医療・介護を産業として発展させる──政策と現場を結ぶコンサルタントの使命
みずほリサーチ&テクノロジーズの社会政策コンサルティング部では、社会保障分野における公共政策支援と関連する民間企業支援を行っています。部内は3つのチームで構成され、片岡が所属する「ヘルスケア・共生社会共創チーム」は、医療・介護・ヘルスケアや福祉関係の領域を担当しています。
「中でも私たちの課は、医療・介護・ヘルスケアをサービスとして充実させることと、産業としても発展させることをミッションの1つに掲げています。具体的には、医療・介護サービス、ヘルスケア関連サービス、医薬品・医療機器等の産業支援・振興支援を主眼として取り組んでいます。
主な業務は、官公庁向けの調査研究です。事業検討のための各種実態調査や他国の政策調査、得られた調査結果からの課題抽出と提言の整理などを行っています。デスクトップ調査のほかアンケートやヒアリングを行い、有識者会議でご意見をいただきながら最後に課題や提言を整理していくというパターンが多いですね。
また昨年度は、医療機器関係のスタートアップ企業と大手企業をつなぐマッチングの場を創出する事業の事務局支援を行うなど、事業の実行を支援するようなプロジェクトにも取り組みました」
現在、課長として7人のメンバーマネジメントを担当する片岡。人事管理はもちろん、若手メンバーの育成支援にも力を入れています。
「メンバーの半分はマネージャークラスなのですが、もう半分は入社5年目以下の若手社員なので、業務のフォローや知見獲得のサポートを行っています。
たとえば主要な政策資料や展示会・セミナーを案内したり、気になったニュースをシェアしたりすることも。一方、自身の業務として医薬品・医療機器産業関連の調査・コンサルも担当しています」
マネジメント業務と並行して事業も推進する中で、大切にしているのは「楽しさ」です。
「調べることが好きですし、お客さまと一緒に『どうしたらいいんだろう』というところを考えていくプロセス自体が好きなんです。アンケート調査の結果1つを取っても、さまざまな解釈ができたり、『世の中の共通認識』にデータで裏付けが得られたりする瞬間もおもしろいですね。
また、ヒアリング調査で現場の方々にお話を聞いて、自分の知らなかった世界や、知っているつもりでも理解が浅かったところを深掘りして聞ける瞬間も非常に興味深いです。そこから得られた情報をコンサルティングのテクニックを使ってお客さまにロジカルにご説明して、『なるほど』と言っていただける瞬間が最高です」
みずほ銀行転籍で得た「収穫のある2年間」。コンサルタントが学んだ新たな視点
学生時代、社会心理学を専攻していたことから、調査研究のスキルが活かせるシンクタンクを志望していた片岡。入社を決めた理由についてこう話します。
「働いている先輩方の人柄に惹かれて入ったところが大きいです。面接では当時の部長とちょっとした共通点から会話が盛り上がり、とてもユニークな人たちが働いているんだなという印象を受けました。
その後の次長や先輩社員との面談で、仕事面でしっかりとした印象を受けるとともに、『楽しく仕事しましょう』という雰囲気にも惹かれました。もともと学んでいた基礎スキルはどの会社に行っても使えると考えていたので、最後は働いている社員の人柄のよさで決めました」
2008年に入社後、社会政策コンサルティング部に配属され、自治体向けの業務改善支援を担当。翌年にはチームごとビジネスコンサルティング部に異動となりましたが、業務内容は継続して行いました。
2012年、社会政策コンサルティング部に戻り、医療分野の政策調査や病院向けのコンサルティング業務を担当。その後3度の産休・育休を経て、2022年にはみずほ銀行の産業調査部へ転籍も経験します。
「銀行では、DXとクロスセクター担当として配置されました。産業セクター横断で調査や提案を仕掛けていく役割を担っていました。銀行員の世界は、だいぶ雰囲気が違いましたね。
コンサルタントは『よりよい世の中にするために』という発想でお仕事をしているのですが、銀行に行ってみると『それがどれだけ企業成長につながるのか』という視点で考えることが求められ、その違いが非常に新鮮でした。そのほか銀行に行って初めて知ったことや個人的な人とのつながりも増えたので、収穫のある2年間でした」
その後、2024年に社会政策コンサルティング部に課長として戻ってきました。
「課長を任された時は驚きもありましたが、元から女性が多い部署で女性の管理職も多くいるので、そういった意味での不安はなかったですね。
みずほ銀行に転籍した経験も含めていろいろなことを期待されているのだろうと感じたので、これまでの経験や人脈を生かして頑張ろうと強く思いました」
入社から17年、さまざまな部門やテーマを経験してきたことで、新しい可能性も見えてきています。
「入社時にはコンサルティングの基本も知らない状態でしたが、初期に経験した業務改善支援の仕事でコンサルティングのフレームワークを実践的に学べたことが今でも役立っています。
今はみずほ銀行に転籍した際に学んだデジタルやAIの知識を、現在取り組むヘルスケアの分野で活かせればと考えています」
公共・民間・金融を自在に越境、顧客や社内外の仲間とともに切り拓く医療機器海外展開支援
片岡は、これまでのキャリアの中で印象に残っている3つの大きなプロジェクトについて語ります。1つは、みずほ銀行にも協力を得て取り組んだ医療機器スタートアップ企業と大手企業のマッチング支援プロジェクトです。
「昨年度、医療機器関係のスタートアップ企業と大手企業をつなぐ国のお仕事の支援をさせていただきました。このプロジェクトは〈みずほ〉の力を結集させて取り組んだことが印象深いですね。
みずほ銀行のイノベーション企業支援部と連携を取り、スタートアップ企業への声掛けを行ってもらったり、スタートアップ企業にとって魅力的な支援になるためにどのようなことを意識するべきかノウハウを共有してもらったり。私自身、みずほ銀行に転籍した際にできた人とのつながりが活かせてよかったと思っています」
もう1つは、神奈川県が注力する「ヘルスケア・ニューフロンティア政策」に基づく、県内企業の海外展開支援業務です。
「最初に受託した2016年度から2022年度まで、長くご支援させていただいた案件でとても印象に残っています。県内企業の海外展開支援として、シンガポールへの企業ミッションの派遣支援や、スタンフォード大学との合同シンポジウムの開催支援などを行いました。
産育休や転籍で関わることができなかった年もありますが、事業開始当初から県職員の方々と一緒になって悩んだり、関係各所と調整したり、お客さまとかなり近い距離感で仕事をすることができた貴重な体験でした」
最後の1つは、10年ほど前に当社の制度である「チャレンジ投資 」を用いて自主的に取り組んだ、ロシアの医療機器規制に関するセミナー開催です。
「当時、医療機器産業の海外展開が政策テーマの1つになっていて、規制対応が難しい国がいくつかありました。その筆頭がロシアだったんです。ロシアの医療機器規制について『よくわからない』という話を企業からよく聞いていたので、当社で調べてみようということになりました」
業界団体の協力を得て、ロシアから医療機器登録の専門家を招き、セミナーを開催。50〜60人の参加者が集まる大きなイベントとなりました。
「まず専門家を見つけてくること自体が大変でしたが、医療機器メーカーさんで国際薬事を担当されている方から紹介があり、つないでもらうことができました。集客面では海外展開に注力する医療機器メーカーが集まる団体さんに後援をしてもらい、協力をいただきました。
このセミナーを通じて、なかなか知ることのできなかったロシアの薬事について詳しく知れたことは大きな成果になりましたね。メーカーの皆さんに感謝されたことは本当に大きなやりがいでしたし、セミナーの主催というやったことがないタイプの業務にチャレンジできたことも、自分の成長という意味で非常に糧になりました。
この経験は、その後の受託業務でのセミナー開催支援にも活かすことができています」
みずほ銀行との連携が生む「幅広いリーチ」。総合シンクタンクで描く産業振興の未来
みずほリサーチ&テクノロジーズの魅力について、片岡は次のように語ります。
「みずほ銀行との連携は大きな魅力です。さまざまな企業へのリーチが可能で、たとえば『こういう企業とつながりたい』と相談すると、銀行側が調整してくれる環境があります。
その上、当社自体も総合シンクタンクとして社会保障、経営戦略、AI研究など幅広い分野をカバーしているため、部署間の掛け合わせで幅広い仕事を考えることが可能です。
また、社内交流の活発さも魅力ですね。社内では部活や同好会活動も行われているほか、私の部署では月1回程度、有志が企画するレクリエーションも開催されています。春には、演奏会を開き、楽器ができる社員が演奏を披露しました。また、週末にバーベキューを楽しんだりもしています」
働き方の面でも、柔軟な制度が整っています。片岡自身、3度の産休・育休を経験しました。
「最初の子の時は『戻って来られる場所はあるのか』『仕事と育児の両立はできるのか』と復職への不安もありましたが、周囲の理解もあり、大きく職務を変えることなく対応できました。2人目の時は短時間勤務で復職したのですが、夫の協力もあって週1、2回の残業もでき、しだいにフルタイムに戻っていけました。3人目の時はコロナ禍でリモートワークが確立されており、子どもの体調不良時も在宅で仕事ができる環境でした。
今は男女問わずさまざまなメンバーが産休・育休を取得する時代なので、『お互いさま』という感覚で気兼ねなく休みを取れる雰囲気です」
今後については、みずほ銀行との統合に向けた新たな挑戦を見据えています。
「私たちの業務のミッションの1つである産業振興に力を入れていきたいと考えており、課のメンバーと一緒に勉強しながら、営業活動も進めています。まだこれから大きくしていきたい領域なので、課長として個人の取り組みを支援しながら、自身もリードして、確立された領域として発展させていきたいです。
また統合に向けて、これまで政策寄りだった案件から、徐々に民間との接点があるテーマにシフトしてきています。官公庁案件で得た知見を民間企業支援に活かし、さらに民間企業支援を通じて把握した産業としての課題を官公庁側に提言していく。このような好循環を作り出していきたいと考えています」
※ 記載内容は2025年6月時点のものです
