企業の脱炭素化を包括的にコンサルティング
気候変動対策は早くから世界で話し合われてきたが、近年さらに脱炭素化が強く認識されるようになってきている。みずほリサーチ&テクノロジーズ サステナビリティコンサルティング第2部 上席主任コンサルタント・森 史也は次のように話す。
森:きっかけとなったのは、2015年12月のCOP21(第21回気候変動枠組条約締約国会議)においてパリ協定が採択されたことです。以降、気候変動対策として温室効果ガス(GHG)削減の必要性がより注目されるようになりました。
2014年に入社して以来、一貫して脱炭素化に係るコンサルティングに携わってきた森。
森:パリ協定をきっかけに世界が急速に脱炭素化にシフトしていく一方で、日本ではCSR(企業の社会的責任)の1つと捉える企業も多く、なかなか取り組みが進んでいませんでした。その認識を大きく変える転機となったのが、2020年10月、当時の菅義偉首相が温室効果ガスについて「2050年実質ゼロ」をめざすことを宣言したことです。
「ネットゼロ」あるいは「カーボンニュートラル」といったキーワードが一気に認識されるようになり、企業の中にもこれらを宣言するところが急増した。
森:もともと取り組みが進んでいる企業ならば宣言することは可能ですが、そうでない企業の場合、何をどう宣言すべきなのかといったところから議論が始まります。その前提として、そもそもどれだけCO2(二酸化炭素)などの温室効果ガスを出しているのか算出することも必要です。当社ではこれらの活動も支援しています。
同じくサステナビリティコンサルティング第2部で上席主任コンサルタントを務める野上 大輔がその背景を説明する。
野上:最近では、脱炭素化を経営課題の1つとして位置付ける企業も増えています。背景には、機関投資家や金融機関がESG(環境・社会・企業統治)に関心を持つようになってきていることが挙げられます。
これに対応するために、「ESG経営」や「サステナブル経営」を掲げたり中期経営計画に盛り込んだりする企業も増えている。逆に言えば、これらにより自社の取り組みをアピールしなければ、資金調達も困難になるということだろう。
野上:気候関連の財務情報の開示も求められるようになっています。私は、統合報告書の作成などにあたって、企業がどのように脱炭素に取り組んでいるのか、また、どういうリスクや機会があるのかお客さま企業と一緒に考え、外に発信していくコンサルティングも行っています。
TCFD対応を先導してきたパイオニアとして、より高度なシナリオ分析へ
最近では、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」への対応ニーズも高まっている。
注目すべきは、TCFDに関しても、みずほリサーチ&テクノロジーズが先導してきたことだと振り返る野上。
野上:当社はTCFD提言の直後から先進企業の開示支援を行ってきました。当時、まだノウハウがわからず、多くの環境コンサルタント会社がしり込みする中、当社は、一番乗りでソリューション提供を始め、多くの大手企業の支援をしてきました。そのため、2019~2020年ごろには「シナリオ分析と言えばみずほ」と言われたほどです。
その後、2021年6月には、コーポレートガバナンスコードが改定され、プライム市場上場会社に対してTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示が求められるようになった。そのころには、みずほリサーチ&テクノロジーズの成功事例がオープンになっていたことから、これを参考にして多くのコンサルタントが参入した。
TCFD関連市場はすでに「レッドオーシャン」の様相を呈するが、野上は次のように語る。
野上:われわれにとって、シナリオ分析支援は、すでに「2巡目」に入っています。さらにソリューションを高度化し、大手企業の「シナリオ分析の更新・高度化」を引き受けています。
TCFDは単なるチェックリストではなく、環境の変化に対する自社の経営戦略を投資家などに伝えるもので、自社が将来、気候変動のどんなリスクに直面するのか、それにより戦略がどう変わるのかといったことを明らかにする必要がある──とした上で「気温上昇の予測やそれに伴うシナリオなどは国際機関がリポートなどを出してはいるものの、企業は改訂されたTCFDガイダンスにも対応する必要があります。当社では常に国際的な最新動向をキャッチアップして支援しています。
みずほリサーチ&テクノロジーズはTCFD以外にも、環境省や経済産業省などと一緒になって、国内に導入するためのガイドライン作りの段階からシンクタンクとして先導してきた。企業の相談相手として頼もしい存在なのである。
排出量算定の方法論開発に携わり、国内トップクラスの実績
脱炭素化に向けた取り組みを発信することは自社の強みや戦略を発信することに他ならないことがわかる。積極的な開示を行うことで、自社の企業価値向上や円滑な資金調達にもつながる。だが、どこから取り組めばいいか悩む企業も少なくない。
森:まずは自社のCO2排出量を見える化することから始める必要があります。その際は「GHGプロトコル」に基づき算定をするとよいです。
「GHGプロトコル」は、世界資源研究所(WRI)と持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)による、温室効果ガス(GHG)の排出量の算定基準である。現在は、企業のCO2などのGHG排出量を算定・報告するための国際基準として定着している。脱炭素化に向けた取り組みを進めたいと考える日本の企業にも拠り所となる。
森:脱炭素化に向けて重要なGHG排出量は、同プロトコルが定義する「Scope3」です。
「Scope1」は自社工場などから化石燃料燃焼などにより直接排出するCO2排出量、「Scope2」は購入した電気使用などに伴う間接的なCO2排出量が対象である。さらに、原材料、輸送、販売など、サプライチェーンまでを対象とする排出量が「Scope3」である。自社だけならまだしも、取引先までのCO2排出量を把握するのは容易ではない。とくにサプライチェーンに中小企業の多い日本ではなおさらだと言える。
森:そこでも当社の経験やノウハウがお役に立つと自負しています。当社はまだ「GHGプロトコル」などが発行される前から、CO2排出量の算定支援を行ってきました。とくに「Scope3」の算定支援数は国内トップクラスを誇ります。
みずほリサーチ&テクノロジーズは政府と一緒になって国内に「Scope3」を紹介し、解説資料の作成などにも数多く携わっている。
森:数多くの算定支援の経験から、どう解釈すれば現実的に基準に準拠したことになるのかといった、企業目線での算定に対する深い知見には自信を持っています。
デジタルを活用したCO2排出量の可視化でも先行
昨今、社会課題がより複雑化し、多様化している。その解決に向けてデジタルテクノロジーへの期待も高まっている。みずほリサーチ&テクノロジーズは、その名の通り分析・解析力など、コンサルタントとしての専門性に、デジタルテクノロジーを融合することで、あらゆる課題を解決するのが身上だ。
野上:脱炭素化についても、デジタルテクノロジーの活用が不可欠になっています。当社では「Green × Digitalコンソーシアム」の活動を通じて、デジタル技術を活用したサプライチェーンCO2排出量の見える化などに取り組んでいます。
「Green × Digitalコンソーシアム」は、多様な業界の企業が算定した排出量データを異なるソリューション間で連携し、サプライチェーンCO2排出量を正確かつ効率的に把握することをめざす組織で、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が事務局を務める。
野上:当社は本コンソーシアムの実証実験のプロジェクトマネジメントを担当しています。利害関係の異なる複数の参加者から意見を聞きながら、国や産業界としての方向性を取りまとめていく活動は、まさに当社の得意とするところです。
この辺りは、みずほリサーチ&テクノロジーズの風土や文化にも特色がある。
森:実は私は大学院時代、バイオテクノロジーを専攻していて、野上は大学院時代、情報工学が専門でした。その2人が今は脱炭素化というテーマに一緒に取り組んでいます。当社では脱炭素化をはじめとしたサステナビリティ分野に携わっているコンサルタントが130名を超えます。これだけの層の厚さと多様性で取り組んでいるところは例が少ないと思います。
さらに当社にはみずほフィナンシャルグループのネットワークもあります。みずほ銀行やみずほ信託銀行などの専門家と一緒になってプロジェクトを推進することもよくあります。
もちろん、〈みずほ〉が一体となったソリューションも提供できる。
野上:コンサルタントとしての働き方も当社は柔軟で、特定の分野を追求する者もいれば、私のようにデジタルの専門性を持ちながらシンクタンク的に政策を取りまとめるといった「専門性+α」の働き方もできます。日々生まれる新しい課題やテーマなどをキャッチアップし、やりたいと手を挙げればアサインしてくれる風土が組織全体にあります。
好奇心が旺盛で、さまざまな社会課題の解決に意欲を持って取り組みたいと考えるコンサルタントにとって、理想的な活躍の舞台がここにある。
※ 記載内容は2023年3月時点のものです
