半導体製造装置のコンポーネントとなる、サーボドライバの設計開発に携わる
Tが所属するメカトロニクス事業部制御技術部制御コンポーネントグループは、主に社内装置や、他事業部向け装置、各種装置メーカ向け制御コンポーネントや制御システムを開発する部署。その中でTは、パワエレ開発チームの一員として、半導体製造装置メーカ向け「サーボドライバ」ユニットのハードウェア、主にパワーエレクトロニクス領域の設計開発に携わっています。
「サーボドライバとは、モータを動かす推力、速度、位置などを制御する電力出力装置のこと。半導体製造装置であれば、半導体ウェハを置くステージの駆動などに使われるもので、精密な位置制御が求められます。
その中でも私が担当しているのが、リニアモータを駆動させるドライバユニット。設計開発だけでなく、納品後に不具合があった場合、品証部、製造部、サービス部と共に対応したり、開発した新製品をお客さまに試していただいて要望を営業部と共にヒアリングしたり、他部署と連携した業務も行います」
世界的に半導体関連の需要がますます高まり、製造装置市場でも性能向上が求められる昨今。Tは、仕事のおもしろさと難しさを次のように語ります。
「私たちが担当するコンポーネント製品はBtoBで目立たない領域ではありますが、モータを思い通りに動かす上で必要な電力を制御するコンポーネントであり、精密な制御技術が求められます。
たとえば半導体製造装置など精微な加工を行う装置では、ウェハや基板を運ぶステージを、狙った位置で停止させたり、一定速度で移動させたり、これらの駆動にばらつきが少なく常に一定であるような、高い安定性精度を実現できる技術を求められます。このような難易度の高い要望に応えることや課題を解決することがまず技術者として楽しいです。
解決するには電気や機械、制御などさまざまな分野の知識が必要ですが、それらを複合して製品を設計開発していくところや、実際にモータやステージを動かし、設計通りの出力を実現できたときに達成感を得ることができ、設計開発のおもしろさを感じます。
一方で、多様な知識を身につけるためには日々勉強が必要です。私は前職が電気部品メーカだったので電気設計には理解があるものの、機械設計についてはほぼ未経験であったため、社内研修などを活用して学んでいます。チームも少数精鋭のため、一人ひとりが幅広い知識や技術を身につけなければなりません。
また、現在行っている製品拡販活動を通じて新たな装置領域へも採用いただけるよう、新しい要望や技術トレンドを掴み、チームに共有することでチーム全体の技術力向上に取り組んでいきたいと思っています」
前職では海外駐在を経て大きく成長。開発全体を手掛けたいと、住友重機械工業へ
学生時代は電気工学を専攻していたT。クリーンエネルギー分野に興味を抱き、太陽光発電、とくに半導体材料の研究に取り組んでいました。
「新卒時の就職活動では、電気材料の知識を応用しつつ、国際的なビジネスに携わりたいと思っていたこともあり、世界中に開発拠点があるような電気部品メーカに入社を決めました」
入社後、技術統括部で電気部品製品の評価を担当したTは、アメリカの現地法人に出向。ここでの経験が、技術者としてのスタンスや価値観に大きな影響を及ぼしたと振り返ります。
「アメリカの現地法人は、もともとベンチャー企業だったという背景もあり、チャレンジ精神溢れる環境でした。たとえば、当時注目され始めていた『GaNデバイス』という新しいデバイスをいち早く採用し、他の部品メーカと協力しながら、製品化をめざしていたんです。新しいものをどんどん取り入れて『まずはやってみよう』というスタンスは、自分も見習いたいと感じました。
また、帰任後は徐々に設計や開発業務を担当するようになったのですが、駐在時代にさまざまな人の手を借り、試行錯誤した経験と開発をやり切った経験があったからこそ、製品開発のおもしろさや達成感を味わえたのだと思います」
帰任後は変圧器に関する特許を取得するなど、技術者としてのキャリアを着実に積み上げていったT。そんな中で結婚という人生の転機を迎え、妻の実家がある関東圏へ生活の拠点を移すことになります。
「生活圏を変える=仕事を変えることに多少の不安はありました。でも、海外に数年間駐在した経験から、『どこでもやっていける』という自信もついていました。
転職先として住友重機械工業を選んだ理由は2つあります。
1つは、扱っている技術内容が前職と近く、パワーエレクトロニクス関連の設計知識を活かせそうだと感じたこと。
もう1つは、製品開発の全体を任せてもらえる環境だったことです。前職では1つの製品開発を5人程度のチームで担当していたので、一人ひとりが担当する設計工程は細かく区切られていました。
一方で住友重機械工業は、少数精鋭で開発していることから一人ひとりの対応範囲が広いと聞き、全体を把握しながら1人でさまざまな工程に携われそうだなと。
もちろんより幅広い知識が必要になるという難しさもありますが、スケジュール管理などの面でも裁量を持って働ける点に魅力を感じました」
新たな知見を身につけながら、技術者として確実にレベルアップ
入社後から一貫して、半導体製造装置向けリニアモータードライバの開発に携わってきたT。まずは試作機の評価を担当し、徐々に制御システムの理解を深めたのちに各種設計を担当するようになりました。
「私は機械設計についてはほぼ知識がなかったため、入社後に学ばなければと思っていたのですが、実はちょうどグループ内で人事異動があり、機械設計に詳しい人がほかへ移ってしまったんです。設計自体は外注することになったのですが、成果物を検収する立場としてある程度の知識が必要だったため、機械図面の読み方を学べる社内講座を受講したり、本を買って独学したりしました。
もともと『自分が対応できる開発業務の幅を広げたい』と考えていたので、新しい知識を得ることは楽しかったですし、技術者としてレベルアップできたのではないかと思います」
情報をキャッチアップし、新たな環境にフィットしていく上では、住友重機械工業の社風はありがたかったとTは語ります。
「上司を含め周りには中途採用の方が多いからか、私が迷うポイントを先読みして教えてくれるなど、フォローが手厚く受け入れ体制が整っていると感じました。風通しが良くみんな紳士的な人たちばかりで、人間関係でストレスを抱えることなく業務に集中できました」
そんなTには、入社後忘れられない出来事があります。
「当社のコンポーネント製品は長年にわたってご愛用いただくことが多く、そうすると部品メーカから仕入れている部品の方が生産中止になってしまうケースがあるんです。その場合は製品延命開発をします。これは生産中止になる部品の代替品を選定したり、周辺回路を設計変更したりするのですが、とあるリニアモータのドライバユニットの延命開発を引き継いだときのこと。
設計したドライバユニットをお客さまのところに持ち込んで試験的に使っていただいたところ、現場の方から『何か臭う』とのご指摘があって……。確認すると、ドライバユニットに接続される電力分配ユニットの部品が焦げてしまっていたんです。
設計変更の了承は得ていたものの、ドライバユニットの出力電圧を高くしていたことから、電力分配ユニット内の部品が異常発熱していました。これは、お客さまとの仕様擦り合わせは実施していましたが、対象機種が古く、双方の仕様確認が不足していたことが原因でした。
急遽設計を見直し、出力電圧を元に戻す代わりに制御の応答性を高める変更を加えることで解決したのですが、これまでで一番ヒヤッとしました。製品機種を幅広く扱うことができることが楽しい反面、システムの仕様確認や理解が重要だと学ぶことができた経験でした」
一方で、前職の経験を活かし、チームに貢献できたと感じた瞬間もあります。
「前職で扱っていた『GaNデバイス』や『SICデバイス』の知見は今の仕事にも活きていると思います。これらは、既存のシリコンを使ったデバイスと比べてより高周波駆動が可能かつ低損失という特徴があります。
いま私たちが開発している製品にも採用し、結果として小型化や高性能化の実現へ貢献できたことは技術者としてとても嬉しいですね」
技術力を核とする住友重機械工業だからこそ開発できる製品を世界へ
転職後、希望通り業務の幅を少しずつ広げてきたT。仕事をする上で大切にしているのは、最新技術をキャッチし続けるアンテナと、エンジニア同士でさまざまな議論をし合える環境だと言います。
「設計や開発を進めるにあたっては、エンジニアそれぞれがいろんなアイデアを持っていると思いますが、私は全員がアイデアを出し合える雰囲気が大切だと考えています。そう思うようになったのは、前職で海外駐在したときの経験が大きいです。当時の職場にはベテランの方がたくさんいたのですが、若輩者の私のアイデアも聞き入れてくれ、部品メーカや協力会社など、公平に話し合って意思決定していくスタイルに感銘を受けたんです。
自由に意見を言いにくいとか、空気を読んで自分の考えを言わない、というチームではなく、みんながアイデアを出し合い、納得できる形でより良い製品を作っていくチームでありたいです。
また、現在の職場においてもアイデアを出し合える雰囲気なので、この雰囲気を維持していきたいです」
そんなTは、住友重機械工業で働く魅力について次のように語ります。
「当社の一番の魅力は、メカ、電気、制御などの各分野で確かな技術力を持っていること。たとえば半導体製造装置のように、いま社会が必要としている領域に対して、核となる技術をもとに製品やソリューションを提供できるので、社会情勢がどんなに変化しても対応していける会社だと思います。
また、大企業なので福利厚生がしっかり整い、最近は育児などに関する制度も充実してきました。ワークライフバランスが取れる働きやすい環境だと感じます」
今後は電気、機械にとどまらず、さらに幅広い分野の知見を身につけたいと言うT。めざすのはやはり「技術」を核とした製品開発です。
「当社の技術があるからこそつくれる製品、競合他社にはない独自性のある製品を開発し、多くのお客さまに喜んでいただきたいという目標があります。そうした製品をつくり、国内だけでなく、いつか海外にも展開できたら嬉しいですね。前職での経験を活かして、グローバルな視点で製品開発に取り組んでいきたいと思っています」
※ 記載内容は2024年4月時点のものです

