障害対応を通じて学んだお客様視点──継続的なビジネスを生むためにエンジニアが果たせること
IT業界で働く両親の影響もあり、2011年にEMCジャパン株式会社(後にデル株式会社と合併し、デル・テクノロジーズ株式会社)へ新卒で入社しました。今でこそ、スマートフォンを通じて“ストレージ”という言葉に一定の馴染みもありますが、当時はマニアックな専門用語でした。だからこそ、「世間に知られていない分野で実はシェアNo.1」という点に興味を持ったことを覚えています。
両親から、「下流から上流までを経験することでITの全体像が掴める」というアドバイスをもらい、保守工程からキャリアをスタートさせました。
アカウント付きのサポートエンジニアとしてさまざまな障害対応にあたり、技術の基礎を学びました。いずれ上流工程に携わりたいと考えていたので、営業担当とは積極的に関わりましたね。提案プロセスを横目に見ながら、どんなアクションを取れば次につながっていくのかをイメージするよう努めていました。
ある時、クラウドビジネスを行うお客様のシステムに重大障害が発生しました。
機器をアップグレードした際に不具合を引いてしまい、仮想ディスクが全面的にアクセス不可の状態になりました。さらにそれを利用する一部のアプリケーションでは、データが損失するという大規模な障害でした。エンドユーザー様への賠償問題にも発展し、お客様が金銭面・信用面ともに多大に毀損している様子を目の当たりにしました。
「お客様第一」とは私も口にしていたものの、いざ障害が起きて、お客様がどのような対応に迫られるのか、障害そのものの先にどんな影響が生じてしまうのか……。そのとき初めて自覚したんです。
デル・テクノロジーズのカルチャーコードにも“お客様”(Customer)がありますし、当社に限らずとも、ほとんどの企業で“お客様第一”という言葉はあります。ですが、この一件をきっかけに言葉の深さを知りました。
障害対応の途中、お客様が「今後どう防いでいくかも一緒に考えてほしい」と言ってくださいました。お客様視点に立つ重みを理解し、アカウントを担当するエンジニアとして意識が一段上がったと思えた業務でした。以来、業務に対する緊張感がより一層高まりましたね。
調査解析など障害報告のシーンでは表に立ち、同時にプリセールスの人たちと今後のアクションを考えていく中で、「問題を起こさないシステムを最初から提案していきたい」という想いが強まりました。
エンドユーザーの視点に立ったときに自分は何ができるだろう──
問題を発生させないシステムはどうやったら作れるのか──
そうしてプリセールスの部署とのリレーションも深まり、ポジションが空いたタイミングで異動が実現しました。
制約の中でお客様にとって最適なシステムを提案する──「技術営業」の役割
良いもの(問題を起こさないシステム)を提案したいと意気込んでプリセールスになりましたが、いざポジションに就いてぶつかったのは「予算」の障壁でした。良いものを提案すれば売れる、というわけではなかったんです。
お金をかければ良い構成を組むこともできますが、お客様の予算にも限りがありますし、私たちの製品にも性能の限界が存在します。制約がある中で最高の構成を組み、提案をしていく必要がありました。
サービスの品質保証・SLA(service level agreement)に照らし合わせ、お客様のビジネスを止めることなく、どの事象を許容してシステムを導入していくかを丁寧に擦り合わせて、問題を起こさないシステム作りを心がけています。
プリセールスとして5年が経ち、プリセールスの役割は、お客様にとってなぜデル・テクノロジーズ(の提案・ソリューション)に優位性があるかを語ることだと考えています。
プリセールスとは文字通り、「技術の営業」。
エンタープライズのお客様に対して、テクノロジーカットで話すべき立場だと思っています。極端にいえば、お客様の課題や状況次第では、パブリッククラウドなどのデル・テクノロジーズ以外のソリューションが最適なのであれば、そちらを提案するのがあるべき姿ではないかと考えます。
当社の売上や利益といった営業観点のみならず、お客様の立場に寄り添い、技術的観点でアドバイスすることで信頼をいただくこと。これが起点になります。
また、”お客様第一”という言葉は、お客様のいう通りに動くという意味でもないと考えています。無理、無茶な要件を実現しようとしても、最終的にはその選択によってお客様が不利益な状態になってしまうこともあります。今後どうすることがお客様のビジネスの発展にとってベストか。真摯に議論を重ね、着地点を探る。そうした誠実さの先に私たちとのビジネスが始まっていくと考えています。
男性の育児休暇が、職場全体の働きやすさを生みだす
2021年、第二子誕生の際に5カ月間の育児休暇を取得しました。第一子の子育て中から、次のタイミングでは取得したいと思っていたんです。
当社にはワーキングマザーも多く、育児とキャリアを両立する女性がたくさんいる環境でありますが、それでも、プリセールス組織として男性が育児休暇を取得したケースは私が初めてでした。
男性の取得実績が少ない背景には、「復帰後に仕事がなくなるかもしれない」という不安があるのではないでしょうか。
私にも不安がありましたが、復帰した今、皆さんに伝えたいことは「育休で抜けても確実に仕事はありますよ」ということ(笑)。そして職場を離れることが不安でも、出産は、長い人生で寄り添っていく家族の一大事ですから、家族で力を合わせて育児を一緒にやることは当然だと捉えています。家族はみんなで支え合って大事にしていきたいですよね。男性も、積極的に制度を活用していくことを願っています。
会社であれば、誰かが休んだ際には業務の進行を止めないようチームで支え合いますが、家庭も同じなんですよね。父親が育児に参加すれば、その分母親は休息を取ることができる。その逆も然り。仕事も家庭も、個に依存せずチームで回していって、みんなで助け合って社会(家族)ができ上がっていくんだと実感しました。自分が育児休暇を取得したことで、デル・テクノロジーズにも“支え合い”のカルチャーが醸成されていることに気づきました。
育休中はどっぷり育児に漬かりながらも、技術者である以上、最新技術や技術動向といった情報収集はしっかりと行いキャッチアップに努めていました。さらに私たちは変化が早い会社なので、休暇中に社内システムが切り替わったり、会社のドメインまで切り替わるほどの変化もありました(笑)。
プリセールスとして、父として、両方を楽しんでいく
育児休暇が明けた今、仕事へのモチベーションが高まっています。
休暇中にお世話になった方々へお礼も返していきたいですし、まずはプリセールスの仕事をしっかりやり遂げたいですね。実績を積み重ねた先に、次の目標は具体的になるかと考えています。
私がプリセールスを続けている理由のひとつは、私自身、技術のスペシャリストになりたいと考えたこともあるくらい技術が好きだからです。社内(グローバル)での情報収集はもちろん、プライベートでも、プリセールス観点以外で技術の勉強を楽しんでいます。また、保守エンジニアとしての経験と、そこで身についた“お客様第一”から来る考えと行動が、自分の礎となっているからこそ、お客様と向き合うプリセールスの立場にやりがいを感じているんだと思います。
プリセールスに求められるのは、担当するお客様に技術知識をどう持っていくか。お客様の状況に応じて最適な情報が何か、という取捨選択が必要です。技術知識を武器に“お客様第一”の言葉が体現できる立場で、これからもお客様のビジネスに貢献していきたいです。
それから、家族との時間も大切にしていきたいですね。仕事は集中して、可能な限り業務時間内に終わらせたいです。リモートワークが主流になり、以前よりも仕事の効率性が求められ、メリハリにもつながる一方で、オフの時間をどれだけ子どもと楽しむかも、真剣に考えてしまいます。ある意味で休みの日も「オン」の状態(笑)。仕事と家族、どちらの「オン」も楽しんでいきたいです。
