高校時代のドイツ留学「世界のどこででも、得意なことでプロとして生きられるようになりたい」
私が環境問題に関心を持ったきっかけを振り返ると、高校時代のドイツへの海外留学だったと思います。1年間のプログラムに参加し、ホームステイをしながら地域の一員として生活する経験をしたのです。
いくつか希望を出した留学先の中から、たまたま選ばれて派遣された国がドイツでした。今から30年近く前のことですが、ドイツでは当時から生ごみコンポストが当たり前だったり、リサイクルが徹底していたり。自然にも人にも優しいライフスタイルが心に残りました。
この留学では、ホストファミリーとの出会いも大きな転機だったと思います。素晴らしいファミリーに恵まれ、今でも本当の家族のような存在です。「世界中のどこにでも深く共感し合える、響き合える人がいる」。そんな体感を得たことも、その後の歩みにつながる大切な経験でした。留学を経て、「世界のどこででも、自分の好きなことや得意なことでプロとして生きていけるようになりたい」と思うようになったのです。
大学時代は、環境分野で米国への留学を経験しました。卒業後は、カナダ・バンクーバーの大学院に進み、サステナビリティ&コミュニティプランニングを専攻。当時は、国際機関で働きたいという想いがあり国連でのインターンも経験しましたが、職員になるのは狭き門です。日本に帰り、環境教育とコンサルティングの会社でインターンをしていたところ、国際事業を立ち上げるタイミングだったことからお声がけをいただき、そのまま就職しました。
この会社での仕事はとてもおもしろく、ドイツのコンサルティング機関と一緒にプロジェクトを行ったり、英語で環境教育の教材を作ったりといろんなチャレンジをさせてもらいました。
からだへの関心を追求し「環境分野の翻訳・通訳」と「ボディワーク」が仕事に
ただ、「自分をすり減らして働いている」と感じていたのは確かでした。日本企業ではスタンダードな働き方なのだと思いますが、自分のライフスタイルがサステナブルなのか、疑問を持つようになったのです。しだいに、からだの声に耳を傾けることに意識が向くようになりました。
そんな時に、ヨガの分野での通訳の仕事をきっかけにヨガにのめり込みました。ついには、休暇を利用して海外へ赴き、ヨガインストラクターとなるためのプログラムを受講することに。資格取得後も、勤務先での仕事を続けながら翻訳・通訳の仕事やヨガを教える活動なども始めました。
その後もからだへの関心は尽きず、とうとう退職して米国とドイツへ渡航。現在も施術を行っている、ロルフィング®というボディワークを学びました。
帰国後は、環境関係の仕事をフリーランスで続けながら、NHK国際放送で翻訳に関わる仕事に携わりました。さまざまな切り口で日本を海外に紹介する番組『Japanology Plus』を担当。私自身も日本の良さを知ると同時に、身近な日本と世界とをつなげられるやりがいのある仕事だったと思います。週4日はNHKの仕事、他の日はボディワークや通訳の仕事という生活を8年ほど続けました。
この時期、プライベートでも変化がありました。両親を通じて縁があった山梨県北杜市に通っていたのですが、しだいにこの土地に惹かれて移住を決心。職場の方と話をして在宅勤務ができる環境を作り、2019年に北杜市に拠点を移しました。
そして、市内にある清里高原で行われた「つなぐ人フォーラム」に参加した時に出会ったのが、ひとしずく代表のこくぼです。こくぼのプレゼンテーションに興味をひかれ、お話させてもらったことがきっかけで2021年からひとしずくに加わりました。
多様な人がつながり、響き合うこと。一人ひとりが自らの可能性を見出し、活かすこと
現在は、ひとしずくで翻訳・通訳の仕事をしながら、北杜市と生まれ故郷の名古屋でロルフィング®の施術を行っています。また、からだ関係の翻訳・通訳のお仕事もお受けしています。
ひとしずくは、「社会をよくしたいという想い」を皆さんが共有し、同じ方向を向いているのがすてきです。でも、皆さんがまったく同じというわけではなく、メンバーそれぞれに持ち味がある。一緒に仕事をしていて、とてもおもしろいです。皆さんとお話していると、考え方に共感できる部分があるし、インスピレーションをもらえることもたくさんあるなと思います。それに、1人ではできない大きな仕事に関わらせてもらえることにもやりがいを感じています。
「ひとしずくでの翻訳・通訳」と「ボディワークであるロルフィング®の施術」。2つの仕事は一見ばらばらに見えるかもしれませんが、じつはつながる部分があると私は思っています。
ロルフィング®は、「プロセスのワーク」と言われます。腰痛を直したいからといって、初めから腰に直接アプローチするのではなく、からだ全体のバランスを見て一番良い状態になるよう10回のプロセスで少しずつ整えていきます。その方独自のからだのクセもあるので、「こういうからだの使い方をしよう」とご本人が気づきを得て、より楽な方向へと自ら変わっていく。このプロセスで、自分の可能性を見つけ出すことを大事にしています。
サステナビリティも同様に、「自らの気づきで変わっていくこと」の積み重ねではないでしょうか。ひとしずくは、企業や行政の方々に伴走し、社会をより良くする行動を促しています。私には、ロルフィング®と重なるところがあると思えるのです。
私の仕事は、多様な人々がつながり、響き合えるようにすること。そして、それぞれの持ち味や可能性を見出し、一人ひとりがそれらを活かせるようにサポートすることです。言葉やコミュニケーションを媒介にする翻訳・通訳と、ボディワークは方法は違いますが、同じことをめざしている。今、そう感じています。
真に大切にしたいことをしなやかに。掛け合わせで生まれる「おもしろい波」を待つ
2023年、こくぼと一緒にバンクーバーに行きました。ひとしずくと同様に、PRで社会を良くしようとする会社を訪問し、通訳としておつなぎする役目を担ったのです。
バンクーバーは、大学院時代を過ごしたまち。滞在中は当時の同級生たちにも会うことができました。持続可能な地域づくりに取り組んでいる人が多いので、こくぼと一緒に職場見学をさせてもらったり意見交換をしたりと、私のこれまでの歩みと今がつながったと感じる、記憶に残る訪問でした。
この経験のように、これからも私が出会ってきたさまざまなことが掛け合わさって、さらにおもしろい波がやってくるのだと思います。「自分とも自然とも仲良くすること」「より住みやすいまちや社会に近づけていくこと」といった、私が本当に大切にしたいことに、情熱的にしなやかに取り組みながらこれから出会う波を楽しみにしています。
※ 記載内容は2025年4月時点のものです
