メタル+(Plus)本部の次の柱を求めて。事業を探索し、鉄鋼業界の課題解決に挑む
2024年4月、メタル+(Plus)本部のメタル+(Plus)企画部に新設された、グリーンスチール事業開発室。立ち上げメンバーの1人である木谷は、カーボンニュートラルな世界の実現に向けた事業開発の最前線に立っています。
「当室が掲げているミッションは、『豊田通商ならではのグリーンスチール事業を創り、メタル+(Plus)本部の次の柱を構築するとともにカーボンニュートラルな世界を実現すること』です。主に戦略策定、事業企画、海外極・営業部サポート、シンクタンク機能の4つを担い、ミッションにもとづいた活動を推進しています。
鉄鋼業界での製造工程におけるCO2総排出量は、全世界の約10%を占めており、排出量の削減が重要な課題となっています。その解決に寄与するグリーンスチール領域の事業を探索し、投資先の検討を行うのが私の役割です。少数精鋭のチームのため、一人ひとりが大きな裁量をもって幅広い業務に従事しています」
グリーンエネルギーへの転換に向け、民間企業を動かす大きな力となるのが法規制です。木谷たちは国内外の法規制の動向を把握するため、新たな取り組みも進めています。
「昨年から経産省主催の『GX推進のためのグリーン鉄研究会』に参加しています。現在は月1回の頻度で経済産業省を訪問し、法規制に関する最新情報を収集して海外駐在員に共有しています」
政策面でのアプローチと並行して事業の探索も進めている中で、木谷が大切にしているのは「情報収集」から「Intelligenceへの昇華」だと話します。
「当室にはデジタルの専門家も在籍していて、グリーンスチールに関する投資情報を、自動で収集して共有できるシステムが構築されています。そのためメンバーは、世界の最新動向を日々チェックし、事業企画に活かすことが可能です。投資はグローバルに展開するため、海外駐在員への情報共有を綿密に行いながら連携強化を図っています」
アメリカ、インドネシアでの経験を糧に。挑戦できる環境を活かし、新たなキャリアへ
2006年5月に豊田通商へキャリア入社した木谷。前職の精密測定機器メーカーに勤務する中で、商社に魅力を感じたことが転職のきっかけとなりました。
「営業として商社の方々と接する機会を通じ、個人に与えられる裁量の大きさや、エンドユーザーに深く関われる点に魅力を感じました。その中でも転職先として豊田通商を選んだのは、『現場に強い総合商社』を掲げていて、自分の価値観に合うと感じたからです。そして待遇の良さも決め手になりました」
入社後はメタル+(Plus)本部の前身である金属本部に配属され、自動車鋼板の加工や物流管理を担当。そして入社4年目には、研修生としてアメリカに赴任しました。
「任期は2009年4月から約2年間だったのですが、リーマンショック直後に落ち込んだアメリカ経済が急回復する、という激動期を経験することになりました。需要の急変動に対応するために、当時はまだ苦手だった英語に苦労しながら、仕事に奔走する日々が続きました。
絶対にサプライチェーンを止めてはならない──そうした強い使命感のもと、任務を遂行したことで、どんな難局も乗り越えられるという強さが培われたと感じています」
その後も木谷はキャリアを広げるため、2018年4月には自ら希望してインドネシアの拠点に異動。鋼板を最終製品の形に合わせて加工・保管するブランキング工場で、ジェネラルマネージャーとして経験を積みました。
「新規ビジネスの開拓を主導し、お客様から新しい溶接技術の案件を獲得することができました。グローバルで初の取り組みとして最前線で交渉を担当した経験は、自分のキャリアの中でも印象深く、大きな自信になりました」
2021年4月に帰国した木谷は、欧州や東南アジア、南アフリカに向けて自動車鋼板を輸出する業務に従事。そこから2年後、新しい挑戦を求めるようになります。
「自動車鋼板ビジネスに関しては、自分の中で一通りの経験を積んだという達成感がありました。同じ領域で経験を積むよりも、新しいことにチャレンジしたい。そうした想いが強くなり、自分で希望して部署を異動し、現在に至ります。
振り返れば、自ら手を挙げてやりたいと言ったことは、すべてかなえられてきました。社員の挑戦を後押ししてくれる環境があることを、自身が歩んできたキャリアから実感しています」
スタートアップへの出資という新たな一歩。事業開発の最前線で感じる、仕事の醍醐味
グリーンスチール事業開発室に異動し、2年目を迎えた木谷。これまででとくに印象に残っているのは、電解鉄を製造するスタートアップ・Electra社への出資を実現したことだと話します。
「グリーンスチール領域のスタートアップへ出資するのは、金属本部だった時代も含めてメタル+(Plus)本部では初めてです。従来は主要顧客とともに成長する戦略を描き、コアビジネスに経営資源を集中してきましたが、その路線から転換する新たな一歩となりました」
前例のない取り組みであることから、出資を実現するまでのプロセスは容易ではありませんでした。
「Electra社はアメリカ企業のため、日米双方のマネジメント層と何度も合意形成を図る必要がありました。マネジメント層からの質問に的確に回答するためにも、電解鉄やその製法などについて膨大な知識を習得しなければならなかったのです。チームで継続的な学習と情報収集に取り組みながら、粘り強く議論を続けました。
そしてグリーンスチール事業開発室の新設から1年後の2025年4月、Electra社への出資が実現しました。これはメタル+(Plus)本部にとって大きな成果だと思っています。出資先の製品をお客様へ提案できるようになり、事業拡大の基盤が整えられました」
新たな挑戦を求めて異動した先で、チームと共に重要なプロジェクトを成し遂げた木谷。今の仕事に、大きなやりがいを感じています。
「仮説を構築してお客様へ提案するプロセスは、とても刺激的です。お客様へのプレゼンテーションを通じ、自分たちが立てた仮説の是非を問えるのは、事業開発という仕事ならではの醍醐味だと感じます。
仮説が正しければその実現へと突き進み、違ったとしてもそこから次のヒントが得られる。そうして今日よりも明日、明後日と、めざす方向へ着実に前進していける喜びがあります。20年のキャリアを積んでもなお、自分の能力を上回る挑戦ができるため、日々新たな発見や成長を実感しています」
やりたいことに挑戦できた20年。事業の基盤をつくり、次の世代へバトンを渡す
グリーンスチール事業開発室で新たな業務に挑戦する中で、木谷は今後のビジョンを描いています。
「メタル+(Plus)本部はまだ設立から2年目の新しい組織のため、マーケットで存在感を示すにはある程度時間がかかると考えています。事業がめざす到達点を100とすると、私たちの世代で0から10を作り上げ、10から100にするフェーズを次の若い世代に任せることができたら理想的ですね」
長期スパンで事業の育成を検討する背景には、自社ではコントロールできない外部環境があります。
「グリーンスチールに関する法規制は欧州を中心に整備が進んでいますが、先進国と途上国との間で合意形成が難航するなど、不確実性は残っています。ただ、地球温暖化への対応は今後何年にもわたって取り組むべき課題であることは変わらない事実です。
『未来の子どもたちにより良い地球を届ける』というミッションを実現するためにも、時間はかかるかもしれませんが、自分たちの世代が総力を挙げて今できることに取り組みたいと思います」
未来を見据え、現在の業務に全力を尽くしている木谷。豊田通商にキャリア入社して今年で20年目を迎える中で、自身の歩みを改めて振り返り、会社に対する想いを語ります。
「すばらしい仲間に恵まれ、やりたいことを実現する機会を与えてもらえてきたので、良い会社だなと感じています。長年にわたり自動車鋼板のデリバリー業務に携わってきましたが、それは駐在員をはじめ国内外の仲間と一丸となって目的に向かい、お互いに助け合わなければ、決して成し遂げられない仕事でした。そうした経験から、当社には困難にぶつかった時には、みんなで協力して乗り越えていくDNAが根付いていると感じています。
また、社員の意見にしっかりと耳を傾け、新しいことにチャレンジする姿勢を応援してくれる会社です。手を挙げる人の意欲を尊重し、挑戦の機会を提供してもらえる環境があることは、長く働いていても変わらない魅力だと思っています」
※ 記載内容は2025年12月時点のものです

