steraプロダクト開発の現在地。高度な技術が詰まった開発の裏側
──三井住友カードが展開する「stera(ステラ)」は、どのようなサービスですか。
髙田:
steraは、三井住友カードが主体となり、Visa、GMOペイメントゲートウェイと協働で構築した決済プラットフォームです。
2020年に実店舗向けの決済端末「stera terminal standard」をリリースし、累計では50数万台を導入してきました。
クレジットカードから電子マネー、QRコード決済までをオールインワンで扱える端末で、お客様側と店舗スタッフ側の両方にディスプレイを備えたマルチディスプレイ構成になっているのが特徴です。操作性の高さは、店頭で触れていただくと実感いただけると思います。
リリースした当初は、パートナー各社と協働しながらプロダクトを展開してきました。そこに加えて、プロダクトの戦略をより機動的に反映していくために、社内にもプロダクト開発の機能を持つことにしたのです。
私が入社したのが2024年12月。そこから自社の環境を整え、2025年4月にエンジニア組織を立ち上げました。当時は「steraエンジニアリング室」という名称で、これが現在のデジタルステーション部の前身にあたります。
その第一歩となったのが、stera terminal lightという端末です。既存のパートナーとの関係は今後も重要ですが、自社で作ってリリースするという意味ではこれが初めてでした。
──組織の規模やメンバー構成についても教えてください。
髙田:
立ち上げは8名からのスタートでしたが、現在は社員と外部パートナーをあわせて約40名の組織へと拡大しました。
メンバーは立ち上げ当初からハイスキルの方が中心ですが、決済特有のドメイン知識は、実際にプロダクト開発を進めながらキャッチアップしてもらっています。
──キャッシュレス決済ならではの、開発の難しさはどんなところにあるのでしょうか。
髙田:
決済端末は、外から見えないところにも複雑な技術が必要とされます。
クレジットカードの場合、Visa、Mastercard、JCB、Amex、Dinersといった各ブランドの認定試験があり、これらにパスしないと端末を提供できません。認定をパスするには、あえて異常な操作やイレギュラーな状況を試す数十種類の試験に対して、専用のテストカードを購入して実装し、検証していく必要があります。電子マネーも同様です。
──誰もが気軽に「ピッ」と使う端末の裏側には、それだけの技術が詰まっているんですね。
髙田:
はい、さらにクレジットカード決済であれば偽造やなりすましを防ぐ認証が何重にも入りますし、与信枠のチェックやお預かりするカード情報の暗号化など、金融ならではのレギュレーションにも対応しなければなりません。
これだけ多様な技術を、一つの端末に束ねて作り上げる。専門性が高く手応えのある、他ではなかなかできない仕事だと思っています。
優秀なエンジニアと出会えない壁。Findyで見つけた突破口
──三井住友カード様全体で、採用にはどのように取り組まれているのでしょうか。
長谷川:
当社は2025年10月、エンジニア、デザイナー等の特定分野における専門職を対象に、ジョブ型人事制度(スペシャリスト職)を新設しました。従来のメンバーシップ型(基幹職)とは異なる評価・報酬体系が適用される制度になります。
現在、特に力を入れているのがエンジニア採用です。steraのプロダクト開発を進めるには、これまで社内になかったプロダクト開発に係るケイパビリティを自分たちで持たなければなりません。社内にないなら採用するしかない。だからこそ、いま最も注力しています。
ボリュームの大きいエンジニア採用の中でも、その中心にあるのがsteraのプロダクト開発を推進するデジタルステーション部です。
──Findyを導入いただく前、採用で感じていた課題や、壁にぶつかっていた点があれば教えてください。
長谷川:
優秀なエンジニアと、そもそもどう出会うか。そこが一番の課題でした。
というのも、決済端末という領域そのものが高い専門性を要するからです。バックエンド、組み込みAndroidのネイティブアプリ、AWS上の決済インフラ。いずれも高度なスキルが求められますが、そういった方々はそもそも簡単には見つかりません。
さらに難しいのは、世の中で「三井住友カード」と「エンジニア」が、なかなかイメージとして結びつかないことです。そのため、優秀なエンジニアと出会うこと自体にずっと苦労してきました。
──これまで、どのような手段で採用を進めてこられたのですか。
長谷川:
私が入社した2023年当時は、利用していたスカウト型の採用媒体は1つだけでした。そこから少しずつ採用手段を増やしてきました。当社では新しい媒体を導入する際に社内での検討プロセスがあるため、一度に数を増やすのではなく、必要なものを絞って選定しています。
採用経路の比率も変わってきています。2023年は、人材紹介会社(エージェント)経由の採用が7割ほどを占めていましたが、現在はおよそ半分です。残りの半分は、社員からの紹介によるリファラルや自社採用HPからの応募、私たち自身が候補者を探して直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング」が占めています。
なかでもエンジニア採用では、ダイレクトリクルーティングを中心に進めています。エージェントに任せる場合とは違い、自分たちで候補者を探し、一人ひとりに直接向き合う必要があるため、それなりの覚悟は要ります。ただ、そのぶん相手のことを深く理解したうえでコミュニケーションできるので、結果的に採用にもつながりやすいと考えています。
──その中で、Findyを導入した経緯と、決め手になった点を教えてください。
長谷川:
検討のきっかけは、当社CTOがFindyの特長である「スキル偏差値」に興味を持ったことでした。導入の決め手は大きく二つあります。
一つは、登録しているエンジニアのスキルの高さです。普段はなかなか出会えないハイスキルなエンジニアが、検索すると毎日のように見つかるほどです。そうした層に幅広く出会えることに手応えを感じています。
もう一つは、エンジニア採用で「知りたい情報」がそろっていることです。AIをどの程度活用しているか、どんなツールを使っているか、今後どんな挑戦をしたいか。プロフィールがびっしり埋まっているほど良い、と思われがちですが、実際はそうでもありません。Findyは、エンジニア採用の判断に必要なポイントが的を絞った形で登録されているので、ひと目で見極めやすいんです。
──髙田さんは、エンジニア組織を率いる立場からFindyをどう見ていますか。
髙田:Findyは、Findy Team+をはじめ、エンジニアのスキルや生産性を可視化するプロダクトも手がけている会社のサービスです。魅力的なプロダクトがあるからこそエンジニアが集まり、候補者も自然と増えていく好循環があると感じています。
全力で使い倒す運用で、ハイスキル人材との出会いを創出
──実際にどのような体制でFindyを運用されているのですか。
長谷川:
スカウトの送信は基本的に人事(私)が担当し、その後の選考は髙田さんのチームが進める、という役割分担です。専任のリクルーターは実質的に私一人です。
少人数で回しているので、媒体を増やせばそのぶん工数もかかります。だからこそ、「導入したからには全力で使い倒す」という前提で運用を設計しています。人事と現場できっちり線を引くというより、状況に応じて連携しながら進めていますね。
──カジュアル面談は人事が担当されているそうですね。候補者と向き合ううえで、大事にしていることはありますか。
長谷川:
選考の見極めは現場が担っています。ハードスキル・ソフトスキル・カルチャーフィットという三つの視点で、選考プロセスをしっかり固めてくれているんです。
ですから、カジュアル面談を担当する私の役割は候補者の見極めではなく、三井住友カードでエンジニアとして働く意義を伝える、つまりアトラクトに比重を置いています。まず会社に興味を持ってもらい、「自分のキャリアにとって意味がある」と感じてもらったうえで現場の選考につなぐことが私の役割です。
──人事と現場の連携は、どのように考えていますか。
長谷川:
「ここからは人事、ここからは現場」と役割をきっちり分けるのではなく、境界を越境しつつ、互いの動きや考えを意識しながら進める。そこを大切にしています。
髙田:
私はこの体制をすごくありがたく感じています。前職はスタートアップに近い規模の会社で、採用も方針づくりから全部自分でやっていました。素早く動ける良さはありますが、当社の規模で組織を運営し、人材を増やしていくとなると、支えてくれる組織が欠かせません。人事に採用を主導してもらえるので、開発に集中できています。
──導入後、成果としてはどう感じていますか。
長谷川:
実際に、なかなかハイスキルな方を見つけることが難しいAndroidエンジニアについても、導入から5か月で内定承諾のご縁がありました。
工数という点では、正直、媒体を増やせばそのぶんやるべきことは増えます。ただ、大事なのはかけた工数に対してどれだけ成果が返ってくるか。ROIで考えるべきです。動いた分だけ採用の成果につながっている。やるべきことは多いですが、いい汗はかけていますね(笑)。
──FindyのCS(カスタマーサクセス)については、いかがですか。
長谷川:ツールを渡して終わり、ではないのです。私たちが成果を出せるように、情報を共有してくれたり運用の進め方まで考えてくれたりする。一緒に汗をかいてくれるんです。それこそが、本当の意味での「カスタマーサクセス」だと感じています。
Findy CS担当:私たちは、企業様に運用していただかないと何もできないんです。その中で、長谷川さんが一番動いてくださっている。だからこそ、その動きやご要望をどれだけ汲み取って動けるか。そこが自分の役割だと思っていますし、私も汗をかいて応えたいという気持ちです。
キャッシュレス決済が溶け込んだ世界をつくり出す
──steraのプロダクト開発に携わる面白さは、どんなところにありますか。
長谷川:
自分たちのプロダクトが、街のあちこちで使われているのを目にできることですね。日常生活の端々で、ふとsteraが置いてあるのを見ると驚きますし、素直に嬉しいです。
髙田:
組織を立ち上げてまだ 1年ちょっと。ルールもビジネスと開発の連携も、これから育てていく段階です。裏を返せば、それだけ自分たちでつくれる余白が大きいということ。そうした状況ごと楽しみ、一緒につくっていける方にこそ力を発揮していただけると思います。
──エンジニアが活躍できるように、制度や環境はどう整えてきたのですか。
髙田:最初に感じた課題は、エンジニアを受け入れる制度がそもそもなかったことです。そこで、経営陣に「採用・評価・報酬をセットで変えないとエンジニアの採用も定着も立ち行きません」と伝えました。それを受けて、戦略人事部がスペシャリスト職として制度化してくれました。
環境面も同様に、開発者が力を発揮できるよう、OA環境とは独立したモダンな開発環境を新たに構築することを許可してもらいました。ここまでダイナミックに投資してくれているのは、素直にすごいと感じています。
──そうした環境で、どんなエンジニアに来てほしいと考えていますか。
髙田:
決済ならではのドメイン知識やセキュリティを学びながら、プロダクトとして形にできること。そして、AIと協働してビジネスの要件を技術で形にできること。これはシニアからジュニアまで、どの層にも共通して必要だと考えています。
ただコードを書くだけのスキルは、これから必要とされなくなっていくでしょう。その部分はAIに委ねられる時代なので、ビジネスの要件を汲み取り技術として形にしていく力こそが問われると思っています。
──最後に、今後の展望を教えてください。
髙田:
AIによってプロダクトのライフサイクルはどんどん短くなっており、すでに次の製品化も決まっています。キャッシュレス決済から広げられる領域は、とても幅広いのです。たとえば、決済端末にPOSの機能を持たせたり、決済で得たデータを活用したりといった展開も考えられます。
SMBCグループのアセットを活用し、キャッシュレス決済がもっと生活に溶け込んでいく。そんな世界をつくっていきたいですね。
引用元:
三井住友カードのsteraプロダクト開発を支えるエンジニア採用。Findy活用でハイスキル人材との出会いを実現
「Findy導入事例」にて2026/10/2に公開した記事を転載したものです。
