グループ全体の成長を見据えた財務戦略を──事業と両輪で進むために
現在、私は経理財務本部財務部の部長として、部門全体のマネジメントを担当しています。財務部のミッションは大きく3つあり、1つめはグループ全体の財務戦略と資本政策の策定と実行です。具体的には、当社グループのバランスシートにおける負債と資本の構成を検討し、事業リスクの見込みを踏まえて、資金調達方法や配当政策を決定します。これらを通じて、適切なバランスシートを構築し、事業の成長を支えていきます。
2つめは、グローバルヘッドクォーターとしての役割です。当社は海外に多くの子会社を抱えており、グループ全体でのキャッシュの最適化を図るため、子会社との資金貸借や配当などをコントロールしています。そして3つめは、M&A案件における財務面からのサポートです。財務デューデリジェンスや企業価値算定(バリュエーション)などを行い、経理財務部門の代表として各プロジェクトに参画しています。
財務部は私以外に9名のメンバーが在籍しており、20代から50代まで幅広い年齢層で構成されています。また、M&Aやファイナンスのキャリアを持つ中途採用者が半数、新卒からのプロパー社員が半数という構成で、それぞれの経験や強みを活かしながら業務を進めています。
私自身は部長として、特に財務戦略・資本政策の立案には深く関わっています。グループ子会社とのファイナンス対応は比較的メンバーに任せている一方で、M&A案件は複雑で時間的制約も多いため、メンバーと一緒に案件に入ることが多くあります。
部を動かしていく上で特に大切にしているのは、会社が目指す方向性と、経理財務部門・財務部として何ができるのかを常に紐づけることです。私たちの部門は事業と両輪であるべきだと考えています。決して“財務のための財務”ではなく、会社の成長のための財務機能であることを常に意識し、メンバーとも共有しています。
当社のグループ全体での事業規模からすると、本社財務部の人数は必ずしも多くありません。そのため、個人が当事者意識を持って担当領域を完結していくことが求められます。一人ひとりのモチベーションが非常に重要な環境だからこそ、各メンバーには自分の担当領域に対する高い責任感を持ってもらいたいと考えています。
私たちの部門では、メンバーそれぞれの価値観は大きく異なります。しかし、その多様性こそが、複雑で多岐にわたる業務に対応できる源泉となっています。
海外M&Aの最前線も経て、事業会社で財務を極めようと横河電機へ
私は学生時代、法学部で学んでいましたが、就職活動を通じてファイナンスの分野に強く惹かれました。その理由は、自分の努力次第で知識や経験を積み重ねることができ、自身の価値を高められる余地が大きい分野だと感じたためです。
そこで最初のキャリアは信託銀行に入社し、法人営業を担当しました。若いうちから大きな権限を与えられ、2年目からは大企業担当として本店部署へ異動となり、非常にチャレンジングな業務を任されました。経営層への説明や審査部との折衝など、重要な局面に関わる機会も多く、当事者意識を持つことの重要性を学びました。
その後、ファイナンスの専門性をさらに高めたいという思いから、財務コンサルティングファームへ転職しました。ここではM&Aのアドバイザリー業務に従事し、理論と実務の両面で徹底的にコーポレートファイナンスの経験を深めていきました。とにかく本を読み、実務をこなし、理論を分析に落とし込むことを繰り返す日々でした。
また、お客さまが何を求めているのかという視点を常に意識することも、アドバイザリー会社として非常に重要な要素でした。また、在籍中には2年間のニューヨーク駐在も経験。これは当時、日本企業の海外M&Aが増加傾向にあり、グローバルで活躍したいという思いが芽生え、自ら英語の学習を始めるなど、海外での機会を積極的に求めていった結果、手にできた機会でした。
35歳を過ぎた頃から、それまでの経験を活かしながら新たなステージへ進みたいと考えるようになりました。金融機関時代から、取引先として財務部の方々と接する機会が多く、いつか事業会社側で働きたいという思いは持っていました。そんな中で出会ったのが当社でした。
当社は、石油プラントや化学プラントに製品を提供する社会インフラに関わる重要な事業を展開しており、中東やインドなど世界中で事業を展開しています。私自身、M&A業務を通じて総合商社などのインフラ系企業との取引が多く、資源を扱うようなダイナミックなビジネスに親近感を覚えていましたから、BtoBや産業系のビジネスを展開する当社に強い魅力を感じました。
また、M&Aの専門スキルを活かしながら事業会社の財務を幅広く経験できる点も、私にとって理想的でした。グローバルな事業展開と社会的な重要性に自身の経験をもって貢献できることに大きな可能性を感じ、2016年に入社を決意しました。
入社後は財務部に配属となり、M&Aや財務業務で即戦力として業務に従事することができました。その後、会社のビジネスをより深く理解したいと考え、自ら手を挙げたところ予算管理部への異動が実現し、管理会計の領域で課長として5年間、会社の中核に深く関わる経験を積むことができました。
多様性こそが組織の強み──多くの視座が混ざり共存する中で実現する成長
この予算管理部での経験は、私自身の成長においても非常に重要な機会となりました。特に印象に残っているのが、部署に異動して2年目に担当した中期計画の進捗管理です。
当時、私は全社の単年度の予算管理に加え、中期重要施策のPDCAを担当していました。各事業部門が掲げる施策について、定期的に担当者から進捗状況を確認し、課題や成果を整理していく役割でした。
隔月で開催される役員会議では、私自身がファシリテーターとなり、施策を担当する役員との間で進捗報告や議論を行いました。「この部分についてはどのように考えていますか」といった投げかけを行いながら、役員間の議論を活性化させていくことも求められる立場でした。当初は大きなプレッシャーを感じましたが、この経験を通じて会社全体の損益構造や事業戦略の内容を深く理解することができるようになったことは非常に貴重な経験でした。
また、現在まで部課長としてチームマネジメントを行う中で、多様性の重要性も実感しています。当社には様々なバックグラウンドや価値観を持つメンバーが在籍しています。
以前の金融機関やコンサルティング会社では比較的似たようなタイプの人が多いように感じていたのですが、当社では本当に多様な人財がいます。仕事に対する価値観も、どれだけ仕事に時間を割くかという考え方も、得意分野も、経験してきたキャリアも、一人ひとり異なります。
最初は前職までとの違いに戸惑うこともありましたが、課長として組織をまとめる立場になって、むしろそれが組織の強みになることを実感しました。当社の経理財務部門では実にさまざまな種類の仕事があります。同じようなタイプの人間だけでは対応しきれない場面も出てきます。多様なメンバーがそれぞれの得意分野を活かして活躍することで、組織全体としての底力が生まれると思います。
このように予算管理部での5年間は、リーダーとしての私の視野を大きく広げてくれました。また、この時期に第一子が誕生し、1ヶ月半の育児休職を取得したことも貴重な経験となりました。当時はまだ男性の育児休職取得があまり一般的ではありませんでしたが、上司に相談したところ快く送り出していただきました。
育児休職を取得するにあたっては、課長という立場もあったので、半年前から業務の委譲を徐々に進めるなど、チームに支障が出ないよう準備を進めました。この経験は組織を強くすることにもつながりましたし、私自身も家事をマスターするなど、プライベートでも大きな成長の機会となりました。現在では他部署でも男性の育児休職の取得が増えてきており、会社の文化として定着しつつあることをうれしく思います。
事業の躍進を支える財務へ──社内、そしてグループ全体の連携強化が生む新たな価値
組織としての今後の展望について、私が特に重視しているのは、財務部門が事業部門との連携をより深めていくことです。財務やM&Aを通じて事業部門と関わる機会は多いのですが、より事業への理解を深め、意味のあるアドバイスやサポートができる組織にしていきたいと考えています。そのためにも、メンバー一人ひとりの育成に力を入れていきたいと思います。
個人としては、ファイナンスを軸としながらも、グローバルな組織の中で様々な分野の従業員から頼られるリーダーになることを目指しています。予算管理部での経験を通じて事業や会社への理解が深まり、現在の財務部でもそれを活かしてより良いサポートやアドバイスができるようになってきていると感じています。
今後、一緒に働く方に期待したいのは、ファイナンスの理論をしっかりと理解していることはもちろんですが、それだけでなく事業会社としての成長を支えるという視点を持っていることです。私自身、M&Aのアドバイザリー会社での経験から、理論的な正しさを重視する傾向がありました。
しかし、事業会社では、理論だけでなく、さまざまな要素を考慮しながら意思決定を行う必要があります。時にはリスクを取って判断を下さなければならないこともあります。
事業会社における財務部門の役割は、会社の成長を支えるためのパートナーとして大きく機能することが求められます。そのため、事業部門の方々と密接に連携し、彼らの課題や目標を理解した上で、財務面からのサポートを提供していく必要があります。
このような環境で活躍するには、個人としての専門性を高めることも大切ですが、それ以上に、多様な価値観を受け入れ、チームとして成果を出していく姿勢が重要です。私たちと一緒に、グローバルに展開する当社の成長を、財務の側面から支えていける方との出会いを楽しみにしています。
※ 記載内容は2025年1月時点のものです
