大学で3D-CGの魅力に触れ、広告系プロダクションを経て自動車業界へ
「大学では、ビジュアルデザイン学科のデジタルクリエイションコースを専攻。2次元作品や実写映像の撮影、編集の基礎から応用まで学び、知識やデジタルスキルを身につけました。その中で、2年生の後期に半年間ほどの授業で3D-CGに触れたのですが、それがとても魅力的で楽しく、その後も独学で取り組むほどのめり込んでいました。
大学卒業後は広告系のプロダクションに入社し、電車の中吊り広告や動画、テレビCM制作を経験しました。制作した広告を見かけたり、CMがテレビで流れたりすると嬉しかったことを覚えています。モチベーションは100%で、無我夢中。あっという間の6年間でしたね」
大学在学中から3D-CGに魅力を感じていた渡邉。新卒で広告系のプロダクションに入社し実力を発揮してきましたが、転職を決意します。
「慣れ親しんだ地元愛知県に、東京からのUターン転職です。転職活動ではこれまでと異なる業界、職種も候補としていましたが、結婚して10年後くらいまでの働き方や生活、子育ての環境など見据えて、ワークライフバランスの充実を第一に考えました。
当時、三菱自動車では『CGクリエーター』は募集しておらず、サーフェースクリエーター(デジタルモデラー)の募集要項に扱ったことのあるCGソフトが書かれてあったのでそちらで応募しました。後から聞いた話ですが、たまたま私が応募したときにCGができる人の募集を検討していたらしく、経歴やポートフォリオを見て『いい人が応募してきた』と『CGクリエーター』として採用いただき、入社しました」
デザイン本部で活動する中で、仕事への取り組みや姿勢に関して志していることがあると言います。
「クオリティーの追求はもちろん、当社のブランドイメージ、デザイン本部としての方針、そこに至るまでの背景やストーリーなど広い視点で見て捉えようとしています。
ただ仕事に取り組むだけではなく、全体への影響度や一緒に仕事をする人たちにどう応えるか。それに加えて、自分自身の納得感も大切にしています」
また、転職前後においてギャップがあったと語ります。
「入社直後は会社全体、組織の大きさに戸惑いもありました、本部長とも距離があるのかと思っていましたが、実際は関係する部署やグループの方、デザイン本部長との距離感も近く、立場を気にせずざっくばらんに話せますね。
本部長からアイデアをダイレクトにもらえるので、すぐに取り組んで、すぐ応えることができます。デザイン検討やレビューで良いリアクションがあると、個人としてもチームとしても成長が実感できます」
渡邉が活躍する、CGチームの仕事とは?
渡邉は、現在CGクリエーターとして、3D-CG、VRを担当するチームに所属しています。
「CGチームでは、主にVR(VirtualReality)を活用したデザイン検討の運営を行っています。VRや商品の発表に向けた『ビジュアライズ』というものがあります。それは、3D-CGソフトを利用して商品の『形状、意匠』を『ビジュアライズ(見えるように)』すること。
主にVRでは数パターンのデザインの組み合わせを検討し、競合車などの比較要素も含め膨大なデータを扱います。デジタルモデラーが製作した最新のデータを取り込み、背景や環境を任意に設定できるので、天候や時間に左右されない同条件下での検討を可能にし、デザイン開発に貢献しています。 魅力的な商品をめざし、応えるためにもCGチームで対応しています」
CGチームの新たな取り組みの一つに、ゲームエンジンの活用があります。
「これまで、役員や関係者が出席してデザインの方向性・仕様の確定を行う会議では、従来使用していた『走行ムービー』を使用していました。車がこちらにゆっくりと向かって来るフロントビュー。そして、横に来て止まったサイドビュー。最後に、再び動き出したリアビュー。市街地を開発中の車が走行するムービーを見て、印象やコンセプトを表現できているかを評価、比較検討していました。
『走行ムービー』は静的(スタティック)で淡々と見るロジカルなムービーでしたが、出席者を世界観に引き込みコンセプトや魅力を端的に表現・伝えることのできる動的(ダイナミック)でエモーショナルなムービーを会議で使いたいというリクエストがありました。商品コンセプトによりさまざまですが、荒々しさや落ち着いた様子、わくわくさせるなどの世界観を表現します。
いちから複雑なプログラミングを必要とせず、限られたリソースのなかで運用できるゲームエンジン(Epic Games社のUnreal Engine)についてはゲーム業界から各製造業に浸透している動向はつかんでいて、もともと導入はしていました。しかし、新たなムービーのリクエストを受けて、本格的な稼働を決めたんです」
ワークライフバランスを大切にできる、職場の風土を実感
CGチームで日々仕事に励む渡邉。プライベートでは、気持ちを切り替えて趣味に勤しんでいると言います。
「アウトドアが好きでキャンプや釣りに行ったりします。自然のなかでリフレッシュすることが好きですね。最近は、1歳になった子どもと休みの日に遊ぶことで、気分転換できています。
入社後、半年ほどで新型コロナウイルス感染症による非常事態宣言があり、プライベートであまり交流できませんでした。機会があれば、デザイン本部やチームの人といつかキャンプにも一緒に行ってみたいです」
また、渡邉は約半年の男性育休を取得したことで、家族で過ごす大切な時間を得て、仕事に復帰しました。育休取得についてこう話します。
「デザイン本部や同じグループ内で男性育休を取得する人が、私の前にも何人か続いていました。それで、取りやすい風土というか流れができていたのでとてもありがたかったです。
育休期間は1人減るのでリソースの調整が必要でしたが、業務の引継ぎもスムーズにできたので安心して育休を取得できました」
在宅勤務と出社の割合についても、業務効率を落とすことなく取り組める環境があると渡邉は語ります。
「デザイン検討では、出社して感染防止対策しつつFace To Faceで開発しています。人にもよりますが、私はだいたい週1回ほど在宅勤務をしています。事務作業、Eラーニング(研修)などは在宅を活用しています。CG作業を在宅で行う場合も効率が落ちないよう、高性能ノートパソコンでCGやレンダリング、一通りの仕事ができる状態です」
技術に特化したエキスパートをめざし、CGチーム全体で開発力を引き上げる
CGチームのコミュニケーションやチームワーク、雰囲気について渡邉はこう語ります。
「私の後から『CGクリエーター』として中途採用された方、社内で異動した方も含めて年齢層としては若い人中心で構成されています。
趣味でゲームが好きな方も結構いて、ゲームエンジンへの抵抗も少なく仕事で触っていて楽しいという印象です。いろいろなデジタルツールに詳しく、新しいものが好きでどんどんインプットして仕事で活かす人が多いです。
普段からアイデアが生き生きとして刺激的で、仕事中も雑談交じりに『こんな新しいツールが出たんだ』と同じ目線でみんなで話し合ったりもします」
CGやゲームエンジンの分野は、日ごと月ごとに新しいアイデアや技術が目まぐるしく変化していきます。変化に対してチームで取り組んでいる工夫について、渡邉はこう話を締め括ります。
「最近では、定期的に共有会を開いて、遭遇したCGソフトのバグや、効率向上につながる機能をチームで共有していますね。『わからないことを調べる際、重複を避けて無駄なく習得していきましょう』という考えです。
個人としては、技術に特化したエキスパートをめざしていきたいです。もう少しCGの知識や表現力を向上させていけるといいなと思います。どうしても、ひとりの力だけだと限界があるので、チームで交流をして情報共有を活発に行う。そうして、しっかりと次の世代を育ててうまく協力してみんなでステップアップしていきたいです」
デザイン本部のCGチームで開発力をけん引する渡邉の挑戦は続きます。
※ 記載内容は2023年7月時点のものです

