ラインオペレーターとして品質管理の最前線に立つ。緊張とやりがいの狭間で
大阪工場の製造課に所属する井畑。現在は、兵庫県の神崎郡に位置するサテライト工場、神崎サテライトで勤務しています。
「神崎サテライトは、国内各所で展開するサテライト工場のひとつです。大手飲料メーカーのお客様向けに、PETボトルを製造しています。
私が任されているポジションは、ラインオペレーター。NS(ノン・ステリラント=殺菌剤を使用しない)ライン、つまりボトルの殺菌処理に殺菌剤を使用しないラインを担当していて、製造されるPETボトルの品質管理や機械の保守が主な仕事です 」
サテライト工場の最大の特徴は、工場の製造ラインがお客様先と直結していること。従来の工場にはない緊張感があると言います。
「これまでは各工場で製造された容器をいったんパレットに積み、それを倉庫に移した後、トラックでお客様先に運ぶのが主流でした。一方、サテライト工場では、工場内でつくった製品をそのままコンベアにのせてお客様の設備へと搬入されます。
お客様のニーズにタイムリーにお応えできるメリットがありますが、不良品を出した場合、保留対応が間に合わず、お客様の工場内で中身が充填されてしまうことになりかねません。小さなミスもお客様に迷惑をかけることにつながるため、徹底した管理が求められます」
張り詰めた空気の中で仕事と向き合う井畑。ラインオペレーターとして大事にしていることがあります。
「PETボトルの品質や機械になんらかの異常があった際、復旧に時間がかかると判断すれば、上司にすぐに連絡するよう心がけています。連絡が遅くなればそれだけトラブルが大きくなり、お客様に迷惑をおかけすることになるからです」
難しいのは、異常やトラブルの深刻さをどう見極めるか。万が一の際に頼りになるのは、経験、そして日頃からの備えです。
「ライン稼働に問題がないと経験則から判断できることもありますが、すべてのトラブルに関する情報が頭に入っているわけではありません。時間を見つけては意識してトラブル対応に関する資料や手順書に目を通したり、現場のオペレーター間で対策を共有したりしています」
プレッシャーが大きいからこその手ごたえを感じているという井畑。仕事のやりがいについてこう話します。
「誰もが知る大手清涼飲料水メーカーの製品をつくっているので、コンビニなどの店頭に並んでる商品を見ると、つい手にとって自分が手がけたものかどうかラベルを確認してしまいます。自分だけでなく多くの方の生活に身近なものに携われていることは大きな喜びです」
3年目に自ら志願して神崎サテライトへ。ラインオペレーターとしての成長と進化
2019年の入社後、井畑が配属されたのは大阪工場の製造課。一つひとつ仕事を覚えながら着実にキャリアを重ねてきました。
「はじめは機械パーツの掃除をしたり、ボトルの品質を確認したり。その後、機械の金型の入れ替えなどをしながら、現場で知識を身につけていきました。
最初に配属された大阪工場には大きな機械が4台もあったんです。それぞれ種類が異なる上、製造するPETボトルの種類の数だけ金型があります。金型以外にも交換が必要なパーツが多く、入社当初は覚えるのに苦労しました」
入社当初は先輩の見よう見まねだったという井畑。おぼつかない手先が安定するまで、それほど時間はかかりませんでした。
「金型の入れ替え作業があるのは1〜2週間に1回ほど。それ以外はずっとラインの管理をしながら、わからないことがあれば先輩に聞いてメモをとったり、自分でできないことがあれば先輩にやってもらって見て覚えたり。
入社して1年が経過するころには、自力で復旧できる機械トラブルも増え、ひとりでラインを見られるようになっていました」
そんな井畑が神崎サテライトに移ったのは、2021年のこと。自ら志願したことがきっかけでした。
「東洋製罐の新たなビジネスモデルということで、以前からサテライト工場に興味がありました。工場内の様子や稼働している機械などを見てみたい気持ちを上司に伝えていたところ、『行ってみないか?』とお声かけいただいたんです。
お客様先と直結していることは知っていたので不安はありましたが、『行ってダメなら、戻ってくればいいじゃないか』という頼もしい上司の言葉に背中を押され、異動を決意。ちょうど入社3年目にこの神崎サテライトにやってきました」
神崎サテライトでは、大阪工場と同じくラインオペレーターを任された井畑。勝手の違いに当初は戸惑いもあったと言います。
「神崎サテライトの生産予定を立てるのはお客様。機械のパーツ交換など、すべてお客様が決めたスケジュールで進めなくてはなりません。大阪工場では社内の事情を汲みながら比較的柔軟に予定が組まれていたので、スピード感の違いに慣れるには場数を踏む必要がありました。
とくに苦労したのが金型の入れ替え作業です。金型は左右セットになっていて、ひとつあたり20キロ弱。それらを限られた時間内にすばやく持ち運び、正確に設置する必要があり、最初の1カ月は筋肉痛が絶えませんでした」
神崎サテライトで深まった技術、広がった視野
神崎サテライトに異動してきて後悔したことはないと言い切る井畑。プレッシャーのある環境ゆえに、多くのことを学んでいると言います。
「お客様の仕事に直結しているからこそ、機械を止めないために以前に増して保守を徹底するようになりました。異音を発していないか、妙な動きがないかなどを確認して、不具合を未然に防げる場面が増えたと感じます。
神崎サテライトに来てから危機感をもって仕事に取り組むようになり、当たり前の作業を当たり前にきちんとする姿勢が身につきました。大阪工場にいたときよりも、自分の目が届く範囲が広がり、不具合を見つける感度も高まったと思います」
新しい仕事に関われるのも神崎サテライトならでは。充実した毎日が送れていると井畑は言います。
「プラスチックごみによる深刻な海洋汚染が社会的な問題となるなど、PETボトルを取り巻く状況はポジティブなものとは限りません。そのため、新しいPETボトルの製造に関われる機会は減少傾向にありますが、神崎サテライトではほかの工場が手がけない新製品も取り扱っています。
新しいものに触れることで、知識や技術の幅の広がりを実感できているのも、ここに来てよかったと思う理由のひとつです」
安定稼働をめざし、トラブルをゼロに。誰もが元気で楽しく働ける職場づくりにも意欲
今後も製造の最前線に立ち続けたいという井畑。ラインオペレーターとしての目標をこう話します。
「細心の注意を払っているつもりですが、予測不可能な突発的なトラブルも多く、一時的とはいえ、機械を止めてしまうことが少なくありません。トラブルゼロをめざし、製品の品質やラインの稼働をより安定したものとしていきたいと考えています」
また、2023年にはラインに新しく後輩も加わり、井畑は指導する立場に。
「上下関係がはっきりした職場が苦手で、指図するのもあまり好きではありません。先輩・後輩問わず、互いを尊重しあい対等につきあえるような関係づくりに努めたいですね。
とくに後輩への言葉遣いには注意していて、どんなに差し迫った状況下でも丁寧な口調で接するように気をつけています」
井畑が後輩に対してそうした接し方をするようになった背景には、自身のこんな経験がありました。
「大阪工場にいたときもそうですが、神崎サテライトに来てからはとくに、初めてのことでも積極的に挑戦する機会を与えてもらいました。それと同じように、後輩たちにもどんどん業務を任せ、実際の経験を通じて仕事を覚えてもらいたいと思っているんです。
そして何より、僕自身がそうさせてもらったように、彼ら彼女らにも元気で楽しく働いてほしいというのが僕の考え。そのためにも、何かあればためらうことなく相談できるような存在でありたいですね」
「いまも目の前の仕事をこなすのに精一杯」と謙遜しながらも、入社以来、新しいことに貪欲に取り組んできた井畑。若い社員に向けて、次のように声援を送ります。
「東洋製罐には、常に新しい機械が導入されていますし、そのたびに『やってみないか?』と社員に挑戦を促す風土があります。初めてのことを前にすると、どうしても不安な気持ちに駆られるものですが、その不安を払拭するには実際にやってみるしかありません。
やらないことを決めるのは、一度試して自分に向いていないとわかってからでも遅くないと僕は思っています。まずはあまり深く考えずに挑戦してみてください」
ラインオペレーターとして品質管理の最前線に立つ井畑。「大きなプレッシャーこそがこの仕事の醍醐味」と笑顔を見せる井畑の挑戦はこれからも続いていきます。その活躍に期待が高まります。
※ 記載内容は2023年6月時点のものです
