よさこいサークルで得た「人を支える喜び」と、日本文化への想い
大学時代、私はよさこいサークルに打ち込みました。高校の創作ダンス部で活動していた頃、参考動画を探していた時に偶然目にした北海道のよさこいソーラン祭りの映像に心を奪われたのです。バレエやダンスとはまた異なる、和の要素がありながらも多様で活気ある踊り。その魅力に惹かれ、大学に入学するとすぐによさこいサークルの門を叩きました。
サークルでは作品制作班と振付指導班の両方に関わりました。よさこいは毎年一から作品を作り上げるもので、作品の構成や振り付けを考え、初回お披露目後も都度必要なアップデートを行っていきました。振り付け指導では、制作した振り付けをチームメイトに教えながら、その角度やニュアンスを揃える等練度を上げることで、息の合った群舞を作り上げていきました。活動の中で常に考えていたのは、どうすれば作品の完成度を高めつつも、チームメイトが楽しんで参加できる環境を作れるかということでした。
とくに印象に残っているのは、ある親子が街中で披露していた私たちの演舞を見て、ファンになってくれたことです。その後、家族ぐるみで応援してくれるようになり、各祭りは勿論のこと練習も見に来てくれて、グッズまで購入してくれました。自分達が踊ることで観る人の心を動かすことができると実感し、大きな喜びを感じました。この経験を通じて、組織の人々がより参加しやすい環境を整えることにやりがいを感じるようになり、会社でも組織の中で働く人々のサポートを行いたいと思うようになったのです。
就職活動では、企業を支えるバックオフィスの仕事を軸に企業を探しました。加えて、日本文化の継承・発展に携わりたいという想いもありました。グローバルな社会へ変化しているからこそ、日本人のアイデンティティを確立することが大切で、その確立には日本文化や伝統という要素が欠かせないと考えていたのです。そして、創業から360年を超える老舗企業でありながらも、革新を続ける姿勢に惹かれ、前職への入社を決めました。実は卒業研究で企業博物館の歴史と役割を研究していた際に、その企業を研究対象としており、企業文化を知って感銘を受けていたことも大きな理由でした。
法務担当者として成長した日々と、新たな人生の選択
大学では経営学を専攻し、法律の専門教育を受けてきたわけではありませんでした。それでも前職では、法務、知財、総務という幅広い領域を担当することになりました。具体的には契約書審査や法務相談などの事業法務、社内規程整備などのコーポレート法務、知的財産権の管理などを行い、総務業務としても受付、社宅管理、保険管理を含む多岐にわたる事務業務を担当しました。法的知識が乏しい中で会社唯一の法務担当として業務を行うことに、大きなプレッシャーを感じていたことを今でも覚えています。それでも配属されたからには精一杯の努力をしようと決意し、自ら法律やガイドラインを必死に学びました。会社のリスクを最小限に抑えるためのフィルターとして機能できるよう、日々業務に取り組んでいきました。
とくに印象に残っているのは、個人情報保護法に即した社内規程の改正と新システムの開発プロジェクトです。個人情報保護法制定当時に策定した規程を長らく維持しており、法律の改正に合わせたアップデートを行っていなかったため、法律や世間が求めるものと社内の実情に大きなギャップが存在していました。社内全体的に個人情報保護の意識が低い中で、法律が求めるレベルの管理を行うことは難しいとの意見もありました。また各部で状況が異なるため、統一的な管理方法を導入することも困難な状況でした。その中で、法律が最低限求めるラインと各部門での最低限守りたいラインを確認し、そのラインを超えない調整可能な範囲で妥協点を見つけ、社内規程に反映していきました。約一年半を要したプロジェクトでしたが、慎重に打ち合わせを重ねた結果、各部門に求められる理想と現状の妥協点を見つけ、より実用的な改善を実現することができました。このプロジェクトを通して、組織全体を見る力や周囲に働きかける力を得ることができたと感じています。
着任当初は少なかった法務相談も、退職する時点では増加し、多岐にわたる相談に対応するようになっていました。振り返ってみれば、日本酒製造の体験や商品開発プロジェクトへの参加など、前職でしか習得できない知識や経験にもっとうまく挑戦しておけばよかったという思いもあります。
そんな中、転職を決意したのは、プライベートな理由からでした。出身は愛媛県で、関西の大学に進学し、そのまま関西の企業で就職していましたが、お付き合いをしているパートナーとの将来を見据え、生活拠点を愛知県に移すことを決めたのです。転職にあたっては、前職で培った法務経験を生かし、会社の基盤を支える法務人材として、より専門性の高い業務に挑戦していきたいと考えました。
社内規程整備と再出発伝承室の運営─さまざまな部門との協働で形にするやりがい
現在私はリスク統括部のコンプライアンス推進グループに所属し、主に社内規程の整備と再出発伝承室の企画・運営という二つの大きなテーマに取り組んでいます。コンプライアンス推進グループのミッションは、当社のコンプライアンス活動を推進し、コンプライアンスを遵守する文化を醸成すること。その実現に向けて、日々さまざまな部門の方々と協力しながら業務を進めています。
社内規程の整備では、規程の体系的な整備と適切な運用をめざし、規程等管理規程の改正を行い、それに従った運用を推進しています。事業部と協力しながら詳細な運用を詰めていく作業は、前職での法務業務や部署間調整の経験が大いに活きています。書類を読むことが苦にならないこと、本来あるべき姿と実現可能なラインの中間点を検討できることは、前職で培った大切なスキルです。
もう一つの柱である再出発伝承室は、2024年に公表したエンジン認証問題と同じような問題を二度と起こさないよう、風化させることなく伝えていくための施設で、2025年6月から9月まで第一期を開催しました。この企画・運営に携わり、開設後に来場者から好評の声を聞くことができたときは、本当にやりがいを感じました。成功の要因は、実際に過去の事例を近くで体験された方や、それを伝え続けている方から実感のこもった解説を受けることで、直接事例を経験していない説明員でも事例を深堀りできたことにあると考えています。現在は第二期の開催に向けて、必要な設備やレイアウトの検討を進めているところです。
もちろん、すべてが順調だったわけではありません。運用実態の把握が不足していたため、重複のあるフローを展開してしまったことがあります。この失敗から、実際に業務を行う担当の立場に立って考えること、担当者の希望とこちらの譲れないラインを踏まえた折衷案を提案する必要があること、そして自分の考えを丁寧に説明することの大切さを学びました。現在は重複のないスムーズなフローとなるよう、段階的に検討を進めています。
最もやりがいを感じる瞬間は、さまざまな部門の方々にご協力いただき検討した結果、規程等の運用方法や伝承室の企画が形作られ、実際に運用されたときです。多くの人の知恵と努力が一つの形となり、会社全体のコンプライアンス文化の醸成に貢献できていることを実感できる、それがこの仕事の醍醐味だと思っています。
IT化とプロフェッショナルをめざす未来、そして仲間への期待
短期的には、現在マンパワーで進めている業務をIT化し、恒常的に運用可能な体制を構築することに挑戦していきたいと考えています。現在の規程等の体系は複雑で、即座に置き換えることは難しいと思われます。そのため、導入するソフトウェアに合わせた運用に変更することも検討しながら、可能な限り利用者の混乱を最小限に抑えつつ、持続可能な運用を実現していく必要があります。この取り組みは容易ではありませんが、業務の効率化と品質向上に不可欠なステップだと感じています。
中長期的には、コンプライアンス業務をはじめ会社の基盤を支える管理業務に精通するプロフェッショナル人材になることをめざしています。そのために現在は、業務で関わった分野について法律を読んだり背景事情を確認したりすることで、知識を着実に蓄えています。今後は関わった分野から更に範囲を広げ、より深い専門性を身につけていきたいと考えています。
当社は源流企業として創業者の意志を受け継ぎつつも、事業部制を採用し多角的な事業展開を行い発展を続けています。フレックスタイム制度や在宅勤務制度なども導入され、プライベートと仕事を両立しやすい環境が整っています。また、新入社員研修のほか、キャリアの段階に応じた階層別教育など充実した教育プログラムが提供され、業務に必要な知識やスキルを体系的に習得できる環境があります。仕事を通じてスキルを磨きながら成長できるOJTも実施されており、実践的な学びが支援されています。
今後ジョインしていただく方には、まず主体的な姿勢を心がけていただきたいと思っています。新しい環境での学びや挑戦に前向きに取り組み、自ら積極的に情報を収集したり、多様な人々とコミュニケーションを図ったりする意識を持っていただければと思います。大規模なプロジェクトや多部門・多国間の連携が必要な場面が多いため、協調力やチームで成果を挙げる力のある方が活躍できます。また、さまざまな分野の仕事に携わる可能性があるため、学び続ける姿勢を持った方が望ましいと考えています。多様性を受け入れ協力しながら成長できる方、そして社会的課題や持続可能性に真摯に向き合える方と、ぜひ一緒に働きたいですね。

