価格以上の価値を届けるため。丁寧な仕様決定で、ゼロから生み出す機械づくり
前田製作所の第二営業部 設計技術科に所属する水澤。10名ほどのメンバーで構成されている当部署は、それぞれが建設業界を中心に、林業などのお客さまから直接依頼を受け、完全オーダーメイドの個別受注品を幅広く手がけています。
「営業部という名称ですが、既存製品を販売するのではなく、受注から納品まで一気通貫で関わる業務が特徴的です。営業を通して個々のお客さまから『こんな機械をつくってほしい』『この工事で使えるものを作ってくれないか』という案件をいただきます。
私たちはそれに対して仕様を提案しつつ見積もりを行い、受注が決まれば3D CADを使って本格的に設計図を作り、部品製作へと移っていきます。世の中にはないゼロからの設計でものづくりを行うため、毎回新鮮な気持ちで仕事を行っています」
製品完成後は性能試験を行い、お客さまへの納品後のフォローも行います。
「オーダーメイド製品という性質上、既製品と比べると価格は高くなりがちですが、それぞれの現場に最適化された唯一無二の機械を提供しています。
1つの案件にかかる期間は約1年。設計から完成まで、そして納品後の不具合が発生した際のサポートまで一気通貫で関わることで、ものづくりの醍醐味を存分に味わえる環境が整っています」
水澤が仕事で最も大切にしているのは、お客さまが本当に求めているものを正確に把握することだと言います。
「一番大事なのは、仕様決定の工程です。お客さまが求めている機能はなんなのか、過剰な設計になっていないか。それらをしっかり把握し、お客さまが納得する仕様条件を精査することで必要な機能を決定していきます。
過去に、工事の手順が曖昧な状態で製品を納品し、現場で不具合が発生したことがありました。その工事は期限が決まっていたため、現場の段取り替えのタイミングなどで修理作業を行いました。現場での作業は手間が何倍も増えるためお客さまとの密な連携はもちろん、実際にエンドユーザーと直接話をする機会も設け、現場の声を製品に反映させることを心がけています」
材料工学出身から設計職へ。学びと挑戦を経て、任される立場へと成長
大学では材料工学を専攻していた水澤。卒業研究では、材料の特性を知るための試験機械の設計に取り組みました。
「材料の特性を知るための試験機械を設計するという内容で、3D CADを使って設計を行いました。そして、実際に卒業研究で作った試験機を学生実験で使ってもらえる機会があり、設計したものを使ってもらうことにおもしろさを感じました」
自身が設計したものが実際に活用される喜びを体験した水澤は、地元の長野県でものづくり関係の会社を積極的に探し始めます。そんな中で出会ったのが前田製作所でした。
「とりあえず県内の企業を探していまして、面接を受けたりインターンに参加したりする中で前田製作所を知りました。珍しい機械を作っているメーカーだと感じて興味を持ちました。
また、実家から通いやすく貯蓄もしやすいという現実的な理由も後押しし、前田製作所への入社を決めました」
入社後は先輩社員の仕事を手伝うところからスタートし、メインで設計している人の一部業務で簡単な図面を描くなど基礎的な作業から教わりながら徐々に仕事を覚えていった水澤。しかし、材料工学出身という背景もあり、機械工学の知識習得には苦労したと振り返ります。
「機械工学は専門ではなかったので、当初は本当についていくのに必死というか、勉強することが多かったです。いろいろな知識をつけないといけない、他の人に迷惑かけないようにするなど、そういう不安を払拭するための取り組みが大変でした。
1年目の後半には仕事の流れをだいたい把握でき、2年目からは主体的に動きつつ、全体の中の一部を任せてもらえるようになってきました。そして、3年目になると一部難しいところは補助してもらいつつも、簡単な案件を1つメインで持たせてもらえるようになりました」
職場では、先輩社員やリーダーが手厚くフォローしてくれる環境が整っていました。
「知識がない状態でも質問すれば適切な答えが得られ、これまで設計・開発されてきた量産品に関する知識や技術も参考にできる体制が構築されていました。
そのため、安心して知識を蓄積することができ、気持ちの面でも余裕が生まれるようになりました」
そうして、トラブルが発生した際も、経験に基づいて原因を推測できるまでに成長した水澤。部下に仕事を任せる機会も増え、チーム全体の進行管理にも携わるようになっていきます。
「自分はこの機械をすべて知っている」。オーダーメイドならではの設計の醍醐味
水澤が設計した機械の中でとくに印象深いのが、10トンに及ぶ重量物を運搬する台車の設計案件だと言います。
「私がメインで設計させていただいたのですが、当案件は納期が非常に短く毎日設計作業に追われていました。忙しい思いはしましたが、それでも最後はお客さまも納得のいく安全機能を備えた製品が完成し、無事に納期内に納品することができました」
この成功を支えたのは、チームワークと関係者との協力体制でした。
「当時、3〜4人のチームで作業を進めていましたが、開発途中に、動作不具合の原因の特定に苦労することもありました。そんな時は先輩方に助けてもらったり、購入した部品メーカーの方にも相談させてもらって話を聞いたりと、多くの方のおかげで乗り越えることができました。
そして、この台車に関して『部品が壊れたから、代わりの部品を送ってほしい』という問い合わせが来て、現場で長く使ってもらえているのだと実感できたことがとても嬉しかったです」
経験を積む中で、水澤は部下に仕事を任せる立場も経験するようになりました。
「マネジメントの経験を通じて、チームワークの重要性をあらためて感じます。自分である程度計画をして図面作成のお願いをするのですが、人に頼むと全体の進行が圧倒的に早くなると実感します。
また、入社当初と比較して大きな変化を感じています。一番変わったのは、自分に余裕が出てきたこと。経験を積んできた自負があるので、トラブルなどが起きた際でも『これが原因じゃないか』と思い当たる部分が想像できるようになってきました」
現在の仕事のやりがいについて、水澤は個別受注品を扱う魅力を語ります。
「フォローできる人が限られてしまうので大変な部分もありますが、この機械のすべてを把握していると思えるほどに、1つの製品に対してゼロから100まですべて関わることができます。大手企業では分業した一部の設計しかできないと思うので、その点は大きな醍醐味なのかと思います。
また、給与面も申し分ないですし、休暇も取ろうと思えばいつでも取れます。そういった面も安定しつつ、自分がやりたいと思える仕事なので苦ではありません。難しい局面も多々ありますが、それも込みで楽しんで仕事と向き合えています」
一品一様の現場で磨いた提案力で、ものづくりの本質に向き合い続ける
現在、中堅社員の1人として活躍する水澤は、今後のキャリアビジョンについて明確な考えを持っています。
「これまで一品一様の個別受注品に携わり続けてきた経験を活かし、お客さまが求めるどんなものに対しても諦めることなく提案ができる人になりたいと思っています。
多少難易度が高いと思われるような案件であっても、柔軟に対応できる技術者をめざしたいです。そのため、お客さまの本質的な要望を汲み取り、実現可能な形で提案する力を身につけたいと考えています」
また、会社全体の発展についても、自分事と捉えて取り組んでいます。
「私が描く前田製作所の未来像は、リスクヘッジのできる多角的な企業です。現在、当社ではかにクレーンなどの量産品をメインに製造していますが、それだけだと企業としての発展は限定的なものだと思います。不況などで売り上げが下がってしまう時期が訪れた際、別の柱で支えられる存在となれるよう部署全体で取り組んでいきたいです」
こうした想いの背景には、プロフェッショナルの1人に成長するまで水澤を支えてくれた先輩社員への敬意があります。
「部長や上長の存在は、私にとってかなり大きなものでした。これまで、困った時に上長が『これってこうなんじゃないの?』と素早く指示や助言をもらえるようなことが多々ありました。
そうして、自分が受けてきたサポートを今度は後輩に提供したいという想いを強く持っています。組織全体でクリエイティブに盛り上げていきたいです」
前田製作所への就職を検討している人に向けて、量産品と個別受注品それぞれの特徴とやりがいについてアドバイスを送ります。
「量産品の方は、一つでも工程を間違えると出荷した数だけ間違いが広がってしまうので、性能試験を確実に行っていくことが重要になります。逆に、個別受注品の方は出荷までの納期が決まっているため、少々過剰な設計でも納期が優先されることがありますが、お客さまそれぞれの要望に応えられるような設計が重要になります。
これ以外にも量産品と個別受注品の設計・開発にはそれぞれ特徴があるので、自身の適性やなにがやりたいかという志向に応じて検討していただくのが良いかと思います」
オーダーメイドのプロとして日々最良の製品を生み出し続ける水澤。これからも、前田製作所での挑戦は続きます。
※ 記載内容は2025年9月時点のものです
