レーザアニール装置の電気設計を担当。顧客の声を起点としたものづくりを追求
住友重機械グループでは、省エネルギーおよび低炭素社会の実現に不可欠な電力変換の効率化に寄与するパワー半導体の生産において重要な役割を果たすレーザアニール装置の製造を手がけています。中でもメカトロニクス事業部 装置設計グループでは、これらの装置の性能向上をめざし、プロセスや製品の設計に取り組んでいます。
「装置設計グループには、電気設計とメカ設計の技術者が在籍しており、このうち私は前者を担当しています。装置の電源供給・制御するパワーユニットやコントロールユニットの設計と、シーケンス制御用のPLCプログラムの仕様を検討し、製作指示することが主な業務です。
装置制御用ソフトウェア設計にも携わっており、装置全体を制御するソフトウェアの仕様決め、製作指示・納期フォロー、受領プログラムの動作確認のほか、客先インターフェース部分の仕様調整なども担っています。
さらに、新規機能の開発設計も私の重要な業務のひとつです。お客さまとの打ち合わせを通じて仕様を決定し、予算・スケジュールを管理しながら設計と装置への実装・評価を行っています」
再生可能エネルギーの普及、EV市場の拡大、産業設備の自動化と効率化が進む中、パワー半導体の需要が急激に高まっています。こうしたニーズに応え、製品を迅速に提供することが、Yらのミッションです。
「パワー半導体とは、大きな電流や電力を扱う目的でつくられた半導体のことを指します。高効率のエネルギー変換を可能にすることから、省エネ意識の高まりを受け、このところとくに注目を集めるようになってきました。
近年は、装置安定稼働と、装置が生産する製品の品質管理についての要求が一層高まっています。そのため、高度なデータ処理機能が求められる予兆監視システムの実装について問い合わせを受けるケースも増えています。
要望は高度化・多様化する一方ですが、それらを装置へと反映し、お客さまの満足度を高めることが私たちの使命です。同時に、製品をよりスピーディーに提供できるよう、設計や製造の効率化に向けた取り組みも進めています」
約100年に及ぶ伝統の中で、独自のものづくりの精神を培ってきた住友重機械工業。その技術者のひとりとして、Yには大切にしていることがあります。
「当社には、お客さまの声を起点に製品を改善し、より良いものにしていこうとする考え方が根づいています。そのため、技術者とお客さまとの距離が非常に近く、仕様の決定から導入後のフォローまでを技術者が対応することは珍しくありません。
レーザアニール装置の製造においては、半導体工場や各お客さま固有のルールなど、さまざまな条件や制約がありますが、装置の仕様に関して、当社の一員として、また技術者として、確固たる信念を持ってこれらに対応することを重視しています」
広い視野を求め、住友重機械工業へ。新たな知識と刺激に満ちた環境が成長を加速
学生時代は電気電子工学を専攻したY。半導体製造装置に強い関心を抱くようになったのは、研究室に入ってからのことでした。
「大学では電気回路や半導体物理などについて幅広く学びました。研究室で半導体プロセスの研究に取り組む中、薄膜形成装置の補修作業を経験したことが、半導体製造装置に興味を持ったきっかけです」
その後、Yは半導体製造装置などの開発、製造、販売を手がける企業へ。約6年にわたって半導体製造装置の設計業務に従事しました。
「半導体装置の内部動作や電気図面の読み方、書き方などについて深く学ぶことができました。当時、私が担当したのは熱処理炉です。プロセスガスをチャンバ内に導入し、ウェハの表面に薄膜を形成するプロセスに携われたことや、ガスの配管経路を設計し、それが動作する様子を実際に確認できたことは、非常に有意義でした。
さらに、お客さまの要望に基づいてプロセスガス種の追加や制御の調整をして、社内のプロセスエンジニアと協力しながら装置への実装作業を進めるなど、半導体装置に関わる業務の進め方を総合的に経験することもできました」
そんなYに転機が訪れたのは、キャリア7年目。転職を決意した経緯を次のように振り返ります。
「自分が関わることのできる領域が限定されていたため、物足りなさを感じていました。装置の仕様決めには部分的に携われるものの、実際に行う設計はバルブなどの装置の動作制御が中心で、ソフトウェア設計や装置を使用した評価などの前後の工程は他部署に任せきり。半導体装置をもっと広い視野で理解したいと考えるようになり、転職活動を考えるようになりました」
Yが最終的に選んだのが、住友重機械工業。前職での経験を活かせると感じたことが決め手になりました。
「ヒータとレーザの違いはありますが、同じアニール装置を扱う点にまず惹かれました。また、当社では研究開発も一貫して行っています。上流寄りの工程に携われることも魅力的な点でした」
2020年に入社したY。入社前に思い描いていた通り、経験の幅が大きく広がっていると言います。
「制御ソフトウェアに関与したり、製造現場のメンバーと密にやり取りしたりと、前職では手が届かなかった、さまざまな工程に携わることができています。積極的に関わろうとするほど新しい知識が得られる、とても刺激的な環境です。
たとえば、入社後に最初に担当したのは北米向けの装置の設計でした。北米市場は制約がとくに厳しいため、国内向け装置を大きく改変する必要があります。外部コンサルタントと協力しながら、規格を満たす仕様の策定に取り組みました。
規格に合わせて機器構成を大幅に変更する必要があり、私にとって初めての経験でした。当社のレーザアニール装置の構成を知る上で非常に貴重な経験となりました」
部門を越えた協力体制で育まれる広い視野と知見が、技術者としての成長のきっかけに
入社して5年目を迎えるY。以前、技術者としての成長を実感した出来事がありました。
「お客さまに納めた装置に、意図しないところで停止してしまうトラブルが生じたことがありました。電気設計チームが対応に当たったものの、なかなか因果関係を明らかにできなかったんです。
そこで、開発を外注していたインターフェースの部分についても確認する必要があると判断し、協力会社のスタッフに助言を仰ぎながら原因究明を行った結果、原因の特定に成功し、動作を改善して無事にトラブルを解消できました。
それまでは、どんなコードで動いていて、どんな関数を参照しているのかについてほとんど気にしたことがありませんでした。自ら壁をつくってしまっていたことが原因です。この一件以来、ソフトウェアの中身に興味を持ち、ソースコードにも積極的に目を通すようになりました。自分にとって大きな変化だったと思っています」
こうした新たな発見があるのは、部門間連携が活発な住友重機械工業だからこそ。技術者の立場から、同社で働く魅力についてYは次のように続けます。
「電気設計やメカ設計、ソフトウェア部隊はもちろん、調達のメンバーや製造現場とも距離感が非常に近く、課題に対して一丸となって取り組めている実感があります。組織の規模が大きくなればなるほど、部門ごとに分業が進んでしまいがちですが、当社にはそれが当てはまりません。
『あの件、どうなりました?』と部門の壁を超えて気軽に尋ねることができる風通しの良さは非常に魅力的です。このような文化が社内に根づいているおかげで、技術者としての知見が広がっているのを感じます」
一方、将来性のある事業に携われていることが、やりがいにつながっていると話すY。
「海外のお客さまの比率が以前に増して高まっており、需要の高い装置に関われていることを肌で感じてきました。海外の展示会の様子を見れば、競合他社も同分野に力を入れていることは明らかです。市場が拡大するにつれて、競争が過熱しています。
市場と共に成長していくためには、これまで以上にスピード感をもって改良を重ね、お客さまの期待に応えていかなくてはなりません。真に価値あるもの、本当に求められるものをいかにすばやく提供できるかが鍵になると考えています」
顧客に近い立ち位置でものづくりに挑む。潜在ニーズを顕在化し、提案できる技術者に
半導体製造装置に携わって丸10年。Yには今、技術者としてめざす姿があります。
「現在は、お客さまからの要望を起点に課題解決に取り組むケースが一般的ですが、お客さま自身も気づいていない潜在的なニーズを掘り下げ、先回りして提案できるような技術者になりたいと思っています。前職時代を含め、キャリアを通じて磨いてきた技術者としての感性を活かし、よりお客さまに喜ばれる半導体製造装置の開発に貢献していきたいです。
装置の立ち上げ時など、現地でお客さまと話していると、『ここに悩みがあります』『この部分が触りづらいと感じることがあるんです』という具合に、ふとした会話をきっかけに、より良いものづくりのためのヒントが得られることがよくあります。
そうした生の声を拾い上げ、実際にかたちにしていけるのは、技術者だからこそです。設計者として譲れないこだわりを守りながらも、常にお客さまの近くで寄り添える存在であり続けたいと願っています」
入社後、理想的な環境で着実に成長を遂げてきたY。新しい仲間に向けてこんな言葉を送ります。
「部門間の垣根が低く、さまざまな分野の幅広い知識を得られることが当社の大きな魅力です。専門領域にこだわりすぎると、『木を見て森を見ず』ということにもなりかねません。
スペシャリストとして専門的な知識や技術を深めることも重要ですが、幅広い経験を自身の糧にしていくことが、個人と組織の成長につながると信じています」
※ 記載内容は2024年4月時点のものです
