建設機械の頭脳を作る。チームの信頼が生み出すモニタソフトウェア開発
私が所属しているのは、パワー・情報制御プラットフォームビジネスユニット 開発統括部 車載電子システム開発部です。部署のミッションは、市場トレンドに合わせた建設機械製品の電気電子システムの設計構築。建設機械という大きな製品の中で、電気電子システムという重要な部分を担当している部署です。
その中で私が担当しているのは、日立建機製品のモニタソフトウェア開発と保守業務です。建設機械を操作する際、オペレーターが見る画面がありますよね。あの画面に表示される情報を制御するソフトウェアの開発が、私の主な仕事です。機械の状態を適切に表示したり、警告を出したり、オペレーターが安全かつ効率的に作業できるようにサポートする、そういった部分の開発を担当しています。
現在の役職は技師(主任相当)で、モニタソフトウェア開発チームのとりまとめを任されています。チームメンバーをまとめながら、開発案件のプロジェクト管理なども行っているんです。技術的な開発業務だけでなく、プロジェクト全体を見渡して進捗を管理したり、メンバー間の調整を行ったりと、マネジメント的な役割も担うようになりました。
仕事をする上で私が最も大事にしているのは、「チームで仕事をする」ということです。ソフトウェア開発は一人で完結するものではありません。複数のメンバーがそれぞれの専門性を持ち寄って、一つの製品を作り上げていく。そのためには、周囲との信頼関係を築くことが何よりも重要だと考えています。
信頼関係を築くために心がけているのは、業務のコミュニケーションはもちろんのこと、休憩時間や飲み会などの業務時間外のコミュニケーションも積極的にとるようにしています。仕事の話だけでなく、趣味の話をしたり、プライベートな相談に乗ったり。そういった何気ないやりとりの積み重ねが、チームの結束力を高め、いざという時に助け合える関係性を作っていくんです。メンバー一人ひとりの人となりを知ることで、それぞれの強みや得意分野も見えてきますし、適材適所でプロジェクトを進めることができるようになります。
技術者としてのスキルを磨くことも大切ですが、それ以上にチームとして成果を出していくこと。そのために必要な信頼関係を日々丁寧に築いていく。それが、今の私の仕事のスタイルであり、大切にしている価値観です。
自動車業界から建設機械へ、地元・茨城で新たなキャリアを歩む決断
私のキャリアは、自動車業界から始まりました。前職では自動車サプライヤの一員として、メータの設計開発に携わっていました。車のメータというと運転者が最も頻繁に目にする部分ですから、機能性はもちろん、視認性や使い勝手にも細心の注意を払う必要がある、やりがいのある仕事でした。
前職での日々の中で、特に印象に残っている出来事があります。ある理由で開発ツールがすべて新しくなり、プロセスそのものを含めて開発を進める案件に携わることになったんです。それまでの私は、既に確立された既存のプロセスに従って開発を進めることが当たり前でした。決められた手順に沿って着実に仕事を進めていく、そういうスタイルだったのです。
しかし、この案件ではゼロからプロセスを構築しながら開発を進めていく必要がありました。最初は戸惑いもありましたが、この経験を通じて、ソフトウェア開発におけるプロセスの重要性について、深い理解を得ることができたんです。なぜこの手順が必要なのか、どうしてこの工程を踏まなければならないのか。それまで当たり前だと思っていたことの意味が、実際にプロセスを構築する側に立つことで初めて腹落ちしました。この経験は、私のエンジニアとしての視野を大きく広げてくれたターニングポイントだったと思います。
そんな充実した日々を送っていた私に、人生の大きな転機が訪れました。子供の誕生です。新しい命を授かり、この子をどんな環境で育てたいか、家族でじっくり話し合いました。そこで出た答えが、地元である茨城で子育てをしたいというものでした。都会での生活も悪くはありませんでしたが、自分が育った土地で、自然に囲まれながら子供を育てたい。その思いが日に日に強くなっていったんです。
転職を決意してからは、茨城県内で働ける企業を中心に探しました。ただ、単に地元に戻れればいいというわけではありませんでした。前職で培ってきたスキルを活かせる環境であること、そしてさらにスキルアップできる企業であること。この二つの条件を満たす会社を見つけたい。そう考えていた時に出会ったのが、日立建機でした。自動車とは異なる建設機械という分野ではありますが、ソフトウェア開発という核となるスキルは共通しています。そして何より、新しい分野に挑戦することで、エンジニアとして更なる成長が期待できる。そう確信したことが、日立建機を選んだ決め手となりました。
外注化の実現と失敗から学んだ品質管理の真髄
入社当初、私が最初に取り組んだのは、ソフトウェア開発の外注化でした。当時、開発業務が内製で行われており、リソースの限界が見え始めていたのです。外注化を推進するためには、まず土台となるプロセスの構築が必要でした。設計書のフォーマットを統一し、品質基準を明確化し、外注先でも同じクオリティで開発できる体制を整えていきました。
地道な準備作業の積み重ねが実を結び、3年という期間をかけて、開発業務の外注化することができました。この変革により、社内では限られたリソースをより戦略的な業務に集中できるようになり、開発案件の数も飛躍的に増加しました。この成果は、私自身の大きな自信となりました。
しかし、成功の裏には大きな失敗もありました。外注化が進み、多くの開発案件を同時に推進できるようになった反面、受け入れ時の確認作業が膨大になっていったのです。そして、ある時、確認漏れが発生し、不具合につながってしまいました。この出来事は、私にとって大きな衝撃でした。外注化という成果に満足していた自分が、品質管理という最も重要な部分で見落としをしていたのです。
この失敗に直面した時、私は自分のアプローチを根本から見直す必要性を痛感しました。問題の本質は、単に確認作業が増えたことではなく、確認プロセスそのものが外注化の規模に対応できていなかったことにありました。そこで、外注先での評価内容とプロセスを改めて見直すことにしたのです。
改善に向けて、まず外注先と綿密にコミュニケーションを取りながら、評価プロセスの標準化を進めました。どの工程でどのような確認を行うべきか、責任の所在を明確にし、受け入れ時に社内で行うべき確認内容を精査しました。冗長な確認作業は削減し、本当に重要なポイントに注力できる体制を構築していったのです。
この経験を通じて、私は業務の効率化と品質管理のバランスの重要性を深く学びました。単に作業を外部に移管するだけでは真の外注化とは言えません。外注先と一体となって品質を作り込む仕組みづくりこそが、持続可能な外注化の鍵だと理解できました。失敗は辛い経験でしたが、それを乗り越えることで、私自身が一回り大きく成長できたと感じています。
車体全体システムの理解を深め、次世代のものづくりへ
今後の短期的な目標としては、コントローラのハードウェアの知識を考慮した設計をすることを掲げています。ソフトウェア設計においては、プログラムのロジックだけでなく、ハードウェアの特性や制約を理解することが非常に重要です。どんなに優れたソフトウェアを設計しても、それが実装されるハードウェアの性能や仕様を考慮しなければ、最適なシステムは実現できません。そのため、ハードウェアとソフトウェアの両面から製品を捉える視点を養い、より完成度の高い設計を目指していきたいと考えています。この目標を達成することで、開発の上流工程からより的確な判断ができるエンジニアに成長できると信じています。
そして中長期的には、モニタコントローラのみならず、日立建機製品の車体の全体システムを把握した設計開発をすることを目標としています。建設機械は、エンジン、油圧システム、電気系統、制御システムなど、多岐にわたる技術が統合された複雑なプロダクトです。その全体像を理解し、各システムがどのように連携して一つの製品として機能するのかを深く理解することは、真の意味でのシステムエンジニアになるために不可欠なステップだと考えています。一つの部品やシステムだけでなく、製品全体を俯瞰できる視点を持つことで、より価値の高い提案や設計ができるようになるはずです。
これから日立建機にジョインしてくださる方には、ぜひ知っていただきたいことがあります。自分が開発に携わった製品が、日常生活の中で実際に目で見ることができるということです。建設現場を通りかかったとき、自分が設計に関わった建設機械が稼働している姿を目にする瞬間は、何にも代えがたい喜びとやりがいを感じます。自分の仕事が社会インフラの構築に貢献しているという実感を、これほど直接的に得られる仕事は多くありません。また、設計職でありながら、幅広く業務を経験できる環境も大きな魅力です。一つの専門分野に特化するだけでなく、様々な技術領域に触れることで、エンジニアとしての視野を広げることができます。
どの分野においてもソフトウェアの制御が占める割合が多くなってきており、建設機械も例外ではありません。そのため、組み込みソフトウェア開発経験がある方、特にシステムアーキテクチャ設計の経験のある方には、ぜひジョインしていただきたいと思います。そして、日立建機で活躍できるのは、現状で満足せず、よりよくしていこうと考えることができる人です。技術は日々進化し、お客様のニーズも変化し続けます。その中で常に改善の余地を探し、挑戦し続ける姿勢を持った方と一緒に、次世代の建設機械を創り上げていきたいと考えています。皆さんと共に働ける日を楽しみにしています。

