歴史と最新技術を調達でつなぐ。グローバル鉄道インフラを支えるバイヤーの矜持
山口県にある笠戸事業所で鉄道車両の製造を一手に担う鉄道ビジネスユニット。調達部に所属する張が日立の鉄道事業の強みを語ります。
「まず鉄道に関わってきた歴史の長さ、つまり経験の豊富さが挙げられます。次に、グローバルな事業を展開しているところですね。イギリスやパナマなどさまざまな国へ鉄道車両を提供しており、私も多言語を扱える外国人社員として海外プロジェクトに参画しています。最後に車両だけでなく信号システムなど、鉄道システム全体を担っているところも日立の強みです」
2025年3月にキャリア採用で入社した張はこれまでに調達部で2つの業務を経験してきました。
「入社直後は品質納期管理グループで購入品の納期や品質の管理をしていました。購入品の納期にリスケジュールがあれば社内の現場の方に伝えて調整を促したり、品質に何らかの問題があればどのように対応するかサプライヤーと話し合い、対策を検討したりしていました。
そして、2025年12月に調達第一グループに異動。バイヤーとして電車の下に装着される台車に必要な部品や組み立て品の購入を担当しています」
バイヤーの業務は多岐に渡ります。
「社内の各部署やサプライヤーと綿密にコミュニケーションを取り、部品の仕様を決定した上で価格の調整を行います。具体的にはサプライヤーから見積もりをいただいて、その価格が今の指標に合っているか確認しつつ、グループ全体で考えている予算を踏まえて『もっと安くできないか』など、交渉を進めていきます。
鉄道部品の調達の難しいところは、数年後の案件に向けた購入を検討するところです。とくに最近は物価の変動が大きく、どんどん上昇しています。数年後の物価の様子を誰も予想できない中でサプライヤーと相談しながら、双方が納得できる価格を決めています」
調達第一グループのメンバーは20人ほど。それぞれが担当部品を持つため、基本は個人プレーの仕事が多いと言いますが、時にはチームプレーも必要です。
「グループ全体で予算を見ながら調達をしなければなりません。ある部品の交渉が難航していたら他の部品で調整するなど、チーム一丸となって目標コストの達成をめざします。毎週各係で定例会を開き、情報交換をしながら業務を進めていますね」
鉄道・調達・語学力──3つの強みが重なる場所を求めて辿り着いた日立
学生時代から日本のカルチャーに興味を持ち、日本語を独学で学んでいたという張。中国の大学を卒業後、日本の大学院に進学しました。
「学部生の頃に観光学を学び、そこで日本は観光産業が盛んであることを知ったため、日本の大学院への進学を決めました。大学院では少数民族の文化観光開発について研究していました。
大学院修了後は鉄道会社へ就職。日本は鉄道観光が非常に有名で、数多くの観光列車が走っており、それを目当てに日本にいらっしゃる観光客の方も多いんです。そういった背景から、インバウンド観光事業に携わりたいと思い、入社を決めました。しかし、コロナ禍ということもあり、なかなか自分がやりたいと思っていたことに挑戦する機会が得られなかったんです」
自分の強みを生かしたいと考えた張が次に選んだのは、半導体の専門商社における海外調達業務でした。
「半導体は今や世界中で注目されている産業です。また、自分の言語力を生かせる業務だったので、転職を決意しました。ここで初めて調達という業務を経験して、自分が調達した部品が技術の進歩につながったり、実際の製品に使用されたりすることにやりがいを感じました。
一方で商社という立ち位置もあり、自分が調達した部品が最終的にどのような製品になっているのか見ることはできなかったんです。そこで実際に製品をつくる設計者や技術者がいるメーカーで働きたいと考えるようになりました」
日本には数多くのメーカーがありますが、中でも張は日立を選びました。
「日立を選んだ理由は『鉄道×調達』で、まさに私のこれまでのキャリアで得た経験をすべて生かせるポジションだと思ったからです。『点』でしか見えなかった部品が、どのように『形』になるのか。そのプロセスに当事者として関わりたいと考えました。また、日立はグローバルな事業に力を入れており、外国人も多く活躍していることに魅力を感じました。
入社後一番印象的だったのは、鉄道事業に対する『安全第一』への想いですね。もともと鉄道会社にいたので、鉄道事業においていかに『安全』が重要かは理解しているつもりでした。しかし、入社早々座学の研修で安全について学び、日立における『SQDC(※1)』というスローガンについて学んだことで、日立の安全に対する強い姿勢を知り、感心しました」
※1 S(Safety安全)、Q(Quality品質)、D(Delivery納期)、C(Cost)の順に優先順位をつける経営指針。安全がもっとも重要視される
自身が調達した部品が完成車両へ。メーカーで初めて味わった感動と成長の手応え
入社からまもなく1年。現在の業務について張が振り返ります。
「同じバイヤーでも商社時代とは難しさが異なります。商社ではお客さまのニーズに基づいてサプライヤーから調達していました。しかし、メーカーでは作りたいものや予算が明確にある中で、さまざまな条件を考慮しながら最適な調達をする必要があります。
他の部品を担当するメンバーとも協力しながら、予算に合わせた調達を行うことが求められ、これまで以上に幅広い視点が必要になるので、まだまだ成長できる伸びしろがあるなと感じています。
また、扱う部品の種類が変わったことで違いを感じることもあります。半導体業界は移り変わりが早く、次々と新しい材料を扱うような印象でした。しかし、鉄道事業は何より安全第一なので、新しい材料に目を向けるというよりはこれまでの実績を重要視して材料を選んでいきます。このように業界によって意識する点が違うことは、すごくおもしろいですね。
一方、商社時代に培った『粘り強さ』が今の業務で役に立っているとも感じます。コストを下げることが会社の利益につながるので、根気よく交渉することを心がけています」
そんな張が調達業務をする中でとくにやりがいを感じる瞬間についても聞きました。
「品質納期管理グループに所属していた時、車両の出荷に際して、完成した車両を目の当たりにした時は、込み上げるものがありましたね。もともと『自分が調達した部品が製品になっているところを見たい』と思ってメーカーに転職してきたので、自分が調達した部品がこんなに立派な車両になっているところを見て感動しました。メンバーみんなで記念撮影をしたことも、思い出深いです。
また、日立の車両は日本国内だけでなく世界中のさまざまな地域を走っているので、自分の携わっている製品が世界中の社会インフラを支えていることに強いやりがいを感じます。とくに私は中国出身なので、中国でも日立の車両が走っていることに誇りを感じますね。
私自身も海外プロジェクトに参画させてもらい、主に中国の取引先との交渉や打ち合わせに参加しています。自分の語学力を生かせることをうれしく思いますし、社内外の担当者から『張さんがいてくれて助かるよ』と感謝の言葉をいただけるので、役に立てているんだなと実感します」
「安定」と「挑戦」が両立できる場所。DE&Iが根付く日立で挑むグローバルキャリア
自身のスキルをフルに生かして活躍する張の今後の展望とは。
「最終的には、サプライチェーンのマネジメントを担えるようになりたいと思っています。今のグローバルサプライチェーンは地政学リスクに影響される仕組みになっています。私は海外で生活する外国人としての危機感持ちながら、最新の政治動向にもアンテナを張るようにしているんです。そのため、語学力、バイヤーとしての経験、海外の政治に対するセンサーを生かして、グローバルサプライチェーンのリスクマネジメントなどに取り組んでいきたいですね。
また、日立にはさまざまな強みを持つプロフェッショナルがいます。しかもみんな優しくて、自身の知識を惜しげなくシェアしてくれるんです。1人のロールモデルを追うというよりは、皆さんのよいところを学んで自身を成長させていきたいですね」
日立の魅力について問うと、張は3つのポイントを挙げます。
「1つは研修環境が充実していることですね。入社当初はOJTが中心でしたが、社内には研修のコースがたくさんあり、自身の専門分野からそうでないことまで幅広く学べるんです。私も日立における調達の基礎や調達に関する法律を学んだほか、最近ではAIを活用した事業イノベーションに関する研修を受講しました。
2つめは、DE&Iの推進です。私の部署では外国人の社員は私1人ですが、他の部署を見回すとたくさんの外国人の社員が活躍しているのが見受けられます。単に外国人の社員が多いというだけでなく、多様な属性の社員が活躍できる舞台を作ってくれていると感じます。
3つめはキャリアデザインの自由度が高いことです。大きな企業で幅広い事業を行っているので、意欲さえあれば自分のやりたいことを実現できると感じています」
最後に外国人として日立に入る魅力を張が語ります。
「異国の地でキャリアを築く上で、昨今の不安定な情勢下では安定した基盤の重要性が増しています。日立は、外国人の社員が安心して能力を最大限に発揮できるよう、手厚いサポートと多様性を尊重する土台を提供してくれます。
異なるバックグラウンドは、グローバルに事業を展開する日立において間違いなく『強み』になります。変化を恐れず、世界を舞台に自分の力を試したい。そんな志を持つ仲間と、次世代のインフラを創っていけることを楽しみにしています」
※ 記載内容は2026年2月時点のものです
