部門を超えたコミュニケーションが製品の品質を維持するための鍵に
横浜工場の品質課に所属する古川。製品の品質の確認や品質トラブルが発生した際の原因究明、新製品の品質テストなどに携わっています。
「毎日実施されている製造課との工程検討会に参加し、前日の生産ラインの状態や製品の測定データなどをチェックして出荷が可能かどうかを判断したり、トラブルによる停止時の処置が適正なものであったかを確認したりするのが主な仕事です。
まれに製造部門から上がってきた品質に不安のある製品を検査することもあるなど、業務の内容は多岐にわたります」
埼玉工場と横浜工場の2拠点の品質課を率いる課長を中心に、品質課のメンバーは4名。そのうち古川を含む2名で工程全体を担当しています。
「製品の品質に関する最終的な判断は係長と相談して下しますが、ほぼ2名で工程を見ています。
その中で私が製造ラインの状況確認を、もうひとりのメンバーが生産環境や製品の微生物検査、出荷時の検査表の作成といった検査業務を主に担当しています。
製造課と一体となって製品の品質を維持するのが品質課の役割。製造ラインをたったひとりで見ているのでプレッシャーはありますが、責任をともなう仕事を任され、やりがいを感じながら取り組むことができています」
普段から製造課と連携しながら業務を進めることが多いと言う古川。中でも重要なコミュニケーションの場となっているのが、先述の工程検討会です。
「製造課からは課長と係長、製造ラインの担当者が数名、品質課からは私ひとりが参加しています。工程検討会では製品の出荷可否を判断しますが、中にはその場での評価が難しいケースもあります。そのような場合はいったん製品を保留とし、品質課に持ち帰って課長や係長と相談した上であらためて判断することもあります。
上司に間違ったことを伝えれば、間違った判断につながりかねません。さまざまな情報を正しく理解し、正確に伝達することを心がけています」
工程検討会をスムーズに進めるために、古川はコンセンサスを得るための地固めにも取り組んできました。
「製造課長らと前もって打ち合わせしてこちらの考えを伝え、さらに製造課の意見も聞いた上で共通認識をつくってから検討会に臨むようにしています。なんの予備知識もないまま検討会で急に出荷停止の話を切り出すと、反発を招いてしまいやすいからです。
これは品質課の先輩や上司の振る舞いを見て学んだこと。そうやっていわば緩衝材を挟むことで、コミュニケーションを円滑化するよう努めています」
製造課を経て品質課へ。いまに生きる製造課での経験
2013年に中途で入社した古川。以前に勤務していた系列会社の工場閉鎖にともない、東洋製罐にやってきました。
「前職では製造課でガラス瓶の製造に携わっていました。品質課ということで職種は違いましたが、話をいただいてぜひ挑戦してみたいと入社を決めました」
入社後しばらくして古川は製造課へ。そこでの経験が品質課で働く上での糧になっていると言います。
「1年間だけ製造課の仕事をさせてもらいました。製造工程について学べたのはもちろんですが、製造課の考え方や視点、各メンバーの人柄まで理解することができました。いまとは逆の立場を理解できたことは、同課とコミュニケーションを円滑に進めていく上でとても役に立っていると思います」
その後、2015年にふたたび品質課に戻った古川。周囲からの手厚いサポートのおかげで、つまずくことなく成長を重ねてきました。
「慣れない業務だったため仕事を覚えるのにそれなりに時間がかかりましたが、当時の品質課のメンバーは10名ほど。たくさん先輩社員がいて、それぞれフォローしてくれたので無理なく職場にも仕事にも馴染むことができました」
品質課の一員として古川が叩き込まれたのが、「顧客ファースト」の心得。製品に対する意識が大きく変わったと話します。
「業務の多くは製造課が相手ですが、世に出す製品を扱う以上、『お客様第一』という考えがベースにあります。品質課に来てお客様の視点で仕事をするようになったことで、安心して使っていただけるようなものづくりがしたいと、以前に増して考えるようになりました」
3年目で新製造ラインの立ち上げを担当。大プロジェクトを成し遂げたことが自信に
2023年で入社して丸10年になる古川。これまでのキャリアの中でとくに印象に残っている出来事があります。製品課から品質課に戻った翌年、新しい製造ラインの立ち上げを任されたときのことです。
「外国製の機械を納入することになっていたため、製造課の方と一緒にカナダに1週間滞在して研修を受けました。研修を受けた品質課の社員は自分ひとり。その後、社内への機械の納入からラインの立ち上げまでをリードしました。
こうした大きな仕事はめったに経験できないこと。上司から打診されたとき、苦労するのを承知で引き受けました」
想像していた通り、プロジェクトは難航。古川はさまざまなトラブルに見舞われますが、周囲と連携しながら無事にこれをやり遂げます。
「現地で試したときは問題なくできたのに、社内ではなかなか安定して製品をつくることができませんでした。製品がかたちとなって出てくる場合でも、傷がついているなど品質面に問題があり、なかなか思うようにいかなかったのを覚えています。
製造課の方とも相談しながら、部品を交換したり成形の条件を変えてみたり。試行錯誤を繰り返した結果、安定稼働に成功。製品が問題なくできたときはとてもうれしかったです。
入社して3年目くらいで手ごたえのある仕事を成し遂げられたことは、その後の自信につながりました」
品質管理を担当するようになって約8年。品質課の仕事のやりがいについて古川はこう話します。
「品質課は、製造課だけでなく、設計や出荷、生産計画を立案する部門などさまざまな部門との連携が欠かせません。本社から新製品の品質テストの依頼があることもありますし、販売課と同行してお客様を訪問し、製品の品質面の説明をする機会も最近は増えてきました。
それぞれとコミュニケーションを取って関係性を維持するのは簡単ではありませんが、各方面のプロフェッショナルたちと一緒に仕事することで多くを学べている実感があって、お客様に安全で良い製品を届けるという目標を共有しながら、誰もが納得できるような品質基準をつくっていくところに品質課の仕事の醍醐味があると思っています」
サッカーで学んだチームワークを起点に、誰もがいきいきと働ける職場へ
今後もさらに知識と経験の幅を広げていきたいと話す古川。品質課の一員としての未来を次のように展望します。
「現在はプリフォーム(PETボトルの一次製品)を担当していますが、品質課の業務はとても幅広くまだ携わったことがない仕事がたくさんあります。工程担当者としての経験も深めながら、新たな仕事にも積極的に挑戦していきたいです」
一方、指導員歴3年になる古川がとくに力を入れているのが後輩の育成です。業務の枠を超えて、若手社員と積極的にコミュニケーションを図ってきました。
「たまに飲み会に誘ったりして、近況を聞くようにしています。これは後輩たちにいきいきと楽しく働いてほしいという気持ちから始めたこと。なかなかうまく周囲とコミュニケーションが取れない子も中にはいるので、困り事や悩みなど職場では言いづらいことでも、仕事の外でなら言えることもあると考え、彼ら、彼女らの話に耳を傾けるようにしています。
なんでも相談できる先輩社員がいることで、仕事上でつまずくことを減らせると思っているんです。皆が明るく元気に働くことができれば、工場全体の雰囲気もおのずと変わってくるはず。後輩たちが前向きに仕事と向き合う姿を見るとこちらまでやる気が出てくるし、誰かが活躍している話を人づてに聞いたりすると、とてもうれしいですね」
メンバーの成長を支えたいという古川の想いは、学生時代に培われたものでした。
「幼いころからサッカーをしていて、高校まで部活動に所属していました。同じ目標を持ち、それを実現するために周囲とコミュニケーションを取ろうとする姿勢はそこで養ったと思います。
そもそも長男だったせいか、人の面倒を見るのが嫌いじゃないところもあり、きつい練習を皆でどう乗り越えていくかをいつも考えていました。
入社後、寮で暮らしていたとき、先輩社員からとても良くしてもらったことで助けられた記憶があることも影響しているかもしれません」
古川が志すのは、誰もがはつらつと自分らしく働ける職場づくり。自分だけでなく工場全体が楽しく仕事と向き合い、高い生産性を実現するために──ここから古川の新たな10年が始まります。
※ 記載内容は2023年9月時点のものです
