく叱るのではなく、周囲が自然にフォローしながら一緒に考える──そんな文化が根づいています。「誤り」は誰にでもあるからこそ、意見を交わす中で気づきが生まれ、実際に改善につながることも多くあります。
だからこそ、学生や転職を検討している方には、「恐れずに自分の意見を出す勇気」と「仲間とともに高め合う姿勢」を持っていてほしいです。
城戸:前向きな心、より良いものにしていこうという気持ちを持った人に来てほしいです。私も、今できる最善のことをやるという「State of the art」の精神を大切にしています。一緒に汗をかきながら、設計から販売まで開発部署の醍醐味を味わいましょう。
高橋:自分に正直でいられたら、きっとストレスも自分の成長材料のひとつになると考えています。まず自分が何をしてみたいかという思いを明確にし、好きなと思えることを仕事にすることが一番大切だと思います。そして、いろいろな出会いの中で興味も変わってきたり、定まったりしてくるのかと。
甲府事業所にはいろいろな経験が得られる環境が整っていますので、ぜひ選択肢のひとつに横河電機の甲府事業所を加えていただけたら嬉しいです。
※ 記載内容は2025年8月時点のものです
