巨大市場を攻略せよ。現地の消費者ニーズに目を向け、販売戦略を練っていく
現在、私は上海にある明治(中国)投資有限公司において、牛乳やヨーグルトの販売セクションに所属し、そちらの営業副総監として業務に従事しています。主な業務は、得意先への訪問・商談、営業部員のマネジメント、そしてマーケティング部と連携した商品開発の検討などです。担当している得意先は主にスーパー、コンビニエンスストア、代理商(卸問屋)となっています。
中国では14億人という巨大な市場がありますが、明治の牛乳やヨーグルトは進出からまだ日が浅く、知名度は低いのが現状です。チョコレートやアイスクリームの方が比較的知名度が高く、それらの部署と連携しながら乳製品の知名度向上に取り組んでいます。とくにLG21やR1などの機能性ヨーグルトについては、積極的に販売を試みていますが、まだ消費者への浸透が低く、価格面や機能性の訴求方法において検討を続けています。
営業活動では、日本人としてのアイデンティティを全面に出すことを心がけています。明治が日本企業であることは中国でも知られており、日本人が直接営業することが信頼性向上につながると思うので、中国語を話せることをアピールポイントとして、お客さまに好印象を持ってもらえるよう努めています。基本的な商談は中国語で行っていますが、より詳細な議論になる場合は現地スタッフのサポートを受けることも。広大な中国では地域によって方言が異なり広東語ともなると外国語のように聞き取れず……そんなときはお互い標準語で商談を行っています。
中国の乳製品事情は日本とは大きく異なります。日本の明治はトップブランドに対し、中国では無名に近い存在にあります。中国の大手企業が市場を占有しており、各企業への導入に対してハードルが高い事を感じております。また買い手の立場が強く、要求も厳しいのが特徴です。明治は中国ではまだシェアが低いため、要求に応じざるを得ない立場にありますが、そのような状況でも粘り強く、継続的に販売活動を行っていくことが重要となっています。
商品特性についても、日本と中国では大きな違いがあります。日本ではあっさりとした味わいの牛乳が好まれますが、中国では濃厚さが重視され、タンパク質が多いほど価値があると考えられています。また、容器も日本では紙パックが普通ですが、中国ではペットボトルが主流。これは商品の新鮮度を重視する傾向があり、牛乳の色合いが見えるペットボトルが好まれるからです。
私が管轄する営業部門には75名のスタッフがおり、私以外は全員中国人。コミュニケーションは基本的に中国語で行っています。入社してから半年が経過し、徐々に腹を割って話せるようになってきました。営業部のトップとして、売上管理が最も重要な仕事ではありますが、部下が動きやすい体制を作ることも心がけています。とくにローカルでの調整は現地スタッフに任せるように。日本流のやり方が必ずしも通用するわけではなく、現地の事情を理解することが重要だと考えているからです。
中国で培ったスキルと想い──明治で挑む中国への新たな再挑戦
私は以前、日本の別の会社に勤めていました。
前職での業務で頻繁に中国へ出張する機会がありました。その際に中国の消費パワーに強い魅力を感じたんです。日本人に似たアジアの感性を持ちながら、独自の文化や価値観を持つ中国は、将来性のある魅力的なマーケットだと確信しました。
中国に魅力を感じた私ではありましたが、当時、まったく中国語は話せない状態でした。しかしなんとかビジネスを通じて中国語を習得していき、前職の中国事業において、立場のある役職にまでなりました。
その後、ご縁があってネクストキャリアとして、明治で現在の仕事に携わるように。日本に戻ることも考えましたが、日本には私のような人間はたくさんいて、もっと優秀な人もいます。むしろ中国での経験を活かした方が自分の強みを活かせる。だから、中国でさらに頑張ろうかなと思いましたね。日本のトップメーカーである明治の商品を、パワーにあふれた中国市場で展開していく。そこに挑戦してみたいと思ったのが一番の理由です。
日本流のやり方が通用しない中国で、好奇心を持って可能性を探るおもしろさ
2024年に明治に入社してみると、入社前に抱いていたイメージはその通りで、さらに「明治の商品が大好き」という気持ちを社員がみな持っていて、自社愛が強いことを入社してからより強く感じましたね。
ただ、課題に感じたのは、日本の明治はトップブランドとしての地位を確立していますが、こと中国に至るとどのジャンルでも1位はないんです。中国では日本のようにはいかず、「なんとか取り扱ってください」とお願いする状況です。ですから日本流の考えで展開しようとすると、悩む結果になってしまうのです。
中国で明治の商品の知名度を上げていくには、たとえばSNSでの話題化による波及効果を狙っていくなど、規模の大小に関わらず、あらゆる販売チャネルに対してアプローチをする必要があります。
私が以前携わっていた事業でも、最初は日本のブランド力だけで売れると考えていましたが、実際には現地のニーズに合わせた商品開発が必要でした。たとえば既存のコーナーに置かずにクロスマーケティングの手法を用いて別のコーナーで商品の使いやすい提案を行うなど、価格競争が難しい中、アイデアで勝負していったんです。
このような手法は現在の明治での仕事にも活かせると考えており、中国の明治ではまだ実施していない新しいアプローチを順次導入していきたいと考えています。中国から他国への輸出ができる体制の構築も検討しています。現在の中国経済は停滞傾向にあり、デフレ傾向になっています。牛乳の価格も年々下がってきており、安価な商品しか売れなくなってきている難しい状況。そのため、新しい販路の開拓に注力していく必要があります。
人種、言語、文化が異なる環境で、日本でやってきたことが通用しないことが多いという状況を、好奇心を持って果敢に取り組めることが、中国での仕事のおもしろさですね。過去に、まったく誰も知らない状況で1人中国に乗り込んできた時、さまざまな人とのつながりを通じて情報を得て、一つひとつ商品展開の可能性を探っていきました。その考えていく過程が大好きで、私は楽しいと感じるのです。
若いうちに、海外への挑戦を。視野が広がり、大きな自己成長が期待できる
これからの目標として、現地スタッフの育成に力を入れていきたいです。現地スタッフは市場のニーズに敏感なため、その意見を積極的に取り入れながら、最終的な責任は日本人が取るという形で進めています。今後は現地スタッフを育成し、部長や総監といったポストで活躍してもらえるといいですね。
明治は中国において、お菓子とアイスクリームを合わせて多数の工場を保有しており、日本の食品企業としては類を見ない規模の投資をしています。明治グループ2026ビジョンにおける重点方針としても、 海外事業の成長基盤の確立を掲げていて、中でも中国、東南アジア、米国を重点エリアと捉え、経営資源を集中させています。このような会社からの期待は十分に感じていますし、期待に応えていきたいですね。
中国のビジネスは非常にスピーディです。また、コミュニケーションもダイレクトで、ストレートに意見を言ってくれるため、仕事がしやすい面もあります。気を使うことなく話せる文化は私自身、とても合っていると感じています。シンプルに考えることが大事で、深く悩んだとしても「中国での答えは中国人しかわからない」と考えていますから、失敗は当たり前。 試行錯誤を繰り返し、粘り強く挑戦し続けることで、必ず成功への道が開けると信じています。
これからグローバルでの活躍をめざす社員の方々へお伝えしたいのは、海外に出ることで得られる成長の機会についてです。海外での経験を通じて、視野が広がり、さまざまな文化や言語、人々との出会いによって自己成長できます。私自身も、日本にいた時とは考え方が変わり、思い切って挑戦することの大切さを学びました。
とくに若い世代の方々には、早めの海外挑戦をおすすめします。私は38歳で中国に来ましたが、当時は言語習得などで苦労しました。吸収力の高い若いうちに海外で経験を積むことで、より会社に貢献できると考えています。たとえば、現在日本ではインバウンド観光が増加していますが、海外経験があれば現地の人々の好みや行動パターンなどの情報を得ることができ、それを日本国内のビジネスにも活かすことができますよね。早めに一歩踏み出すことで、たくさんの出会いと大きな成長が待っていると思いますよ。
今は会社にトレーニー制度という海外業務研修制度もありますので、多くの方が希望を出す事を期待しています。
※ 記載内容は2024年11月時点のものです

