工場勤務時代はマネジメントも経験。多様な人財と向き合ってきた経験がいまに活きる
私は現在、人事部で生産系人財の採用・育成・活躍施策を担当しており、多様な人財の活躍に向けた施策にも取り組んでいます。人事という仕事をする上で、私が最も大切にしているのはコミュニケーション。近年はWeb会議が増えていますが、できる限り会って話をすることを心がけています。
明治(当時の明治乳業)には2004年に入社し、最初は北海道の本別工場に配属され、生クリームや脱脂濃縮乳などの乳製品製造に携わりました。自然豊かな環境下で、ものづくりの基礎と製造工程の管理について学びました。
2008年からは労働組合での活動に従事し、働く人の声を会社に届けることの大切さや、トップダウンとボトムアップを組み合わせることの重要性を学びました。よく会社と労働組合は「車の両輪」と言われますが、本当にその通りだと思っていて、両輪がうまく機能しないと車は進めません。チェック&パートナーとして、互いに協力し、相互に信頼関係を築くことが、企業の発展と社員の生活の向上に不可欠であると考えています。
その後、2016年にヨーグルト製品を製造している守谷工場へ異動しました。それまでとはまったく異なる環境となり、中でも大きな違いを感じたのが、デイリー商品ならではの時間軸。状況に合わせて臨機応変に対応する必要があり、「お客さまに安全・安心な商品をしっかりと届ける」という使命感を胸に、緊張感を持ちながら業務に従事しました。
こうした長年の工場勤務で培った経験は、現在の人事の仕事にも大きく活きていると思いますね。たとえば、現場から職場環境についての意見が出された際には、社員の方々の気持ちや働き方に寄り添うことができます。背景まで理解しながら議論ができるのは、実際に工場で働いていた経験があるからこそです。
守谷工場ではマネジメントも経験しました。そこでは多種多様な方が働いていて、海外出身の方や育児中の社員もいましたし、年齢層も若手からベテランまでと幅広く、再雇用の方もいましたね。また、雇用形態も正社員、契約社員、派遣社員と多岐にわたります。どの部署や事業所と比べても、工場は多様性に富んだ場所であり、そういった方々とのコミュニケーションの複雑さを知ることができたのは良い経験です。
きっかけはメンバーが楽しんで活動していたから。皆がいきいきとしながら積極的に活動
私はいま、LGBTQ+アライネットワーク「Marble」という社内活動にも取り組んでいます。守谷工場時代の上司からの誘いがきっかけで始めましたが、ちょうど人事部への異動が決まり、私自身もコミュニケーションを取る上でLGBTQ+についての理解を深めておきたいと思っていました。また、社内でも啓発活動が行われていますが、もっと認知を広げていく必要性を感じていたことも理由の1つです。
そのため、誘ってもらった時は「ぜひ一緒に勉強させてください」と即答。というのも、上司がとても楽しそうに活動していたんですよ。ご自身のお子さんの学校で、PTA活動の一環として会社紹介をした際には、Marbleの活動内容やLGBTQ+について触れるなど、社内外を問わず積極的に発信されていました。私自身もいま、その上司のように楽しく活動できているので、きっかけをつくってくれたことにとても感謝しています。
Marbleは全員が主体的に取り組んでおり、当初から活動が活性化していました。また、有志の集まりということもあって、やらされている感がまったくありません。「自分たちで何か始めよう」と行動力のある人々が集まっているため、さまざまな決定が迅速に行われ、皆がいきいきとしながら活動しているのが印象的でした。
最近の活動では、プライドハウス東京さんやマリッジフォーオールジャパンさんと共同で、社外から多くのゲストをお招きし、バレンタインにちなんだイベントを開催。LGBTQ+に関するトークセッションでは私は司会進行を務め、実際に当事者の方々にもご登壇いただき、バレンタインの思い出話をしてもらいました。
ほかには明治のお菓子を使ったブーケ作りも実施。多様な価値観やキモチを表現した「マーブルパウチダイバーシティパッケージ」デザインのマーブルチョコをはじめとした当社のお菓子を使い、大切な方を想いながらおのおのが好きなように作ってもらいました。イベント後のアンケートでは、参加者全員が満足と回答されるほど、皆さん楽しそうに取り組んでいましたね。
この企画の趣旨は、当社のDE&I(ダイバーシティエクイティ&インクルージョン)の取り組みを多くの方に知ってもらい、また商品を通じてお菓子の楽しさを広げること。さらには、LGBTQ+に関する理解を深めることを目的としていましたが、皆さんが真剣に当事者の方のお話を聞き入っている姿を見て、「イベントに携われて良かった」と心から思いました。
また、2024年の「東京レインボープライド」では、マーブルチョコをベースにしたオリジナルTシャツを着用し、LGBTQ+アライのメンバーとしてパレードしたり、クイズを出題するボランティアを行いました。ほかにも地域の取り組みに参加した際は、子ども食堂でお菓子や食材を配り、Marbleの活動を子どもたちにも紹介。すぐには理解できなくても、いつか伝わってくれればいいなという思いで取り組んでいます。
Marbleでの活動が自分の成長に。多様な価値観を受け入れられる職場づくりに尽力
Marbleの活動を通じて、当事者の方々とお話する機会もあり、さまざまな考え方や価値観に触れられることは、自分の成長にもつながっていると感じています。性的少数派への理解にとどまることなく、さらに踏み込んで多様性というところまで考えられるようになったのは、自分にとって大きな変化です。
ただ、いまはカミングアウトして周囲の理解を得ている方でも、言えずに困っていた時期というのは少なからずあります。そういう時に、周囲が知らず知らずのうちに傷つけてしまうことを「マイクロアグレッション」と言い、これは誰にでも日常的に起こりうること。そうならないためにも正しい知識を身につけ、日頃から意識することが大切だと思っています。
一方、本当はカミングアウトしたいけど、戸惑っている方も中にはいるかもしれません。そういった方のために、カミングアウトしやすい雰囲気を作ることも大切だと感じています。ここでも周囲の理解が不可欠ですし、「そうなんだね」と自然なこととして相手を受け入れられる環境を作っていきたいですね。
また、Marbleの活動だけでなく、人事としてもLGBTQ+の方が働きやすいように労働環境を整える必要があると思っています。たとえば、工場なら着替えの場所などを多角的な視点から考える必要があります。工場にはLGBTQ+の方だけでなく、いろんな属性の方がいますから、皆が働きやすい職場環境をめざしたいですね。
誰かを傷つける話になった時、話題を替えたり、良くないと指摘できる人が増えてほしい
今後のLGBTQ+アライの取り組みにおいて、すべての事業所や工場に理解者が必ず1人はいるような環境を作ることが直近の目標です。そこを起点に活動の輪が広がっていき、どんどん理解者が増えていってくれれば嬉しいですし、Marbleのメンバーたちの想いが未来へつながっていくことを願っています。
当社では施設面での取り組みも進めており、新工場の建設や改修の際には「だれでもトイレ」を設置したり、更衣室を工夫したりと多様性に配慮した仕様になっています。専門家の方々のご意見を伺いながら、ダイバーシティ設備の導入や、当事者視点を取り入れるように心がけています。
統計では、LGBTQ+の方は10人に1人の割合で存在すると言われていて、これは左利きの方と同じくらいの割合です。しかし、この現状を知らない方もまだ多くいますし、いまも多くの方が自分らしさを表現できずにいます。
そのため、もし普段の会話で踏み込んだ内容になってしまった際は、自然に話題を切り替えたり、「それは良くないんじゃないかな」と指摘できる人が増えていってほしいですね。私自身もそういう人でありたいです。また、もし自分の子どもがカミングアウトしたとしても、「それもいいんじゃない」と言えるような親でありたいと思っています。
現在はイベントなどをきっかけに、LGBTQ+アライのメンバーがますます増え、活動の輪は着実に広がりつつあります。皆さんが「自分も何かできることはないか」という想いを持って参加していますから、こういった人たちが増えていき、一人ひとりの意識が変わることが実現に向けた大きな一歩になるのではないでしょうか。
Marbleには興味がある方なら誰でも入ることができます。定期的に勉強会も開催しており、LGBTQ+について学ぶ機会も多くありますし、業務時間内で活動できるので無理なく取り組むことができます。何より皆が心から楽しんで活動しているため、ぜひ積極的に輪に入ってほしいですね。
※ 記載内容は2025年3月時点のものです

