課題を直視し、スピード感を持って解決に向け動く
2023年10月、トランザクション・メディア・ネットワークス(以下、TMN)は人事制度を大幅に改定しました。
「2020年4月に人事制度を改定して運用してきましたが、会社のフェーズも変わる中で現状にマッチしない制度上の問題点や課題が浮き彫りになってきました。人事制度を今後の会社の成長に合ったものとするため、今回の人事制度改定に至りました」
こう話すのは、人事部門マネージャーの本間。社労士事務所や企業人事の経験を経て、2022年2月にTMNに入社しました。
「改定の背景には評価基準の不明確さ、単一型の等級制度によるキャリアの幅が制限される点、柔軟かつメリハリのある処遇がやりづらいなど……ほかにもさまざまな課題がありました。
これらの課題に対して、当初は外部コンサルタントの支援もいただきながら、検討を進めていきましたが、なかなか前に進まない状況が続いていました。そこで、スピード感を持って変革を進めることを重視し、最初からすべてがうまくいかない可能性も踏まえ、制度改定後も改善点が見つかれば随時検討する方針でスピードアップを図りました」
制度改定を進めていく中でも、社長の大高は評価制度について強い想いを持っていました。
「これまでの評価制度は、スキルや能力の有無を評価する傾向にありました。しかし、社員の皆さんに期待しているのは、スキルや能力を存分に仕事で発揮してもらうことです。
そこで、当社のコーポレートアイデンティティ、すなわちミッション・ビジョン・バリューを体現している社員をしっかり評価していきたいという想いを実現するため、評価基準を見直しました」
議論を重ねて作り上げる──全社を巻き込んだ人事制度改定の軌跡
人事制度改定を進めることになった本間。その中でも、現場の声を大切にする姿勢を貫きました。この対話重視の文化がTMNらしさとして、制度設計の過程にも息づいていました。
「従業員代表との対話の場を設け、出された意見を検討材料とし、制度設計に反映させる判断も行いました。また、全社員に向けて、東京・関西・新潟の3拠点で計13回の説明会を開催。各回でアンケートを実施するなど、社員の声に真摯に耳を傾けることを意識しました。
また、隔週で、全本部長が制度設計提案に対して議論し、承認を得ることを繰り返しました。全社や各本部が抱える課題感はそれぞれ異なり、人事部としての論理的な説明と調整に労力を要しました」
制度設計においてもっとも重視したのは公正性と公平性です。
「最初の案では社員から多くの支持を得られませんでしたが、意見を踏まえて改善を重ねるサイクルを構築していきました。説明会では社長や管理本部長からメッセージを発信し方向性を共有するなど、透明性の高い形となるように注意して進めていきました」
また、若手社員の待遇向上も必須要件として位置付けました。
「新卒採用を拡大していくという会社方針がある中で、いかに魅力に感じてもらえる制度とするか検討を進めていきました。とくに若手社員の給与水準を上げる必要を感じていました」
さまざまな立場から活発な議論を重ねてきたものの、意見の相違も見られ、リリース期限が迫ります。そこで人事部門として議論の内容をまとめ、メリット・デメリットを整理。会社に最適と思われる方向性を提案した上で、経営判断を仰ぐことになりました。
若年層の底上げと公正公平性を重視。成果を発揮する人材が評価される人事制度に
議論と試行錯誤を経て、ついに完成した新たな人事制度。本間は各制度の狙いについて説明します。
「まず等級制度では、マネージャー層にならなければ昇進・昇給が頭打ちとなってしまう従来の仕組みをあらため、プロフェッショナル制度を新設しました。とくにエンジニア層において、専門性や経験を生かして貢献できる方には、その貢献度に応じた高い待遇が得られる仕組みを整えています」
報酬制度においては、若年層の待遇向上と評価によるメリハリを明確にしたことが特徴的です。
「新制度は年功序列ではなく、高いパフォーマンスを発揮している社員にはしっかりと還元する。それが今回の人事制度改定の根幹にある考え方です。また、今まで業績連動賞与であった賞与制度を、定期的かつ評価に応じて賞与がよりダイナミックに配分されるようになったこともポイントです」
評価制度では、行動評価基準をTMNのコーポレートアイデンティティを重視する形に一新。
「能力や経験、資格の保有だけでなく、それらを活用して当社のミッション・ビジョン・バリューを体現できているかを評価の中心に据えています。
ただし評価指標の目線合わせは現在も課題として残っています。今後は各レイヤーでワークショップを実施するなどの方法で、共通認識を醸成していきたいと考えています。評価する側も、どういった行動が体現できているのか、理解を深める必要があります。
また、人事制度改定と同時に360度レビューを導入しました。これまでは評価者からの一方的な評価のみでしたが、人事評価とは連動しないものの同僚や部下からのフィードバックが得られる制度を導入しました。これにより、自己認識や成長の機会を提供できるようになりました」
また、キャリア選択の多様性を考慮したキャリアチャレンジ制度を導入。
「職種を越えた異動を可能にする仕組みです。最初の配属後に考え方や価値観に変化があり、キャリアプランに影響を及ぼすことはあるかと思います。他部署を見て興味が湧くことや、キャリアを広げたいと考えることもある。そういった場合に、会社の公式な制度としてチャレンジの機会を提供したいと考えました」
挑戦の余地がある発展途上の組織──変革を支え続ける人事の使命と決意
人事制度改定から約1年半が経過した現在。社内からはどんな反響があったのでしょうか?
「プロフェッショナル制度に関しては、キャリアの幅が広がったという評価を多くいただいています。また、コーポレートアイデンティティが評価制度に組み込まれたことで、社員が意識し、言及する機会が増えていると感じています。
新卒採用の面でも、初任給が引き上げられ、採用面でも少し効果が出てきたと感じています。また、賞与が安定して支給される点は、社員の安心感につながっているのではないでしょうか」
一方で、本間は制度の運用面での課題も認識しています。
「評価指標の目線合わせなど、まだ改善点がたくさんあります。人事制度は着地点がなく、常にアップデートし続けなければならないものだと考えています」
今後は、働きがいの向上にも注力していく考えです。
「この会社で働きたいという働きがいの部分の測定や、それに対応する人事施策の導入を進めていきたいと考えています。また、会社のコーポレートアイデンティティに共感できる仲間を増やすことも重要です」
当社の魅力について、本間は次のように語ります。
「キャッシュレス決済の拡大もあり、売上は伸びており、優秀な人材も集まっています。ただ、仕組みや制度がうまく回っていない部分があり、もう少し改善できれば、さらに良くなるはずです。大企業のように完成形に近い組織ではなく、まだまだ発展途上です。だからこそ、伸びしろがたくさんあって、それが私のモチベーションにもつながっています」
人事制度改定において自らが実践した改革の経験から、本間は採用候補者へメッセージを送ります。
「当社はまだまだ改善点が多く、現状打破し解決していくことを推奨する文化があります。自分の成長のため、そして社会の課題解決のために主体的に行動し続けることができる方には、当社の風土が非常に向いていると思います。
私たち人事は、皆さんの挑戦と成長を後押しできる仕組みや体制を、これからも追求し続けます」
※ 記載内容は2025年2月時点のものです
