東京と広島。カラーの異なる地の仕事を両立
今野の所属する福山本社の第一開発室では、チョコレートソースやカスタードといったデザート用商材全般を担当しています。現在のチームメンバーは自身を含め6名。5年目、3年目、2年目、1年目2人という5人の若手社員を部下に持ち、業務を進めています。
「私のチームは、東京をメインに全国各地のお客様を受け持っています。寄せられる細かなオーダーを踏まえて商品を作ったり、これまでにない商材の開発をしたりしています。
これまで、10年近く東京で勤務しお客様と関わってきました。今回、広島に異動になる際も、私が担当していた東京のお客様を引き続き受け持つことになったんです」
東京のお客様を変わらず担当し続けながら、広島へ来た今野。そうまでして異動したのには、理由があります。
「広島にいる現在の私の上司が、チョコレートやカスタードなどの油を使った商材開発を担当しており、その技法を受け継いでほしいということで広島に学びに来ました。
今後、数年で上司のスキルを引き継ぎつつ商品開発を行い、同時に東京のお客様も担当していく。ふたつの仕事を両立していくことが、私のミッションとなっています。
東京にいるお客様との仕事と、広島での商品開発の仕事とでは、少しカラーが異なります。前者は、お客様の要望を叶えることがメインの仕事です。お客様から呼ばれたり、何か相談があったりする時には、営業担当者と一緒になってお客様先とコミュニケーションをとり、具体的な提案をしながら商品を作っていきます。
一方で広島の商品開発の仕事は、お客様の要望を叶えつつ、これまでにない新たな商材の開発も行います」
広島に異動してきてから、組織における立場も大きく変わりました。
「東京にいたころに比べ、広島に来てからは部下がたくさんいる状況。今までマネジメントの仕事をやってこなかったので一から勉強しています。
上司として納得できて、かつ部下からしても働きやすい環境を作るにはどうしたらいいのか。自分がどのように動くと組織のためになるのか、いつも考えています」
料理の腕には不安あり。それでもものづくりがしたい一心で食品業界へ
千葉県に生まれ、都内の大学に進学した今野。広島に拠点がある池田糖化を就職先に選んだのは、「もの作りをしたい」という強い思いがあったからでした。
「ものを作ることに漠然とした憧れがあって、メーカーに就職するのがいいかなと思っていました。大学の専攻が医薬系の分野だったので、まずは薬品会社や医療系メーカーなどを幅広く受けていましたね。
ただ、医療系の企業の選考はだいたい落ちてしまった一方で、同時に受けていた食品業界はなぜか順調に選考を進めることができました。実際、食品メーカーからは数社の内定をいただいたので、向いている何かがあったのだと思います」
複数の食品メーカーの内定を手にした今野は、その中でも「開発に携われる可能性がとくに高い」と思ったという池田糖化を選びます。
「開発職にこだわっていた理由のひとつは、自分は人と話をすることがあまり得意ではないと思っていたから(笑)。営業職にはなりたくなかったので、開発の道を志望しました。
ただ、当時は料理をしたことはほとんどありませんでした。ありがたいことに池田糖化では、開発職は理系であれば学部不問。入社後の経験を大切にしてほしいからと、間口を広げてくれていたので応募することができました。
実際、入社後にイチから調理を学ばせてもらうことになりましたが、大きな問題はありませんでしたよ。食品や調理のスキルが入社当初になくとも、いずれ開発者として活躍することが可能な会社なんです」
2010年に入社し、初任配属は広島に。メーカーの開発職を希望するならば関東を離れる可能性も高いと想像していた今野は、東京を離れて就職することに抵抗はなかったと言います。
1年目は調味料などの食事系商品を作る開発部署に入り、3年目の秋からは甘味のあるスイーツ系商品を作る部署へ異動に。
「入社直後は、会社にどんな機械があって、どんな製品を作ることができるのかを学ぶので精一杯でしたね。実際に経験しないとわからないことも多く、とにかく指示に従う日々。思えば、まだ自我がありませんでした。
物事がそれなりにわかってきたのは、3年目の途中で東京に異動になったころ。初めは先輩に同行して商談の内容を聞き、規模が小さめの案件から徐々に担当させてもらえるようになりました。
自分で商談に行ってサンプルをお渡ししたり、お話を伺ったり、製造したものをお客様に届けたり。業務の規模が次第に大きくなっていく手応えを感じました」
無理難題を超えていく達成感がやみつきになる
右も左もわからない状態で入社した今野ですが、お客様とコミュニケーションを重ねる中で、開発者としての自分のスキルが上がっていることを実感するようになります。
「たとえば『こういうドーナツを作って売りたいけれど、商品化するために良い素材はないか』というようなニーズが寄せられることがあります。そういったとき、『こういうものを作れば売れる』『こういうものを作るとお客様に喜んでもらえる』みたいな具体的な案を積極的に出せるようになっていきました」
忘れられないのは、レトルトの「小豆ぜんざい」を担当した時のこと。お客様から「特殊な豆を使ってほしい」という要望をいただいたものの、当時の購入ルートでは手に入らない原料でした。そこで、今野は商社やメーカーとやり取りをして、売ってもらえる取引先を探しました。
「なんとか希望通りの原料をもらうことができて、ぜんざいを作って商品化まで持っていくことができました。自分がメインで担当した最初の案件だったこともあり、お客様が喜んでくださった時のうれしさを今でも覚えています。
他にも、アイスメーカーの担当をしたこともよく覚えています。『くちどけの良いチョコレートソースを作って、アイスでもおいしく食べられるようにしたい』というご要望を受けたものの、当時はまだそのような商品は一般的ではなかったため、お客様の研究所にお邪魔して配合をヒアリングしながら理想的なチョコレートソースを開発しました。
無事納品した時には、お客様から『今後、チョコレートは池田糖化さんにお願いするよ』とのうれしいお言葉をいただきました。良い仕事ができたと、心からこの仕事のやりがいを実感できた案件です」
お客様と近い距離で関わり、話を聞いた以上は何かしないといけない。責任感の強い今野は、そう話します。無理難題にぶつかることも多いですが、お客様の要望を叶えて差し上げられたときの達成感は、何にも代えがたいものなのです。
幅広いジャンルの食品を開発できる環境が、池田糖化の魅力
さまざまなお客様と接する中で、マーケットのニーズに対する感覚を磨いてきた今野。見据える未来図も変わってきました。
「お客様のオーダーに応える仕事も大事ですが、これからは見たこともないような新しいものを作っていきたいと思っています。先に商品を作ってからお客様へ発信するというかたちへと、仕事のベクトルを変えていきたいですね。
そのためにも、幅広いお客様とコミュニケーションを取り、自分の耳で要望を聞いてニーズを把握して開発に活かしたいです」
入社してから、今野自身の食への興味は大きく高まりました。
「当社の開発職では、味を評価するときに使う独自の社内言語のようなものがあります。その指標を使って、プロとして世の中の食品を試してみると、とてもおもしろいし勉強になるんですよ。
昔は食に対して人並みほどにしか関心はありませんでしたが、今では新しいものが販売されていたらなんでも食べてみようと思うようになりました。部下にも、『積極的にいろいろなものを食べないといけないよ』と常々話しています。食べたことのない料理や、知らないメニューを調理することはできないので、インプットはとても大事。
それに、たとえば有名店のケーキを食べたことがあるというだけでも、もの作りのゴールが見えるし、お客様との会話のフックにもなります。これからも情報を常に取り込んで、知識と経験をアップデートしていきたいです」
食品に興味があり、貪欲に試してみたいと思える人には、池田糖化の開発職はぴったりの環境だと言います。
「何かの食品を作ってみたい、開発してみたいという要望があるなら、当社は本当におすすめです。おそらく、日本のどの会社よりも幅広い商品を手がけています。甘いものからしょっぱいものまで、さまざまな風味や食感の商品を追求しています。食品について幅広く関心がある人なら、きっと当社で活躍できると思います」
「もの作りがしたい」という思いを最大限活かせる舞台で、今野はこれからもひとつひとつの開発に全力で挑戦し続けます。
※ 取材内容は2023年10月時点のものです
