クレジットカード決済システムのセキュリティを守る最前線での挑戦
私たちCSIRT(Computer Security Incident Response Team)のミッションは、日本最大級のキャッシュレス決済基盤の安全性を確保し、安心して利用できる環境を継続的に提供することです。数百億円規模の決済を扱うシステムにおいて、わずかな脆弱性や障害が社会に与える影響は計り知れません。その責任の重さを日々感じながら業務に取り組んでいます。
私が担当する業務は、大きく3つに分けられます。
1点目は脆弱性情報管理です。決済システムで利用する機器やソフトウェアに関する脆弱性情報を収集・評価し、重大性や影響度を判断する業務を担当しています。新しい脆弱性が公表された際には、その内容を精査し、対応方針を策定したうえで、システムを管理するチームに指示を出します。例えば「特定の設定が有効な場合に影響を受ける」という情報があれば、その条件を確認するために管理チームへ調査依頼を行います。自ら設定を直接変更するのではなく、評価結果に基づいて必要な対応(設定変更やパッチ適用など)を指示することが中心です。こうした業務を通じて、決済システムの安全性を維持し、利用者が安心してサービスを使える環境を支えています。
2点目はログ分析です。外部への機密情報の不正持ち出しが発生していないかを監視するため、大量のログデータを分析し、異常なアクセスパターンや不審な動きがないかを日々確認します。膨大なデータを扱うため、精度とスピードの両立が求められる業務です。
3点目はDDoS対策です。分散型サービス妨害(DDoS)攻撃への対策も重要な業務の一つで、攻撃を受けると決済サービスが停止し、社会に大きな混乱を招きます。そのため、システムの安定運用を確保するための監視・対応を行っています。
これらの業務を遂行するためには、OSやネットワークの深い知識に加え、クレジットカードやキャッシュレス決済といった金融業界特有の業務知識も不可欠です。単なるセキュリティ対策ではなく、社会インフラを支える決済システムを守るため、より高いレベルの判断力と責任が求められます。私は今年度の目標としてLPIC Level3の取得を掲げ、日々学習を続けています。セキュリティ分野は技術の進歩が早く、自己研鑽を怠ることはできません。金融・クレジットカード業界ならではの高度なセキュリティに挑戦しながら、社会的意義の大きさを常に意識し、知識とスキルの向上に努めています。
流通システム開発からセキュリティエンジニアへの転身
私のキャリアは、新卒で入社した流通システムを取り扱う会社から始まりました。そこではJavaなどを用いた開発業務や単体試験を担当していました。自分が書いたソースコードが無事に動いたときの安心感は今でも忘れられません。新人ながら小売業者の流通システムに貢献できたことは、大きな喜びでした。
特に印象に残っているのは、オンプレミスからクラウドへの移行プロジェクトです。始まりから終わりまで関わり、やり遂げられたことは大きな自信につながりました。しかし、クラウド化を進める中でも、開発環境には古い言語や従来型のツールが残っていました。そのため、最新のクラウド技術や自動化ツールを活用した開発に挑戦したい自分にとっては、成長の機会が限られていると感じるようになったのです。この経験が、より新しい技術を取り入れた環境でスキルを磨きたいという思いを強め、次のキャリアを考えるきっかけになりました。
その頃、応用情報技術者試験の学習を通じてセキュリティへの興味が深まりました。攻撃者との知恵比べの歴史や進化してきた技術に触れることは大きな刺激となり、「最先端の現場でセキュリティエンジニアとして成長したい」という想いが明確になりました。さらに、上司や先輩との会話を通じて、自分のキャリアについて真剣に考える機会が増えたことも転職を後押ししました。人とのつながりが、自分の挑戦を決意する力になったのです。
さらに、セキュリティは私たちが日常的に使うインターネットサービスの前提であり、その社会的意義は非常に大きいと感じました。この時点で「技術者は技術者でも、セキュリティ技術者として成長したい」という想いが強くなり、情報処理安全確保支援士の取得に挑戦しました。実務経験がないため苦戦しましたが、興味関心の前では些細なことでした。
脆弱性発見の成功体験と報告業務での苦労から学んだ成長の軌跡
入社後、最も印象に残っているのは、上司からの『この仕事はスキルよりも人との関わり合いが重要』という言葉です。当初は、技術者としての成長を重視していたため、この言葉の真意を理解することができませんでした。しかし、大規模な決済システムに関わる中で、業務の複雑さや自分の知識の限界を痛感し、人間関係が業務遂行の大きな支えとなることを実感しました。
成功体験として特に印象深いのは、自ら指摘した脆弱性に対して機器のOSアップデートが実施され、サービス継続に貢献できたことです。一方で、最も苦労したのは報告業務でした。扱う課題が複雑で、相手のニーズに応じた情報提供が十分にできていないと感じる場面が多くありました。
これらの経験を通じて、相手が自分の業務に何を求めているのかを意識するようになり、業務の目的を理解した上で行動する姿勢が身につきました。前職で培った「漏れなく」を意識する丁寧さも、現在のセキュリティ業務に活かされています。
ネットワークスペシャリストへの挑戦と次世代への想い
私はセキュリティエンジニアとしての更なる飛躍をめざし、次なる挑戦に取り組んでいます。目指すのは、ネットワーク分野の専門性を極め、日本最大級のキャッシュレス決済基盤をより強固に守ることです。来年度にはネットワークスペシャリスト試験への挑戦を予定しており、これは単なる資格取得ではなく、DDoS攻撃をはじめとする高度な脅威に対抗するための重要なステップです。
社会を支えるインフラに関わる仕事に興味がある方へ
私たちの会社では、事業規模の大きさを活かし、日々多くの人々の生活を支えるシステムに携わっています。社内の人的環境も非常に良好で、知的で穏やかな社員が多く、安心して働ける職場です。社内イベントも活発で、部署や年次を越えた交流の機会が多く、自然と人間関係が築けます。
現在のスキルや過去の努力を正当に評価してくれる環境が整っており、私自身もセキュリティ未経験ながら、情報処理安全確保支援士の取得という努力を評価していただきました。今後は、報告業務の進め方を後輩に丁寧に伝え、早期成長を支援していきたいと考えています。

