パーパス経営の次のステージへ。AIと人材で切り拓く、日本総研の新たな挑戦
2026年4月、日本総研は新たな中期経営計画をスタートさせました。当時Dannoはリサーチ・コンサルティング部門の戦略企画部長として策定に関わりました。
「当社では過去3年間シンクタンク系コンサルティングファームというカテゴリでお客さまから信頼を勝ち得ていく共通認識を醸成してきました。今後も、数多くの競合がひしめくこの業界でさらなる躍進を遂げたいと考えています。今でも局所戦では活躍している自負がありますが、もっと『面で勝っていきたい』と思った際に、一人ひとりのコンサルタントががんばるだけでなく、部門全員が一丸となっていく組織風土を作っていくことが大切だと思いました」
そこで今回の中期経営計画では大きく3つの柱を掲げました。
「1つめは、人材獲得・人材育成を含めた戦える規模の確保です。2つめは、当社の強みの1つである社会基盤領域でナンバーワンを目指すこと。社会基盤領域とは、環境・エネルギー、医療・介護、通信、モビリティなど、日本社会の基盤となるような産業領域を指します。そして3つめはこれまで当社が慎重な姿勢を示してきたAIへの向き合い方を改め、生産性の向上や高付加価値化に役立てることです」
前回の中期経営計画からの変化について、Dannoはこう語ります。
「前回は大きく2つのポイントに注力してきました。まずパーパスを定め、当社にとってのありたい未来の1つとして『自律協生社会の実現』をスローガンに掲げたことです。そしてもう1つが高付加価値化です。少ない労働時間でお客さまに大きな付加価値を実感していただけるよう工夫し、業績と社員のウェルビーイングを両立させることを目指しました。
結果として、主要メディアに当社の取り組みが掲載される頻度も増加し、同業界における認知度はかなり高まったと思います。また高付加価値化も進み、当社が手掛けるプロジェクトの規模や案件単価も着実に大型化しています」
一方で社員のウェルビーイングの観点では課題が残りました。
「当社のメンバーはお客さま思いなので、業務に熱が入ってしまうことは仕方ないかと思います。そのため今後は定型的な業務をAIに任せ、コンサルタントがより本質的な業務に没頭できる環境を作っていきたいです」
「伝統的な強い個」に、組織の厚みを。若手や現場の声を吸い上げた策定プロセスの変革
Dannoにとって、中期経営計画策定プロジェクトへの参加は今回で3回目。各回異なる立場から関わってきたDannoが、これまでの歩みを振り返ります。
「1回目は意見を求められたら参加する程度、2回目はプロジェクトをリードする役割として参加していました。ただ当時は現在に比べて、現場コンサルタント間での中期経営計画の認知度が低く、現場社員にダイレクトに影響を与えることは困難でした。
また、策定のプロセスも3年に一度プロジェクトを組成してその都度やり方を考え、リリース後はプロジェクトを解散してしまう流れだったので、蓄積されていくナレッジが多くありませんでした。そこで今回は中期経営計画策定後もプロジェクトメンバーに実行のフォローアップを担当してもらうことにしました」
過去2回の中期経営計画を経て、Dannoは日本総研の強みと課題をこう分析します。
「当社は伝統的に『強い個』を重要視しています。特にリサーチ・コンサルティング部門ではスター性のあるコンサルタントが自由な裁量を持って活躍できる環境を整えてきたことで、業績や知名度を高めてきました。
一方、競合他社を見回してみるとこの人手不足の中でも規模拡大している企業が多いことに、私たちは危機感を覚えています。当社も個人の良いところを残しつつ、組織で勝っていくために何ができるか、考える必要があると思いました」
およそ1年間にわたるプロジェクトの中では、策定プロセスにおいても過去の反省点が生かされています。
「これまでの策定時は、あまり部内メンバーの意見を吸い上げることができていませんでした。そこで今回はよりさまざまなレイヤーの意見を取り入れる仕組みを整えました。
具体的には、検討の初期段階で階層別のワークショップを開き、さまざまなメンバーの意見を吸い上げたほか、検討すべきテーマを絞り込んだ後、人材・AI・業務の見直しの3つのワーキンググループを立ち上げ、そこで出た意見を施策に反映しました。また、現場を束ねる23人の部長に適宜状況を共有し、検討すべきテーマについて意見をもらっていました」
経営層と現場をつなぐ。チームで挑んだ、日本総研の組織変革プロジェクト
このように数多くのメンバーが今回の中期経営計画に携わっていましたが、全体を統括していたのはDannoを含めた4人です。
「リサーチ・コンサルティング部門の本部長と当時戦略企画部長だった私、そして事務局スタッフ2人が中心となってプロジェクトを進めました。私は立場上どちらかというと経営層とのやりとりが中心になってしまうので、事務局スタッフの2人に部門内の幅広いレイヤーとのつながりを意識してもらい、できるだけさまざまな角度での意見を集められるように工夫しました」
今回の策定をきっかけにDanno自身も大きな気づきを得たと言います。
「やはり、これまでは対話の機会が十分ではなかったと感じています。以前グループの部長を任されていた時も感じていましたが、経営層とも経営方針について話す機会はあまり多くありませんでした。そこには当社の文化が大きく反映されていると思います。
私が入社した20年ほど前は、良い意味でも悪い意味でも個性的なコンサルタントが集まっていて、『会社がどうしたいか』よりも『自分がどうしたいか』を重視するメンバーが多かったため、会社がコンサルタントに方針を示すことは多くなかったです。
しかし、今話を聞いていると、若手を中心に『会社としてはどうしたいのか、もっと聞いてみたい』と思っているメンバーも多数いました。そうした意味でも、数年に一度さまざまなレイヤーの人の意見を聞くのは大切だと痛感しました」
コンサルタントとしての経験も、今回の策定に大きく活かされました。
「コンサルタントはお客さまのこととなると熱心ですが、自社のことになると関心が薄い人が多いです(笑)。そこで、自社の中期経営計画をお客さまに見せても恥ずかしくないものにするために、私自身やるべきことを突き詰めると共に、どうしたら周りに協力してもらえるか考えながら行動しました。
また、本部長からは『成長を意識した計画にすること』を強く強調されていました。そこで新しいコンサルティングのスタイルやテーマにも挑戦できるような内容を設定。現場からは『目標が高すぎる』という声も上がりましたが、社会基盤領域ナンバーワンを目指してストレッチした目標を設定することにこだわりました」
社会基盤領域ナンバーワンへ。新設ユニット長として挑む、Dannoの新たな挑戦
2026年4月2日、リサーチ・コンサルティング部門に向けて中期経営計画が公開されました。本部長からの説明の後、メンバーから30件ほどの意見が寄せられたことにDannoは驚いています。
「これまで経営層から示される方針に関心を示さないコンサルタントも多かったので、プロアクティブな意見が集まりうれしく思いました。内容の多くは策定時にワーキンググループで話し合ってきた内容だったため、この辺りについては今後もしっかり考えていきたいです」
また今回の中期経営計画の大きな特徴は、計画を立てて終わりではないこと。前述の実行のフォローアップに加え、以下のような取り組みも行われています。
「まず社長からの指示もあり、KPIのフォローアップ体制を変更しました。前回までは3カ月に1回でしたが、今回から月次のフォローアップ体制を整えています。説明会だけではなかなか理解しきれない部分もあるかもしれませんが、このフォローアップがあれば数カ月ほどでかなり浸透するのではないかと期待しています。
また中期経営計画にあたって組織も再編され、環境エネルギー、インフラ、防災、モビリティ、『共育ち』(子育て・教育領域)などを領域とする3つのグループを束ねた社会・政策デザインユニットが新設されました。私は新たにこのユニットのユニット長に就任したため、メンバーと共に社会基盤領域ナンバーワンを目指して頑張っていきたいと考えています。
これらの取り組みを一つ一つ形にしていけば、シンクタンク系コンサルティングファームとして独走的な地位を築くことも不可能ではないと確信しています」
日本総研の未来を明るく捉えるDanno。最後に採用候補者に向けてメッセージを送ります。
「今回、中期経営計画においては社会基盤領域ナンバーワンを掲げましたが、当社の強みはそれだけではありません。これから入社を考えている方に特に伝えたいのは、民間企業さま向けの経営コンサルティングにもかなり力を入れているということです。
公共系の案件と比較すると目に見えにくいですが、さまざまな企業さまのお役に立っている実績がありますので、ぜひその点にも興味を持っていただけたらうれしいです」
「強い個」を尊重しながらも、組織として成長しようとしている日本総研。今後の活躍から目が離せません。
※ 記載内容は2026年4月時点のものです
