社員、そして社会インフラと向き合う。社会インフラを担う経営者の価値観
小松原は新卒入社した三菱商事にて、IT・通信ビジネスを一貫して歩んできました。その中でも小松原が、キャッシュレス決済事業にかける思いには特別な原点があります。それは、TMNに加わる直前のインドで経験した忘れられない出来事でした。
「キャリアのスタートは三菱商事で、ITや通信ネットワークといった領域、とくにデータセンターやコールセンター事業に長年携わってきました。大きな転機となったのは、TMNに参画する直前のインド駐在時の経験です。
2016年11月8日の夜、出張からの帰りの飛行機がムンバイ空港に着陸した途端、スマホを立ち上げた乗客がざわつきました。何が起きたのか隣席のインド人に聞いたところ『ビルがバンされた』と。紙幣(Bill)が禁止(Ban)された、つまり『高額紙幣が明日から使えなくなる』という発表があったとのことでしたが、言葉の意味がわかっても、何か起きたのか皆目見当がつきませんでした」
その夜のインドでは、モディ首相が突如として高額紙幣の利用停止を発表。翌日から銀行には新紙幣に交換しようとする人々が長蛇の列をなし、社会は大きな混乱に陥りました。脱税を炙り出すための、日本では考えられないような強硬手段だったのです。
「自分も怒号が飛び交う中を何度も行列に並び、大変な不便を強いられました。ただこの出来事をきっかけに、物理的な紙幣がもたらす不便さを解消する手段として、インドではキャッシュレス決済が一気に普及しました。
とくに拡大したのがQR・バーコード決済。この経験が、私のキャッシュレスとの出会いです。その後、縁があって2017年にTMNへ参画しQR・バーコード決済事業を立ち上げることになりましたが、今思えば不思議な巡り合わせだと感じています」
さまざまな立場でビジネスに関わる中で、小松原が一貫して大切にしてきた価値観。それは、共に働く「社員」への想いです。
「経営とは、お客様、株主、そして社員という大切なステークホルダーの期待に応え、共に成長していくことだと考えています。どの存在も事業にとって必要不可欠です。ただしそこには優先順位がある。自分にとっての最上位は社員です。何故なら生活そのものがかかっているから。
過去に別会社で事業の再構築という難しい決断を経験しましたが、その判断基軸は社員にとって最善かどうかでした。社員一人ひとりが安心して働き、挑戦できる環境を守り抜くこと。それが私の経営者としての覚悟であり、揺るがない軸です」
「真面目さ」が競争優位性になる。社会インフラとしての決済事業、その核心
今や社会に不可欠な存在となったキャッシュレス決済。多くの競合がひしめく業界で、TMNが「選ばれ続ける」理由。それは、事業の根幹に流れる「真面目さ」にありました。
「TMNとはどんな会社かと聞かれたら、『きわめて真面目な会社』だと答えます。なぜなら、私たちが社会に提供する事業の核は、どこまでも真面目でなければならないからです。かつてキャッシュレスは便利な選択肢の一つでしたが、今や人々の生活を支える社会インフラにまで成長しました。使えなくなると、経済活動が止まってしまう。
だからこそ、私たちは電力会社や鉄道会社と同じように、絶対に止めることのできないサービスを扱っているという強い自覚と責任感を持たなければなりません。
それでも障害を発生させてしまったことがあり、お客様から、『インフラ事業者としての自覚を持ちなさい』と、その姿勢を厳しくご指導いただいたことがあります。その言葉の重みを、今も噛み締めています」
小松原が参画した2017年以降、TMNは多様なキャッシュレス決済の手段に対応することでサービスの幅を大きく広げ、成長を加速させてきました。それはまさに、日本社会がキャッシュレスへ大きく舵を切ったターニングポイントと重なります。
その成長を支える事業の核、そして「真面目さ」は、TMNのビジネスモデルそのものに体現されています。
「お店に置かれている1台の決済端末。その端末を通じて、クレジットカード、電子マネー、QR・バーコード決済など、40種類を超える決済サービスを利用可能にするのが私たちのビジネスです。店舗から見れば、TMNのネットワークに接続するだけで、一度でこれらの多くの決済サービスを利用できる。
多くの消費者が当社のサービスを利用していますが、決して目につくことがない、縁の下の力持ちと言った役割でしょうか」
TMNは、店舗と決済事業者をつなぐ「ゲートウェイ」として、国内のキャッシュレス決済網の「ラストワンマイル」を支えています。
「この領域は、電力網や物流網と同じで、構築と維持に最も手間とコストがかかり、かつ一番重要な部分です。ここを丁寧に行い、お客様からの信頼を一つひとつ積み重ねていくことが、私たちの競争優位性につながっています」
地道な信頼の積み重ねと、時代の変化を捉える柔軟性。その両輪が、TMNの揺るぎない競争力の源泉となっています。
決済インフラの、次なるステージへ。キャッシュレス決済事業が生み出す次なる価値
決済インフラという確固たる基盤を持つTMN。しかし、その視線は常に「次」を捉えています。小松原が語る、決済の先にある壮大な成長戦略。そこには、会社を1,000億円企業へと導くための明確なロードマップがありました。
「私たちの成長戦略は、2つの軸で進んでいます。1つは、今ある決済事業の『面的拡大』と『縦の拡大』です。現在、私たちの端末は約110万台稼働していますが、これを自販機や交通、ヘルスケアといった新しい市場へ広げていくのが『面的拡大』。
そして、1社のお客様に対して、電子マネー、クレジットカード、QR・バーコード決済などと提供するサービスを増やし、継続的な収益を高めていくのが『縦の拡大』です。
まずはこうした自社事業の拡大によって、着実な成長をめざします。それに加え、M&Aなども視野に入れ、さらなる規模の拡大を追求していきます」
そして、もう1つの軸が、TMNの未来を象徴する新たな挑戦です。
「私たちがめざしているのは、単なる決済の会社ではありません。決済インフラの上を流れる購買データなどを活用し、新たな価値を創造する『情報プロセシングカンパニー』です。その挑戦はすでに始まっており、店舗での決済ソリューションから得られるデータを預かるデータハブを構築し、段階的に展開しています。実際に、新たなサービスとして『クラウドPOS』やデータ活用基盤である『Xinfony DataHub』などをローンチしました。
今後はこれらの事業を拡大させつつ、購買データを活用したマーケティング支援や企業間決済といった新たな領域へ、さらに挑戦を加速させていきます。決済という行為は、あくまで消費活動の一部。その前後にあるさまざまな情報をつなぎ合わせることで、小売業界全体の生産性向上に貢献できると考えています。
この両輪を回すことで、2030年度には現在の売上規模である約123億円から、1,000億円規模の企業になることを本気でめざしています」
この巨大な決済インフラを、誰が動かすのか。TMNで事業を創る仲間
会社の未来は、「人」が創る。さらなる成長を遂げるため、TMNは新しい力を求めています。小松原が語る、共に働きたいと願う人物像、そして未来の仲間へのメッセージ。その言葉には、事業を託す者への熱い期待が込められていました。
「これからのTMNには、2つのタイプの人材が必要不可欠です。1つは、私たちが描く成長戦略の中で、自らアイデアを出し、新しいサービスやビジネスを創り出していく人。失敗を恐れずに、主体的に価値創造に挑んでいただきたいと考えています。
そしてもう1つが、私たちの事業の根幹である決済インフラを、責任感を持って安定的に運用し続ける人です。日々の運用をしっかりと守り、お客様の信頼に応えていく。この堅実な仕事こそが、私たちの収益の源泉です。
新しいことを作る人と、仕組みをきちんと回していく人。それぞれの役割に求められるものは大きく異なるでしょう。しかし、この両輪があってこそ、会社は成長できると考えています」
TMNは2008年設立。大手企業に比べれば、まだ社歴の浅い会社です。だからこそ、他では得られない大きな可能性があると小松原は語ります。
「私がもともと在籍した三菱商事のような歴史のある企業には、長年培われた文化や資産、そして確立された仕組みがあります。一方で、設立から十数年のTMNは、まだまだ何もない会社です。言い換えれば、会社というものを白紙から自分たちの手で創っていける醍醐味があるということです。
決められたレールの上を走るのではなく、自ら考え、行動し、会社そのものを創っていくフェーズに関われるのが、今のTMNで働くことの最大の魅力であると考えています。
会社が何かを与えてくれるのを待つのではなく、自らの力で仕事や価値を創り出していく。そんな『自律自走』するマインドを持つ方にとっては、最高の環境です。受け身の姿勢では、何も生まれません。自ら主体的に動き、何かを創り出そうとする人にとっては、これ以上ないほどやりがいのある環境です。そんな熱い想いを持った方と、一緒にこの会社を創っていきたいと願っています」
一人ひとりの挑戦と、それを支える誠実な仕事が、社会の当たり前を進化させていく。TMNの挑戦は、これからも未来の仲間と共に続いていきます。
※ 記載内容は2025年6月時点のものです
