「世界から貧困をなくしたい」学生団体立ち上げと一人旅が導いた商社という選択
学生時代は国際政治を学んでいました。きっかけは中学の頃に起こった9.11です。国対国、宗教の違い、その他のいろいろな枠組みでの違いによって、一瞬で多くの命が奪われることにショックを受けました。加害者と被害者という一方的な見方ではなく、多角的な視点で何が起こっているのかを知りたくて、国際政治を専攻しました。大学の付属高校だったのですが、大学進学の年にちょうど国際政治学科が新設され、そのタイミングにも運命を感じました。
大学では「世界から貧困が原因で命を落とす子供をなくすにはどうしたら良いのか」ということを、割と真剣に考えていました。途方もない問いに対して、自分の知識やアイデアだけでは答えに近づくことさえできないと感じ、インカレの学生団体を立ち上げました。都内のいろいろな大学でいろいろなことを学んでいる学生を集め、「知る・考える・動く・広がる」をテーマに、学んだことや経験したこと、興味があることについてプレゼンしあい、知識をより大きく深くしていくことをめざしました。
まったくゼロからの立ち上げでしたが、当時主流だったSNSでつながった他大学の学生とのネットワークを中心に、徐々にメンバーを増やしていきました。初めのころは、代表として自分がやりたいことをどんどん進めていきたい思いと、ちょっと興味あるな~という感じで参加してくれていたメンバーとの温度差が課題でした。個々のメンバーの思いを引き出し、どんなことができるか、どんなことをしたいかを共有して、モチベーションを底上げしていきました。何度か開催したオープンイベントでは、駐日ネパール大使に講演いただいたり、大使のご紹介で駐日モルディブ大使にもお繋ぎいただいたりと、今思うとなかなか面白い学生生活だったと思います。
同時にバックパッカーとして海外一人旅にも夢中でした。初めて行ったベトナムとカンボジアでは、街の賑やかさも、人の暖かさも、すべてが新鮮で楽しくて、もっといろんな世界を見てみたいと思うようになりました。ウズベキスタンでは、現地で知り合った学生たちと仲良くなり、実家に泊めてもらったり乗り合いバスで10時間かけて行った先の親戚の家にホームステイさせてもらったりと、無謀ながらも人の暖かさに触れました。共通言語をもたない状況でも、人と人の心のつながりの可能性を強く感じた経験でした。
就職活動では、当初は国連や海外NGO団体を志望していました。しかし、大学卒業時点での自身の語学力や専門スキルのなさから、まずはビジネスの現場で経験を積もうと国内企業を就活の軸に変更しました。就活の中で総合商社という存在を知り、世界的に活躍の場があること、商社で働く先輩たちが皆スマートで恰好良く見えたこと、事業を通して持続可能な形で社会貢献できる可能性を感じたことで、総合商社が第一志望となりました。
豊田通商については、トヨタグループということで、昔ながらの商いや歴史がある一方、トーメンとの合併直後で、これからどんどん大きくまた新しくなっていくという期待を感じていました。当時の採用担当チームがとても魅力的で、イベントや面接の度に、こんな人たちと働きたいと強く感じるようになりました。仕事や会社・同僚に対する姿勢が常に前向きで明るく、こんなに楽しそうに働く社会人もいるんだなと驚きました。その時の採用担当の先輩は、現在は営業部で活躍されていますが、入社後もずっとメンター的な存在で、今でもとても尊敬しています。
一次面接の日の夕方には選考通過の連絡をいただき、たしか翌日に二次面接、その翌日か翌々日には最終面接と、スムーズに選考が進んで、一番最初に内定をいただいたので、すぐに入社を決めました。面接でも自分らしく自分の考えや経験をお伝えすることができ、良い意味で緊張感なく社員の皆さまと向き合えたことで、入社前から心地よく感じていました。
英語に苦戦しながらも、南太平洋、アジア、ロンドンへと広がったキャリア
入社後は3週間の新人研修がありました。右も左もわからない状況から、社会人としての振る舞いや考え方を学んだ貴重な時間でした。また、入社2年目・3年目にはフォローアップ研修と呼ばれる集合研修があり、日本各地に離れ離れになった同期と再会できたのがとても印象的でした。それぞれの職場で苦労したり努力したり、頑張っているのは自分だけじゃないと励まされることも多く、また純粋に同期と会えるのはいつでも嬉しかったです。
配属先はトヨタ自動車さんの完成車を南太平洋の各国に輸出し、現地で販売する代理店の経営管理をする部署でした。私は留学経験もなく、帰国子女でもないので、入社当時は英語が得意ではなかったのですが、配属後最初の電話の相手はオーストラリアの担当者でしたし、日々のメールも日本語と英語が4対6くらいでした。最初の頃は会議のメンバーが英語で何を話しているかまったくわかっていない時もありましたが、日本語で状況を理解でき自分の言葉で語れるようになれば、英語でも分かるようになると気づき、日々の業務に取り組む中で「私はこう考える」「私はこうしていきたい」と一人称で語れることを増やしていきました。自分が担当者として決めなければいけないこと、コンセンサスを取りたいこと、教えてほしいことなどを明確にすれば、たとえ言葉が拙くても相手に伝わると感じていました。現地の担当者や先輩方の辛抱強い指導のおかげで、いつの間にか一通りの業務や会議を英語で対応できるようになりました。
この部署には4年間在籍し、その後同じ部署の隣のグループに異動しました。入社5年目からはアジア地域の販売店の事業体管理をする部署で、韓国とマレーシアのトヨタディーラーの担当として、月次の財務分析や投融資の管理などを学びました。翌年からはイギリス・ロンドンにあるトヨタとレクサスのディーラーに実務実習生として2年間出向しました。人生で初めての海外暮らしで、公私ともに刺激の多い2年間でした。帰国後にモビリティ企画部に配属となり、それ以来2度(計4年弱)の産休育休を挟んで現在に至ります。
正直なところ、入社後にギャップはあまり感じませんでした。日々の業務の中には、パソコン画面と向き合ってばかりで、車に触れることもないと感じた時期もありましたが、出張で現場に行けば、そこには日々の業務の「その先」が見えました。また、思っていた通り商社の先輩たちは格好よく、とくに80年代に途上国でビジネスを切り開いてきたようなレジェンドな方々からは、いつもお話を聞くのが楽しくて仕方ありませんでした。
「モビリティ本部の仲間」として国を超えた繋がりを生んだグローバル施策
現在は、モビリティ本部の企画部に所属し、HRチームで本社およびグローバルの人材育成や人事関連の業務を担当しています。2026年4月に、2年弱の育児休業から復職したばかりですので、まずは不在中のさまざまな変化や進化にキャッチアップしつつ、新しいことにもどんどんチャレンジしていこうと思っているところです。本部員がより快適に、個人としても組織としても最大限の能力を発揮し、成長を続けていけるような本部づくりをめざして、さまざまな施策に取り組んでいます。
チームでの役割としては、グローバル施策の主担当者として、モビリティ本部単体(本社)だけでなく、海外拠点や海外子会社のHR施策にも携わっています。例えば海外拠点の次期幹部候補を集めたグローバル研修を企画・立案・運営したり、RHQ(地域統括拠点)のHR担当者と連携して本社の人材育成方針の現場への浸透や育成プログラムの開発などに取り組んでいます。
現在の仕事でとくに印象に残っているのは、2つのグローバルイベントです。ひとつは、次期幹部候補向けのマネジメントプログラムで、10カ国以上から若手~中堅マネジメントに来日してもらい、5日間の研修を開催しました。モビリティ本部の幹部との対話や、外部講師を招いたワークとプレゼンテーション、お寺での座禅体験などを含め、プログラムをゼロからデザインし、本部内外多くの方に協力していただいて参加者満足度の高い研修を実現することができました。通常はかかわることのない海外拠点のメンバー同士が、同じ「モビリティ本部の仲間」として友情を育んでいる姿が見られたことも嬉しかったですし、その後お互いの拠点を訪問し合って業務上のコラボが生まれたと聞いたことも良い結果でした。
もうひとつは、3月の国際女性デーに合わせて企画した「Global Female Leader's Forum」です。自動車業界ということもありまだ男性リーダーが多い中で、少しずつ増えつつある女性リーダーに焦点を当てたオンラインフォーラムです。こちらも国を超えた横の繋がりを生み、本部幹部にも参加してもらって女性リーダーたちをエンカレッジすることができました。
学生時代と比べ、自分自身の成長を感じる部分があります。学生時代は思いついたら即行動!というタイプで、後先考えずに動き出すことが多かったのですが、社会人としては行動するために周囲を巻き込む方法を冷静に考えられるようになりました。ロジカルに狙いや目的を説明し、どんな効果が期待できるか、それが本部にとってどんな風に嬉しいことなのかをきちんと言語化して、事後の振り返りまで繋げることが出来るようになりました。
入社してから現在までで、仕事に対する考え方も変わりました。若手の頃は、与えられた仕事をする、という感覚がありましたが、最近では自分から仕事を作っていくという風に変わりました。もちろんミッションとしてやるべきタスクも日々ありますが、何のために何をすべきか?を自分自身や上司・同僚と議論しながら、求められたこと以上の貢献をしていきたいと感じています。
グローバルと現場をつなぐハブへ。人材育成を通じて組織の力を最大化したい
まずは、復職後に大きく変化している本部内外の状況をしっかりキャッチアップしたいです。グローバル各拠点の人材育成やHR施策の動きも含めて、これまでの変化を把握することが第一歩だと思っています。そのうえで、グローバル施策の主担当として、海外拠点やRHQ(地域統括会社)とより密に連携しながら、現場に根付く人材育成や組織活性化の施策をさらに企画・推進していきたいです。特に挑戦したいのは、研修やフォーラムを通じて生まれたつながりが、単発で終わらず、拠点間の協働や人材育成の継続的な仕組みにつながるような施策づくりです。
中長期的には、本社だけでなくグローバル全体を見渡しながら、人材育成や組織開発を通じて、モビリティ本部の成長を支える役割を担っていきたいと考えています。海外拠点やRHQを含めたグローバルネットワークの中で、拠点をつなぎ、共通の方針や育成の考え方を現場に浸透させる「ハブ」のような存在をめざしたいです。また、女性リーダーや次期幹部候補の育成など、多様な人材が活躍できる環境をつくることで、組織の力を最大化することに長く携わっていきたいです。将来的には、個別の施策運営だけでなく、人材戦略や組織づくりの上流から関わり、経営や事業の成長に貢献できるHR人材になりたいと考えています。そのために、グローバル感覚、現場理解、巻き込み力をさらに高めながら、国内外の人材・組織課題に幅広く対応できるキャリアを築いていきたいです。
採用候補者の皆さまにお伝えしたいのは、この会社の最大の魅力は「未来の子どもたちにより良い地球を届ける」というミッションを心の底から本音で掲げられるところです。お金を動かしてお金を稼ぐようなビジネスも多い世の中で、会社の基盤にこのようなミッションがあることは誇らしいと感じていますし、それに共感する社員と一緒に仕事ができるのは幸せなことだと思っています。活躍できるのは、変化を恐れずに新しいことに挑戦できる人、周囲からの期待値を上回ることに喜びを感じられる人かなと思います。総合商社の先輩たちは、華やかでワクワクするような仕事をしているように見えると思いますが、実際には泥臭い仕事や、細かい作業も多くあります。若いうちから活躍できる場が多い一方で、地味な業務も楽しめることが大切だと思います。

