SCMを「心臓部」と捉える、インド研修生としての現在地
私は現在、米州・欧州・グローバルサウス事業統括部 モビリティ素材SCグループに所属しています。TTSS(インド:TT スチールサービスインディア プライベートリミテッド )からの出向社員として、インドチームに研修生として参加している立場です。日々の業務では、SCM、発注業務、月次のミル(製鉄所)ヒアリング、そしてその分析を担当しており、最近は予算関連の業務も完了させました。複数の業務を並行して進めていますが、これらは決して独立したものではなく、すべてが連動しながら事業を支えているという実感があります。
これらの業務の中で、私が特に重要だと感じているのはサプライチェーンマネジメント、いわゆるSCMです。SCMはすべての業務をつなぐ心臓部だと考えています。なぜなら、受発注もミル対応も、すべてはこのサプライチェーンという大きな流れの中で意味を持つからです。一つひとつの業務が的確に機能してこそ、全体が円滑に回っていく。その中心にあるのがSCMなのです。
仕事をする上で、私が大事にしているのは現場での誠実さと正確性です。鋼材サービスでは、品質や物流の小さな見落としがサプライチェーン全体に影響を与えることがあります。だからこそ、どんな小さな業務であっても丁寧に、正確に向き合うことを心がけています。
私にはモットーが二つあります。一つ目は「安全第一、常にカイゼン」。安全は仕事への入口です。これなくして何も始まりません。二つ目は「Be the Right ONE」。これは、インドの業務と日本の基準とのギャップを埋めることを目指すという、私自身の役割を表しています。研修生として、また橋渡し役として、日本の品質・規律の考え方を、インドの現場で実行可能な形に翻訳していく。ルールだけでなく、その背景にある考え方を伝えることを意識しています。こうした姿勢を持ち続けることで、日々の業務に確かな手応えを感じています。
初めての外資系、家族を支えながら成長できる環境を求めて
私にとってTTSSは初めての外資系企業でした。安定した環境で家族を支えながら働けることが、入社を決断した一番の理由です。家庭の事情もあり、長く安心して働ける場所を探していました。そんな中で出会ったのがTTSSだったのです。
入社前に特定のイメージを持っていたわけではありませんでしたが、実際に働いてみて、TTグループには人を大切にする文化が根付いていると強く感じました。上司や先輩が、家族のように後輩を育ててくれる環境です。この温かさは、入社してから実感したギャップでもあり、嬉しい驚きでもありました。
TTSSで働いて約7年になりますが、この期間は大きな学びと成長の連続でした。最初の3年間は調達チームで、日本と韓国からの輸入資材の取り扱いやCHA業務を担当していました。この時期に身につけたサプライチェーン管理の知識は、その後のキャリアにおいて大きな土台となりました。
その後、調達から営業への移行があり、この変化は大きな学びの機会でした。サプライチェーン管理の知識と顧客志向の考え方を組み合わせることができたからです。異なる部門を経験することで、業務全体を俯瞰して見る視点を得られたと感じています。
振り返ってみると、初めての外資系企業として選んだTTSSは、家族を支えながら働ける安定性だけでなく、人を育てる文化やキャリアの幅を広げる機会にも恵まれた場所でした。当初求めていた以上のものを、この会社で得ることができたと思います。
サンセットレビューからEV試作まで。グローバル視点で挑んだプロジェクトの数々
入社後、最も大きな成功体験となったのは、HSN Issue(関税分類に関する規制上の課題)の管理とサンセットレビュー調査を担当したことです。これは正確な調整とデータを必要とする重大な規制上の課題で、複雑な国際貿易法をうまく乗り切るために、調達と物流の知識を総動員しました。私の仕事が会社の事業利益を守っていると実感できたことから、大きな達成感を得られました。
もうひとつ印象深いプロジェクトが、スズキ初の世界的量産EVであるスズキE-Vitaraの試作材料管理です。新しい技術分野だったため、サプライチェーンが複雑で、スケジュールは非常に厳しいものでした。試作品の遅延は開発全体の停滞を招く可能性があったため、現地現物を適用し、発生元からの物流の流れを綿密に監視しました。調達の経験と営業の視点を組み合わせ、材料納入の潜在的なボトルネックを早期に特定し、リアルタイムで解決策を調整してミスゼロを実現しました。試験段階用のすべての材料を期日通りに確保することに成功し、プロジェクトがグローバル生産に向けて進む勢いに直接貢献できたことに、永続的な職業的使命感を感じています。
一方で、苦労したこともありました。調達の初期段階では、報告スタイルや緊急度の違いにより、豊田通商とTTSS間の輸入要件の調整が難しいと感じました。私はコミュニケーションギャップを埋めるため、より標準化された報告書を作成し、自分が「ニーズの翻訳者」であることを確実にしました。日本が現地の制約を理解するとともに、自分の仕事が日本の基準を満たしていることを確認する必要があったのです。
購買から営業への異動は大きな転機でした。調達では、成功は効率性・物流・データの正確性で測られます。しかし、営業では、最初は「顧客中心」の考え方に苦労しました。サプライチェーンに集中しすぎて、お客様の高い圧力のある要求や期待とのバランスを取るのが難しいと感じたのです。自分のアプローチを変える必要があると気づき、先輩たちが顧客とどのように交渉するかを観察するためだけに、ミーティングに参加し始めました。この変化により、ギャップを埋め、購買から販売までのサプライチェーンを理解する助けとなりました。内部視点と顧客視点の両方を理解したことで、「製品を売るのではなく、信頼できるサプライチェーンを提供している」という意識を持てるようになりました。
この苦闘から、迅速に適応できないことがリスクであると学びました。研修生だった時に先輩が一度言っていました。「3ヶ月以内に何も学べなければ、一生学べないだろう」と。この言葉は今でも心に残っています。
AIを活かして、「ゼロベース思考」を実践し、豊田通商とTTSSの架け橋へ
TTSSグジャラートに復帰後、日本での1年半の経験を次の2つの方法で活用するつもりです。まず、現場主義でグローバル基準を実践すること。これは「豊田通商ウェイ」の考え方に基づいています。そして、戦略的な架け橋としての役割を果たすことです。私の最終目標は、会社が私に託した1年半の信頼を、より適応力があり、顧客中心で、インドにおいてグローバルに調和したものにすることです。
AIやDXの取り組みを通じて、新たな挑戦に積極的に取り組みたいと考えています。今回のDXの取り組みでは、現在すべて手作業で行われている業務をゼロから構築し直すことになります。「真っ白なキャンバス」のような状態ですので、「ゼロベース思考」を活かして進めることが可能です。本プロジェクトにおいて、私はSCM(サプライチェーン・マネジメント)の手作業による業務とDXとの「架け橋」となることを目指しています。その目標を達成するため、現在UdemyでPower AutomateやPower BIの学習を進めています。これらはDXを推進する上で非常に有益なスキルとなるからです。
私の今後の課題は、豊田通商とTTSSの架け橋になることです。これから豊田通商で働くことを考えている方々には、常に活動に責任を持つことの大切さをお伝えしたいです。悪いチームは存在せず、失敗するのは常に悪いリーダーであると教えられてきました。
また、イエスマンになってはいけません。「イエスマン」は意見が挑戦されないエコーチェンバーを作り出してしまいます。これは議論好きであるという意味ではなく、積極性を持った同意を意味します。危機が訪れたら指示を待つのではなく、「時には雄牛の角を掴まなければならない」のです。高速度な実行と共に、絶対的な規律によって抑制されることが重要です。
先輩方が私を形成してくださったのと同じ方法で、新しいメンバーを教育し指導することで力の乗数となりたいと考えています。私は、プレッシャーの中でも冷静でいられる人間になりたいです。それによって常に即興で対応し、適応し、危機的状況を乗り越えることができます。私の生き方は、最前線に最初に立ち、功績を最後に受け取ることです。軍隊ではこれを「サーバントリーダーシップ」と呼びます。

