お客さまからの声をまとめ、不具合や不満などの改善点を企画や開発にフィードバック
TCSXの国内サービス部で、国内市場における製品品質・営業サービス品質の管理業務に携わり、中でもEVやe-POWERなどの電動車両に関わる案件を取り扱う中田。国内市場情報に基づく品質改善の推進を主に担当しています。
「すでに販売されているクルマに関するお客さまのご意見をまとめ、不具合や不満などの点について、次期型車の開発やマイナーチェンジで対応できるよう、企画や開発の部門にフィードバックしています。とはいえ、お客さまからいただくご意見の量は膨大。傾向を分析し、件数の多い案件や、より重要度の高い案件から優先順位を付けて対応することで、一人でも多くのお客さまの期待に応えることを目指しています」
一方で、販売会社で解決できないような難解な不具合に対する要因解析・修理支援も、重要な業務の一つとして行なっています。
「一言でいえば、クルマの医者のような役割です。不具合が起きた際、お客さまは販売会社に修理を依頼されますが、すべてのケースに販売会社のテクニカルスタッフが対処できるとは限りません。国内サービス部では、そうした難易度の高い不具合に対応し、迅速な修理に努めています」
国内サービス部に寄せられる難解不具合に関する相談は、1日平均50件ほど。依頼内容を確認して方針を議論し、メンバーが分担して対応していますが、テキストや電話のやり取りだけで原因究明ができないときは、全国各地の販売会社に赴くことも頻繁にあると言います。
「特に新型車の場合、制御や構造が複雑であるうえ、これまでの経験が活かせない部分が多く、原因調査には時間が必要です。私たちが分析を行っても解決できない場合は、設計や開発を担当する部署に協力を依頼して調査を実施することもあります」
多種多様な問い合わせに対応する中で、中田を突き動かすのは「お客さまのために」という想い。この揺るぎない信念が原動力となっています。
「時には不具合の原因がなかなか特定できないことがあります。そんなとき、私を支えてくれるのは、企業理念の一つにもなっている 『お客さまのことを常に考える』という言葉。販売会社やお客さまの喜びのお声を励みに、どんなお問い合わせにも誠実に対応するよう心がけています」
開発者とお客さまとの間に感じたギャップ。お客さまの声を知りたくて、TCSXへ
暮らしにクルマが欠かせない地域で幼少期を過ごした中田。身近に触れる機会が多かったため、自然とクルマ好きに。特に父親によくドライブに連れて行ってもらったことが楽しい思い出で、その経験がクルマ好きに繋がったと言います。
大学では機械システム工学を専攻し、自動車用ディーゼルエンジンの燃費向上に関する研究に取り組みました。入社までの経緯を次のように振り返ります。
「大学時代の研究活動を通して、『クルマが好き』という純粋な気持ちから、『より良いクルマづくりに携わりたい』という明確な意志に変わっていきました。入社を決めたのは、失敗を恐れず挑戦する前向きな日産自動車のDNAに惹かれたから。
日産自動車では、『他のやらぬことを、やる』という企業理念を掲げ、その精神はエンジン開発にも表れています。独自のVCターボエンジンの開発に成功しているのはその好例で、新しいことに果敢に挑み続ける企業文化はとても魅力的でした」
世界初の量産型可変圧縮比エンジンであるVCターボエンジンをはじめとして、数々の挑戦に魅力を感じた中田は日産自動車への入社を決意します。
入社後、中田が配属されたのはパワートレイン・EV性能適合開発部。北米・中国・欧州・中東など、幅広い国を対象としたガソリン車を担当し、入社前から魅力を感じていたVCターボエンジンの性能開発に携わりました。
「エンジン開発では、各国の気候やガソリンの種類、運転特性(運転の仕方)などを考慮しなくてはなりません。エンジンを制御する膨大なパラメーターの調整には苦労をともないましたが、大きな達成感がありました。
【燃費】【排気】【騒音】【乗り心地】など異なる視点で性能向上をめざすチーム間の意見を考慮し、最良点を見つけることは、特に挑戦的でした。特定の性能を強化しようとすると、ほかの性能に悪影響を及ぼす可能性があるため、開発チーム全体が連携しながら問題を洗い出し、最適な解決策を見つけ出すことは非常に難しい作業です。ですが、同時に【チームが一丸となって成し遂げた】というこれまでとは違うやりがいを感じました」
約5年にわたるエンジン開発を経て、中田の心にはある想いが芽生え始めます。
「当時、家族や友人と会話していて、開発者である自分が追い求める性能と、ユーザーである彼らが求める性能のあいだにギャップがあることに気づきました。
開発者として納得のいく性能のクルマをつくれたとしても、お客さまが満足していないとすれば、それは『良いクルマ』とは言えません。ユーザーの声に耳を傾け、現在の日産車の実情を把握すると共に、お客さまの目線に立ったものづくりを追求したい。そう考えるようになっていきました。
また、それまで私が担当していたのは海外車だったため、『国内車に関わりたい』、その中でも『EV、e-POWERといった新たな分野に関わりたい』という気持ちもありました」
こうして中田はTCSXの国内サービス部・EV、e-POWERチームへ。
開発者の気持ちが理解できるから。定量的な数値を示しながらわかりやすく改善を要望
エンジンの開発を行っていたころ、中田にはTCSXと接する機会がありました。中東市場向け自動車用エンジンへの改善要望が寄せられたときのことです。
「当時、私はすでに新たなプロジェクトの開発業務に着任しており、TCSXからの改善依頼に最初は戸惑ったのを覚えています。
ところがTCSXの担当者が、定量的な数値を示しながら改善要望の詳細や売上への影響などについて詳細に説明され、『時間をかけて当社のクルマを選んでくださったお客さまのためにも対応してほしい』『この改善がお客さまの満足度を高めることにつながる』と熱心に説明され、結果納得して改善業務にあたることができました。グローバル品質保証部門の『お客さま第一』の精神を理解する、とても良い機会になったと思っています」
TCSXへ異動した後、あらためて当時のTCSX担当者の言葉の重みに気づいたと話す中田。現在、設計・開発部門に依頼する立場となって、あのときの学びが生きていると言います。
「開発部門に協力を依頼する際は、定量的な数値をもとに影響範囲を伝えることを意識しています。具体的な情報を提示することで開発者に危機感がリアルに伝わり、優先的な対応を促すことになると思うから。
さらに、開発部側の事情に精通していることが私の強み。相手が理解しやすい表現でお客さまのお困りごとや依頼の内容を伝えることを心がけています」
新型車の開発者から、お客さまの改善要望に応える立場へと大胆な転身を遂げた中田。以前とはまったく異なる役割に、新たなやりがいを見出していると言います。
「『このクルマのこの点が良かった』『ここが特に気に入っている』というお客さまの声を聞いたときの喜びは格別です。また、難易度の高い問題を迅速に解決し、お客さまの不安や不満を最小限に抑え、販売会社のスタッフから感謝の言葉をもらったときは、大きな充実感を覚えます」
お客さまの声をカタチに。開発部門とTCSXとをつなぐ架け橋をめざして
入社後、約6年の間で、開発部門と品質改善部門の両方を経験してきた中田。自分にしか果たせない役割、独自のバリューを発揮することがいまの目標です。
「改善要望を開発部門へ押し付けるのではなく、よりお客さまに選んでいただける新型車の開発に貢献できるよう、お客さまからいただく声の分析がTCSXには求められます。開発部門とTCSXの両方を経験してきた立場として、両者をよりスムーズにつなぐ架け橋のような存在になれたらと考えています」
そしてその先に中田がめざすのは、お客さま視点にたったクルマづくり。これからもお客さまの声と向き合い続けていくつもりです。
「日産自動車のブランド力を向上させるためには、お客さまの声を反映したクルマづくりが欠かせません。性能を高めることも大切ですが、お客さまの視点に立ち、実際に求められているクルマについて考えることが、お客さまに満足していただくための近道だと信じて。これからも引き続き、お客さまや販売会社に近い現在のポジションで、市場への洞察を深めていきたいです」
それが実現できるのは、恵まれた環境があるからこそ。職場の魅力について次のように続けます。
「当社にはチーム全体で問題に取り組む組織文化が浸透しています。たとえば、不具合の原因を特定できずに困っていると周りの先輩たちが快く相談に乗ってくれるなど、とても働きやすい環境です。
私は、販売会社から依頼を受けた際、まずは依頼内容を確認し、解決策を事前に準備してから連絡を返していますが、先輩の中には販売会社に電話でヒアリングしながらその場で解決策を導き出してしまう方も。その経験値と知識量に圧倒されます。
異動してきた当初、長く開発に携わってきた自分にTCSXが務まるかと不安でしたが、お客さまに寄り添う気持ちがあれば、バックグラウンドは関係ありません。また、EVやe-POWERといった電動車両における知識についてはゼロからのスタートだったこともあり、いまも猛勉強中で苦労していますが、『お客さま第一という考え』、『やりがい』を持ってTCSXの仕事に取り組むことができています。これからも知識や経験の幅を広げることを楽しみながら、ポジティブな気持ちで業務に向き合っていこうと思います」
お客さま視点で、ものづくりの未来に新たな価値を。より多くのお客さまに望まれるクルマづくりを追い求める中田の挑戦は、始まったばかりです。
※ 記載内容は2024年2月時点のものです
