キャリア採用者ならではの経験を活かして、水道事業のコンセッションを推進
民間企業が公共インフラの運営権を取得し、大きな裁量権を持って運営するコンセッション事業で実績を挙げてきた前田建設工業。古寺は経営革新本部に所属し、水の分野のコンセッション事業や、PFI事業(民間資金やノウハウを活用して公共インフラを整備する手法)に携わっています。
「国内上下水道事業における官民連携に関して、企画や提案から立ち上げまで一気通貫で担当しています。水業界での長年の経験を活かし、現在は大規模な更新案件のプロジェクトマネージャーなどを担当しています」
事業戦略担当 上席調査役を務める古寺ですが、水関連のプロジェクトに携わるメンバーの中では若手社員です。
「上下水道事業の提案を担っているメンバーの多くはキャリア入社で、それぞれ上下水道関連の専門的な仕事を経験してきた方です。組織はとてもフラットで、若手の私も意見を率直に伝えることができています」
水の領域では古寺のようなキャリア採用の社員が多く活躍していますが、その背景には業界ならではの特殊性があると言います。
「『コンセッション』方式が導入され始めたのは最近ですが、空港や道路と比べて、上下水道業界では民間委託が進んでいます。上下水道事業の経営は、公営企業として公共事業体が担っている一方、浄水場や下水処理場といった施設の設計・建設や運転管理、水質管理、機械設備や電気設備の保守などは民間企業に広く委託され、それぞれの専門企業がノウハウを保有しています。
前田建設工業では、キャリア採用で入社したメンバーが民間企業で得てきたそれぞれのノウハウを結集し、国内上下水道事業における官民連携を推進しようとしています」
高校時代から興味のあった水事業。「公共×経営」のノウハウを学ぶべく前田建設工業へ
兵庫県の自然豊かな町で生まれ育った古寺。井戸水を飲むのが当たり前で、家の前を流れる川にはホタルやオオサンショウウオの姿も。そんな古寺が水に関心を抱くようになったのは高校生のときでした。
「テレビを見ていてアフリカやアジアには安全な飲み水がなく苦しんでいる人がいることを知り、豊かな自然環境、清潔な水衛生環境にいる自分とのあいだに大きなギャップを感じました。開発途上国の衛生環境の整備に貢献して、『安心して水を飲むことができる人をひとりでも増やしたい』と思うようになったんです」
その後、環境工学を学べる大学に進学して水の研究に没頭。大学院時代には二度、バングラデシュのスラムに足を運び、トイレを建設するプロジェクトに参加しました。そこで古寺は新たな課題意識を抱きます。
「バングラデシュでは、支援によってせっかく作られたトイレや井戸が壊れたまま放置されている現状をたくさん目にしました。原因のひとつが、援助慣れ。当時世界最貧国のひとつとされていたバングラデシュには世界中から援助の手が入っており、『壊れてもまた誰かが作ってくれる』といって、モノを大切に使おうという意識が希薄でした。
そんな現実を目の当たりにして、彼らがお金を払ってでもほしいと思えるような水処理施設を作れる企業で働きたいと思うようになりました」
2014年に総合水事業会社に入社した古寺。上下水道水処理プラントや維持管理業務に関する営業活動に従事しました。
「国内の公共事業体向けの営業部署に配属されました。学生時代は海外の事例に目が向いていましたが、日本の水インフラにも大きな課題があることをそこで痛感しました。設備は想像以上に老朽化が進行しており修繕が追いつかなくなっている状況を知りました」
また、公共事業体に対して営業活動を行う中でこんな課題にも直面します。
「職員の方の中には専門的な知識が不足している方もいらっしゃいました。『設備は古くなっているがどこに何があって今までどんな整備をしてきたのかもわからない』とおっしゃっている方に出会うケースもしばしばありました。
それも無理はなく、彼らはそもそも上下水道の仕事をするために役所に入ったわけではありません。数年で異動になる方も多く、課題を自分事として捉えて解決に動こうとするにはハードルが高いのではないか、という実態や課題感を知りました」
入社5年目からは、水道事業の日常業務を一手に担う公民共同企業体の設立を提案する業務に従事。そして2019年には長野県下の某公共事業体と共につくった第三セクターの立ち上げを担当。日本初の小規模事業体での公民連携による水道事業運営会社でした。
「当時所属していたのは、水道に関連する施設の修繕や漏水時の対応、水道料金支払いに関する住民との協議などを一手に担う組織です。会社設立を担う立場となり、法務や財務を基礎の基礎から勉強しました。
小さな組織だったため行わなければならない業務範囲が幅広く、HP制作や電話回線の手配、契約書ひな型づくり、決算資料作りなど事務的な業務から、水道メーターの検針や緊急工事時の交通誘導をしたことも。大変でしたがとても勉強になる2年間でした」
こうして業務領域を広げながら水事業に深く携わってきた古寺が前田建設工業への転職を決意したのは2021年のこと。「公共インフラ×経営」のノウハウを学ぶのが目的でした。
「経営についてほとんど未熟な自分が、公共事業体の方に対して民間ならではの経営手法の必要性を説いたり、『民間が経営を行うことで変革が進む』といった文脈でものを語ったりすることに違和感を抱くようになりました。インフラのマネジメントについてきちんと勉強したいと考えるようになり、公共インフラ×経営の分野を得意とする前田建設工業を転職先に選びました」
また、当時の古寺には、主導権と責任感を持って事業に臨みたいという想いも。
「水事業を1社だけですべてカバーするということは稀で、コンソーシアムを組成して運営に当たります。その中でも、代表企業の立場が一番やりがいがあると感じます。
重い責任を背負って矢面に立ち、裁量権を持って変革を推進できる立場に身を置きたいと考えたことも、前田建設工業を選んだ理由のひとつです」
日本の水道事業が変革期を迎えるいま、歴史的な案件に携われることがやりがいに
入社後は、大阪市工業用水道コンセッションや三浦市公共下水道コンセッションに関する提案業務に従事してきた古寺。2022年10月から翌年7月までは、ある自治体向けの大規模な提案プロジェクトに携わっていました。
「市の浄水場を建て替え、全部で5つある浄水場を15年間維持管理するというプロジェクトです。私はプロジェクトマネージャーとして、コンソーシアム全体の方針決めや提案書作成に携わりました」
そして現在、古寺は長期間にわたって契約を結ぶ新たな事業のプロジェクトマネージャーを担っています。
「今後はより大きな裁量権とともに数十年単位で契約を結ぶケースが増えると考えており、日本の上下水道事業の変革期にあると感じています。前田建設工業が手がける案件が業界初の案件になったり、今後の国内の情勢を変えるきっかけになったりするかもしれない。そう思うと、大きなやりがいを感じます」
また、前田建設ならではのこんな魅力も実感していると言います。
「意思決定のスピードがとても早く、風通しの良い会社だと感じます。若手の意見にも耳を傾け、活発に議論できる土壌があるのも魅力です。
また、入社して驚いたのは社員の多くが熱心に学習していること。たとえば、水道事業に関してわからないことがあれば、私のようなキャリア入社したメンバーにも積極的に質問してくれますし、水処理の技術ついて勉強しているファイナンス担当者もいます。
知識を吸収しようとする貪欲さや、謙虚に学ぼうとする姿勢には素晴らしいものがあると感じます。頼ってもらえる以上、水のプロフェッショナルの端くれとして私も正しい知識を伝えなければと、これまで以上に勉強するようになりました」
水事業の未来を拓く。その存在感と重要性を高めることをめざして
プロジェクトマネージャーとして携わっている案件を受注や成功に導くことに加え、古寺にはかなえたい夢があります。
「前田建設工業、もしくはインフロニア・ホールディングスの中において、水事業の重要性を高めていきたいと考えています。専門性を持った一部のメンバーだけが携わるのではなく、会社全体での存在感を高めていくことが願いです。そのためにも、まずは現在の案件の収益を改善したり、若手社員を育てたりすることに積極的に取り組んでいきたいと思っています。
上下水道事業は公共事業体が運営していて、民間企業は実働部隊の立場でした。しかし近年、運営を民間に任せようとする流れがあります。政府が『ウォーターPPP』を打ち出し、数値目標が掲げられていることからもわかる通り、水の分野で官民連携を増やそうとする動きが、今までにないほど活発になっています。変革期にこの分野に携わることにやりがいを感じているので、しばらくは現在の仕事に注力したいです。
その上で、いつになるかはわかりませんが、いずれは開発途上国の水衛生環境改善にも携わりたいと思っています」
変革期を迎えている国内の水道事業に携わる一方、かつて志した海外の水衛生環境の改善にも意欲を示します。今後さらなる成長をめざす水事業。必要なのは、新しい仲間です。
「前田建設工業はゼネコンとして上下水道施設をつくる仕事に長く携わってきましたが、上下水道事業の経営やマネジメント領域の案件に注力し始めたのは4~5年前からです。まだまだ決まった型が整っていると言える状態ではなく、柔軟に戦略を練りながら案件を進めています。仕組みが十分に整っていない中で、知恵を絞ってチャレンジしたいと考えている人にとってとても適した環境だと思います」
熱い想いを持って仕事に臨んできた古寺。大切にしてきたのは、「用意周到の上での臨機応変」と「オープンな議論」です。
「仕事においては、臨機応変という言葉を発する前には、想像力を働かして十分に準備することが必要であると思っています。もし、うまく対応できなかったときには、対応力がなかったと思うのではなく、想像する手間や対応するための準備が不足していたと反省するようにしています。
また、オープンな議論ができる場に身を置くことも大事にしていることのひとつです。これからもこの2つは大事にして仕事を続けていくつもりです」
若き日に抱いた志をいまも胸に。水事業に自身のキャリアを捧げる覚悟で、古寺はこれからも安心・安全な水衛生環境に貢献していきます。
※ 記載内容は2023年10月時点のものです
