ライナー工程のリーダーを担当。機械のメンテナンスの要となる存在として活躍
石岡工場 製造第一課の第1クルーに所属する橋本。2023年現在は、ライナー工程の責任者を務めています。
橋本 「ライナー工程は、シェルプレスと呼ばれる機械で加工された蓋の内面にシーリングコンパウンド(ゴム状の密封材)を全周に塗布し、それを乾燥設備で乾燥させる工程です。同工程のオペレーターとして勤務しながら、長く機械のメンテナンスを行ってきました。人手が足りないときは自らメンテナンス作業に入ることもありますが、現在は責任者としてメンバーへの指示出しを主に行っています。
機械のメンテナンスは3週間や3カ月、1年に1回という具合に定期的に実施され、項目ごとに内容はさまざまです。加えて、機械にトラブルがあったときや故障してしまったときは、随時パーツ交換などの作業を行っています」
橋本が責任者を務めるライナー工程のチームは10名体制。幅広い年齢層のメンバーが所属しているため、年次に応じた対応を心がけていると言います。
橋本「メンバーの半数を占めるのが年上の社員。責任者になる前は、先輩・後輩の関係だったので、いまもそこは崩さないようにしているんです。先輩のほうが経験豊富なので、意見によく耳を傾けるよう努め、きちんと意見をまとめた上で指示を伝えるなど、コミュニケーションの取り方を工夫しています。
後輩に対して意識しているのは、話しやすい雰囲気づくりです。自分が若手の頃、年齢が離れている先輩が多く、距離を感じたことがありました。自分も30歳を超えているので、こちらから進んで話しかけるなど、若い社員が接しやすい環境を目指しています」
もともと石岡工場には業務以外のところでコミュニケーションを深めていく文化があるという橋本。社会情勢の変化を受けて、心がけていることがあると言います。
橋本 「石岡工場のメンバーは、飲み会などなにかと集まるのが好きな印象があります。自分が若い頃はよく食事に連れていってもらって、それが互いの距離を縮めるのに役立ちました。
しかし最近は、そうした機会が以前に比べて少なくなっています。職場の外でのコミュニケーションが取りづらくなったぶん、普段のやりとりの中で良い関係性が構築できるよう心がけています」
失敗の連続の中で成長。周囲から受けたのと同じサポートを後輩にも
高校卒業後、2010年に東洋製罐に入社した橋本。身近な製品を手がけているところに魅力を感じたと振り返ります。
橋本 「求人を見て、東洋製罐が飲料缶を製造していることを知りとても親近感が湧いたのを覚えています。せっかく何かつくるなら、自分の身近にあるものを作ってみたいという想いから応募しました。
また、一人暮らしをしてみたいという気持ちもあったので、石岡工場が寮を完備していたことも入社を決めた理由のひとつです。仕事が終わった後も会社の方と接する機会があり、先輩に仕事を教えてもらったり同期で集まったり、充実したオフをすごすことができました」
入社後、製造第一課に配属され、12年にわたって同じ職場で技術を磨いてきた橋本。いまでこそ責任者を務めるほど社内の信頼を集めていますが、これまでは失敗の連続でした。とくに思い出に残っている出来事があります。
橋本 「ライナー工程でメンテナンスを行っていて、シーリングコンパウンド(ゴム状の密封材) を出すコックからエアー抜きを行った後、そのコックを閉め忘れたまま放置してしまったんです。大量のシーリングコンパウンドを流出させてしまい、気づいた頃には機械がシーリングコンパウンドまみれに。入社して2年目のことです。
とてもひとりで対応できる状態ではなく、先輩に相談したところ、自分の仕事の手を止めて手伝ってくれて。いまでこそ笑いながら話していますが、当時は食事も喉を通らないくらい落ち込みました」
大きなミスをしたにもかかわらず誰からも叱られることなく、作業中は先輩がしきりに励ましの言葉をかけてくれたことが印象的だったと言う橋本。社内のそうした良き文化を後世に伝えていきたいと話します。
橋本 「『同じミスは皆が通ってきた道。大丈夫だよ。こんなに激しいのは初めて見たけど(笑)』と言ってくれて。怒られた記憶はいっさいなく、先輩が慰めながら手伝ってくれたことはいまでも忘れられません。
これまでの12年間、たくさんの失敗を繰り返してきました。後輩には自分の失敗談を積極的に話しますし、失敗してしまった後輩がいれば、できるだけ優しくフォローすることを考えながら接するようにしています。技術、メンタルの両面で支えてあげられるような存在でありたいですね」
リーダーとしての責任感の芽生え。先輩と後輩とをつなぐパイプ役を目指して
失敗するたびに学びを重ねてきた橋本。気がつけば、ひとりでできることが増えていました。
橋本 「1年に1度、約3週間かけて機械をすべてばらして行う大きなメンテナンスがあるのですが、入社2年目でそれを最初から最後まで自分の力だけでできるようになりました。ひとりでまるごと整備をやりきったときの達成感は大きく、そのときは自分でも成長できたことを実感したのを覚えています」
そんな橋本が責任者を任されるようになったのは27歳のとき。大きな意識の変化が生まれたと言います。
橋本 「責任者になってからは、仕事の内容やどう進めていくかを考えるだけでなく、交換する部品の管理も担当するようになりました。上から指示されたことだけをやるのではなく、自分が主体となって意思決定していくことが求められます。仕事への向き合い方が以前とまるで変わりました」
また、中堅社員として社内からの期待が大きいことも実感していると言う橋本。
橋本 「会社からは『ゆくゆくは先輩と後輩とをつなぐパイプ役を果たしてほしい』と言われていて。とても信頼している先輩からの申し入れということもあって、『やらなければ』という想いに変わっていきました。
責任者としてチームを俯瞰しながら、仲が良いメンバーだけでなくすべてのメンバーと積極的にコミュニケーションを取り、総力でチームのパフォーマンスをあげていくことを意識しています」
そう話す橋本が理想とするのは、フランクな関係性。目指すのは、上下関係を意識することなく、どんなことでも率直に話し合える風通しの良いチームづくりです。
橋本 「仕事の話ばかりだと互いに構えてしまうところがあるので、休憩時間はあえて仕事とは関係のない、私的なことを話題にするようにしているんです。少しでもメンバー間の距離が縮まればと、ほどよくくだけた雰囲気づくりを心がけています」
大切なのは、“誰と働くか”。先輩への恩に報いたいという気持ちがモチベーションに
これまで仕事を続け、いまのポジションを務められるまでに成長できたのは、ひとえに先輩社員のおかげだと話す橋本。その恩に報いる気持ちが仕事へのモチベーションになっていると言います。
橋本 「正直なところ、くじけそうになることは何度もありましたが、そのたびに手を差し伸べてくれたのが先輩たちでした。数えきれないくらい失敗を重ね、いつ見放されてもおかしくない中、失敗をフォローしてくれたり、貴重な時間を割いて教育してくれたり。常に温かい目で見守ってくれた先輩の期待に応えたいという気持ちが、仕事への意欲の源泉になっています。
仕事自体にやりがいを感じる場面もありますが、なにより大事にしているのは、“誰と働くか”。共に働きたいと思えるような尊敬できる人と共に働けていることが、ここまでやってこられた一番の理由だと思っています。若い社員ともそうしたマインドを共有していけるといいですね」
今後は、工程の責任者としてさらにスキルに磨きをかけていきたいと言う橋本。
橋本 「責任者になって3年ほどになりますが、『最適な指示ができなかった』と後になって思うことがあります。チーム内の誰もが『橋本から出された指示で良かった』と言ってもらえることがいまの目標です。よりいっそうの知識や技術を身につけて、先輩・後輩を問わず社内で頼ってもらえるような存在になりたいと思っています」
若きリーダーとして、また管理職と現場を結ぶパイプ役として、今後ますます大きな役割を果たすことが期待されている橋本。彼が本当に成長するのは、きっとこれからです。
