社内に醸成される男性育休取得への機運。第二子誕生を機に7カ月の育休取得を決意

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▲左:黒木、右:石原

2022年8月現在、黒木はコーポレート部門に所属し、経営企画室と人事企画室を兼務しています。

黒木 「経営企画室では、同室を構成する2グループのうちのひとつ、経営戦略グループのマネージャーを務め、全社の経営戦略や、2030年ごろを見通した中期の経営ビジョンの策定に携わっています。経営ボードメンバーの意向を汲みながら、適切なプロセスで進められるよう舵取りするのが仕事です。一方、人事企画室では、新人事制度の運用支援やエンゲージメント向上などを担当しています」

プライベートでは、同年9月に第二子の誕生を控えている黒木。出産とほぼ同時に育休を取得し、年度が終わるまでの7カ月間、育児に専念することを決めました。

一方の石原が所属するのは、キャリア事業部。首都圏の求職者をサポートするキャリアプランナーのチームマネージャーとして、5名のメンバーを束ねています。石原は2020年8月に、GPでは10年ぶり、2人目となる育休を取得しました。

石原の存在は知っていたものの、かつて同期の結婚式に出席して共に余興を披露したとき以外、これまで社内での接点がほとんどなかったと話す黒木。

黒木 「男性も育休が取れるという認識はなんとなく頭にありました。今回、育休を取得するにあたって、とくに石原さんのことを意識していたわけではありませんが、社内には男性による育休取得への前向きな空気が醸成されていて、石原さんが作った前例からのつながりを感じています」

仕事と育児を両立させ、家族の負担を軽減。仕事以外のつながりができることにも期待

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今回が初めての育休取得となる黒木。第二子の妊娠がわかるとすぐに育休取得を考え始めたといいます。

黒木 「第一子が生まれたときも育休を取得しようかなと、検討はしていました。ただ、コロナ禍の影響で完全にリモートワークに移行したタイミングと重なり、仕事をしながら子どもの様子を見たり、仕事の手を少し止めて家事をしたりすることができたため、あえて取得する必要はないだろうと判断したんです。

今回は、すでに子どもがひとりいて前回とは環境がまるで違います。第一子のときよりも子育てが大変になるだろうと考え、育休の取得を考えるようになりました。

また、MBA取得のため学校に通い始めたばかりで、仕事との両立に苦労していました。長期的な休暇を取ることで、両方を軌道に乗せたいとの想いもありました」

育休取得の意向を伝えたときの周囲の反応はとても前向きなものだったという黒木。重い決断を下すような雰囲気はまるでなかったと振り返ります。

黒木 「職場では、『そうなんだ、ぜひ取ってください』といった反応でした。少しずつ男性の育休が社内に浸透しつつある感じがしました。

家族も同様でした。妻に『育休を取れるけどどうする?』と相談して返ってきたのは、『そう、良いんじゃない』という言葉。普段から育児や家事をある程度やっているので、どちらかというとその延長上にあるものという反応でした」

とはいえ、ひとりでの子育てには不安がともなうもの。家族の負担を軽減したいという想いが強いといいます。

黒木 「ひとり目のときも、僕がリモートで家にいたことが妻の安心につながっていたようなので、今回の育休でも、前回と同じようにしっかり育児に関わりたいと思っています。寝かしつけなど夜の一連のお世話をこれまではずっと妻に担当してもらっていたので、代わってあげられればいいなと」

また、子育てを通して、地域でのつながりを広げたいと話す黒木。次のように続けます。

黒木 「上の子を保育所に連れて行くついでに下の子と散歩に出るなど、子育てイベントに参加して仕事以外のつながりを増やしていきたいです。

職場では同じ価値観を共有する人と触れ合うことが多いので、地域というまったく異なる軸を通して、さまざまな考え方をもつ人と関係を深めていくことができればいいですね」

育休取得の最大のメリットは奥さんをケアできること

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▲石原と双子のお子さん

2020年3月に双子が誕生し、初めての育児でふたりの子どもを見る必要があったことが育休取得のきっかけとなった石原。それから2年余り経過し、「大変じゃない時期がなかった」とこれまでを振り返りますが、育休の取得前後で多少なりとも心境の変化があったと話します。

石原 「育児に専念することで、子どもの成長をそばでずっと見守り続けることができました。子どもと接する時間が増えることは親としてとても魅力的ですが、奥さんをケアできることこそが育休を取得する最大のメリットだと思っています。

黒木さんの奥さんも、淡白なリアクションをされている一方で、本心はすごく喜んでいるんじゃないかな。黒木さんが長期間の育休を取得してくれたことを、奥さんはきっとこの先も覚えていてくれるはず。将来的な家族仲にも良い影響があるのではないかと思っています」

育休を経て仕事に復帰した今も、仕事と並行して子育てを続行中の石原。両立させるコツは、夫婦で子どもの世話をする時間のパートを分けること。

石原 「たとえば、毎日の朝のパートは誰がするという具合に、時間帯ごとに分担するようになってから、生活リズムが整いやすくなり、やりやすさも感じられるようになりました。

世間では、子どもをお風呂に入れるなど夜のパートを男性が担当することが多いと思いますが、僕はむしろ朝のパートを男性が担当したほうがいいと考えているんです。というのも、深夜に奥さんが子どもの面倒を見ている場合、奥さんは夜間にまとまった睡眠時間を取ることができません。でも朝のパートを男性が担当すれば、奥さんを朝遅くまで寝かせてあげることができます。睡眠時間をしっかり確保した奥さんにバトンを渡せるので、互いに負担が少ないかたちで連携することができるはずです」

男性が育休を取得する環境は整っている。後は踏み出すだけ

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近年、社内で男性が育休を取得することへのハードルが低くなっているのを感じるという石原。周囲でも「子どもができたら取りたい」「これから取ろうと思っている」と育休取得に前向きな声をよく耳にするといいます。

石原 「僕と同じキャリア事業部でも、実際に取得を決めた人がいるなど、社内のどの部門でも育休を取ろうと思えば取れる環境が整いつつあるようです。僕が育休を取得した2年前と比べて、男性の間で意識が大きく変わってきていることをとても嬉しく思っています」

また、育休には職場復帰への不安がつきもの。仕事の感覚を取り戻せないことへの不安を口にする黒木に対して、石原はこう答えます。

石原 「僕の場合は思い切って休んでスッキリした状態で復帰しました。育休を取る前から仕事の整理をしていたので、キャッチアップするのにしんどさを感じる場面はありませんでしたね」

今後、育児に向き合う時間が増えることになる黒木。すでに育休を経験済みの石原との間でこんなやりとりも。

黒木 「世の男性の中には、育児が楽しめないという人もいる気がします。育児を楽しむコツのようなものはありますか」

石原 「僕は普通に育児を楽しめているほうだと思いますが、“遊び相手ができた”と考えるのがいいと思います。自分に似た友だちができたとなれば、互いにとって良い時間を過ごすためにはどうすればいいかを試行錯誤するうちに、楽しめるようになっていくのではないでしょうか」

長い休暇を取ることに不安を抱える人も多いはずですが、初めての育休取得を検討している人を、ふたりは次のような言葉で励まします。

黒木 「お金の面での不安もあるかもしれませんが、実は育休には雇用保険が適用され、半年間は給与の67%を受給することができます 」

石原 「僕の場合、育休が奥さんをケアするとても良い機会になりました。休暇を終えた今も、1週間に1回、奥さんが自由に時間を使える日をつくるようにしています。育休は、家族と向き合うことができる貴重な時間です。その後も家庭内がうまくいくためのコツのようなものをつかんでほしいと思います」

子どもの成長を見続けられること、育児の負担を軽減できること、夫婦がその後も長く円満でいられること、新たな交友関係が築けること──育休取得にはさまざまなメリットがあります。社会全体で男性が育休を取得できる環境が整いつつある今、働き方や生き方を見直す上で、育休はまたとないチャンスとなるのかもしれません。