「製造ノウハウを自社で持つ」。メーカーとしての新たな挑戦
三共は建設に用いる「足場」などを企画・開発・販売し、かつその製品を現場に施工するサービスを全国に展開している会社です。メーカー業と施工サービス業のハイブリットな経営スタイルで、創業61年の安定経営を実現しています。
当社では従来、自社製品の製造を協力工場に委託してきました。それは高い品質の維持と効率的な生産体制を実現する一方で、メーカーとして自らの製造ノウハウを自社に蓄積することの重要性は無視できないものでした。
そして2020年、三共の「モノづくり」の基盤をより強固なものとするため、「自社製造工場の立ち上げ」という大きな挑戦が始まりました。
三共の「自社製造工場」として、兵庫県加西市で稼働中の「T-Lab(ティーラボ)」が誕生。立ち上げに際しては、モノづくりに関わる部署に20年務めた経験から、私が中心になって携わることになりました。
地元九州を離れ、活躍の舞台を大阪に移した新卒時代~工場の立ち上げを任されるまで
私が就活生だった時、世間的には就職氷河期と呼ばれる時代でした。各社採用枠が少ない中で競争も激しく、当時の学生は100社以上応募することも珍しくない時代です。私自身も相当数の企業に応募しており、三共もそのうちの1社でした。
応募していた職種は、三共を含めてほとんどが営業職でした。その後、三共から内定をいただき、ほかにも数社から内定をもらう中で、私は非常に悩んでいました。というのも、自分自身が本当に営業職に向いているのか、まったく自信が持てなかったからです。「いっそのこと、内定を断って別の職種で再挑戦しようか」とさえ思い悩んでいました。
そんなある日、三共から突然連絡がありました。その内容は「配属が営業ではなく、生産管理課になる」というものでした。この時、自分が営業職について悩んでいることを会社にはまったく伝えていなかったため、不思議な縁のように感じました。
当初、営業職なら九州の拠点に配属されるものと考えていましたが、生産管理課となると勤務地は大阪本社。それまで馴染みのない大阪で働くことになるというのは不安もありましたが、学校では建設工学を学んでいたこともあり「これも何かの運命かもしれない」と感じ、思い切って大阪への転居を決意。内定を承諾しました。
その後は新卒として生産管理課に配属され、購買や開発などさまざまな業務を幅広く担当しました。当時は外注に頼っていた品質管理や物流の部門も数年をかけて徐々に自社に移管され、それぞれが部署として独立していきました。20年かけて三共のモノづくりに関わるほとんどの部署を経験した私は、2020年頃には品質管理課と購買物流課の課長を兼任する立場になっていました。
そろそろ後進に機会を与えるため、自分はまた新しいことに挑戦したいと考え始めていた頃、社内で「自社製造工場立ち上げ」の話が持ち上がりました。当社はメーカーとして製品の販売も行っている会社ですが、製造については協力工場に頼る部分も多かったのです。しかし、メーカーとしてはやはり製造ノウハウを自社でもしっかりと継承していくべきとの思いがあり、外注に頼りきりにならない自社製造工場の立ち上げが求められました。
「これは新しいことに取り組むチャンスだ。これまでのモノづくりに関わるすべての部署に携わってきた経験を活かす時がきた!」そんな思いで、私は迷わず手を挙げました。
さまざまな困難を乗り越え立ち上がった「T-Lab」のこれから
2020年頃、自社製造工場の立ち上げが企画された時、私たちは工場の場所から選定する必要がありました。当時は海外に設置する案がもっとも有力でしたが、その頃猛威を振るった新型コロナウイルス感染症の流行により、断念せざるを得ませんでした。
日本で土地探しからの再出発。製造については管理する側としての知見はあるものの、実際に作業を行ったことがあるわけではなく、課題は山積みでした。幸いにも、品質管理チームの業務で協力工場の製造工程を見ていた経験や、生産管理チームで培った製造の基礎知識が活かされ、どのような設備が必要かはある程度理解していました。そして2022年頃、ついに兵庫県加西市で「T-Lab」の歩みが本格的に始まりました。
自社には金属の溶接ができるメンバーはいませんでしたから、そのノウハウがあり自走できるベテランの方を採用する必要がありました。兵庫県の山奥という立地で溶接の経験者。難しい採用ではありましたが、ありがたいことに初年度から2名の採用に恵まれました。
経験もあって面倒見がよく、周りを見て仕事ができるベテランのSさん。若く経験は少ないが、いろいろなことを学びながら最後までやり遂げる力を持ったYさん。今はこのメンバーと私の3人が中心となり、自社での製品製造を担当しています。私も含めてそれぞれがそれぞれから学び合い、協力し合って仕事をしていると感じます。
たとえば私は溶接の実務経験はありませんから、Sさんからよく学びます。逆に三共のことはまだまだ私の方がくわしい。もちろん若いYさんにも、伝えることで逆に学びをもらっています。彼らは「T-Lab」を作り上げていく仲間であり、お互いの師でもあるんです。
もちろんずっと3人でやっていくつもりはありません。今は、TOBILINE(トビライン)、TOBISLIDE(トビスライド)の一部の部品を作るラインしかないので、もっと多くのラインを持ちたいと考えています。そのためには新しい仲間の採用も必要ですし、工場設備の拡充も必要です。
目下の目標は、自社製造工場だけでも多品種小ロットの製造ができる環境を整えること。しかし、協力工場との関りはこれからもやめるつもりはありません。従来商品のノウハウは協力工場にしかありませんし、量産するにはやはり外部の協力は必要不可欠です。中長期的な目標として2028年には、いま協力工場と横並びにある自社製造工場を製造の中心におき、相互連携しながら製品を安定供給することを掲げています。
みんなで考え、みんなで挑戦するから生まれる楽しさ──ここは「大人の遊び場」
三共ではすべての部署が、半期の目標をチームで立ててその達成をめざします。毎週1回は必ず振り返りのミーティングを行い、先週できたこと・今週やることをみんなで相談するんです。
目標は会社の方針や部署としての大きな目標を達成するために、将来を見据え逆算した活動をチームで考え、チームで遂行していく。私たち製造チームの目標は、「新しい製造手法について週に1度はアイデアを出すこと」です。ベテランも若手も関係なく、やってみたいことや「もっとこうした方がいいんじゃない?」という意見を十分に交換し合える貴重な時間になっています。
私自身、新しいことに挑戦することが大好きで、最近だと新しくプレス機を導入してみました。これにより今まではT-Labでは製造できなかったパーツも作ることができるようになりました。しかし、量産体制に向けての課題は山積みです。
あと、仕事とは関係ないのですが、じつは「T-Lab」には筋トレコーナーがあります(笑)。設備はフリマサイトを活用して中古品を無料でもらってきたもので、日に日に充実していっています。ジョーバや腹筋ローラー、マッサージチェアまで完備しているんですよ。まだまだ立ち上げ中の工場だからこその「遊び」の部分ですが、仕事も遊びもこうやって何かをみんなで作り上げていくのが、やっぱりおもしろいですよね。
新しい仲間に求めていることは、こういった新しいチャレンジを一緒に楽しんで、一緒に成長してくれる人であることです。「T-Lab」は立ち上げのフェーズということもあり、整った環境ではありません。それを一緒になっておもしろがってくれる方がいれば、きっと「T-Lab」はより進化していきます。ぜひ私たちと一緒に、「T-Lab」を遊び尽くしましょう。
※ 記載内容は2025年1月時点のものです
