油圧システム開発のスペシャリストとして、チームと共に最適解を追い求める日々
私の所属は、車体システム開発部の油圧システムグループです。ホイールローダの油圧システム開発を担当しています。
私の仕事を簡単に説明すると、車体の要求仕様を受けて、その仕様を満足するために必要な油圧システムを開発することです。デスクワークだけではなく、実際に車体を運転して性能や操作性を確認しながら、最適な部品設定・制御ソフトの数値を見極めることも重要な業務の一つです。時には油圧機器メーカと一緒に、油圧システムに必要な機器の開発や評価も行っています。
開発という仕事は、机上の計算や設計だけでは完結しません。実際に車体に触れ、動かし、その挙動を確かめることで、「もっとこういう製品にしたい」「ここの操作性を改善したい」という思いが見えてきます。車体のチューニングが自分の思い通りにいったとき、操作性が明らかに改善されたことを実感できたとき、この仕事のやりがいを感じます。
仕事をする上で、私が大事にしているのは、チームメンバーの意見を尊重し、一緒に進め方を考えることです。開発は決して一人でできるものではありません。それぞれのメンバーが持つ専門性やその視点を活かし、チーム全体で最適な答えを導き出すことが大切だと考えています。
もう一つ強く意識しているのは、できるだけやり直しが発生しないような業務の進め方をすることです。そのために、チームメンバーがこれから取り組もうとしている業務の内容を事前にヒアリングして、方向性の擦り合わせを行うようにしています。進め方で悩むことがあれば、必要に応じて上司に相談し、判断を仰ぎます。
こうした考え方は、業務を効率的に進める方法を考えていく中で生まれました。効率を追求していくと、最終的にメンバーのスキルアップが何より重要だという結論に至りました。メンバーがこの組織でやっていきたいと思ってもらえるためには、意見や提案がしやすい環境を作り、主体的な業務推進ができることをサポートすることが大切だと考えるようになりました。
実際、チームメンバーからの業務改善提案があった際には、他チームでのやり方なども確認しながら、業務のルールを改善したこともあります。こうした小さな積み重ねが、チーム全体の成長につながっていくと信じています。
油圧部品の設計から完成品へ――地方での暮らしを選んだ転職
前職は、自動車部品メーカーで自動車用油圧電磁弁の設計を担当していました。顧客との仕様折衝から、社内デザインレビューの資料作成・報告、そしてプロジェクト管理まで、設計という枠を超えた幅広い業務に携わっていました。技術者として着実にキャリアを積む中で、私にとって大きな転機となったのがプロジェクトリーダー補佐への任命でした。それまでは自分の担当する設計業務に集中していましたが、プロジェクト全体を見る立場になったことで、視野が広がりました。営業、生産技術、調達、品証など、各部門がどのような業務の流れで動いているのかを把握できるようになりました。部門間の調整や日程管理のスキルも自然と身についていきました。デザインレビュー資料の作成や役員報告の機会を通じて、経営層がどのような視点を大事にしているのかも学ぶことができました。技術者としてだけでなく、ビジネスパーソンとして成長できた貴重な経験だったと思います。
➣転職のきっかけは?
転職を考えるようになったきっかけは、家族ができたことです。将来のライフプランを真剣に考えるようになり、自分たちがどんな場所でどんな暮らしをしたいのかを見つめ直すようになったのです。将来の住まい選びや子育て環境の選択肢を考えたとき、地方での暮らしの方が自分たち家族には合っていると思いました。そこで、地方への転職を考えはじめました。
➣転職先に日立建機を選んだ決め手は?
転職活動では、勤務地が地方であることの他に職種は設計、できれば前職で経験してきた油圧機器設計のスキルが活かせるところを希望していました。いくつか候補となる企業がありましたが、日立建機を選んだ決め手はまず、前職で経験してきた油圧部品に関する製品設計に携われること。今後も油圧に携われるということも、私にとっては大きな魅力でした。そして面接官の人柄が良く、働く上で子育て中でも配慮をしてもらえそうな印象があったことも大きな要因でした。他社と比較して特に魅力を感じたのは、完成品を製造している点でした。前職は部品メーカー勤務であったため、次は完成品メーカーで働いてみたいという気持ちがありました。
➣中途入社の際、不安な点はありましたか?
職場の雰囲気や人間関係、中途入社の自分が戦力になれるのかという点で、不安はありました。
➣その不安は、入社後どのように変わりましたか?
不安は次第に解消されていきました。理由は、職場には相談しやすい雰囲気があったためです。毎月上司と1on1面談を実施する制度があり、日々の業務ではなかなか話せないことを共有することができました。スキル面についても配慮してもらえ、仕事量や業務の進め方を私のスキルに合わせてもらえました。そのため、無理することなく自然体で仕事に取り組むことができました。
➣1on1では具体的にどんなことを共有しましたか?
一時期、チーム内の業務負荷が高く、手が回らない時期がありました。このままではチーム内で処理しきれず、プロジェクトへ影響が出ると感じ、業務分担の見直しについて上司に相談しました。結果、真摯に相談にのってくださり、業務分担を見直してもらえました。他には、チームメンバーがもっと意見を出しやすい環境を作れないかと考え、次期モデル改良案の意見箱設置を提案したところ、採用されました。こうした経験から私自身もチームメンバーの声に耳を傾け、一緒により良い進め方を考えていきたいと思っています。
困難を乗り越えた開発不具合のリカバリー、そして成長の日々
入社後の経験の中で、最も印象に残っているのは油圧機器メーカーの開発不具合が起きたときのリカバリーです。毎月役員への進捗報告が必要で、当時最優先で取り組んでいた課題でした。不具合の影響で車体開発日程を大幅に遅らせることになり、これ以上の遅れは許されない状況でした。そこで私が意識したのは、油圧機器メーカーとのコミュニケーションを密に取ることです。メーカーとの週次定例会を開催し、遅れのリスクを早期にキャッチアップすることで、早く次のアクションを取れるようにしました。品質確認の進め方を工夫したことで、遅れを最小限に留めることができたと考えています。
一方で、この経験に至るまでには失敗もありました。油圧機器開発において、メーカーからの図面確認不足により不具合の発見が遅れてしまったのです。図面や3Dモデルのひとつひとつのやり取りを確実に確認しなければいけないこと、そして油圧機器メーカーの発言内容について、自ら確認することが必要であることを痛感しました。この失敗から学んだことは大きく、現在は図面の細かい内容や変更内容を深く理解することに取り組んでいます。メーカーの開発日程管理や思わぬシステム不具合の対策に苦労することもありましたが、ひとつひとつ丁寧に向き合うことの重要性を実感しています。
成功体験としては、新製品の操作性を改善できたことも印象に残っています。建設機械は人が操作するため、違和感なく操作できるものが理想です。現行機種では車体操作時にオペレータの思い描いた操作速度より速い部分がありました。現状の油圧機器の特性からどの部分で速さを感じるか、どういう特性であれば改善できるかを検討し、検討案の試作をして改善を進めました。オペレータの感覚に寄り添った製品を作れたことは、大きな達成感につながりました。
入社前と入社後で、会社や仕事に対するイメージも変わりました。前職の自動車業界とは他業種でしたが、設計に対する考え方は自動車業界でも建機業界でも同じということが分かりました。一方で、建設機械は生産台数が自動車に比べて圧倒的に少ないため、品質に対する考え方には違いがあります。台数が少ない分、自動車に比べると製品ごとのバラつきは少なくなります。その分、品質を維持したうえで、開発日程の短縮や開発費の低減に重点を置く傾向があると感じています。
スキル面では、油圧システム、ホイールローダ、建設機械についての知識が身に付きました。マインド面では、メンバーの自主性を尊重するようになりました。自分の考えを押し付けず、メンバーの思考や進め方を支援することを意識するようになったのです。前職で培った製品設計の基本的な考え方、FMEAやロジカルシンキング、プロジェクト管理の経験、そして自動車メーカーとの仕様折衝の経験は、他部署や社外とのコミュニケーションに活きています。失敗と成功を繰り返しながら、着実に成長を実感できる日々です。
ホイールローダ開発を牽引する存在へ、そして未来へつながる挑戦
短期的には、開発プロセスの明文化やプロセス改善に取り組みたいと考えています。これは単に自分のためだけではありません。新入社員や中途社員が入社してきたときに、すぐに高い設計品質を実現できるような環境を作りたいと考えています。属人的なスキルに頼るのではなく、誰もが一定のレベルで設計できるような仕組みを整えたい。チームみんなでレベルアップしていくことが、組織全体の力になると信じています。
そして中長期的な目標として掲げているのは、ホイールローダ油圧システム開発を取りまとめられる存在になることです。そのためには、自分の担当範囲だけを見ているのでは不十分だと考えています。担当外のホイールローダ開発についても常に考えながら、車両全体で、さらには日立建機のホイールローダー全体で最適な選択ができるような視点を持つこと。部分最適ではなく全体最適を追求できる技術者になりたいと考えています。
日立建機には、そうした成長を後押ししてくれる環境があります。何より完成品メーカーとして、自分が携わった製品が世の中に出て、実際にお客様の現場で活躍する姿を見られる。これは完成品メーカーでしか得られない経験だと思います。建設機械の開発は、お客様の生産性向上や安全性に直結します。つまり私たちの仕事は、お客様を支え、社会を支えることに直接つながっています。より良い建設機械の開発にチャレンジできるやりがいのある仕事だと感じています。
私が開発に携わった車体の操作性を改善できたことは、本当に誇りに思っています。これから世の中に出て、誰かの仕事を支える日が来る。その日を想像すると、胸が高鳴ります。
これから日立建機にジョインする方には、ぜひ自分なりに考えて意見や提案ができる人であってほしいと思います。こまめに相談できる人、小さいことでもいいから仕事のやり方を改善できる人。そういう姿勢を持った方と一緒に働きたいです。私自身、次期モデル改良案の意見箱設定を提案したところ採用された経験があります。若手でも提案を取り入れてもらえる風土がここにはあります。
製品設計のスキル面では、年々電気制御の比重が大きくなっているため、システム設計や制御に関する知識があると活躍できると思います。マインド面では多くの人との協業が必要になる仕事ですから、相手の立場を考えられること、どんな人にも敬意を示せること。そうしたマインドを持った方であれば、きっと大きく成長できる環境です。
私が実際に働いてみて感じたことが、これを読んでくださっている皆さんのキャリアや暮らしを考える上で何か一つでも参考になれば嬉しいと思います。

