「育児・介護休業法」改正の第二段階として、2022年10月1日に施行された「産後パパ育休」制度。第一段階で「雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化」と「有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和」が施行されて以降、多くの企業が男性育休の取得率向上に向けて取り組んできたのではないでしょうか?
こうした背景もあり、育休について意識する機会が増えたという方も多いのではないでしょうか?中でも、世の中のパパたちはどのように考えているのか。株式会社こどもりびんぐ(所在地、東京都千代田区)が実施した「男性育児休業取得」についての意識調査から、パパの本音を紐解いていきたいと思います。
男性育休に対する働くパパの本音
今回、園児とママ・パパの情報誌「あんふぁん」「ぎゅって」を発行する、株式会社こどもりびんぐでは、10月1日の「産後パパ育休制度」のスタートを前に、読者の父親を対象として「男性育児休業取得」についての意識調査を実施。
まず、男性の育児休業取得意向について、「あんふぁん」「ぎゅって」読者の父親に聞いたところ、取得を希望する人は65.1%に上りました(職場への導入の有無を問わず)。
その理由として、産後の大変な時期に妻に対してできることをしたい、生まれたばかりの子どもと一緒に過ごしたいという声が多く見られました。
<取得した理由・希望する理由>
・大変な時期だからこそ夫婦で協力する必要があると思ったから取得。また、自身が取得することで、後輩の育休取得の後押しになると思った。(北海道・30代)
・育児についてもっと知りたいし、妻の気持ちも分かるようになりたい。(埼玉県・30代)
・妻の負担軽減、新生児から子どもと関わりを持ちたいから取得しました。(埼玉県・30代)
・職場も男性の育休取得率を上げたい時期にちょうど出産があった。新生児の頃から関わることによって父親の自覚が芽生えた。(千葉県・30代)
・次に子どもができたら取りたい。これまではそこまで話題にも出ず取らないのが普通だった。(東京都・40代)
育休が「取得できない/取得しない」理由とは?
取得を希望する人が多くを占める中、育児休業取得の意向はあり、職場でも制度は導入されているが、“できない”と考えている人が全体の約2割いるという結果になりました。
その理由は仕事の忙しさや自身の働き方、職場の理解が得られない、育休中の収入減を理由にする人が多く、企業による体制の整備が課題と言えそうです。
<取得できない理由>
・周りで取っている男性がいないため、今後の社内での立場を考え空気を読んでしまいます。(埼玉県・30代)
・管理職で代理がいないため。(千葉県・40代)
・申し出たが、上司に人手不足を理由に却下された。(福岡県・30代)
・仕事量が多く、休めば結局自分や、周りに負担がかかるのでなかなか取れない。(兵庫県・40代)
・取ると、給料が減額されるので。ボーナスにも、生活にも影響が出る。(京都府・40代)
・自営なので自分が働かないと誰にも補償してもらえないので休めない。(大阪府・30代)
・男性の育児休業制度が導入されていないので、法律で取得を義務化してほしい。取得しても、出世や異動の影響を受けない環境にしてほしい。(埼玉県・30代)
また、取得を希望しないという人も3割ほど。職場が取得できない雰囲気だから検討の余地もないという人がいる一方で、「妻が希望しないから」「男は働くものだから」といった声も多数みられました。
<取得を希望しない理由>
・妻が専業主婦でいてくれるので、自分は稼ぐのが仕事。(東京都・30代)
・取っても妻の役に立つことができないから。妻に義母が来るから取らなくていいと言われた。(奈良県・30代)
・何をしていいのか分からないから。(北海道・30代)
・育休を取ることによって現在の業務を手放すことになるので、育休は取りたくない。(神奈川県・40代)
・妻が望まないし、自分も仕事の方が気がラク。(神奈川県・40代)
・仕事の居場所がなくなりそう。男は働くものだから。(神奈川県・30代)
家庭により考え方も状況も異なります。それぞれが、望む選択肢を選ぶことができる環境づくりやカルチャー作りが重要なようです。
「人生で一番幸せな時」──育休取得をしての気づき
育休以前に、子育て自体が初めてという方も少なくないでしょう。育休を取得した方々は子育ての大変さを体感する一方で、気づきや学びがあったという声も少なくありません。今回のアンケート回答者からは、次のような声が寄せられています。
<育休を取得して感じたこと、気づいたこと>
・「とにかく一日が終わるのが早い。育児以外何もできないし、仕事のメールの返信をする時間もなかった」(埼玉県・30代)
・「育児と家事は24時間365日終わりはないということを、身をもって知った」(兵庫県・30代)
・すごく楽しくて、子どもの成長が近くで見られて良かった。半年程取ったが、もっと長く取れば良かった。(神奈川県・30代)
・めちゃくちゃ大変。自分が仕事に行っている間は、妻が一人でこれ全部をこなしているのかという驚き。やってみて初めて分かる大変さ。何で泣いているのか分からない、なぜ夜になって覚醒するのか、親って意外と寝られない。体力もそうだが、何より精神的に参ってきてしまうんだなと気づいた。(北海道・30代)
・家族とゆっくり一緒に過ごせて、人生で一番幸せな時だった。(東京都・30代)
・深夜の対応は大変でしたが、新生児と妻と一緒に四六時中過ごす経験は何ものにも変え難い幸せな時間でした。(東京都・30代)
・子どもと貴重な時間を過ごせて良かった。妻の大変さが理解できた。(兵庫県・40代)
男性育休を取得した経験者と企業5つの事例
育休の経験を経ての気づきや学び。また、これから育休を検討している方に向けての想いを抱いている経験者が多くいます。5つのストーリーをご紹介します。
▶︎株式会社ゼネラルパートナーズ
・ストーリー:男性育休「取得者」×「取得予定者」対談──ふたりの社員、それぞれの想い
・育休を経ての変化や学び:
黒木さん 「世の男性の中には、育児が楽しめないという人もいる気がします。育児を楽しむコツのようなものはありますか」
石原さん 「僕は普通に育児を楽しめているほうだと思いますが、“遊び相手ができた”と考えるのがいいと思います。自分に似た友だちができたとなれば、互いにとって良い時間を過ごすためにはどうすればいいかを試行錯誤するうちに、楽しめるようになっていくのではないでしょうか」
・メッセージ:
石原さん 「僕の場合、育休が奥さんをケアするとても良い機会になりました。休暇を終えた今も、1週間に1回、奥さんが自由に時間を使える日をつくるようにしています。育休は、家族と向き合うことができる貴重な時間です。その後も家庭内がうまくいくためのコツのようなものをつかんでほしいと思います」
▶︎デル・テクノロジーズ株式会社
・ストーリー:育児休暇を経た今、エンジニアとしても父としても2つの「オン」を楽しむ
・育休を経ての変化や学び:
佐川さん 「会社であれば、誰かが休んだ際には業務の進行を止めないようチームで支え合いますが、家庭も同じなんですよね。父親が育児に参加すれば、その分母親は休息を取ることができる。その逆も然り。
仕事も家庭も、個に依存せずチームで回していって、みんなで助け合って社会(家族)ができ上がっていくんだと実感しました。自分が育児休暇を取得したことで、デル・テクノロジーズにも“支え合い”のカルチャーが醸成されていることに気づきました」
・メッセージ:
佐川さん 「私にも不安がありましたが、復帰した今、皆さんに伝えたいことは「育休で抜けても確実に仕事はありますよ」ということ(笑)。そして職場を離れることが不安でも、出産は、長い人生で寄り添っていく家族の一大事ですから、家族で力を合わせて育児を一緒にやることは当然だと捉えています。家族はみんなで支え合って大事にしていきたいですよね。男性も、積極的に制度を活用していくことを願っています」
▶︎富士通株式会社
・ストーリー:2度の育休経験から生まれた想いと行動。目指す「育児と仕事のあり方」とは
・育休を経ての変化や学び:
石田さん 「1人目の子どもが産まれて間もない頃、『何で子どもが泣いているのかな?』と妻に聞いたことがあります。そうしたら、妻から『いや、知らないよ』と言われて。この時、ハッとしました。それまで私は、『妊娠中お腹の中で子どもとつながっている女性は、子どものことを理解しているはず』と、心のどこかで思っていたんです。
でもよく考えたら、そんなことはないんですよね。育児に対する知識や経験がないのは、妻も私も同じ。『育児のスタートは女性も男性も一緒なんだ』と気づかされました」
・メッセージ:
石田さん 「すべての家庭が同じ状況にいるわけではないので、絶対に育休を取った方がいいとは思わないんです。本人の意思や周囲からのサポートの状況、それに収入面などを考慮して、ふたりで話し合ったすえに決めればいいと思います。
いま世の中は、すべての男性が育休を取らないといけないような空気になっていますが、それでは『取得が目的』になってしまうのでは、と危惧しています。大事なのは、ふたりでどう育児と向き合うのか。そのうえで、誰もが気兼ねなく、必要とする育休期間を取得できるようになるといいと思っています」
▶︎株式会社 明治
・ストーリー:二度の育休を経て、得られた気づき。この職場だからこそできたこと
・育休を経ての変化や学び:
相良さん 「二度の育休取得を経て思うのは、繊細な気づかいや思いやりの大切さです。たとえば、グラスが空になっていれば、お茶を注いであげるとか。ちょっとしたことですが、相手が気持良くすごせるよう常にアンテナを張って、気づいたらすぐに行動することが大事だと思うようになりました。
仕事でも、同じ感覚を持って取り組んでいます。自分が管理しているラインで、最前線に立って作業をしてくれているのは、パートさんたち。日頃から皆さんの様子を注意深く見て、『いつもとちょっと動きが違うな』と感じたら、声かけするようにしています」
・メッセージ:
相良さん 「これからさまざまなライフイベントに遭遇することになる男性社員も多いと思います。出産は女性にとって、命がけの大仕事。子どもを産んだ女性は、心も体も疲労しきった状態です。些細なことであっても、ひとつだけでもいいから、『奥さんの負担を軽減してあげたい』という気持ちが何より大事だと思います。
誤解を恐れずにいうと、誰かが抜けたとしても、職場では代わりのメンバーが必ずフォローしてくれるはずです。でも、家庭内では、奥さんをサポートできるのは旦那さんしかいません。全力でサポートするべきではないかな、というのが今の私の考えです」
▶︎talentbook株式会社
・ストーリー:育児休暇は自分と組織の成長チャンス。人生の“パパ編”は「仕事も育児もバランスよく」
・育休を経ての変化や学び:
岩村さん 「仕事を棚卸しすることは、自分の働き方を見つめ直すいい機会でした。仕事に関する自分の感覚が間違っていて、想定より重要な仕事じゃないとわかることもあれば、その逆もある。この時に業務を可視化できたことで、休暇から戻った後、本当に大事な仕事から優先的に取り組めるようになったと思います(中略)
担当者が一時的に不在になる育児休暇は、引き継ぎのプロセスが組織にどんな影響を与えるのかを知るまたとないチャンス。引継ぎといっても、退職時の引継ぎとは違い限定的な引継ぎになるので、小さなリスクで組織強化にもつながります。たとえば、チームマネジメントの観点からいえば、組織の個人への依存度を見直す機会にもなるはずです。育児休暇は、組織にとってプラスしかないと思いますね」
・メッセージ:
岩村さん 「育児休暇というと、職場復帰への不安がともなうと聞きます。不安があるのは理解できますが、そもそも『育休を取得したい』と伝えたときにどんな反応をされるかは、組織の問題。いい反応が得られないのなら、社内に働きかけて改善していくしかありません。育児休暇を取得したいのであれば、まず取得すると決めてから、どうやりくりしていくかを考えるのも手だと思います」
talentbookには、男性育休を経験した方々のストーリーが多数掲載されています。あわせてご覧ください。
