個々の専門性を活かして。チームワークを発揮し、試行錯誤の中で最適解を追求
未来の新しいモビリティ社会の実現をめざし、電動化・知能化を柱とした研究を行っている日産自動車の総合研究所で、3人はそれぞれの役割を担っています。
森本:私はモータやインバーターなど電動パワートレインのシステム全体に関する技術を研究しています。チームをマネジメントしながら、モータの小型化・高効率化の研究を行っています。
具体的には新規性のある技術について提案を行い、設計から実機評価を経て価値を提示することが私の仕事です。また、開発した技術に関する特許の取得や、論文の執筆・発表といった対外的な活動にも取り組んでいます。
岡田:私も森本さんと一緒に、モータの小型化・高効率化に携わっています。日産には、先輩社員がメンターとして適宜サポートしてくれる制度があり、森本さんの指導の下でモータの理論構築や磁気回路の設計などを担当しています。
現在私が担当している業務は、大学時代に取り組んでいた研究と関連が深いテーマです。学生時代に培った知見を実際の仕事に活かせているので、やりたいことができている充実感があります。
粕谷:私は森本さんと岡田さんが研究している新たなモータに関して、試作や実機評価を行うテクニカルエンジニアです。
研究者が提案してくる新規モータについて、実機評価を行うために必要な具体的プロセスの立案を行うと共に、実際に試作機を組み立て、実験の実施とデータの取得を行うのが私の役割です。より高精度かつ効率的にモータの評価ができるよう、計測方法の改善にも努めています。
研究を担当する森本は、実験担当の粕谷と連携する上で意識していることがあります。
森本:現場の知見を積極的に取り入れることを心がけ、設計段階から粕谷さんに参画してもらっています。これにより、実験でシステムの不具合が発生するリスクを低減し、性能評価における誤差やエラーを最小化できるようにしています。
一方、粕谷が何よりも意識しているのは、安全だと話します。
粕谷:実験を行うにあたり、最重視しているのは作業員のケガなどがないよう安全を確保することです。その上で、研究部門の森本さんや岡田さんの意向に沿う実験ができるように最善を尽くしています。中には難しい要望もあるため、そういうときは何ができて何ができないのか、双方が納得できるまでしっかりコミュニケーションを取っています。
個々の専門性を活かしながら、チームワークを発揮している3人。仕事をする上でそれぞれが大切にしていることがあります。
森本:私は仕事を自分事として捉え、最後までやり切ることを大切にしています。失敗は、挑戦した人にしかできないことです。そして技術力は、実際に試作して評価した人でなければ身につかないと、自身の経験からも感じています。
だからこそ失敗を恐れずに最後までやり切り、良い結果も悪い結果も評価して、次に活かすことをモットーとしています。
岡田:私が大切にしていることは2つあります。1つは若手が挑戦しやすい環境を最大限に活かすことです。私は入社3年目なので、初めて経験する業務が多くあります。そのため森本さんや粕谷さんに質問するのはもちろん、他部署のメンバーにも積極的にコンタクトを取り、社内の知見を集めながら業務を推進しています。そして森本さんのように失敗を恐れず、チャンスがあれば何事も挑戦することを大事にしています。
もう1つは、技術を必ず自分のものにするという姿勢です。チームで仕事をする際も、自分が担当した技術については、必ず最初から最後まで自分の手で取り組んで確実に身につけることを心がけています。
粕谷:私が大切にしているのは、先ほど言った安全と、もう1つは正確性ですね。実験で正確なデータが提供できなければ、目的どおりに効果を検証することができないからです。
一方でお客さまに新たな技術をいち早くお届けするためには、安全に加えてスピードも追求しなければなりません。スピードを速めるために、自分が長年培った知見を活かすだけでなく、先人が築いた数多くの実績からヒントを得て、最善策を選ぶようにしています。
世代を超えて共通する技術への情熱。やりたい仕事をやるために、選んだ日産
それぞれの想いを抱いて日産へ入社した3人。森本は2011年に入社しました。
森本:私は幼い頃から工作が好きで、発明家になることを夢見ていました。大学は機械系の学部に進学し、就職活動ではものづくりに携わることと、世界にインパクトを与えられることを軸として、自動車メーカーを中心に探しました。
その中で日産を選んだ理由は、「他のやらぬことを、やる」という姿勢に惹かれたからです。電気自動車が今ほど普及していなかった時代から、世界初の量産EV「リーフ」を販売するなど、日産は新しいことにチャレンジする強い意志があります。
またインターンシップで実際に総合研究所を訪れ、「ここで働きたい」と思ったことも決め手となりました。
森本は入社後、音振の性能設計を約4年にわたり担当。その後は広い視野を養うため、他分野を経験するジョブローテーション制度によりグループ会社に出向しました。
森本:出向先では、無段変速機の研究に携わりました。2年間の出向を経て総合研究所に戻ってからは、電動車用モータの性能をよりいっそう向上させる次世代技術の研究に取り組み、現在に至ります。
チームで若手の岡田は、2023年に入社しました。
岡田:私は学生時代からモータやパワーエレクトロニクスの研究に携わっていました。実は当時から、現在の私の上司が執筆していた論文をよく読んでいました。
チャレンジングな切り口でモータの高効率化を研究している論文に、私は大きな刺激を受けました。「自分もこんな研究がしたい」と夢を膨らませていたところ、入社前に2人と面談する機会が得られ、この会社ならやりたいことが実現できると確信しました。
そして今、学生時代に憧れていたエンジニアたちと一緒に働くことができ、夢がかなったという喜びの中で仕事をしています。
岡田が論文に影響を受けて入社したように、優秀な人材を獲得するためにも社外に向けた情報発信が重要だと話す森本。
森本:日産の技術力をアピールする上でも、講演や論文執筆などの活動は重要だと考えています。私は精力的に社外向けの活動を行っており、「EVTeC2023」では「Young Investigator Awards」と、第74回自動車技術会賞では論文賞を受賞しました。
私のこのような活動に刺激を受けたチームメンバーが論文を執筆し、電気学会 産業応用部門にて受賞できたときはとても誇らしさを感じました。岡田さんの例のように、こうした成果が当社へ興味を持っていただくきっかけになればと考えています。
一方、ベテランの技術者である粕谷が入社したのは1989年のこと。長いキャリアの中で、さまざまな経験を積んできました。
粕谷:私が日産に入社したのは、自動車の開発に関わる仕事がしたいという想いからでした。最初は5年ほど精密研削加工に携わり、その後は販売店に出向して事故車の補修を経験しました。そして1998年からは実験試作部に所属し、組み立てや塗装、モータの試作・実験などを担当しています。
総合研究所で取り組んでいるのは、まだ世の中にないモータの研究です。そのため専門分野だけに特化していると、新しい技術で発生した課題に柔軟に対応できない場合があります。
そうしたときに、これまで培った幅広い経験や知識が、予想もしないような形で役に立つことがありますよ。私たちは常に新しいことにチャレンジしているので、既成概念が通用しない課題に挑む中では、どのような経験も意味があると感じます。
前例のない構造でのモータ開発に挑戦。チームの密な連携で乗り越えた課題
3人が共に取り組んだプロジェクトの中でとくに印象深いと話すのが、従来にない小型高効率をめざした特殊モータの研究です。
森本:従来にない高い目標を達成するため、アイデア創出から基礎理論検討、設計、試作、評価まで一連のプロセスをチームで協力しながら進めました。
本プロジェクトで採用した構造は社内でも前例がなく、参考にできる情報がほとんどありませんでした。そのため評価環境の構築から実験まで、すべてがチャレンジングな取り組みでした。
個人的にとくに苦労したのは、実験評価の工程において設計の段階ではわからなかった大きな課題が明らかになったことです。粕谷さんが詳細な要因分析プロセスを構築してくれたおかげで問題点を特定でき、適切な対策を講じることができました。
その結果、目標性能を達成するモータが具現化し、開発の次工程へと技術移管できました。
実験を担当した粕谷にとっても、このプロジェクトは特別な挑戦でした。
粕谷:中でも難しかったのが、組み立ての工程です。今までにないモータのため、安全面を考慮しながらどういう順序で組み立てるのがよいかなど、試行錯誤が必要でした。
さらに苦労したのは、組み立てた完成品にデータ計測用のセンサーを取り付ける作業です。森本さんが必要としているデータをヒアリングし、センサーをどこに設置するのが最適であるかを相談しながら進めていきました。
初めての試みばかりで大変だったわりには、プロジェクトは円滑に進められたと感じます。それは設計の段階から、森本さんが私の意見を取り入れてくれていたからです。おかげで実験での不具合が少なくて助かりました。
入社して間もない岡田にとって、このプロジェクトは大きな学びの機会となりました。
岡田:私が得意とするモータの理論構築においては、知見を活かして貢献できたと感じています。一方で、図面から実際にモノをつくる経験はこれまであまりなく、その工程においては反省の残る結果となりました。
具体的には、同じ形状でありながら内部構造が異なる複数の部品があり、本来組み付けるべき部品とは別の部品が組み付けられるミスが発生しそうになったのです。メールだけで指示を出してしまい、実物を確認せずに組み立て作業に入ったことが原因だったと深く反省しました。
この経験から学んだのは、対面でのコミュニケーションがいかに重要であるかということです。業務効率化のためにオンラインやメールでのやり取りも大切ですが、現場・現物・現実の三現主義に立ち返り、実際に顔を合わせながら現物を確認する作業プロセスの大切さを痛感しました。
このとき、岡田のメンターを務めている森本は、貴重な成長機会になると捉えて状況を見守っていました。
森本:必要以上に手を貸さず、あえて対応を任せてみました。本人は焦っていましたが、今後に活かせる良い失敗になるだろうということが経験上わかっていました。失敗が許される業務であれば、本人に任せてミスから学ぶ機会を提供するように若手を育成する文化があることが、日産の良さだと思っています。
岡田:私自身も、自分にできることは任せてもらえることがモチベーションにつながっています。リーダーである森本さんをはじめ、上司や先輩方が最終的に厳しい目で確認してフィードバックしてくれるため、安心して挑戦できています。
失敗を恐れず、新たな技術を夢中で追求し続ける。日産だからできる挑戦を求めて
挑戦を続ける中で、3人は仕事のやりがいを感じています。
森本:私は今までわからなかったことが解明できたときの快感、いわゆる「アハ体験」がやりがいにつながっていますね。世の中にまだない技術を、設計・解析して評価し、実現可能性が証明できた瞬間の喜びが何よりも大きいです。
そして予測と違う結果が出たときも、「なぜ違うのだろう」という悔しさこそが、研究に邁進する原動力となっています。
岡田:私も日々の実験から新たな発見を得ることがやりがいです。また、週に数回行われる定例会もモチベーションにつながっています。定例会の特徴は、良い結果だけでなく悪い結果も共有することです。失敗が学びの糧となるよう、次にどう活かすべきかをアドバイスしてもらえるので、着実にステップアップしている実感があります。
粕谷:私は自分が実験を担当したモータが、実際に完成品として動いたときにやりがいを感じますね。そこに至るまではさまざまな課題にぶつかりますが、そうした苦労をすべて忘れるほどの達成感が味わえます。
仕事を通じて得られるやりがいや喜びを胸に、3人は今後の目標に向かって挑戦を続けていきます。
森本:私はチームをマネジメントする立場として、働きやすい環境づくりにさらに注力していきたいと考えています。とくに重視しているのは、気軽に技術雑談ができる雰囲気づくりです。
アイデアを思いついたらその場で仲間に声をかけ、新たな気づきを得たり、課題の解決につなげたりします。そうした技術雑談を通じ、のびのびと働き、切磋琢磨できる環境をさらに整備していきたいと考えています。
岡田:私は未来のクルマに重要な技術を考え、価値の創出につながる提案をすることが目標です。現在担当しているモータの分野にとどまらず、インバーターやバッテリーなどの技術開発にも挑戦したいと考えています。
そのためにも大切にしているのが、車両開発を行う部署との定期的なコミュニケーションです。どのような技術が市場に求められているのか、ニーズや論文の調査を積極的に行い、情報交換をしながら提案の種を見つけられるように努めています。
粕谷:私は長く日産で働いていますが、以前から失敗を許容する風土がありました。先ほど岡田さんが言っていたように、失敗を糧にして次に活かすための仕組みが強化されていると思いますね。
そうした中で私が今後の目標としているのは、定年が近いこともあり健康第一で働くということでしょうか。まず自分が元気でないと、実験の責務を全うできませんから。現場に頻繁に足を運んで私の意見を取り入れてくれる、森本さんや岡田さんと一緒に長く仕事を続けていくためにも、健康を大事にしたいと思っています。
粕谷の言葉を聞いて思わず笑みをこぼす森本と岡田。仕事では厳しく、ときには冗談を交えながらチームワークを発揮している3人は、同じような価値観を持つ新たな仲間の参加に期待していると話します。
森本:私たちのチームは業務範囲が広く、その中で主体的な提案が推奨されている点が魅力です。自分で技術を一からつくり上げていけるため、エンジニアとしての実績と自信が得られやすく、世界をリードするチャレンジングな研究に打ち込むことができます。
こうした環境で、仕事を自分事として捉え、失敗してもくじけず新たな技術を夢中になって追求できる方が参加してくれたらうれしいですね。そしてコミュニケーションが好きで、ときに冗談も言いながら技術雑談を楽しめる方が合っていると思います。
岡田:当社には私のように入社3年目でも、プロジェクトを一から任せてもらえる風土があります。そのため業務を通じて着実にスキルアップできることが魅力です。
未来のクルマに求められる技術を追求するという意味では、日産だけでなく自動車業界全体をリードしていく仕事だと言えます。技術雑談に参加していると、未来の可能性が広がっていくワクワク感があるので、それを一緒になって楽しめる方が加わってくださるのを期待しています。
粕谷:私が働く中で日産の魅力だと感じるのは、研究者と実験担当が一体となって技術をつくり上げていけることです。互いに専門的な観点から意見を出し合い、その中で最適解を選ぶからこそ、「他のやらぬことを、やる」ことができるのだと考えています。
そして森本さんや岡田さんと仕事をしていて楽しいのは、技術に対する圧倒的な熱量があるからです。発想にも驚かされますし、非常に良い刺激を受けています。2人のように夢中で新たな技術を追求できる人と、一緒に働けるのを楽しみにしています。
※ 記載内容は2025年5月時点のものです
