アパレルからSIerへ。好きなものには妥協しない姿勢が導いた最初のキャリア
好きなことや興味を持ったことは、周囲に流されず、自分が納得するまでやってみる。駄目なら駄目で、その経験を次に生かせばいい──自身の性格についてこう語る井手。幼稚園の時から始めた野球もその1つです。小学校から高校まで常に4番打者を務めるために努力を重ね、大学では自らサークルを立ち上げるなど、妥協せずに情熱を注いできました。
「野球は、1試合に必ず3回自分の出番が訪れます。確実に活躍できるチャンスがあるんです。3回のうち1回でも結果を残せば、3割打者として評価される。1回失敗してももう1回、それが駄目でも次で決めればいいという考え方がおもしろかったですね」
経営学部でマネジメントやマーケティングを学んだ井手は、大学卒業後の進路として、ユニークな選択をします。
「人と話すことが好きだったので、コンサルタント業界を中心に就職活動をしていました。内定はもらっていたものの、コロナ禍で思うような活動ができなかったこともあり辞退することに。
そして、卒業してから本気でやりたいことが見つかるまでの1年間、学生時代から働いていたアパレル店で準社員として勤務することにしたんです。1年程度であれば、もし失敗しても取り返しがつきますから」
アパレルスタッフとして働く中で、井手の心をとらえたのは、店舗の購買発注や在庫管理のために使用するシステムでした。
「今、何色が売れているのか、どういう客層がこの商品を買っているのか……システム上で分かるデータに基づき、売り場のレイアウトを変えたり、価格設定を変更したりといった業務改善を行います。
それだけで、お客様から『これ、売れているんですか?』『在庫ありますか?』といった質問が増えて、関連商品をアピールする機会も増えていくんです。業務全体がデータによって動いていくのを見て、すごくおもしろく感じましたね」
しだいにシステムを使う立場から作る立場へと興味が移っていった井手は、SIerへの転職を決意。就職活動をする中で、企業の持つヒト、モノ、カネ、情報などの資源を一元管理して経営の最適化・効率化を図るシステム「ERP」に出会います。
「ある企業で新たに『ERP事業部』が立ち上がるという話を聞き、調べてみたんです。業務効率化や経営改善というキーワードはまさに私が関心を寄せていた分野。
また、その会社で扱うのは、世界的に大きなシェアを持つSAP社のERP。未経験から携わるなら最適だと思いました」
こうして、1年かけてやりたいことを見つけた井手。2022年4月、ERPの導入支援を行うSIerに入社しました。
上流工程に関われる大規模案件を求めて。転職後の初プロジェクトで得た貴重な経験
配属されたERP事業部で「SAP® ERP」のエンジニア職を担当し、運用保守業務に従事することになった井手。着実に経験を重ね、SAP認定コンサルタント資格も取得しました。
「ただ、事業部が発足したばかりだったこともあり、プロジェクトの一部分を請け負うものが中心でした。そのため、より上流工程で最初から最後まで一貫して関われる大規模なプロジェクトに参画したいという想いが強くなっていって。思い切って転職を決意しました」
転職活動を経て、日立産業制御ソリューションズに入社を決めた理由を、井手はこう語ります。
「日立グループの会社ということで、より大きな案件に携われると期待できたことが一番の理由です。また面接を通して、技術力の高いメンバーが揃っていて、社内外問わず相談しやすい環境が整っていることや、ワークライフバランスも取りやすそうだと感じたことも決め手になりました」
こうして2023年に経験者採用で入社した井手。産業情報本部 第二設計部に配属され、SAP ERPの導入、移行、設計開発までを担当することになりました。
「入社後、研修を受けた後に参画したプロジェクトは、化学専門商社にSAP ERPの導入を行う案件で、商材の数も多いため在庫管理や購買管理などのミスが許されず、データの移行においてはとくに気を使いました。
また、システムがすべて英語だったことにも苦労しましたね。前職では日本語で操作していたため、同じボタンでも感覚が大きく変わってしまって。実際に手を動かすことを繰り返し、とにかく慣れることで覚えていきました。
他にも、一から設計開発にも携わったり、お客様との折衝も一部担当したり。プレッシャーが大きかった分、最初の経験として非常に良い勉強になりました」
通常、プロジェクトは1~2年単位で進行します。井手がこのプロジェクトに参加したのはスタートから約1年が経過した頃でした。お客様と話したり、会議に出席したりして知識を蓄積しキャッチアップに努めたのはもちろん、上司や先輩の手厚いサポートにも支えられたと言います。
「1週間ごとに進捗を報告し、不安な点があれば相談して、解決した上で次の週に向かう、というサイクルが確立されていました。上司はいつも親身になって気にかけてくれたので、不安なく進めることができました」
そのほか、日立産業制御ソリューションズならではの学びの環境も整っていました。
「SAPのノウハウを蓄積したナレッジサイトやe-learningサイトの提供、高度な知識を持ったスペシャリストが多く、分からないことがあっても社内のネットワークを通じて知識を習得できます。また、日立グループ内の知識やノウハウも得られる機会があるので、学びを深めることができました」
1年ほどかけてシステムは本番稼働。井手が初めて携わったプロジェクトは無事に成功を迎えました。
挫折から見えた理想のリーダー像。新たな夢を実現するために、今、すべきこと
最初のプロジェクトのある期間、開発グループのリーダーを任されたことが大きな経験になったと、井手は振り返ります。
「引き受けたものの、まだまだ私自身、開発経験が少なくて。作業の所要時間の見積もりやメンバーの苦手なポイントの把握、解決へのアプローチの提示など、求められることがほとんどできなかったんです」
その後、この役割は別のメンバーに引き継ぐことに。今度は作業側に回り、理想的なプロジェクトの進め方を間近で体感することになりました。
「QA表やWBSを作成して細かく進捗管理する、分からないところは知見を持つ専門家に相談するなど……後任のリーダーはプロジェクトを進める上での効果的な体制づくりに長けている人で、右も左も分からないところから基礎を学ばせてもらいました。
この経験は今後私がマネジメントする立場になった時にぜひ活用していきたいです」
大きな案件を経験したことで、設計や開発に関する知識はもちろん、プロジェクトの流れや理想のリーダー像など、今後につながる多くの学びをつかんだと話す井手。現在は、玩具メーカーのプロジェクトに従事。設計から開発まで幅広く携わっています。
また、人とコミュニケーションを取るのが得意という強みを生かして、新たな夢も生まれました。
「将来的には営業の道に進んでいきたいと考えています。ただ、営業として話をする相手は、SAP ERPについても精通している情報システム部門の方々。そうした方々と対等にやり取りし、説得力のある営業活動を行うには、同じレベルまで知識を高める必要があります。そのため、現在は設計開発業務に重点的に取り組み、知識向上に努めています。
また、お客様との折衝にも携わっていきたいと上司に伝えていて、今後はその役割も担当する予定です。めざす場所が見えたことで、今何をすべきかが明確になり、苦手な分野でも将来へのステップとして取り組まなければと、前向きに捉えられるようになりました」
夢は「技術力も兼ね備えたIT営業」。SAPを通して、DXの最前線で活躍する
仕事をする上で、井手が大切にしていることがあります。それは「頼まれたことは断らない」という姿勢。
「できるか分からない業務でも、時間が許す限りはチャレンジしてみようと考えています。時には周りの人にフォローしてもらうこともありますが、提示されたことは、まず自分でやってみる。たとえうまくいかなかったとしても、失敗とは考えていません。
将来的に成長につながるなら、その機会を逃すのはもったいないなと思うんです。これは仕事に限らず、今までの人生で常々大事にしてきたことでもありますね」
SAP ERPという分野に出会い、経験したすべてを糧にしながら自身の信じた道を突き進む井手。この仕事の醍醐味について、こう語ります。
「SAP ERP という世界中で広く使用されているソフトウェアを通して、大きな影響力のある企業の経営に関わるシステムに携われること、そしてそのプロジェクトが成功した時は大きなやりがいを感じます。
お客様の業界によってSAPの活用方法も異なり、それぞれの特性に合わせたソリューションを提供できる点もおもしろさの1つですね」
SAP認定コンサルタント資格も保持している井手。こういった資格保持者が社内に在籍していることが、案件の受注やその規模を左右することもあります。技術者としてだけでなく、営業としても武器となり得る強みを手に、井手がめざすビジョンは明確です。
「“技術力も兼ね備えたIT営業”になりたいですね。営業は、お客様のDX化の最初のきっかけを作る存在。やりがいの大きい仕事だと考えています。
知識と技術力をつけるために、現在は設計開発に注力していますが、今後はお客様との折衝機会ももっと増やしていきたいです。要件定義など、上流工程に携わることを直近の目標に、これからも日々プロジェクトに向き合っていきます」
※ 記載内容は2024年12月時点のものです
※ SAP、SAPロゴ、記載されているすべてのSAP製品およびサービス名はドイツにあるSAP SEやその他世界各国における登録商標または商標です

