インフラとエネルギーへの想い、そして豊田通商との出会い
学生時代は工学部に所属し、水文学や気候変動の研究に取り組んでいました。社会を支えるインフラに携わる仕事に付きたい、そして環境を守りたいという強い意識が、この研究テーマを選んだ理由です。東日本大震災を仙台で被災し、電気やガスといったエネルギーの重要性を身をもって再確認し、社会インフラであるエネルギーに関わる仕事をしたいという思いが芽生えました。
研究と並行して、体育会アメリカンフットボール部にも所属していました。さまざまな出自の部員がおり、モチベーションや能力もバラバラな中で、一つの目標を皆で見つめていけるようにすること。目標に対して一つひとつ課題を設定し、進捗管理しながら進めていくプロセスは、体育会での大きな学びの一つとなりました。このチームマネジメントの経験と論理的思考力は、後のキャリアにも大きく活きることになります。
就職活動では、プラントエンジニアリング業界を第一志望としていました。海外で大きな仕事をしたい、エネルギーに関わる仕事がしたいという想いを実現できる業界だと考えたからです。研究室でさまざまな留学生に会う中で、英語でグローバルに働くことで視野が広がり、活躍の幅も広がると確信していました。自身のバックグラウンドである土木工学だけでなく、さまざまな工学分野や調達、建設といった多くの関係者を巻き込みながら、チーム一丸で進めていく仕事におもしろさを感じていたのです。当時は学生コーチや大学院の研究もあり志望業界を絞る必要がありましたが、就職活動を通じてさまざまな企業や産業を知れたことは楽しい経験でした。
その後、キャリア入社という形で豊田通商と出会いました。前職のプラントエンジニアリング業界では請負者という立場に限界を感じており、Green Transformation(GX)やDXなど社会が大きく変わる流れの中で、よりスピーディーに事業構築できる総合商社への転職を考えたのです。豊田通商はカーボンニュートラルや再エネに力を入れており、とくに電池関連事業では資源採掘などの上流から退役電池の回収・リサイクルといった下流まで一気通貫のバリューチェーンを持っている点に大きな魅力を感じました。選考を通じて、フラットな形で社内コミュニケーションが取れていること、本部間の障壁も他商社に比べると少ないことを実感し、社員の方の人当たりの良さや風通しの良い会社の雰囲気にも惹かれて入社を決めました。
現地現物を大切にする企業文化と新たなチャレンジの日々
豊田通商での研修は、前職の千代田化工建設とはまた違った特徴がありました。前職では2週間の英語研修や2カ月にわたるプラントエンジニアリング研修など、新卒教育が非常に充実していました。配属後も、各業務やアイテムごとに研修が用意されており、体系的に学べる環境が整っていたのです。
一方、豊田通商も研修プログラムは多く取り揃えていますが、扱う商材が幅広いことで共通のビジネススキルを身につける内容が多い印象でした。新卒社員が2週間ほどの研修で すぐに配属されるのは、現地現物で現場を大事にする会社ならではだと感じました。またそのくらい臨機応変に対応できる対応力も求められる人材だと思っています。
入社後の私のキャリアは、前職とはまったく異なる道を歩むことになりました。千代田化工建設では、プラントの土木や鉄骨設備の設計・調達・施工管理等のEPCプロジェクトマネジメントを技術職として担当していました。オイルメジャーの顧客やJVパートナー、海外設計子会社等と英語でコミュニケーションしながら、関係者調整や進捗管理を行っていたのです。それが現職の豊田通商では、電池リユースの新規事業開発を営業職として担当しており、まったく異なる業務内容に挑戦しています。
入社後に感じた最も大きなギャップは、決まった業務の進め方がないということでした。関係者の期待値や課題を一つ一つヒアリングしながら、0から作っていくところは前職との大きな違いです。相手の言っていることを汲み取る力が非常に重要だと日々感じています。また、毎日のランチを同じグループ員で一緒に行く文化も、非常に温かい会社だなと驚きました。こうした細やかな文化が、チームワークを育む土壌になっているのだと実感しています。
技術職から商社へ、電池リユース事業の最前線で見つけた自分の強み
現在、私が担当しているのは商用車BEV領域でのリユース定置用蓄電池、いわゆるESSの実証プロジェクトとその事業化です。電気自動車から退役したバッテリーを再利用する事業で、主担当として各社との合意取り付けやプロジェクトマネジメント全般を推進しています。総合商社のコーポレート部門のテクノロジーX事業推進部という立場から、他営業本部やトヨタグループをはじめとする多様なステークホルダーを巻き込みながら、外部パートナーとも連携して早期事業化を目指す日々です。
この仕事で大きなやりがいを感じたのは、技術職出身という自分のバックグラウンドを活かせたことでした。リユース定置用蓄電システムに関する技術情報を国内外から丁寧に整理し、キーテクノロジーの理解を深めていった結果、現在ではグループ内で取り纏め役、先導者としてのポジションを確立することができました。上司からの信頼も得られ、前職で培ったグローバルなプロジェクト推進力や調整力が、新しいフィールドでも通用することを実感しています。
一方で、技術職から営業職への転換には大きな戸惑いもありました。ビジネスマナーや面談、会食といった人的コミュニケーションの機会が格段に増え、基本的な所作やマナーがわからず最初は本当に苦労しました。しかし、何度も繰り返すこと、先輩や同僚の動きを観察して学ぶこと、そして分からないことは素直に質問することを心がけました。結局、ビジネスも人と人との信頼関係なのだと気づき、自分らしく振る舞えるようになってからは、随分と楽になりました。
取り纏め役としてのポジションを得るまでの道のりも決して平坦ではありませんでした。最初はまったく理解できなかった技術や業界の知識を、一つひとつ解像度を上げようと調べたり、関係者に聞いたり、自分なりに整理したりを継続しました。徐々に以前調べた内容との繋がりが見え、理解力も向上していき、現在の立場に慣れることができたのです。学生時代からプロジェクトマネジメントの素養はあったと思いますが、課題の要素分解や切り分け、WBSリストの整理といったスキルは、この仕事を通じて飛躍的に伸びたと感じています。
リユース事業の実現とグローバル視点を持つ次世代リーダーへの期待
短期的な目標として、私はリユース蓄電システム実証の実現に全力で取り組んでいます。まずは関係者との合意形成を進め、コストやスケジュールの観点から成立性をしっかりと検証していく予定です。その上で実証運転を通じて技術面と商用実現性を見極め、経済性に目処を立てることで、リユース事業を本格的に事業化していきたいと考えています。この取り組みは単なる実証実験にとどまらず、新しい事業の柱を創出するという大きな意義を持っています。
中長期的には、国内または海外でマネジメント職として活躍したいという目標を描いています。多くの部下を率いることで、より広く多くの事業を作り出していきたいと思っています。そのために今から準備していることがあります。現在の上司がどうマネジメントしているか、良いところも悪いところも含めて分析しているのです。マネジメントには正解がなく、いろいろなやり方があると思うので、複数の上司を観察して自分に合うものを盗むようにしています。
私たちの会社の魅力は、何と言っても個人の裁量が大きく、上司にも気軽に相談できる業務環境にあります。組織として人が温かく、現場を大切にする風土が根付いています。こうした環境だからこそ、若手でも大きな挑戦ができるのです。
活躍できるのは、変化を恐れずに世界を変えたいと思うマインドを持った人です。同時に、一緒に働いた人がまた働きたいと思えるような能力とホスピタリティを持つことも重要だと考えています。今後ジョインしてもらいたいのは、グローバルな視点を持つ人です。これはマストだと言えます。豊田通商をより上の次元の商社に上昇させたいという熱い気持ちを持つ人と、共に新しい時代を切り拓いていきたいと思っています。

