次世代ロボティクス製品の知能化を支えるソフトウェア高速化技術開発
私が所属しているEC開発部では、自社製品向けのソフトウェアプラットフォームの開発や、開発環境・開発プロセスの整備といった電子制御開発を支える基盤技術の構築と強化を進めています。さらに近年は、自動化・知能化に対応したスマート製品向けソフトウェア開発をリードし、未来のモビリティに新たな価値を提供することをミッションに活動しています。
現在私が担当しているのは、当社の自動運転フォークリフトや空港での自動運転トーイングトラクタなど、ロボティクス技術を活用した次世代の知能化製品開発におけるソフトウェア高速化技術の分野です。ここで重要になるのがエッジAIです。エッジAIとは、クラウドに頼らず製品そのもの(エッジ端末)でAIを動かす技術のことで、リアルタイムで膨大なデータを処理し、瞬時に判断するために不可欠です。この処理を支えるのが、GPU(Graphics Processing Unit)やNPU(Neural Processing Unit)といったAI専用の高速演算チップです。これらを駆使することでアプリケーションの性能を飛躍的に向上させています。基盤技術の開発から実際の製品への適用まで一貫して推進し、社会課題の解決に直結するモノづくりに挑戦しています。
チームでの役割としては、プロジェクトリーダーを務めています。エッジAI高速化に向けて最新技術の導入が必要な領域において、大学や研究機関とも連携しながらプロジェクトを推進しています。研究開発から実装、製品化まで幅広いフェーズに携わる中で、技術の橋渡し役としての責任とやりがいを感じています。前職の自動車メーカーと比べると、少ない人数で新しい技術開発を行っているので、その分任される範囲が広く、挑戦の機会が多いことも魅力です。
仕事をする上で最も大切にしているのは、「足で稼ぐコミュニケーション」です。対面での打合せや飲み会でのコミュニケーション、そして現場に足を運んで実際に見ることを重視しています。関係部署に協力を依頼していく仕事が多いため、まずは自分自身が相手に協力することを意識しています。直接的なコミュニケーションを通じて相手の特徴を知り、信頼関係を築くことが、プロジェクト成功の鍵だと考えています。
技術開発において私が譲れない信念は、その技術が事業部の製品において本当に価値があるものかを常に振り返ることです。現地現物の精神で、想像と実物の違いを見極め、机上の空論に陥らないよう心がけています。
自動車メーカーでの研究開発経験と地元への想い
私のキャリアは自動車メーカーでのAD(自動運転技術)・ADAS(先進運転支援システム) 研究開発からスタートしました。まさに自動車業界の最先端技術に携わることができ、毎日が刺激的でした。
とくに印象深かったのは、グループの海外研究機関との連携プロジェクトでした。異なる文化や言語の壁を越えながら、共通の技術目標に向かって協力する経験は、私にとって大きな学びとなりました。また、自動運転実証実験プロジェクトでは、研究で培った理論・技術が現場でどう機能するかを肌で感じることができました。車両に搭載された技術が、リアルな環境でどのような課題に直面するのか、その現実を目の当たりにしたとき、現場で使える技術の大切さを深く理解できました。
量産向け開発の経験も私の技術者としての視野を大きく広げてくれました。研究段階では理想的に見えた技術も、実際に製品として世に送り出すためには、コストや安全性、製造プロセスなどさまざまな制約があります。その制約の中で最適な技術を選択し、実用的なソリューションを生み出すことの難しさとおもしろさを体感しました。技術選定の重要性を学んだこの経験は、技術者として私の考え方の基盤となっています。
そんな充実したキャリアを歩んでいた私が転職を考えるようになったきっかけは、地元へのUターンでした。技術者として成長し、さまざまなプロジェクトを経験する中で、自分のスキルを故郷で活かしたいという想いが次第に強くなっていったのです。
産業車両との出会いと成長への挑戦
入社後最も印象深かったのは、同じ自動運転技術でも、これまでとはまったく異なる業界での開発に携わることで、求められる技術的要素が根本的に異なると感じたことです。たとえば道路と工場ではインフラ設備に対する考え方一つをとっても、従来の知識では対応しきれない場面が多々ありました。また、必要とされる検知技術についても新たな視点で学び直す必要があり、自分にはまだ技術的な成長の余地がたくさんあることを痛感しました。ただし、これらの気づきは失敗ではなく、新たな成長の機会として捉えています。
転職したての環境では、見知った人が誰もいない中で業務を進めなければならないという状況もありました。そのため自発的に多くの人と会話を重ねる必要がありましたが、EC開発部内だけでなく他部署や外部連携先の人との繋がりを作ることで、さまざまな製品の研究開発に触れる機会となりました。このような環境が、結果的に自身の技術を深め、エンジニアとしての大きな成長につながりました。
前職での研究開発の経験は、現在の仕事においても大いに活かされています。とくに、技術開発を構想段階から始めることが多かった経験は、現職で求められる技術を見極め、適切に判断する上での重要な基盤となっています。前職で培った考え方やアプローチ方法が、新しい業界でも通用することを実感し、これまでのキャリアが決して無駄ではなかったことを確信できました。
スペシャリストとして、最先端技術で社会実装に貢献したい
今後の目標は、センサ技術に関わる研究開発に挑戦することです。自動運転製品では、外界を認識するためにエッジ端末でのAI処理技術に加えて、カメラやLiDARなどのセンサ群を取り扱う技術が必要となります。例えば、センサの取付位置を調整する「センサエーミング」と呼ばれる作業は、現状かなり手間がかかっており効率化が求められています。こうした課題に取り組みながら、新しい研究テーマを立ち上げ、研究開発から製品適用まで一気通貫で関わっていきたいです。
中長期的には、エッジAI技術やセンサ技術のスペシャリストを目指しています。GPUやNPUなどの最新ハードウェア技術、エッジAIの軽量化技術といった最先端スキルを磨きながら、専門性をさらに深めていきたいと思います。そして、トヨタグループならではの豊富なリソースと技術力を活かし、革新的な知能化製品の社会実装に貢献することが私の大きな目標です。
採用候補者の皆さんにお伝えしたいのは、当社には最先端技術への探求心と学習意欲を活かせる環境が整っているということです。大学や外部ベンダーとの連携も活発で、常に最新技術トレンドをキャッチアップできます。また、部門内は中途入社者が多く、フラットなコミュニケーションで技術を研鑽し合えるオープンな環境です。アジャイル開発を取り入れ、一人ひとりが裁量を持って開発を進められるスピード感のある風土も魅力の一つです。
私たちが一緒に働きたいのは、与えられた課題をこなすだけでなく、自分で課題を見つけて「こうしたらもっと良くなる!」と提案し、実行できる人です。 コミュニケーションを大切にし、前向きにチャレンジできる方なら大歓迎。研究成果を社会に届けたい、モノづくりで世の中に貢献したい――そんな想いを持った仲間をお待ちしています。

