部門の垣根を超え、ブランド戦略の構築から運用までを一丸となって推進
東京ドームでは、2023〜2024年にかけて「東京ドームシティ」の大規模リニューアルを推進しています。これにあわせて、東京ドームシティのブランディングを刷新。「街」としての顧客体験価値の創出に取り組んできました。
A.Murakoshi:2018年に実施した生活者調査の結果、「東京ドーム」の高い知名度が「東京ドームシティ」の認知につながっていないことが明らかとなりました。そこで当社では、さまざまな体験価値を提供するひとつの「街」としての認知拡大をめざし、2023年3月から東京ドームシティのブランドづくりを全社一丸となって進めています。
ただ、ブランディング刷新と言っても、古いものをそっくりあらためようとしているわけではありません。当社が長年培ってきた経験やノウハウを起点とし、新しいつながりや価値を生み出し、ワンチームとなるきっかけになるプロジェクトとして位置づけています。
ブランディング推進を主管するマーケティング企画部 マーケティングコミュニケーショングループ(旧:マーケティング戦略部)に所属するMurakoshi。部署を横断する同プロジェクトの旗振り役を担ってきました。
Murakoshi:マーケティングコミュニケーショングループが果たすのは、ブランド構築に向けて各部署をつなぐハブのような役割です。各担当部署のメンバーと協業するかたちで、社内浸透活動や対外的な活動を進めてきました。
また、ブランディング活動の進捗状況の定点測定などを通じて、東京ドームシティのありたい姿に向けてのロードマップを引いていくのも私たちマーケティングコミュニケーショングループのミッションのひとつです。
一方、グループ全体の教育施策を担う教育センター部。その責任者として、S.Tanakaはマーケティング企画部と連携しながら、社内浸透活動を推進してきました。
Tanaka:社内における東京ドームシティの新しいブランドの理解と浸透を図ることが、ブランディング活動における当部門の役目です。取り組みへの意思表明を兼ねて、2023年にはまず、社内浸透の鍵を握る管理職を対象とした説明会を実施しました。
また、社員一人ひとりに「宣言カード」を書いてもらう取り組みも行っています。これは、事業所や課ごとの目標を達成するために、自分が果たす役割を宣言するというもの。一般社員を含む全員がブランディング活動への意識を高め、自分ごと化してもらうことをめざしています。
マーケティング企画部 宣伝グループ(旧:営業企画部 宣伝グループ)で係長を務めるD.Ando。社外に向けたブランドの浸透活動に携わってきました。
Ando:遊園地や温浴施設といった、各施設におけるコミュニケーション戦略を考えています。クリエイティブの制作、Web広告配信を通して、東京ドームシティの魅力を発信するのが宣伝グループのミッションです。
ブランディング活動では、東京ドームシティのコンテンツの魅力をお客様に伝わりやすいかたちでクリエイティブに落とし込み、どのターゲットにどのように届けるかを検討し、実際に仕掛けていく役割を担っています。
ロゴマークとタグライン、ステートメントを軸にブランド構築に向けた土台づくりを推進
事務局がまず着手したのが、ブランド構築のための基盤整備。新たなロゴマークとタグライン、およびステートメントを定め、その浸透をめざしてガイドラインの策定と実体づくりに取り組んできました。
Murakoshi:2000年から使用してきたロゴマークを、多彩な「つながり」と「感動」を表現するデザインへと刷新しました。また、経営理念に基づいて、「心が動く、心に残る。」というタグラインを新しく採用。瞬間的かつ継続的な感動を共有したいという想いを込めています。同時に、企業として果たすべき使命を明文化するステートメントも作成しました。
その後、Andoさんの宣伝グループと連携しながら、社内向けガイドラインを策定。ポップやチラシといった社外配信のためのツールを制作する際に新しいブランドを表現するための指針を固めています。
また、Tanakaさん率いる教育センター部とは、マインド醸成と一体感の創出に向けて、さまざまな研修や説明会の際にこのガイドラインに基づいたアウトプットをすることを通し、意識変革とブランドへの理解浸透を進めています。
現在、事務局を構成するのは約15名。社内の各部署から集められたメンバー同士が密にコミュニケーションを重ねてきました。
Murakoshi:月に1度、定期的に全体会議を実施しています。また、Andoさんの宣伝グループやTanakaさんの教育センター部だけでなく、営業を管轄する部署や広報、グループ会社を担当する部署などの担当者とも必要に応じて日常的にやり取りしています。
社内浸透活動と対外的な宣伝活動を推進。それぞれの戦略と手ごたえ
ブランドの社内浸透に向け、事務局ではその意義や目的を伝えるための社内説明会を開催。教育センター部が中心となり、社員がブランディングを自分ごと化するための体制づくりに取り組んできました。
Tanaka:当社の組織風土なども考慮し、社内にブランドを浸透させていくためにまず必要だと考えたのが、上長職の理解を深め、社内浸透を牽引する意識を高めてもらうことでした。そこで、2023年に上長職を対象に説明会を実施。2度にわたって刷新の経緯や概要、ブランディング活動を全社で進めていく上での具体的な取り組みについて説明を行いました。
東京ドームシティが新しくより魅力的になることへの期待などポジティブな反応が大多数を占める一方、良き伝統が失われることに対する懸念の声もあったことから、不安を払拭し、ブランディング活動を正しく理解してもらう良い機会になったと感じています。
プロジェクトが始まって約1年。確かな手ごたえを感じているとTanakaは言います。
Tanaka:お客様とじかに接する事業所の各社員が、お客様に対してどのような価値提供ができるのかを見つめ直し、それを常に念頭に置いて業務に当たってもらうための取り組みを進めてきました。一連の施策の実施後、「お客様との向き合い方を真剣に考えるきっかけになった」という声も届いています。
先に話した宣言カードもその一環で行ったものですが、具体的な行動指針が見えたことでブランドが変わることへの漠然とした不安が解消されただけでなく、業務の棚卸しを行い、目的意識を再確認することにもつながっています。
一方、宣伝グループが中心となって対外的な活動・宣伝活動も進めてきました。
Ando:お客様からの評価も意識しながら、東京ドームシティ独自の多様な価値観をクリエイティブに落とし込んでいくのが宣伝グループの役割です。たとえば、動画CMなどで使用するサウンドロゴ。誰もが気軽に立ち寄り、心が動く体験ができるというメッセージを込めて、さまざまな世代の方の声をサンプリングしポップなリズムのナレーションに仕上げています。
また、情報発信する際に、スポーツやコンサートを実施する施設には「赤(エキサイティング)」、遊園地やキッズ施設には「青(プレイフル)」、ミュージアムなど文化施設には「緑(モダン)」、温浴施設には「ピンク(リラックス)」という具合に、4つのカラーのモチーフを使い分けて体験価値を表現する試みも行っています。
事務局メンバーで協議の上、新ロゴマークをあしらったネックストラップやトートバッグなどのノベルティグッズを制作しましたが、これも宣伝グループが主軸となって策定したガイドラインに沿って作られたものです。
プロジェクト開始とほぼ同時に立ち上がったInstagramの公式アカウントの運営にも携わるAndo。顧客からのダイレクトなレスポンスがやりがいにつながっていると言います。
Ando:Instagramの投稿にもモチーフを取り入れるなど、表現のトーンを整えながら、さまざまなコンテンツの情報プラットフォームとして活用してきました。
お客様からの反応が速いのがSNSの特徴です。バックヤード系の部署にいるとお客様の存在を感じる機会が少ないのですが、アーティストやスポーツチームだけではなく、温浴施設など当社独自のコンテンツにファンが付いている実感が得られます。「この施設に行ってみたい」「先日参加したイベントがとても良かった!」と生の声を即座にいただけることがやりがいにつながっています。
顧客と東京ドームシティで働くすべての人が、多彩なつながりを生み出せる未来に向けて
多彩なつながりと感動が交錯する「街」として、東京ドームシティの魅力を最大化するための取り組みはこれからが本番。プロジェクトのこれからを、それぞれの立場から3人は次のように展望します。
Ando:2023年12月に日本サッカー協会などの協力を得てサッカー文化創造拠点「blue-ing!」を、2024年1月には吉本興業グループとの共同事業による新劇場「IMM THEATER」を開業しました。それぞれのコンテンツのファンだけでなく、東京ドームシティを訪れるお客様すべてに対して、この「街」の新しい魅力について発信していきたいと考えています。
これまで施設単体での情報発信を行うことが多かった私たちにとって、これは大きなチャレンジです。コンサートや遊園地など、特定の施設をめがけて東京ドームシティを訪れてくださった方が、いろいろ寄り道して「街」として楽しんでいただけるようなコミュニケーション活動に取り組んでいくつもりです。
Tanaka:ブランドの社内浸透に関して手ごたえを感じている一方、社員が自分ごと化する点においては、まだまだ道半ばです。都度、調査を実施して浸透度合いを確認しながら、適切な施策を打ち出していく必要があると思っています。
各自が取り組みの全体像を理解し、普段から意識することができるように。社員同士が自分の言葉で互いに想いを発信し合う座談会のような機会の創出も含め、社員に寄り添った浸透活動を続けていく予定です。
Murakoshi:Tanakaさんが言うような定点的な社内の浸透度調査に加え、マーケティング企画部では、お客様を対象とした調査も進めてきました。社内外での調査を通して取り組みの成果を丁寧に振り返りながらゴールを明確化した上で、めざすべき未来像から逆算し、達成に向けてそれぞれが自分の役割を果たしていけるような仕組みづくりをしていきたいと考えています。
また、実際にお客様と対面してサービスを提供するのは現場のアルバイトや各テナントのスタッフの方々です。彼ら、彼女らが私たちと同じマインドを共有できるよう、東京ドームシティの隅々にまで取り組みの輪を広げていくことがマーケティング企画部の役目。ブランディング活動によって一人ひとりの東京ドームシティへの理解と愛着を高め、サービス品質の向上につなげていきたいです。
※ 記載内容は2024年1月時点のものです

