マイニング機械への憧れと、現場で機械に触れられる仕事を求めて
私は幼少期からチリで生活をしており、現地の大学を卒業しました。大学時代には、交換留学生を受け入れる団体に所属していたことが印象に残っています。主に日本から来る留学生の受け入れを担当し、観光地への案内や大学での学生生活についての説明を行っていました。この経験を通じて、異なる文化や背景を持つ人々と交流することの楽しさを知り、将来的には国際的な環境で働きたいという思いが芽生えていきました。
就職活動を始めた際、私は明確な軸を持っていました。昔から機械や乗り物の仕組みを理解することに強い興味があり、大学では機械工学を専攻しました。チリは資源国であり鉱山開発が盛んなため、マイニング業界や超大型機には馴染みがありました。鉱山で働く巨大なダンプトラックやショベルを現地のMineExpo(鉱業関連の展示会やイベント)等で目にする機会も多く、自然とこの業界に惹かれていったのです。さらに、アクティブな性格なので、デスクワークだけでなく現場で直接機械に触れられる仕事を求めていました。こうした点から、超大型機を扱うマイニングは自分に最適な業界だと気づき、就職活動ではマイニング機械に関連する企業を探すことにしました。
マイニング機械の企業を探していた際、候補の中に日立建機がありました。日立がマイニング分野に関わっていることを知り、正直驚きました。というのも、私にとって「日立」は家電メーカーというイメージしかなかったからです。しかし、日立グループという組織があることに気づき、その中の日立建機がマイニングダンプトラックや油圧ショベルも製造していることが分かり、とても興味を引かれました。日本のメーカーとしての技術力の高さと、グローバルな事業展開をしている点にも魅力を感じました。
日立建機に応募した際、会社のさまざまな部門について説明を受け、その中に現在所属しているプロダクトサポート部がありました。この部門は、マイニング機械を扱う代理店や顧客への技術サポートを提供するほか、現場で稼働している機械の情報を収集し、設計や品質保証などの部門に共有することで、製品の継続的な改善に貢献する役割を担っています。また、多くの場合、問題解決のために現場へ出向く必要があり、その訪問先はオーストラリア、アフリカ、北米、南米など、日本から遠く離れた地域になることもあるとのことでした。
この話を聞いたとき、まさに自分が求めていた仕事だと感じました。製品開発部門と密接に連携し、機械の仕組みを理解できるだけでなく、現場で実際の稼働状況を観察できる点に強く魅力を感じました。この組み合わせにより、より深い技術知識を身につける機会になると考えました。さらに、世界のさまざまな文化に触れられるチャンスでもあると思いました。他社と比較して、入社2年目、3年目の若手社員でも海外で活躍できるという内容で、より志望意欲が増しました。
入社前には、いくつかの企業を候補として検討していました。当時、他社は既にさまざまな地域に参入していましたが、日立建機はこれから北米や南米への進出を進めていく段階にあり、その新しいビジネスに自分が貢献できると考えました。さらに、日本のメーカーである日立建機で働くことで、海外展開を支える上流工程の業務に携わり、より大きな価値を提供したいと考えました。
充実した研修と配属、そして責任の重さを実感した日々
入社後の最初の3か月間は、新卒社員全員と一緒にビジネス研修を受けました。会社の全体的な仕組みについて教わる時間は、同期との絆を深める貴重な機会でもありました。その後、プロダクトサポート部の研修として約2年間という長期にわたる実習が始まりました。まず品質保証部で3か月間を過ごし、次にマイニング用ダンプトラックや油圧ショベルの設計部で研修を受けました。最後に日立建機日本で約1年間、サービスに関する実習を行いました。この研修プログラムは非常に充実していて、機械の設計を理解するための基礎知識を身につけたうえで、現場で稼働する機械を維持するためのサービス方法を学ぶことができました。
特にサービス実習では、メカニックの方と一緒に代理店でのサービス対応を経験させていただきました。メカニックが対応できない案件の際は、代理店からメーカーへの問合せが必要となります。実習でサービス業務を経験させていただいたおかげで、代理店目線でどういった回答が欲しいか、どのような時間軸で対応を求めているかなどの対応の仕方を学ぶことができました。この経験は、配属後の業務において非常に役立つこととなりました。
研修を終えてからは、ダンプトラックのグループに配属され、現在まで同じチームで働いています。このチームでの主な役割は、世界中の代理店と顧客に対してダンプトラックに関する技術サポートを提供することです。工場から直接サポートを行うことが可能ですが、問題を詳細に分析し、最適な解決策を提供するために現場へ出向く必要があるケースもあります。
配属された時、研修中は教わる立場でしたが、配属後にお客様や代理店からの問合せ対応を通じて、自分が日立建機を代表しているという責任の重さを実感し、正直不安を感じました。しかし、日々の経験の積み重ねと、先輩方や上司のサポートが、この不安を乗り越える支えとなってくれました。
入社前からサービスエンジニアの仕事は大変だろうと想像していましたが、実際に担当してみると、予想以上にハードで挑戦的な業務であることを実感しました。その主な理由は、私たちがサポートする鉱山機械の多くが24時間稼働しているため、故障が発生した際には迅速に対応し、即座に支援を提供する必要があるからです。
一方で、学びに関しては期待以上のポジティブな面がありました。この職務では、問題解決のために常に調査を行い、さまざまな部門と協力することが求められます。その結果、短期間で技術的な知識を習得し、新しいスキルを身につけることができます。各課題を通じて、急速にプロフェッショナルとして成長できるという大きなやりがいを感じることができるのです。
代理店との対話を通じて磨かれた問題解決力と成長の軌跡
現在私が担当しているのは、ダンプトラックに関する全世界の代理店への技術サポート業務です。同時進行で、ダンプトラックの寿命延長を目的とした重要なプロジェクトにも携わっています。このプロジェクトでは、ダンプトラックのメインフレームの構造補強とコンポーネント交換を実施するのですが、私の役割は設計部と協力しながら、構造改善の手順と計画を策定することです。また、過去に自部署の先輩方がオーバーホール対応を行った際の経験を踏まえ、見積りの基準となる指針を検討することも担当しています。この仕事は、サービスエンジニアとして現場経験を持つ私たちだからこそできることだと自負しています。なぜなら、稼働時間に応じてトラックのどの部分に不具合が発生しやすいか、また寿命延長を確保するために重要なコンポーネントが何であるかを理解しているからです。私は海外育ちという背景を活かし、海外の代理店、特に中南米の代理店と円滑にコミュニケーションを取れるという強みがあります。そのため、チーム内では代理店との打ち合わせにおいて、ファシリテーターや情報収集の役割も担当させていただいています。
プロダクトサポート部で業務を行っている中で、忘れられない出張経験があります。オーストラリアへの出張では、想定通りに問題解決ができず、他部署と協力しながら新しい対策方針を現地で検討することになりました。対策検討の際には、部署それぞれの立場が異なり、目線が違うこともあり、恒久的な対策が必要なのか、レスポンスが大切なのか、そういった点で意見が割れてしまうこともありました。事象によって、議論を重ねてお客様に最適な対応をすることが必要であることを痛感しました。大変でしたが、その過程でダンプトラックに関する知識や問題解決スキルを大きく向上させることができ、非常に良い経験となりました。
一方で、業務の難しさも感じています。提案した解決策の有効性を代理店に説明する場面が多くありますが、代理店は顧客に解決策を説明する立場にあるため、提案が拒否されることを懸念し、批判的な姿勢を取ることが少なくありません。そのため、解決策を簡潔に説明し、代理店の懸念に的確に答えることが重要ですが、そこが業務の難しい点だと感じています。特に経験が浅い頃は、すぐに適切な回答をするのは容易ではありませんでした。代理店との会議で初めてファシリテーターを務めた際、レビュー対象案件の概要を自分で説明し、すべての質問に答える必要がありました。しかし、質問を受けたときにどう答えればよいかわからず、黙ってしまい、最終的には先輩に助けてもらう場面もありました。
その経験から、大切なことを学びました。代理店に説明する前に、自分が話すテーマについて疑問を持ち、自分自身に質問を投げかけてその答えを準備しておく必要があると気づいたのです。こうすることで、代理店から出される可能性のある質問を事前に予測できるようになります。先輩方のサポートやさまざまな状況を経験することで、こうした場面への対応力を少しずつ高めることができました。もちろん、まだ改善の余地はあります。
学生時代と比べると、自分が大きく成長したと実感しています。学生時代にある期末テストや課題、プロジェクトはある程度正解の答えが事前に決まっていることが多いと思います。しかし、社会人になり、特にサービス部門で働くようになると、マニュアル等に理想的な解決策が記載されていることはなく、場合によっては誰も正解を知らないことさえあります。こうした状況では、まず論理的に問題を特定し、次に提案すべき解決策を定義し、最後にその解決策が本当に問題に対応しているか、影響を考慮しながら確認する必要があります。プロダクトサポート部で働くことで、予期せぬ状況に対応を求められるため、学生時代と比べ、論理的思考力を強化することができました。
入社してから現在まで、私が最も大きく変化したと感じるのは、挫折に対する忍耐力です。入社当初、代理店から機械の不具合に関する問い合わせを受けた際、製品知識が不足していたため回答に時間がかかり、解決策を見つけるために多くの人に確認しなければなりませんでした。そのことにフラストレーションを感じることもありました。しかし、経験を積むにつれて、以前は時間がかかっていた問題をより迅速に解決できるようになりました。この仕事では常にチームとの協力が必要ですが、経験を通じて「必要な情報はどこで得られるか」「仕事に必要なスキルは少しずつ身につけられる」ということを理解し、挫折を乗り越える忍耐力を着実に身につけることができたと思います。
海外駐在を見据えて、マイニング市場のプロジェクトリーダーへ
プロダクトサポート部に所属していると、海外駐在のチャンスがあります。私は今、この海外駐在に強い関心を持っています。駐在では、代理店へのより密接なサポートができるようになり、現場での業務機会も大幅に増えます。特にダンプトラックやマイニングショベルといった機械は、日本国内では稼働している台数が少なく、実際に見る機会はかなり限られています。海外駐在中であれば、これらの機械を見るチャンスが多くあり、マイニング機サービスの実施方法をより深く理解できると考えています。そのため、海外駐在に挑戦したいという強い気持ちがあります。ただし、駐在員になるということは、工場を代表する立場となり、大きな責任を伴うことも理解しています。この責任を果たすためには多くの努力が必要ですが、その一方で得られる学びや経験は非常に大きいと考えています。
駐在に向けて、現在取り組んでいることもあります。駐在中は、現場の状況を工場に報告したり、工場が提示する解決策を顧客に直接伝える機会が多くあります。こうした場面に備えるため、説明の質を常に改善することを意識しています。例えば、プレゼンテーション後には自分の発表を振り返り、改善点を確認するとともに、先輩や上司の発表を観察して学び、業務に活かすよう努めています。こうした日々の積み重ねが、将来の駐在での活躍につながると信じています。
そして長期的な目標は、プロジェクトリーダーになることです。マイニング市場におけるビジネスを広い視野で捉え、自らのアイデアを提案し、担当するプロジェクトを通して会社に貢献したいと思っています。プロジェクトリーダーになるために自分に足りないと感じているのは、人の強みを見極める能力を身につけることです。リーダーは、チームメンバーの一人ひとりのスキルや強みを把握し、それらを最大限に活かしてプロジェクトを最適な形で進めることができるべきだと考えています。この力を磨いていくことが、今後の重要な課題だと認識しています。
最後に、これから日立建機に入社される方へお伝えしたいことがあります。技術的な知識やスキルは、入社後に十分に学んでいただけると思いますので、その点は心配ありません。ただし、業務ではコミュニケーションを多く取る必要がありますので、学生時代にはサークル活動などで積極的に人と関わり、コミュニケーション能力を磨いていただければと思います。そして、常に学び続ける意欲があり、新しいチャレンジに恐れない人、チームで協力して働く姿勢を持つ方にジョインしてもらいたいと思います。機械に関する技術的な知識は経験を通じて身につくものですが、クリティカルシンキングを持ち、チームで協力する姿勢は不可欠です。プロダクトサポートでは前例のない案件が頻繁に発生します。こうした状況に対応するためには、問題を正しく理解し、入手可能な情報を分析し、提案する解決策が本当に問題を解決できるかを確認することが重要です。近年、日立建機は北中南米市場への積極的な事業拡大を進めており、若手のころに出張や駐在を通じて経験を積むことができます。このようなチャンスを通じて、毎日が新しい学びの機会になると感じています。

