以前から根付くDE&Iの精神をより明確で強固なものに。DE&I推進室の成り立ち
ダイバーシティ(多様性)・エクイティ(公正性)&インクルージョン(包摂性)を推し進め、どのような社員にも働きやすさ・働きがいを提供したいと語る服部。同社ではDE&Iという言葉が叫ばれるより前から、その風土が根付いていたと振り返ります。
「社員の声を聞き、より働きやすくするための制度が活用される土壌は以前からありました。その意味では当社は以前からDE&Iの精神が根付いていたと言えます。
例えば、社員一人ひとりに付与される年次有給休暇は、勤務年数を問わず4月に20日一律で付与されますし、全ての社員が在宅勤務できます。またライフイベントとの両立支援制度はいずれも法定以上です。制度だけでなく、社員の活躍という観点では、社員全体に占めるキャリア入社者の割合は約3割になりますが、管理職全体に占めるキャリア入社者の割合も同じ約3割ですし、女性管理職比率は、業界平均を上回っています。
一方でコロナ禍などを経て、あらゆる企業で働き方が大きく変化している様子を目の当たりにし、当社でも経営陣を中心に『環境変化に対して、より柔軟に適応できる組織風土を定着させることが必要ではないか』という機運が高まってきました」
また、シンクタンクとしてDE&Iを社会へ発信する立場であることも、今回のDE&I推進室設立を後押ししたと言います。
「社会へDE&Iの必要性を呼びかける立場として、他社の道標となれるよう当社自身が進んでDE&Iに取り組むことは、社長をはじめとする経営メンバーの強い意志からでした。DE&Iに関する発信が『紺屋の白袴』にならないよう、社内でDE&Iに組織的に取り組んでいくために、DE&I推進室が設立されました」
現在、室長の服部を含む計4人で構成されているDE&I推進室。あらためて、DE&Iとは何を指すのか。この問いに服部はこう答えます。
「ダイバーシティとは、多様な社員がいることを理解し受け入れること。エクイティは比較的新しい概念で、格差のある環境で公正な機会を提案するという意味合いで使用されることが多いです。
当社では『社員全員に同じスタートラインを用意する』ことで能力発揮できる環境を整えることを重視しています。インクルージョンは多様な社員がただ存在するのではなく、その一人ひとりが経験や能力を活かし、活躍できる環境を目指すことだと理解しています。
以上3点を踏まえて、当推進室では『多くの優秀な社員がエンゲージメントの高い状態で働いている』状態を目指して活動を行っています」
人事領域の豊富な経験を活かしてDE&I推進室室長へ就任。企業の「今」を徹底分析
服部はシステム開発担当として現場の業務に携わった後、2002年から人事部へ。このころからダイバーシティに関する取り組みにも携わっていたと言います。
「採用・育成など一般的な人事業務にも関わりましたし、ダイバーシティにも取り組んできました。当時取り組んだことで印象的だったことの一つとして、ドレスコードフリーの導入があります。
当社は社員の自律・自主性を重視し、具体的な服装例示は行っておりません。『自身の能力を発揮できる服装』とのみ定めました。その結果、今まで通りスーツで働くのが心地よい人はスーツで、カジュアルな格好の方が働きやすい人はカジュアルな服装で、という形で本当の意味でのフリーな状態が定着し、当たり前になっています」
その後2021年には現場のHR業務にも携わります。
「社員のキャリア支援を中心に、2年ほど携わりました。入社当初システム開発の仕事をしていたことが役立つこともありましたね。また、実際に数百人もの社員と顔を合わせて会話をする機会にも恵まれたので、社員の多様性を直に感じることができ、現在のDE&I推進室の業務を行うにあたって貴重な経験となりました」
2023年10月のDE&I推進室新設にあたって、室長へ就任。
「DE&I推進室の設立と同時に、これまでの経験をもとに今できる施策を考えることに。そこで、まずはDE&Iの観点で当社に何が必要か、当社で今どのような変化が起きているのかということを半年かけて分析する作業を行いました。
その中で分かってきたのは社員の多様化に加え、性別を問わずそれぞれの働き方の変化。男性社員では共働き率が増え、仕事と家庭の両立をより意識する社員が増えてきています。また、女性社員は在宅勤務制度の導入によって、産休・育休取得後の時短勤務率が減り、復帰後すぐにフルタイムで働く方の割合が増えてきたことが明らかになりました」
DE&Iに取り組む中で気づいた社内外のギャップ。自由度の高い社風を広く周知したい
DE&I推進室設立前から、ライフイベントと両立されている方、国籍・言語の異なる方、障がいのある方など多様な社員に対するサポートに注力し、法定以上の制度を整えてきた同社。現在は服部らによる独自の調査結果も踏まえ、「性別やライフステージを問わず社員全員にとって働きやすい、働きがいのある職場づくり」に向け活動を行っています。
「男性の育休取得については、2022年度では取得率が42.6%でしたが、2023年度は、取得率が90%近くまで増加しました。取得日数も平均40日を超えています。取得する社員の取り巻く環境変化もあったのだと思いますが、各部署の上司の皆様のご理解を頂けたことに感謝しています。
当推進室設立にあたって、経営陣からはとにかくさまざまな方を対象に働き方に良い影響を与える取り組みをどんどん進めてほしいとメッセージをいただきました」
DE&I推進に取り組む中で、服部自身にも気づきがあったと語ります。
「前述の通り、当社は自然にDE&Iの精神が根付くような柔軟性の高い会社であると自負しています。一方で、入社したばかりの社員と面談をすると『入社前は固いイメージを持っていた』『入社してみると優しい方が多く、柔軟に働ける企業で驚いた』という声をいただくことも。会社の外から見える印象と、実際の状況に大きなギャップがあることが分かりました。今後は社外にも当社の柔軟性の高さが伝わるといいなと思っています。
私が当社の魅力の一つだと思っているのは、任される裁量の高さ。前述のドレスコードフリーもそうですが、会社が何かを縛るのではなく、チームや個人が自主性を持って自律的に業務を行っているのが特徴です。
例えば、上司部下間のコミュニケーションを深める手段として、チームで定期的に1on1が実施されていますし、また、在宅勤務には『週に何回』などの定めはありませんので、チームや個人の都合に合わせて活用されています。有給休暇も同じく、チームで仕事をするからこそ、個人のお休みをチームでフォローすることが普通のこととして捉えられています。
結果として有給休暇取得率も平均8割です。もちろん自由には責任も伴いますが、それを理解した上で社員が自身の裁量で働けるのが当社の良いところだと思っています」
DE&I推進による変化を楽しみたい。誰もが同じスタートラインに立てる未来へ
DE&I推進室設立からおよそ半年。服部は社員の中でもDE&Iへの関心が広まってきているのを実感すると言います。
「当推進室の設立により、部署ごとの集まりなどに招かれ『DE&Iについて説明してもらえませんか』と声をかけていただくこともあります。社員にとっては、すでに行われている当たり前の取り組みもありますが、改めて言語化することによって、DE&Iに対する理解が深まっていくとうれしいです」
今後の展望についても、以下のように語ります。
「DE&Iという観点は、業務の至る所に影響を及ぼすもの。本格的に取り組もうとすると、膨大な量の課題を解決していく必要があります。そこで私たちはやるべきことに優先順位をつけて、何をどこまでやれば良いかをしっかり見極めながら先に進んでいくことを意識していきたいです。
まず、注力テーマである女性活躍推進・男性育児参画については、社員が仕事で成果を出しながらプライベートも充実させるために、企業として何ができるかを模索しているところです。どのような施策も、DE&I推進メンバーだけでは成し得ないもの。周囲の方々に協力を仰ぎながら、企業としてできることに取り組んでいきたいと思います。
また、男女ともに仕事と育児を両立する方が増えたこともあり、長期休業を取る方が増加し、復帰後の情報のキャッチアップが課題になっているという声も。復帰された方ができるだけ早く情報をキャッチアップしてスタートラインに立てるよう、力を注いでいく予定です」
社員の声を聞き、より働きやすい仕組みを作るだけでなく、何らかの理由で新たな困難を抱える社員がいれば、必要な制度や仕組みを整え、一人ひとりがより能力発揮できるようスタートラインを揃えていきたいと語る服部。DE&I推進室の未来を思い描きます。
「DE&Iが社員の中に浸透し、日常の中のDE&Iとつながっていくとうれしいですね。最終的なゴールはまだ見えませんが、当推進室の取り組みによってこれからも当社に良い変化をもたらしていきたいと考えていますし、その変化を私自身も楽しんでいきたいと思います」
※ 記載内容は2024年3月時点のものです
