あくまでも「お客様最優先」。製品を安定供給することの難しさ、おもしろさ
私は現在、明治の生産物流プロセス戦略本部に所属しており、「おいしい牛乳」や「ザバスヨーグルト」など西日本に流通する業務用商品の需給管理を担当しています。
お客様の注文通りに商品をお届けすることが、なによりも使命。たとえば、品切れはお客様の期待に応えられないということですし、必要以上に在庫を確保したら、鮮度外で廃棄損失を出すことにつながってしまいます。気候変動やTVなどメディアへの露出、過去実績、販促計画などあらゆる情報を先読みし、製品の安定供給をすることが重要なミッション。
具体的な業務としては、出社してまず各拠点の生産状況の確認をします。その後、一人で約20、もしくはそれ以上の商品を受け持っているので、それぞれの需要予測、在庫調整を行います。生産が予定通りに稼働しているか、何かトラブルが起こってはいないか、必ずチェックを行います。
たとえば機械の部品が一部故障してしまうと、部品交換に時間がかかり、生産終了予定時刻を超えてしまうことも。当然、生産工場から各拠点に製品を運ぶ時間にも影響します。その場合は、保転計画の見直しや在庫がある拠点から必要な拠点への補充など、さまざまな点を調整しなくてはいけません。
もちろん在庫の確保には私たち社員の勘と読みも重要です。広域需給システム、長期計画システムで定番値を予測するのですが、時にはその読み通りに発注がこないケースもあって、製品の需要管理は簡単ではありません。
けれども、どんな場合においても意識するのは、「お客様最優先」ということ。機械に故障はつきものですし、状況をくみ取って、思いやる気持ちを忘れずに、焦らず確実に対応することを大切にしています。
介護離職者を出さないために。介護ERGは働きながら介護する人の強い味方
普段携わっている仕事以上にいまお伝えしたいのは、私が参加している介護ERG(「Employee Resource Group」)のこと。組織の中で同じ価値観を持つ社員が主体となり、運営するグループのことを指します。
介護ERGでは、介護知識の共有や情報交換をおもに行っています。たとえば、フレックスタイムや半日有給といった社内制度活用事例や介護保険制度について、その他、参加メンバーの介護体験談の共有なども積極的に行っています。
と言うのも、介護のことは、なかなか人に話しづらいですよね。誰かに話したいし聞いてほしいし、質問したいのに、その相手がいない。だから、情報収集もしづらい。とくに、「職場で話していい話題なのか」と不安に思っている人がとても多いですよね。話したら、評価に影響するのではないか、第一線から外されてしまうのでは……と悶々とした悩みを抱えている、隠れ介護者が少なくありません。
私自身、両親の介護を経験しています。すでに他界した父は介護療養医療型の施設に入所していました。その時の経験から母は自宅介護を選択しました。介護でたくさんの悩みを抱えていても、相談相手がいない。私が経験してきたことが誰かの役に立つかもしれない。
また、原則3年に1度実施されている介護報酬改定が2024年に控えており、団塊世代が75歳を迎える2025年問題の直前という今だからこそ、という思いもあり、そして私自身、社内のさまざまな部署との方との交流経験が後押しとなり、介護ERGに参加することを決意しました。
介護ERGの目標は「介護離職を出さない」です。事実、私の周りや同じ部署でも、「介護のために離職します」という人を何名か送り出しました。その人たちはみな女性で、年齢的に自分と近い人もいれば、まだまだ若い20代の方もいました。せっかく縁あって同じ職場で働けているのに、介護で退職しなければならない……なにか救う手立てはないものか。その想いが活動の原点にあります。介護ERGは、明治に在籍する職種も年齢も異なる人々で構成されていて、介護に関する話や情報交換をする貴重な場になっています。
具体的には、介護と仕事の両立に関心のある社員とERGメンバーとの情報交換の場である「オレンジカフェ」を定期開催しています。これは仕事×介護両立ハンドブックの具体的な説明をし、その中で質問がある方に直接質問していただき、介護ERGメンバーが回答する、というスタイルです。
あとは、各メンバーの体験談を社内ポータルサイト内にアップしています。自分だけが苦労をしているわけではなく、他にも頑張っている人がいると気づけたら、もう少し頑張ってみようと、力が湧いてくる。そんな心強い存在になっていると思います。
介護について気軽に話せる職場づくり。そのための情報発信は欠かさない
働きながら家族の介護をすることは本当に大変ですし、悩みも多いです。加えて、職場では話題に出しづらい雰囲気があります。私の周りでも、育児の話は飛び交っているのですが、介護の話題はありませんでした。
しかし、介護ERGで活動していることを職場で積極的に話し、広めていくなかで、少しずつ「介護」というワードが会話の中に出てくるようになりました。「実は僕も介護をしているよ」とか「医療施設に入所していて、遠距離介護をしているんです」とか……身近に介護をしている人が複数いたことに気づきました。
この、介護していることを「言える」ってすごく大きいと思います。介護をしていると、病院への付き添いなどで、突発的に休むこともあります。だからこそ、あらかじめ自分の状況を話しておくことで、休むことへの理解をしてもらいやすくなると実感しています。誰もが不安を感じることなく、自分の状況を正直に伝えられる心理的安全性や、お互いに理解しサポートし合える職場の環境づくりが重要ですよね。
私自身、母は全介助なので、誤飲を防ぐための食事の準備や薬の管理、浣腸などの医療行為も私が行っていました。常に命を預かっているという意識が自分の中に重くのしかかっていて、つらい気持ちで身も心も休まらないことがありました。そんなつらい時には、ヘルパーさんを頼ったり、デイサービスを利用したりと外部の助けを頼って、なんとか介護と仕事を両立してきました。
これもすべてコロナ禍以降、在宅勤務が奨励されたことが大きいです。最初のころは職員全員分のノートパソコンもなく、共有して交代で使ったりもしていましたが、徐々に環境が整い、今では全員が一人一台パソコンを持ち、在宅勤務を活用できるようになりました。往復2時間かかる通勤時間がなくなり、その時間を母の介護や自分の体を休める時間に充てられています。会社には本当に感謝しかありません。
介護に無縁の人にこそ知ってほしい。いま私たちが知り、話し合うべきこと
正直、介護に関しては黙っていても情報が入ってきません。いま、まさに介護に直面している人はもちろんですが、まだまだ介護とは無縁の人にこそ、さまざまな情報に触れておいてほしいと思います。情報収集をするのに、早いということはないと思います。地域包括支援センターなどに足を運んでみるのもいいかもしれません。
介護をするメンタリティは40代、50代くらいから、そろそろ考えなくてはいけなくなります。その中で、まずはいろいろな制度を理解する。正直、自分に関係がないことはなかなか見ないと思いますが、介護は突発的に始まることも。やはり準備をしておくに越したことはないですね。加えて、親の情報も知っておかないといけません。財産の管理方法やお墓の問題など。こうした話題はなかなか話しづらいものですが、親が元気なときに話し合っておくことが大事だと思います。
介護認定もすぐに降りるものではないですし、仮にヘルパーさんがついてくれたとしても、介護される側、介護する側との相性もあります。家族と自分のために一番良い選択肢を選び取っていかなくてはならない。そのためには、やはり事前知識がとても重要だと思います。
この記事をきっかけに介護をする人への理解が進み、躊躇なく介護について話せる環境が広まっていくことを願っています。ぜひ介護ERGやオレンジカフェで、気軽に相談してほしいと思います。自らの経験を踏まえて、できるかぎりの情報を提供していきたいと思っています。誰もが介護について相談できて、介護を理由に悩むことがないように。
※ 記載内容は2023年12月時点のものです

