震災で学んだインフラの重要性。技術で社会に貢献したい
技術を通じて社会に貢献したい。そんな想いから工学部に進学した宮澤。研究室では、六本脚の虫型ロボットを製作しながら、生物の動きを理解するという研究に没頭していました。
「生き物の動きのからくりを理解することで、災害現場でも自在に動けるロボットの開発につながる、という想いで研究していました。いろいろなことに興味がある私にとって、制御・電気・情報・機械・生物学といった、多領域の技術が融合するテーマはとても魅力的だったんです」
一方で、就職活動では「インフラ事業で社会に恩返しすること」を軸に据えていました。その背景には、高校生の時に経験した東日本大震災の影響があったと語ります。
「水と電気が突然止まってしまい、当たり前の日常が一瞬で失われる。その衝撃は今でも鮮明に覚えています。さらに大学が被災地の中心部にあり、プレハブ校舎での授業や復興に関する学びを通じて、インフラ事業に携わりたいという想いが強まっていきました」
最終的に日立を選んだ理由は大きく2つあったと言います。
「興味の幅が広い私にとって、魅力的だと感じる仕事を継続的に探せる環境であることが重要でした。事業領域が多岐にわたる日立なら、入社後もやりたいことを見つけ続けられると思ったんです。
また、リクルーターの方々が自分の仕事に情熱を持って語る姿に感銘を受け、ここなら技術者として成長できると確信しました」
2018年に日立へ入社した宮澤。社会インフラシステムに力をいれる大みか事業所の配属となり、現在、品質保証を担当しています。
「主な仕事は、お客さまの要望や仕様書に沿ったソフトウェアであるかを、品質保証の観点から確認することです。出荷前の最終確認だけでなく、設計段階から出荷後のアフターサポートまで幅広く携わっています。
ソフトウェアに新機能を追加する際は、お客さまのシステムに反映させるための動作確認試験も現地で実施します。切り替え時に不具合が起きないよう、事前にリハーサルを重ねながら、プロジェクトを進めるようにしています」
品質保証として社会インフラに関わる上で、宮澤には大切にしていることがあります。
「『止めてはいけない』そして『誤ってはいけない』という使命感を持って、日々の業務に取り組んでいます。とくに『発電機の誤制御』は昔も今も、あってはならない事象です。
それに加え、近年は電力システム制度改革によって、外部にデータを送信・公表する機会が増えていることから『誤情報の公表』も起こしてはならない重大事象と定めています。データに誤りがあれば事業者間の電力取引に影響を与えかねません。
そうした事態を防ぐために日頃から厳しくチェックを行い、より高い品質をお客さまに提供できるように心がけています。責任の大きい仕事ではありますが、インフラを支えているという実感が、何よりの原動力になっています」
交通システムから電力システムへ。大規模な改造へ挑む
2023年から、宮澤は電力供給において極めて重要な役割を果たす「中央給電指令所システム」の品質保証を担当しています。
「電力は需要と供給が常に一致している必要があります。それを維持するため、刻々と変化する電力使用量を予測し、発電量を調整しなければなりません。その指令を発電所に送っているのが、中央給電指令所システムです。
電力自由化や発送電分離といった電力システム改革により、年々システムは複雑化しています。従来は各エリアでシステムを運用していたものの、ここ10年で全国規模での運用が求められるようになり、とくに電力広域的運営推進機関が創設された際には大規模な改造が必要となりました。その後も毎年のように制度変更があり、それに応じてシステムも変更し続けなければならないのです」
以前は交通システムを担当していた宮澤。プロジェクトへ参画した経緯をこう振り返ります。
「私はもともと1つのことを突き詰めるよりも、さまざまなことに挑戦したいタイプです。新しいことに踏み出したいという意欲から、当時の上司とも相談して電力システム担当への担当変更を希望しました。
大改造の真っ只中にチームに加わり、最初に任されたのが発電所に送る指令値を決める重要機能の品質保証でした。右も左もわからない状態からのスタートで、とにかく現場で手を動かしながら業務を覚えていきました。専門用語については、教わったことをすべてメモに取り、自分だけの辞書を作成していましたね。
チームには、品質保証のメンバーも複数いたため、質問すればなんでも教えてもらえる環境でした。周囲に助けられたおかげで、成長ができたと思います」
品質を守り抜くためには、時には自分よりもプロジェクト経験の長いメンバーにも不具合(バグ)や改善点を指摘しなければなりません。だからこそ、宮澤はチーム内の関係性づくりを大切にしています。
「相手が誰であっても、不具合や改善すべきところを指摘するのが品質保証の役目です。一方で、プロジェクトを円滑に進めるためには、良好なコミュニケーションの土台づくりが欠かせません。
品質保証として一定の距離を保ちつつも、『チームの一員』という感覚で仕事をすることを意識しています。後から来た人間に指摘されるのは誰でも快くないはず。だからこそ、日頃から信頼関係を築き、指摘が前向きに受け止められる関係性を築くようにしているんです」
大切なのは、一人で抱え込まないこと。チームで築く品質への信頼
大規模なソフトウェア改造の中には、さまざまな制約も発生するもの。だからこそ、やりがいもあると宮澤は話します。
「重要な機能ほど修正の難易度が高く、ベテランメンバーでさえ苦労する場面も少なくありません。さらにシステムの改造予定日が決まっており、全国で一斉に切り替えを行う場合は、何があっても納期までにお客さまが求める品質を満たしている必要があります。そういった制約がある中で、全員で協力し、期日通りに納品ができた時の達成感は格別です」
2024年に宮澤は主任に昇格し、品質保証チームのまとめ役を任されるようになりました。メンバーの育成を担う中で、自身の働き方にも変化が生まれています。
「チームをまとめる立場になって気づいたのは、仕事量を適切に管理することの大切さです。先輩社員になり、以前と比べて作業量が増える中で、一人で抱え込んでしまうとチームの育成まで手が回らなくなります。
メンバーを育てていくことも私の役目なので、なるべく個々の能力に応じて業務を割り振るようにしているんです。業務をお願いする代わりに、メンバーの進捗状況を確認したり、困りごとがあればフォローに入ったりしています」
また、メンバーにも一人で抱え込むことがないようにアドバイスをしています。
「何かあった際は周りを巻き込んで対処しようと、日頃から話しています。一人が困っていたら、人を集めて皆で手分けしながら作業し、重要な部分は見落としがないように力を合わせて、徹底的にチェックしています。相談されて怒ることはないから、言ってほしい。むしろ大変な状況なのに頼ってもらえない方が困るからと、よく伝えています。
実際に社内には助け合う風土があります。とくに現地でトラブルが起きた時、一斉に人が集まり、解決に向けて一丸となって動く姿は圧倒されるほど。それぞれが得意分野を持ちながら、チームで支え合う体制が整っているんです」
新たなチャレンジの第一歩として、電力システムに携わるようになった宮澤。自身の成長も実感しています。
「このプロジェクトに参画してから、初めて現地に足を運ぶようになりました。思いがけない発見に驚かされることもあり、現地でしか得られない学びがたくさんあります。そして何より嬉しいのは、お客さまと直接関わる中で、作業後に『日立さん、よくやってくれたね』『ありがとう』と声をかけていただけること。
日立を信頼して発注してくださっているからこそ、その期待に応え続けたいという想いが強くなっています」
チームを育て、自らも成長する。好奇心をもとに探求し続けるキャリア
入社から約8年を迎える今、日立で働く魅力を以下のように話します。
「重要システムの開発に、中核人財として関われることです。ここでしか得られない貴重な経験があり、非常にやりがいのある仕事だと感じています。
また、新しいことに挑戦したいと思った時に、応援してくれる風土があることも心強いです。『こういうことをやってみたい』と上司に相談すれば、折り合いをつけながら、実現できるように環境を整えてくれます。社員一人ひとりの想いを尊重し、誰もがやりがいを持って働けるようサポートしてくれる会社です」
また日立には、福利厚生の一環としてクラブ活動があります。業務外でも社員同士の交流機会が多く、宮澤も積極的に活動に参加しています。
「私が所属する大みか事業所は茨城県にあります。これまで馴染みのない土地だったことから、最初は職場が唯一のコミュニティでした。そんな中、当時の上長が吹奏楽部に所属しており、私も経験者ということで誘っていただいたんです。
仕事上では関わりがなくても、楽器という共通点があるおかげで知り合いが増え、現在は吹奏楽部だけでなく、ボウリングチームに所属するようになりました。こうやってコミュニティを広げることができるのも、日立の良さだと感じています」
入社以来、一貫して品質保証の道で経験を重ねてきた宮澤。最後に、今後の展望を語ります。
「誰かが欠けたとしても、一定以上の品質を保てるチームをめざすと同時に、『宮澤さんが見てくれているなら安心』と言ってもらえるような存在になりたいです。中央給電指令所システムには3年ほど携わり、電力という分野におもしろみを感じつつも、まだ学ばなければならないことも多いと実感しています」
一方で、個人としてのキャリアについても、好奇心を失わず挑戦し続けたいと語ります。
「電力を極めていくことにも興味がありますし、視野を広げるために他のことにも挑戦してみたい気持ちもあります。以前に担当していた交通システムも、再び挑戦することで見え方が変わるかもしれません。
また、深くお客さまと関われる仕事にも魅力を感じています。今後も、一つの分野に留まることなく挑戦を続けていきたいです」
※ 記載内容は2026年1月時点のものです
