中国5県のサービス部門を統括。販売店との協働でめざす持続可能な医療支援
──所属する部署やそこでの仕事の内容について教えてください。
西日本営業本部の中四国営業部に所属し、サービス部門のマネジャーとして中国地方5県を担当しています。9名のフィールドサービスメンバーと4販売店、7名のサービスライセンス保有者ともに業務を推進し、サービス全般を統括するポジションです。
私たちサービス部門の役割は、製品販売後の価値を最大化することにあります。修理対応にとどまらず、操作方法のレクチャー、検査・手術後の適切な洗浄・消毒・滅菌プロセスのサポートなど、医療現場が安全かつ効率的に製品を活用できる環境づくりを支援しています。
近年は、サービス事業そのものの収益性向上も重要なテーマです。保守契約・有償点検をはじめとするサービスプロダクトの売上目標の達成や、保守契約いただいている医療機器の修理件数を減らす取り組みにも注力しています。
保守契約のメリットは、年間定額制によるコストの平準化だけではありません。修理代替品の迅速な手配、突発的な修理費用の発生にともなう決裁負荷の軽減など、“医療現場を止めない”仕組みを提供できる点にあります。
さらに、過去の修理データを分析し、使用方法に起因するエラーの傾向や改善ポイントを可視化して、資産をより効率的に運用するための情報を定期的にフィードバックしています。こうしたデータにもとづく支援ができるのも、保守契約ならではの付加価値だと考えています。
国内では長らく「サービスは無償が当たり前」という認識が根強く、サービスへの適正な価値付けに対して、現場に抵抗感があったのも事実です。ただ、販売店との役割分担が整理され、サービス品質の高さそのものが競争力になるという理解が広がってきました。そして、これからはダウンタイムの削減ではなく、アップタイム向上の支援に注力する仕組みとオリンパスサービスとしての活動が必要だと感じています。
未来を見据えて現在は、オリンパスと販売店がそれぞれの強みを活かしながら、持続可能な関係性を構築しているフェーズだと捉えています。
──オリンパスで働くやりがいを、どのような点に感じていますか。
胃がんや大腸がんなど、誰にでも起こり得る疾患のリスク低減に貢献できる点や、低侵襲な腹腔鏡手術機器の保守メンテナンスに関われるなど、大きな意義を感じています。
また、オリンパスは内視鏡分野で高いシェアを持っています。自分たちの意思決定やアクションが、市場全体にインパクトを与えうるスケール感も大きな魅力です。
加えて、グローバルに事業を展開している点もオリンパスの特徴です。日本発のメーカーでありながら、世界のさまざまな地域でキャリアに挑戦できる環境が、大きなモチベーションになっています。
現場から本部、そして海外へ。医療への想いを軸に、サービス事業の変革を推進
──入社の経緯と、これまでのキャリアについて教えてください。
学生時代から、医療現場に貢献できる仕事に関心がありました。製品そのものを扱うより、人と向き合いながら価値を発揮できる職種を探す中で出会ったのが、フィールドサービスという仕事です。
中でもオリンパスに惹かれたのは、スピードと判断力が常に求められる環境だと感じたからです。たとえば、内視鏡の洗浄機にトラブルが発生すれば、次の検査ができなくなるなどの影響が出ます。そうした高い緊張感の中で働きたいと考えていました。
入社後は、フィールドサービス部門で内視鏡室と手術室を担当しましたが、より上流で仕組みづくりに関わりたいという想いがしだいに強くなり、5年目に保守の企画グループへ異動しています。
その背景にあったのが、ある基幹病院の臨床工学技士の方との出会いです。当時のオリンパスの保守契約について、医療機器の安定的な稼働に向けた改善案を、率直かつ具体的に示してくださいました。
そうしたニーズが明確にあるにもかかわらず、現場の立場では解決できない課題も少なくありません。そのもどかしさから、「保守契約をつくる側に回りたい」と本部への異動を希望し、保守契約を立ち上げるプロジェクトチームに参画しました。
その後、企画部門に移り、商品開発や施策の設計と展開を担当したのち、中国・北京での駐在を経験しています。中国駐在期間は、サービスの収支改善に向けた新たな保守契約や複数年保証制度の導入を推進し、サービス事業の立て直しに取り組みました。
──北京駐在中の印象的な出来事と、帰国後に現場へ戻った理由を教えてください。
中国では言語や文化の違いもあり、日本と同じやり方が通用しません。着任後、半年から1年ほどは、成果を出し続けることに苦労しました。
そうした中で転機となったのが、現地の医療事業トップとの出会いです。その方のもとでリーダーシップの取り方や、組織を動かすためのコミュニケーションの本質を学べたことが、突破口になったと感じています。
会社としてめざす方向性を丁寧に言語化し、目先の成果ではなく中長期のゴールを共有しながら、一つひとつ変革を積み重ねていきました。その結果、中国全土のローカルスタッフの協力が得られ、計画どおり4年でサービス事業の黒字化を達成しています。
一方で、現場から長く離れているという感覚もありました。「医療の最前線に立つ方の役に立ちたい」という想いから、帰国後は再び現場を希望し、現在のポジションに至っています。
事業の中核をめざし、マネジメントの道へ。個の強みを掛け合わせ、チームの力を最大化
──マネジャーを志した理由は?そのために意識して取り組んだことを教えてください。
学生時代に観ていたテレビドラマを、あらためて見返していたときのことです。主人公が職場の先輩から「正しいことをしたければ、偉くなれ」と諭されるシーンがあり、その言葉が強く残りました。今の自分は、正しいと信じていることができているか。そう自分自身に問い直したことが、マネジャーを志したきっかけです。
背景には、2つの重要な経験がありました。1つは、尊敬できる上司や先輩との出会いです。先述した中国駐在時の現地責任者ともうひとり、本部時代のチームリーダーの存在が大きかったと思います。そのチームリーダーは、ほぼ同じ年齢ながら、小規模とはいえプロジェクトを任されていました。新しいプロダクトのリリースに向け、複数部門を横断しながらプロジェクトを推進していく姿を見て、「立場が変わると、関われる仕事のスコープがここまで広がるのか」と強く実感し「カッコいい先輩のようになりたい」と憧れたのを覚えています。
もう1つは、メンバーポジションでは、情報の量と質に限界があると痛感していたことです。役職者会議で交わされている議論を、二次情報ではなく一次情報として入手するためには、そのポジションに就くしかありません。意思決定レイヤーに近づくほど、情報の解像度が上がると考えていました。情報の解像度が上がるほど、会社がどこに向かおうとしているのか、そのためには自分は何をする必要があるのかと言うことがより明確になるような気がしていました。
マネジャーを志す上でとくに意識したのは、「任せること」です。自分がやるべきことと、メンバーにアサインすることを明確に切り分けるよう心がけました。加えて、任せた以上何かあれば責任を取る覚悟も必要です。
──マネジャーになった後、どのようなチームづくりをしてきましたか?
めざしたのは、それぞれの強みで補完し合える「適所適材」のチームです。たとえば、プレゼンテーションが苦手なメンバーには、得意なメンバーとペアで練習してもらう、データ分析に長けているメンバーが指導役となるなどといった具合で、サポートし合えるような仕組みを作っていきました。
成功体験の設計にも意識的に取り組みました。メンバー自身の担当エリアの課題についての取り組みについてもショートゴールを設定し、段階的にハードルを上げながら、「できたこと・できなかったこと」をきちんと言葉にして伝えることで、徐々にメンバーの表情や行動に前向きな変化が生まれていきました。
──マネジャーの難しさ、醍醐味をどんなところに感じますか?
仕事の成果は、本人の頑張りだけでなく、環境やタイミングといった外的要因にも左右されます。努力しても結果が出ない局面で、メンバーがいかに前向きな状態を保てるか。そこにマネジメントの難しさがあります。
一方で、メンバーが成長する姿を見るのは何よりのやりがいです。自分の行動が事業やお客さま、そして数字にどうつながるのかまで理解し、自走し始める瞬間に立ち会うと、確かな手ごたえを感じます。
また、オリンパスは創業100年を迎え、次の100年に向けた新たなチャレンジが始まりました。若い世代に歴史や価値観をつなぎ、彼らがオリンパスの未来を描いていく──そのプロセスに関われることも、マネジャーならではの醍醐味です。
転勤で築いた人脈が強みに。現場起点の価値創造をめざし、次のキャリアステージへ
──転勤の経験は、どのようなメリットがありましたか?
新しい拠点には、新しい同僚がいます。さまざまな考えや価値観に触れられたことが、貴重な財産になりました。
また転勤後は、人のつながりが途切れるどころか、むしろ広がっていきます。転勤を繰り返す中で、以前の職場で一緒だったメンバーと、別の拠点で再会したこともありました。
意見交換したり、相談をフラットに持ちかけ合ったりできる関係が増えると、情報量が自然と増えていくものです。このように転勤には大きなメリットもあると思います。
──今後の展望を教えてください。
上司の多大なるご指導と協力のもと、2025年から販売店へオリンパスの社員に出向してもらう取り組みをスタートしました。この実現には上司・先輩の協力に加えて、出向に適した優秀な人財が広島に居た事も本当に恵まれたことだと思っています。
メーカーと販売店の関係は、どうしてもメーカー主導になりがちで、外側から正論を伝えても、「同じ痛みを感じていない」と受け止められてしまうことがあります。社員出向を通じて同じ目線に立ち、「一緒に共通目標を実現する」ためにサービス体制の強化につなげていきたいです。販売店への出向はあくまで手段・方法ですが、大切なパートナーである販売店と同じ方向・ゴールに向けて一緒に歩み続ける第一歩が始まったと思います。
そしていずれは、医療現場や販売店からお寄せいただいいたリアルな声や課題を、新たな仕組みやプロダクトへ還元していきたいと考えています。将来的に、再び本部に戻るキャリアも当然視野に入れていますし、その先にはまたグローバルへの道にもチャレンジしていきたいと考えています。
──マネジャーを志す若手社員にメッセージをお願いします。
いろいろなマネジャーがいていいと思っています。大切なのは、自分の考えや方針に共感してくれる上司やメンバーがいるかどうか。また、共感を得るためだけの熱意と根拠があるかどうか。型にはまる必要はありません。
「管理職に向いていない」という理由だけで、キャリアの選択肢から外す時代ではないと感じています。プレイヤー志向やスペシャリスト志向の人ほど、メンバーの気持ちを理解できるはずです。それにお客さまから直接たくさんのお声を頂戴しているはずです。そのお客さまの「声」には必ず未来のオリンパスのビジネスチャンスはあるはずです。何より、権限がなければ物事を動かせません。オリンパスで実現したいことがあるなら、お客さまからたくさんのお声をいただいているならマネジャーに挑戦する価値は十分にあるでしょう。
現場のメンバーは優秀で、営業をはじめ他部門から学ぶことも少なくありません。そうした個の力をどう活かし、組織として成果につなげるか。それこそが、マネジャーの役割だと思っています。
さらに、マネジャーを経験する中で、時間を資源だと考えるようになりました。同じ8時間働くなら、より大きな価値を生み、それに見合った評価をされるほうがいいというのが私の持論です。
新しいビジネスモデルの構築に時間とエネルギーを投資し、高い成果につなげられれば、残りの時間をプライベートに充て、人生をより豊かにできます。シンプルですが、それが私なりのマネジャー観です。
※ 記載内容は2025年12月時点のものです

