北米での通訳経験が導いた豊田自動織機との運命的な出会い
大学時代を北米で過ごした私にとって、最も印象深い経験となったのは、3年生から卒業まで約2年間にわたって続けた日系企業での通訳アルバイトでした。トヨタグループ関係の子会社で、北米現地採用マネージャーと日本人駐在員の意見交換会議において通訳業務に従事する中で、単なる言語の橋渡し以上の価値ある学びを得ることができました。
会議の場では、目標設定の手法や効率的な日程管理、そして建設的な議論を進めるための会議運営術など、将来のビジネスパーソンとして必要不可欠なスキルに触れる機会に恵まれました。私は貪欲に、これらの知識を一つでも多く吸収しようと努めました。異文化間のコミュニケーションを支援しながら、同時に自分自身の成長につながる経験を積むことができたのです。
この通訳アルバイトを始めた背景には、明確な目的意識がありました。それは、自分自身の中に就職後のキャリアパスや働き方の具体的なイメージを描きたいという強い想いでした。実際のビジネスの現場に身を置くことで、将来の自分がどのような環境で、どのような価値を提供していきたいのかを見極めたかったのです。
やがて就職活動の時期を迎えた際、私の軸は自然と定まっていました。大学時代に培った北米での経験、とくに言語能力と異文化理解のスキルを活かせる環境、そして将来的に北米駐在の可能性がある企業を中心に探すことにしたのです。
そんな中で出会ったのが豊田自動織機でした。トヨタグループの源流企業として、公明正大で風通しの良い企業文化を持つというイメージを抱いていましたが、何より決定的だったのは人事担当者からいただいた言葉でした。「今後の豊田自動織機のグローバル化に向けて、一緒に戦ってほしい」というメッセージは、私という人材を真に必要としてくれているという実感を与えてくれました。この瞬間、私の中で豊田自動織機への入社意欲が確固たるものになったのです。
実践的な研修から始まった多彩なキャリアの歩み
入社後は1ヶ月間の集合研修を受けました。事技系新入社員として、会社の基本的な知識や業務の基礎について学ぶ期間でした。その後に待っていたのは4カ月間の工場実習です。この実習では、製造現場の実態を肌で感じながら、ものづくりの基本を身につけることができました。座学だけでは理解できない、現場での品質管理や生産プロセスの重要性を実感する貴重な経験となりました。
研修を終えて最初に配属されたのは、コンプレッサ事業部生産管理部でした。ここでは工務業務に3年間従事することになります。工場設備の保守管理や改善提案など、生産を支える重要な役割を担いました。その後、同じ部署内で生産計画立案業務や生産準備業務も経験し、生産管理の幅広い領域について理解を深めていきました。
2018年には大きな転機が訪れました。エレクトロニクス事業部営業部への異動です。ここで3年間、自動車会社を相手にした営業業務を担当することになりました。それまでの生産管理業務とはまったく異なる分野でしたが、顧客との直接的なやり取りを通じて、市場のニーズや業界の動向を肌で感じることができる貴重な経験となりました。
そして2022年、現在のエレクトロニクス事業部生産管理部に異動し、生産企画業務を担当するようになりました。これまでの工務業務、生産計画、営業経験すべてが現在の仕事に活かされており、多様なキャリアを歩んできたからこそ見えてくる視点があると感じています。
工場の司令塔として描く未来と日々の挑戦
現在、私はエレクトロニクス事業部生産管理部生産企画室に所属しています。生産管理部は工場の生産を司る「司令塔」の役割を担っており、その中でも生産企画室は、少し先の将来の工場・生産製品を、事業企画部・営業部・調達部・技術部・生産技術部と情報共有・連携しながら、構想から実行計画を練っていく部署です。生産企画室内には生産企画・新車進行グループ、試作管理グループ、システムグループがあり、私は生産企画ワーキンググループのリーダーを担当しています。
私の具体的な仕事内容は多岐にわたります。生産能力の検証から始まり、生産ラインの導入・能増の計画立案、工場の建設計画立案、生産ラインの集約や移設の計画立案を行い、今後の事業拡大における工場生産の道筋を示していきます。また、さまざまなお客さまからの台数計画を集約し、各工場・生産ラインの中長期生産計画となる「マスタープラン(中長期製品台数計画) 」を作成し、展開することも重要な業務の一つです。この計画に基づいて現在から5年後までの工場フロアへの生産ライン設置レイアウト「工場レイアウト計画(紙芝居方式) 」の立案を行い、新製品・新生産ラインの生産準備においては「マスタープラン」に基づいて「生産企画書」を起案します。各部署はこの「生産企画書」に沿った生産準備を進めていくため、まさに儲かる工場になるかならないかは、生産企画の手腕にかかっているのです。
実は、生産企画という部署は発足して数年の新しい部署です。この数年の間に、私たちは「生産企画書」「マスタープラン」「工場レイアウト計画(紙芝居方式)」というアウトプットを産み出してきました。今や全部署がこれを認知してくれており、私たちが設計した企画に基づいて業務を進めてくれていることは、大きなやりがいと感じています。企画をするときは、最初、本当にこれを実現できるのだろうかとチャレンジする要素も大いにありますが、関係部署との協議を重ね、打開策が見つかり、みんなの力を結集して工場の姿が変わっていく様を見ると、達成感を感じます。
一方で、将来の予測が目まぐるしく変わることに苦労しています。私たちエレクトロニクス事業部は車載の電動化製品を開発・販売していますが、技術進歩も早く、各国の政策によっても電動化の進展が大きく変わります。常に最新の情報にアップデートしながら、ハッピーストーリーだけでなく、リスクを横にらみしながら企画立案していくことが苦労でもありますが、この業務の醍醐味だと感じています。企画したことがすべてうまくいくとは限りませんが、協議を重ねた結果、打開策が見つからない場合は、企画を修正し、めざす姿を再設定します。しかし、次は実現できるように、アイデアを棚入れしておくのです。
学生時代と比べて、私が最も成長したと感じるのは、チームワークとコミュニケーションの大切さを理解できたことです。どの業務にも当てはまりますが、ひとりの力で業務は進んでいきません。大きな目標に向かって、自分の考えを伝え、相手の考えを聞き、お互いに協力しながら、助け合って進んでいく。自分からアプローチしていくことで、集まる力も増えていくということを実感しています。
新工場建設と海外展開への挑戦、そして次世代への想い
短期的な目標として、私が最も力を入れたいのは新工場の建設です。現在の工場は昔からある施設なので、エレクトロニクス事業部が自分たちで工場を建設できるくらいに大きく成長していくことに、私自身が貢献していきたいと考えています。これまで検討や検証を積み重ねてきたアイデアやノウハウを次世代に伝承し、さらに効率化を図るために、DXにも積極的に取り組んでいく予定です。
中長期的には、海外拠点での工場オペレーションを経験したいと思っています。具体的にはアメリカでの勤務を想定しており、これまで企画してきたことを実際に実行している現場で、その成果を肌で感じ、経験の厚みを増していきたいのです。最終的には、競争力のある工場を企画・実現することで、お客さまへの貢献、そして社会への貢献をはたしていくことが私の目標です。
これまでの経験を振り返ると、物事に対して「なぜ?」と真因や必要性について考え抜く力が身についてきたことが、今後の挑戦に最も活かせるスキルだと感じています。この思考力こそが、複雑な生産管理の課題を解決していく上で欠かせない要素だと考えているのです。
採用候補者の皆さんにお伝えしたいのは、エレクトロニクス事業部はまだまだ小さな事業部ですが、だからこそ自分の考えを反映しやすい環境があるということです。今後のクルマの電動化の進展に合わせて事業規模の拡大が見込まれ、忙しくはありますが、チーム一丸となって乗り越えていく風土があります。工場でのものづくりに興味があり、生産現場や仕入先さんと一緒に目標を達成することにやりがいを感じられる方、そしてクルマやクルマの電動化に関心がある方に、ぜひジョインしていただきたいと思います。前向きで、ひたむきな気持ちを持って、難しい課題にも一緒に取り組んでいきましょう。

